にげうまメモ

障害競馬の個人用備忘録 ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

24/04/14 Weekly National Hunt / Jump Racing

4/8(月)

Compiegne (FR) Lourd (5.0)

〇 Prix D'Aumale (Classe 3)

Haies Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus, n'ayant pas, cette année, reçu 13.000 en courses de haies (victoires et places). 3800m (Replay)

1. Grandeur Nature (FR) J: Gaetan Masure T: Arnaud Chaille-Chaille

Classe3といえどなかなか重賞クラスの有名どころが揃った一戦であった。レースは先に抜け出したTiger De GuilleyをGrandeur Natureが捉えて勝利した。Grandeur Natureは昨年のPrix La Haye Jousselin (G1)の勝ち馬で、今年はこれが始動戦となる。昨年の春はPrix Murat (G2)を1走したのみでGrand Steeplechase De Paris (G1)への出走はなかったのだが、今年は大一番への参戦を期待したいところである。昨年のPrix La Haye Jousselin (G1)のメンバーは春とはだいぶ異なっていたようで、レース水準の差異等についても興味深い一頭だろう。この中では実績的にはやや格下のTiger De Guilleyが積極的に立ち回って2着。2022年のGrand Steeplechase De Paris (G1)の勝ち馬で、その後長らく休養していたSel Jemはじわじわと差を詰めて3着。やはり動きにはやや重苦しいところが残っていたようで、これを叩いて馬が良くなってくることを期待したい。2021年のPrix Renaud Du Vivier (G1)の2着馬で、2022年の10月を最後に長らく休養していたColbert Du Berlaisはこれが叩き2戦目であったが差のない4着に入った。

 

〇 Prix Orvilliers (Classe 4)

Haies Pour poulains entiers et hongres de 4 ans, n'ayant pas reçu 5.000 en courses à obstacles (victoires et places). 3600m (Replay)

3. Cerbere Du Berlais (FR) J: Felix De Giles T: David Cottin

Cerbere Du Berlaisのデビュー戦で好位からリズムよく進めたが、最後はやや遅れて3着に終わった。Cerbere Du BerlaisはKapgarde産駒の牡馬だが、母には2015年のPrix Cambaceres (G1)の勝ち馬Chimere Du Berlaisを有する良血馬である。Cerbere Du BerlaisにはKapgarde及びSaint Des Saints産駒の姉がそれぞれ1頭ずつ存在するようだが、2019年生まれのChipie Du Berlais(父Saint Des Saints)は未だに未出走、2018年生まれのJalisca Du Berlais(父Kapgarde)は未出走のまま繁殖入りしたようで、Cerbere Du Berlaisが競争馬としてどこまで走れるかは楽しみにしたい。勝ったのはSpanish Moon産駒のEl Clavelで、2着のKourvitを2馬身半突き放す快勝であった。

 

4/10(水)

La Teste-Bassin Arcachon (FR) Tres Souple (4.0)

〇 Prxi Le Fer A Cheval (Maiden)

Haies Pour tous poulains et pouliches de 3 ans, n'ayant jamais gagné. 3400m (Replay)

2. Master D'Autan (FR) J: Felix De Giles T: David Cottin

Master D'Autanの2戦目で、途中から前に出るも直線で捕まり2着に終わった。Master D'AutanはMaster Dinoの産駒の牡馬で、HaiesはAuteuilのデビュー戦から2戦目になる。全兄にはMaster DinoやMaster D'Ocがいるという良血馬で、Master D'Ocが牡馬のまま現役生活を送ったことを考えると、おそらくこの馬もだいぶ期待されているものと思われるが、現時点ではまだその素質の片りんを示していないというのが現状だろう。勝ったのはこれはHaiesデビュー戦となるKadoverという牝馬。Bandeの産駒でこれがデビュー戦となるLuteur De Meeはじわじわと前に迫ったが、途中で落馬した馬の煽りを食らって大きく後退、残り2障害地点で落馬に終わった。

 

4/11(木)

Aintree (UK) Soft (Heavy in places)

Manifesto Novices' Chase (G1) 2m3f200y (Replay)

1. Il Etait Temps (FR) (AQPS) J: Paul Townend T: Willie Mullins

Cheltenhamでイギリス勢待望の勝利を挙げたGrey Dawningが人気の中心であった。レースはHarry CobdenのGinny's Destinyが軽快に引っ張る展開で、Grey Dawning、Colonel Harryなどがこれに追走。Il Etait Tempsはやや後ろから。じわじわと差を詰めてきたIl Etait Tempsが最終障害前で先頭に出ると、そのままGinny's Destinyを9馬身ほど突き放して勝利した。

Il Etait TempsはArkle Challenge Trophy (G1)の3着馬で、今回は再度距離を伸ばしてきてのレースとなる。比較的器用なスピードを有するJukebox Juryの産駒で、このスピードを武器にIrish Arkle Challenge Trophy (G1)でもFound A Fiftyを下しているのだが、今回はシンプルなスピード比べでイギリス勢を圧倒するレースを見せた。トップスピードに優れた馬が集まる16fだとやや展開待ちというところもあるのだが、この馬のトップスピードでも通用する可能性が高い20fの距離に目途を付けたことはこの馬にとっては大きな前進だろう。Turners Novices' Chase (G1)の1、2着がそのまま今回は2、3着に入った格好だが、前回も元気に引っ張ったGinny's Destinyに対してGrey Dawningもまた同様のレースをしているのだが、Grey Dawningは前回こそCheltenhamで馬群がばらけたことでスムーズに運ぶことができたとはいえ、今回はAintreeで全体が止まらない中でやや立ち回りに苦労した印象がある。

 

Boodles Anniversary 4YO Juvenile Hurdle (G1) 2m209y (Replay)

1. Sir Gino (FR) J: Nico de Boinville T: Nicky Henderson

Nicky Henderson厩舎のごたごたでCheltenhamをスキップしたSir Ginoの参戦が話題になっていた。レースはHarry CobdenのKalif Du Berlaisが軽快に逃げる展開で、これをやや行きたがる勢いでKargeseが追いかける。そのままKargeseは残り3障害辺りで先頭に立つも、これを追いかけてきたSir GinoがKargeseを抑えて勝利した。

Sir Ginoはこれでイギリス移籍後は3戦3勝とした。1月のJCB Triumph Hurdle (G2)でもBurdett Roadを10馬身突き放すレースをしており、Juvenile Hurdle路線では屈指の素質馬として期待されていたのだが、CheltenhamはNicky Henderson厩舎のトラブルで回避していた。レース内容としては終始行きたがった影響で最後やや息切れしたKargeseに助けられた感はあるのだが、一方でパフォーマンス的には距離を伸ばしても面白そうなタイプで、シンプルな16f Hurdleの馬という感ではなさそうだ。Triumph Hurdle (G1)で2着に入ったKargeseはまたもや2着で、全体的にやや前向き過ぎる走りにって最後苦しくなっている感がありそうだ。Saint Des Saintsの後継種牡馬としては先駆け的な存在で、すでにアイルランドに輸出されているJeu St Eloiにとっては自身の種牡馬としてのポテンシャルを主張するうえで重要な一頭で、引き続きその動向には注目したい。KemptonのAdonis Juvenile Hurdle (G2)を勝ってきたKalif Du Berlaisは軽快に逃げるも最後苦しくなっての3着で、前2頭とはやや差がありそうだ。

 

Bowl Chase (G1) 3m210y (Replay)

1. Gerri Colombe (FR) J: Jack Kennedy T: Gordon Elliott

Cheltenham Gold Cup (G1)にて2着のGerri Colombeが人気を集めていた一方で、Nicky Henderson厩舎のShishkinの参戦も話題になっていた。レースはまたもやHarry CobdenのBravemansgameが元気に引っ張る展開で、好位からAhoy Senor、Gerri Colombe、Shishkinなどが追走。早々に脱落したThunder Rockを残して直線では6頭の叩き合いとなるも、ここから抜けてきたGerri Colombeが食い下がるAhoy Senorを下して勝利した。Corbetts Crossが3着に入った。

Ahoy Senorはなにかともたもたとした飛越を見せたりと怪しいところがある馬なのだが、今回はまともに走っている。この馬はBravemansgameの外に構えているのだが、Ahoy Senorがまともに走ったことで結果的に内にこだわったShishkinは抜け出すタイミングをなくし、外からするすると進出してきたGentlemansgameのさらに外に切り替えたGerri Colombeでは結果的に後者がスムーズな競馬をすることとなった。Gerri ColombeはCheltenha Gold Cup (G1)の2着馬で、今シーズンはDown RoyalのChampion Chase (G1)に引き続きG1は2勝目とした。Saddler Makerの産駒らしくどちらかというとしぶといスピードの持続性能に長けた馬で、Galopin Des Champsに対してはさすがに分が悪いようだが、とはいえ今回は結果を残した。昨シーズンのこの開催ではGood to Softの馬場でMildmay Novices' Chase (G1)を勝利しているが、基本的にはこのような重い馬場の方が良いだろう。一方のAhoy Senorは久々に強い競馬を見せての2着。このコースは2022年にMildmay Novices' Chase (G1)を圧勝しているのだが、コースがよかったのかここのところ20fを使っていたのが良かったのかはわからない。ただ、飛越に難のあるこの馬にとってはスピードが生きるこのコースの方が走りやすそうな印象はある。

National Hunt Challenge Cup (G2)を勝ったCorbetts Crossは最後差を詰めて3着。Mark Walshがかなりうまく騎乗したとはいえ、National Hunt Challenge Cup (G2)出身馬が24f ChaseのG1競走でここまで差を詰めることが出来るというのは今後に向けて大きな収穫だろう。Nico de BoinvilleのShishkinは内に潜り込むも出しどころがなくなっての4着で、どうしてもAintreeのように平坦な競馬場での立ち回りとしては難しいものになってしまった。乗り方次第ではさらに浮上することができただろう。Gentlemansgameは外から上手く立ち回ったが、最後失速しての5着。案外だったのがチークピーシーズを着用したBravemansgamesで、それなりに後続からプレッシャーを受けたとはいえ、もう少し抵抗して欲しかったというのが正直なところである。KelsoのPremier Chase (Listed)を快勝して挑んだThunder Rockはさっぱりレースには参加できずの敗戦で、さすがに前走と比べるとメンバー的には大きな差異があったように思われる。

 

Aintree Hurdle (G1) 2m4f (Replay)

1. Impaire Et Passe (FR) (AQPS) J: Paul Townend T: Willie Mullins

Cheltenhamをスキップし距離を延長してきたImpaire Et Passeが人気の中心となっていた。レースは人気薄のMahons Gloryが元気よく引っ張るも直線に向いて早々に捕まる。ここからで出てきたImpaire Et Passeが外へ内へとふらふらと走りながら抜け出すと、追いかけてきたBob OlingerとLanger Danをぎりぎり凌いで勝利した。

日本時間木曜日23時30分発走のレースで、勝ち時計自体は約5分20秒程度で決着しているのだが、その後日本時間24時を過ぎても終了しないほど*1長いStewards Enquiryがあったようだ。Impaire Et Passeは昨年のBallymore Novices' Hurdle (G1)等の勝ち馬だが、今シーズンはHatton's Grace Hurdle (G1)でTeahupooの2着に敗れると16fへと距離を短縮していたようだ。今回は久々の20f戦となる。能力は確かな馬のようだが、一方で前走はひたすらもたもたと飛越するところが目立っていたり、今回も抜け出してからふらふらと走るなどかなり難しいところがありそうな印象で、今回はPaul Townend騎手が空いていたとはいえ、今後も引き続き難しい対応が必要となりそうだ。Rachael Blackmore騎手のBob Olingerが惜しい2着で、こちらは真面目に走ってはいるのだが、直線でImpaire Et Passeを避ける不利があった。今シーズンは一時期の不調を脱して復調気配にあるようで、今日のレースを見る限りでは24fでも見てみたい一頭だろう。イギリス勢期待のLanger DanはさらにImpaire Et Passeに大きな不利を受けての3着。前走のCoral Cup (Premier Handicap)は連覇したとはいえ11st8lbというそれなりに厳しい斤量を背負っており、この馬の場合はG1クラスでも戦えることを示したことが今後に向けての収穫となりそうだ。

 

〇 Foxhunters' Open Hunters' Chase (Class 2) 2m5f19y (National) (Replay)

1. Its On The Line (IRE) J: Mr Derek O'Connor T: Emmet Mullins

National Courseを使用する恒例のHunters' Chase。Lieutenant Rocco、さらには13歳のBennys Kingが前に出てくるも、中段から進めたIts On The LineがBennys King以下を振り切って勝利した。Its On The LineはEmmet Mullins厩舎のHunters' Chaseでは恒例のメンバーで、このレースは2023年に一度走って落馬に終わっているが今回は結果を残した。今シーズンは11月のPoint to Pointを含めて計4勝と結果を残しているようで、まだ7歳と若い馬であることをかんがえると色々な可能性のある馬だろう。このレースを2022年に勝ったLatenightpassがその後Cross Countryで勝利を挙げたりと頑張っていることをかんがえるとこの馬にも期待したい。13歳で昨年2着のBennys Kingは見せ場を作って今年も2着に入った。

 

Red Rum Handicap Chase (Premier Handicap) 1m7f176y (Replay)

1. Sans Bruit (FR) J: Bryony Frost T: Paul Nicholls

スタート直後から元気よく前に出てきたSans Bruitがそのまま緩めずに引っ張ると、追いかけてきたSaint Roiを振り切って勝利した。

Sans Bruitは元々フランスで走っていた馬で、昨年はGrande Course De Haies D'Auteuil (G1)への参戦など重賞クラスにも参戦しており、2021年9月にはAuteuilのG3勝ちの実績もある。今年からイギリスに移籍しているようで、これがイギリスでは初勝利とした。Hurdleではあまり上手くいかなかったようだが、前走のChepstowのClass2からいいレースをしていたようで、今回はBryony Frost騎手らしい強気にスピードを生かしていくレースがハマった印象がある。フランスでの実績を考えるともっと活躍してもおかしくなさそうな馬ではあるのだが、一方で今回は10st2lbとかなり斤量的には恵まれた感もあり、どこまで本物であるかは注意しておきたい。11st8lbのSaint Roiがじわじわと差を詰めての2着。16fのHurdleでは活躍した馬だが、一方で16f ChaseのG1クラスのスピードを要求されると苦しいようで、おそらくChaseにおいてはこの路線での戦いとなりそうだ。3着にはPath D'Orouxが入り、フランス生産馬が1~3着を占めた。CheltenhamのGrand Annual Challenge Cup (Premier Handicap)を勝ったUnexpected Partyも出走していたが、Sans Bruitを追いかけるも途中で脱落、そのまま途中棄権に終わった。

 

4/12(金)

Aintree (UK) Soft

Mildmay Novices' Chase (G1) 3m210y (Replay)

1. Inothewayurthinkin (IRE) J: Mark Walsh T: Gavin Cromwell

Grand National Meetingの2日目だが、馬場はやや良化してMildmay CourseはSoftとなった。レースはBroadway Boyが前に出てくるも、これを追いかけたDavid BassのChianti Classicoが途中から前に出てくる。しかし勝負所から密集した馬群の外に出てきたInothewayurthinkinが抜け出すと、そのままIroko以下を振り切って勝利した。

Inothewayurthinkinはこれで前走のKim Muir Challenge Cup から連勝とした。シーズン当初はNoviceの重賞クラスを使うも今年のDublin FestivalからHandicap戦線に矛先を変えていたようで、今回は久々のNovice馬相手のレースとなる。ここに来て調子を上げてきた上がり馬として立派なパフォーマンスを見せた一方で、メンバー的にCheltenhamの上位勢が出走していたわけではなく、相手関係には引き続き留意する必要はありそうだ。外に切り替えたInothewayurthinkinと異なり内にこだわったIrokoはじわじわと伸びての2着だが、Cokoriko産駒のスピードの持続性能を考えると内の狭いところに入ってしまったことはこの馬にとっては不利な材料であった。LeopardstownのO'Driscolls Irish Whiskey Leopardstown Handicap Chase (G3)を勝ったHeart Woodが3着。Ultima Handicap Chase (Premier Handicap)を勝ったChianti Classicoが4着とHandicapperがその後ろに入り、このあたりの顔ぶれを考えるとNoviceのG1として額面通りに考えない方がよさそうな印象がある。この中では唯一Novice 24f ChaseのG1クラスで好走歴のある勝負所にいたGiovincoは最終障害にて落馬に終わり、残念な結果となったそうだ。

 

William Hill Handicap Hurdle (Premier Handicap) 2m4f (Replay)

1. Kateira (GB) J: Harry Skelton T: Dan Skelton

中段から進めたKateiraが残り2障害辺りから抜け出すと、追いかけてきたJango Baie以下を振り切って勝利した。Kateiraは昨シーズンのTurners Mersey Novices' Hurdle (G1)の2着馬で、昨年の秋は牝馬戦線を2戦、その後はKemptonのClass2を使っていたようだ。基本的には平坦なコースでスピードを生かすタイプのようで、おそらくこのAintreeのコースは向くものと思われる。昨年のこのコースでIrish Pointから3馬身差の2着というのはなかなか立派な成績で更なる活躍が期待されそうだが、この馬が浮上したことを考えると馬場としてはさほど重くなっていないのかもしれない。昨年末にTolworth Hurdle (G1)を勝ったJango Baieはその後やや期待外れの敗戦が続いており、主要開催のG1ではなくこちらに回ってきたが、最後追い上げて2着に入った。道中はやや苦しい位置に入っており追い出しが難しかったと思われるが、終いの伸び脚を見ていると条件次第ではどこかでまた浮上してくるかもしれない。

 

Top Novices' Hurdle (G1) 2m103y (Replay)

1. Mystical Power (IRE) J: Mark Walsh T: Willie Mullins

Askの産駒のLookawayが前で引っ張るも最終コーナーを回ってあっさり馬群は密集。内を抜けて出てきたMystical Powerが外から出てきたFirefoxを抑えて勝利した。

Mystical PowerはHurdleはこれで4戦3勝とした。名牝Annie Powerの産駒で、父にはGalileoを有することを考えると未去勢のまま種牡馬入りする将来を検討してもよさそうなのだが、早々に去勢されている。前走はSupreme Novices' Hurdle (G1)で見せ場十分の2着に入っており、今回は改めてこの馬の力量を見せるレースであった。ただし抜け出すときのスピードはなかなか大したものなのだが、一方で今回もそのあとFirefoxに詰め寄られていたりとトップスピードの持続性能の面ではやや微妙なところがありそうで、Firefoxと比べても明らかに馬体のサイズも一回り小さく、この馬の性能を理解したMark Walsh騎手とのコンビの継続を期待したいところである。Supreme Novices' Hurdle (G1)ではやや前から離された3着に入ったFirefoxは惜しい2着で、Jack Kennedy騎手が内にいたMystical Powerを封じ込めようと寄せに行っているのだが、結果的には抜け出したMystical Powerの瞬発力が勝った格好となった。ただしもう少し馬場が重くなっていた場合や、直線に坂があった場合は逆転していたかもしれない。前に行ったLookawayがやや離された3着。Challow Novices' Hurdle (G1)では2着に入った実績馬だが、アイルランドのNovice戦線とは大きな力量差を感じさせる結果となった。

 

Melling Chase (G1) 2m3f200y (Replay)

1. Jonbon (FR) J: Nico de Boinville T: Nicky Henderson

Jonbonが距離延長で参戦してきたことが話題になっていた。レースはPic D'Orhyを制して元気にConflatedが前に行く展開で、これを追いかけてJonbon、Protektorat、Minella Drama。早々に脱落したPic D'OrhyとMinella Dramaを残した3頭のマッチレースはJonbonに軍配が上がった。Envoi Allenが離れた4着に入った。

JonbonはCheltenhamではQueen Mother Champion Chase (G1)への参戦を期待されていたのだが、Nicky Henderson厩舎のごたごたの影響で回避していた。今回は初の20f戦であったが、Conflatedがある程度締まったペースで引っ張る中、Conflated、Protektoratと24fでも通用する持久力を持った馬が浮上してくるレースを勝ち切ったことは今後に向けての収穫であろう。AintreeのSoft程度の馬場ということで比較的距離延長にも耐えやすいレース条件であったことは否定できないが、この馬の可能性を改めて示すレースであった。Grand National (Premier Handicap)ではトップハンデを割り当てられていたConflatedは積極的に運んでの2着で、元々Leopardstownを得意としている馬であることを考えるとやはりAintreeはこの馬にとってはCheltenhamよりも戦いやすかった印象がある。なにかと不幸な結果に終わっている今シーズンだが、やはりこの舞台でペースを作ってProtektoratを抑えきったということは高く評価すべきであろう。Ryanair Chase (G1)を快勝したProtektoratはあまり差のない3着で、Conflatedが相手であればレース条件次第ではいくらでもひっくり返すことが可能な位置づけと考えてよさそうだ。

Ryanair Chase (G1)でProtektratに迫ったEnvoi Allenは途中から脱落して4着。Cheltenhamのようにある程度ペースにメリハリが効くコースであればよいのだが、どうにもAintreeのようにスピードを要求されるコースだと現時点では厳しい感がある。Ascot Chase (G1)を快勝したPic D'Orhyはなにもできずの大敗で、Cheltenhamは明らかに適性外であることから回避したのはともかくとして、スピードを生かした軽快な逃走劇で結果を残してきたイギリスの20fのチャンピオンがここまで通用しないというのも少々残念な結果であった。KelsoのPremier Chase (Listed)で2着に入ったMinella Dramaは頑張って前について行ったが、勝負所から脱落し途中棄権。この馬にとっては結果的にオーバーペース気味であったと思われる。Easy Gameはさっぱりペースについて行けずの大敗に終わったが、ここのところはアイルランドの空き巣重賞ばかりを使っており、G1クラスの一線級が締まったペースを作り出すこのレースは適性外であったと思われる。

 

Topham Chase (Premier Handicap) 2m5f19y (National) (Replay)

1. Arizona Cardinal (GB) J: Ciaran Gethings T: Stuart Edmunds

レースはKandoo Kid、James Du Berlais、Arizona Cardinalなどが前に行くも、先頭集団は密集して進行。ここから前に出てきたJames Du Berlaisが手ごたえ良く進むも、直線を向いて再度盛り返してきたArizona CardinalがJames Du Berlaisを抑えて勝利した。

Arizona Cardinalはイギリス生産馬だが、母Mathineはフランス生産馬で、あのLong Runの半妹という良血馬である。Arizona Cardinal自身はLeicesterのClass3から3連勝とした。基本的には24f戦線を使ってきた馬で、前走はLudlowのForbra Gold CupというClass3のHandicap Chaseを14馬身差で勝利している。今回は追い出してから脚色がいっぱいになったJames du Berlaisを交わしての勝利となかなか味のあるレースで、来年のBecher Chase (Premier Handicap)でも見てみたい一頭だろう。11st10lbを背負ったJames Du Berlaisが2着。フランス時代にはG3勝ちがあるなど実績のある良血馬だが、アイルランド移籍後はなかなか勝てずに苦労している。3着のKandoo Kid、4着のCelebre D'Allenと差のない入線となった。Grand National (Premier Handicap)にも登録のあったClassic Getawayはリズムよく進めるも途中から脱落して途中棄権。落馬したのはThe ChairのBill Baxterただ1頭と、色々と安全対策が実施されたGrand National (Premier Handicap)に向けて幸先のいいレースとなった。

 

Sefton Novices' Hurdle (G1) 3m149y (Replay)

1. Dancing City (FR) J: Paul Townend T: Willie Mullins

The Jukebox Manが前に行くもCharlie DeutschのKyntaraがこれに絡んでいく。一時はこの2頭で前を大きく引き離すも、じわじわと詰め寄ってきたDancing CityがThe Jukebox Manを振り切って勝利した。

Dancing CityはLeopardstownのNathaniel Lacy & Partners Solicitors Novice Hurdle (G1)の勝ち馬で、CheltenhamのAlbert Bartlett Novices' Hurdle (G1)では3着に終わっていたのだが、今回は結果を残した。ただし前の2頭が途中からやや強気に出ていくことでだいぶ終いは消耗戦になっているようで、一般的にスピードが生きるNoviceクラスのG1としての性質を有するかどうかは少し注意しておきたい。Kielan WoodsとのコンビでAlbert Bartlett Novices' Hurdle (G1)では軽快な逃走劇を見せたThe Jukebox Manはさすがに楽逃げはできずの2着。ただ、もしかするとCheltenhamのようにコースを味方につけてペースを作ることが出来るコースの方がこの馬にとってはいいのかもしれない。イギリス勢としては12月のAlbert Bartlett Novices' Hurdle (G2)を勝った無敗馬Shanagh Bobも期待されていたようだが、途中から脱落、やや離れた4着に終わった。

 

4/13(土)

Aintree (UK) Good to Soft (Soft in places)

William Hill Handicap Hurdle (Premier Handicap) 3m149y (Replay)

1. Gwennie May Boy (IRE) J: Charlie Todd T: Dan Skelton

Grand National Meetingの最終日。途中から前に出てきた11歳馬Classic Concordeが元気に逃げるも、残り2障害手前から先頭に出てきたGwennie May BoyがCharlie Todd騎手の派手なガッツポーズとともに勝利した。

Gwennie May BoyはこれでDan Skelton厩舎移籍後3連勝とした。元々はJonjo O'Neill厩舎に所属していた馬だが、Class4のHandicap Hurdleを勝った程度とあまりいいところがなかったようで。Dan Skelton厩舎に移籍してこの馬の素質が開花されている状況である。Mahlerの産駒にしてはなかなか綺麗なスプリントを掛ける馬で、10st8lbと斤量的には目立つものではないが、注意しておきたい一頭だろう。Christian Williams陣営のLord Snootieが2着に入り、この日のメインレースにKitty's Lightを送り出す陣営として幸先のよいスタートとなった。11st9lbのWest Balboa、11st4lbのJohnnywhoと差のない入線となった。

 

Mersey Novices' Hurdle (G1) 2m4f (Replay)

1. Brighterdaysahead (FR) J: Jack Kennedy T: Gordon Elliott

Paul Nicholls厩舎への移籍初戦となったCaldwell Potterは出走を取り消していた。レースはJosh The Boss、Esprit Du Potierとイギリス勢が前に行く展開で、さらにこれにSean BowenのBugise Seagullが絡んでいくも、直線に向いて一頭違った手ごたえで出てきたBrighterdaysaheadがそのまま勝利した。

BrighterdaysaheadはKapgardeの産駒で、Caldwell Potterに対して半妹という存在になる。ここまで牝馬限定のNovice戦線を使っており、CheltenhamのDawn Run Mares' Hurdle (G2)ではGolden Aceに敗れていたが、今回はセン馬相手に明らかな力量の違いを見せつけた。メンバー的にはCheltenhamのG1クラスでもある程度好走した面々が含まれていたことを考えると、このレースはある程度高く評価すべき一戦だろう。同厩舎のStraffordshire Knotが2着に入った。こちらは前走ThurlesのMichael Purcell Memorial Novice Hurdle (G3)で敗れており、Cheltenhamはスキップしていたこともあってか人気を落としていたようだ。CheltenhamのGallagher Novices' Hurdle (G1)で2、3着を占めたWillie Mullins陣営のJimmy Du Seuil、Ile Atlantiqueはいずれも4、5着と凡走に終わり、実績的にはもう少し恰好をつけて欲しかった感がある。

 

William Hill Handicap Chase (Premier Handicap) 3m210y (Replay)

1. Cruz Control (FR) J: Stan Sheppard T: Tom Lacey

途中から前に出てきたCruz Controlがそのまま後続を振り切ると、最後差を詰めてきたSam Brown、Forward Planを振り切って勝利した。

Cruz Controlは前走のNewcastleのClass3から連勝とした。今シーズンは10月からすでに8戦を消化しているNovice馬で、そのすべてでHandicap競走を使っているようだ。いきなりEider Chaseに参戦したりと超長距離適性にはそれなりに陣営としては期待しているようだ。12歳馬Sam Brownは馬群の中を縫って差を詰めての2着で、勝負所からペースが上がった際には後れを取っているのだが、そこからじわじわと伸びてきたのはさすがの内容だろう。Veterans' Chase Seriesのみならず、このクラスでもペース次第ではまだチャンスはありそうだ。KemptonでCoral Trophy (Premier Handicap)を勝ったForward Planもあまり差のない3着に入った。

 

Liverpool Hurdle (G1) 3m149y (Replay)

1. Strong Leader (GB) J: Sean Bowen T: Olly Murphy

Hewickの参戦が話題になっていた。レースは例によってFlooring Porterが軽快に引っ張る展開で、これにDashel Drasherがついて行く。Dashel Drasherを振り切ってFlooring Porterが逃げ込みを図るも、直線に向いてあっさり失速。代わって出てきたBuddy OneをStrong Leaderが捉えて勝利した。3着にはHiddenvalley Lakeが入った。

Strong LeaderはG1は初勝利とした。元々昨シーズンのTop Novices' Hurdle (G1)で2着に入った馬だが、結局16fでは結果を残せず、今シーズンから一気に距離を延長し、前走のCleeve Hurdle (G2)ではNoble Yeatsの3着に入っている。元々は逃げたり後方に構えたりとやや極端な戦法を取る馬であったようだが、今回はFlooring Porterが締まったペースを作ったことがこの馬には味方したようだ。このあたりの馬が24fのHurdle戦線で主役を張ってくれると面白いのだが。Stayers' Hurdle (G1)で4着に入ったBuddy Oneがまたもや好走しての2着だが、前走のTeahupooとの着差を考えると、ある程度レースレベルとしては慎重に見ておいた方がいいだろう。NavanのBoyne Hurdle (G2)を勝ったHiddenvalley Lakeが3着。前走Cheltenham Gold Cup (G1)では鼻出血のあったMonkfishがじわじわと差を詰めて離れた4着に入った。能力のある馬であることは確かなのだが、順調に使えないまま年齢を重ねてしまっている印象で、今回も全体が苦しくなってから再度伸びているだけに勿体ないものである。Flooring PorterはCheltenhamであればペースを調整することで誤魔化しが効くようだが、シンプルなスピードを要求されるAintreeでは年齢的に苦しくなっている感がある敗戦。Dashel Drasher、Crambo、Botox Has、Champといったイギリスの常連はいずれも大敗に終わり、Flooring Porterのペースに対応できなかったとはいえ、もう少し頑張って欲しかったというのが正直なところである。

 

Maghull Novices' Chase (G1) 1m7f176y (Replay)

1. Found A Fifty (IRE) J: Jack Kennedy T: Gordon Elliott

一昨年まではこの日の第3レース、昨年はこの日の第1レースとして行われた競走だが、今年はGrand National (Premier Handicap)の後に行われるようになったようだ。Matataがやや難しさを覗かせるスタートから前に出たのはRachael BlackmoreのQuilixios。しかし残り2障害辺りから前に出たFound A FiftyとMaster Chewyの接戦はFound A Fiftyに軍配が上がった。

Found A Fiftyは今シーズンのG1は2勝目とした。Arkle Challenge Trophy (G1)でも2着に入っている実力馬で、シンプルなスピードの持続性能であれば今シーズンの16f Novice Chaseの中ではトップクラスのものを持っている。Cheltenhamで突き放されたGaelic Warriorにどこまで迫れるかといったところだろう。そのCheltenhamでは落馬に終わったMaster Chewyは強敵相手に食い下がっての2着で、イギリス勢の一角として存在感を示すことに成功した。3着以下はやや離れたが、Grand Annual Challenge Cup (Premier Handicap)で2着に入ったLibberty Hunterが3着に入った。レース内容としてはHandicap戦線ではといったところだろう。Chaseはこれで5連勝で挑んで来たHercule Du Seuilはあまりいいところなくの敗戦で、これを叩いて変わってくればいいのだが、比較的メンバーの手薄な夏場に結果を残してきた馬だけにやや心配なレース結果であった。Rachael Blackmoreがかなり強気に出していったQuilixiosは最後捕まっての5着。Scilly Isles Novices' Chase (G1)で芸術的な逃げ切りを収めたNickle Backはスピード面で苦しかったのか先手を取れず、そのまま後退して大敗に終わった。

 

Nakayama / 中山 (JPN) Good to Firm

The Nakayama Grand Jump / 中山グランドジャンプ (G1) 4250m (Replay)

1. イロゴトシ (JPN) J: 黒岩悠 T: 牧田和弥

どう考えても中山グランドジャンプとは関係なさそうなサムネイルだが、JRA公式のレース映像である。昨年の中山大障害を強い競馬で制したマイネルグロンが人気を集めていた。レースは例によって前に出てきたビレッジイーグルに対して途中からニシノデイジーが仕掛けていく展開で、出遅れたマイネルグロンは後方から。しかしこれに再度ビレッジイーグル、さらにイロゴトシが接近すると、3コーナーを過ぎたあたりから前に出たイロゴトシがそのまま後続を突き放して勝利した。

イロゴトシはこれでこのレースは連覇とした。昨年のこのレースのあとはやや順調さを欠いたようで、10月に東京ハイジャンプに参戦するも6着と敗れている。昨年は重馬場でのレースであったが今回は良馬場でのレースで、加えて前がかなり激しくやり合う中をある程度強気に動いて勝ち切ったことで、改めて日本的なステイヤーとしてこの馬の強さを示す結果となった。マイネルグロンがここまでチャンピオンとしての競馬を続けていたことを考えるとスタート直前の実況の表現に違和感を覚えるようにオジュウチョウサンの存在による影響が大きい状況ではあるが、中山グランドジャンプ制覇というのは過去の経緯を考えればなかなか立派な記録であり、かつ熊本生産馬となかなか珍しい存在として引き続き頑張って欲しいところである。今回は森一馬騎手に乗り替わっていたジューンベロシティが中段から追い上げての2着で、イロゴトシに対してやや仕掛けを遅らせた利はあるとはいえ、乗り替わりで新たな一面を示すレースであった。2022年の中山大障害を勝利したニシノデイジーは積極的に運んだが、3コーナーで後続に捕まっての敗戦となった。最後まで極端に止まっていない辺りおそらく乗り方としてはこれでよいものと思われるが、やはり気性的な問題は相変わらずのようだ。人気を集めたマイネルグロンは出遅れたことで後方からのレースを強いられたが、前が極端に緩めずに引っ張ったことで展開的に押し上げるタイミングがなかったようだ。加えてどうやら直線で騎手が異常を感知して止めているようで、ひとまずJRA公式からの発表としては右前肢跛行とのことだが、大事に至らないことを願いたいものである。

 

4/14(日)

Merano (ITA) Tempo Bello Terreno Morbido

〇 Val Di Non Euro 17,000 TRIO

per cavalli di 5 anni ed oltre (Steeplechase - Condizionana - Fantini) 3800m (Replay)

1. Ches Demonmirail (FR) J: Jan Kratochvil T: Josef Vana Jr

この日から始まったMeranoの開催。レースはL'Estranが軽快に前に行くも、途中からChes Demonmirailがこれに接近。そのまま抜けてきたChes DemonmirailがBallinscoを振り切って勝利した。L'Estranは3着まで。

Ches Demonmirail自身は元々2022年にチェコに移籍した馬で、2022年にはPremieo Staffe D'Oro (G3)というSteeplechaseを勝利している。昨年はあまり重賞戦線には出走していなかったようだが、PisaのSteeplechaseを使って調子を上げてきていたようだ。ひとまず強敵相手にここまで戦うことが出来たのは上がり目のある6歳馬としては収穫のある内容だが、一方で全体的に休み明けの馬が多く、今回のパフォーマンスはもう少し慎重に見てもいいかもしれない。イタリアRaffaele Romano陣営のBallinscoが2着。L'Estranはどうにも勝負所から動きが重く、終盤脱落して3着に終わった。11歳という年齢的な部分が気になるところで、これを叩いて調子を上げてくればといったところだろう。Swinging Thomas、Her Himといったチェコの実績馬もいたのだが、いずれもいいところなく終わった。

 

〇 Spegasso Euro 17,600 TRIO

per cavalli di 4 anni (Steeplechase - Condizionana - Fantini) 3550m (Replay)

1. Krokodile Dundee (FR) J: Jan Kratochvil T: Josef Vana Jr

前に行ったKrokodile Dundeeが最終障害で落馬したSopran Legerを尻目に大差をつけて勝利した。Krokodile Dundeeはチェコ移籍後初勝利とした。フランスのMeslay-Du-MaineのClasse4のSteeplechase競走で勝利のある馬だが、Classe1ではあまりうまくいかなかったようで、直近のPauのClasse1では落馬に終わっている。これが初のイタリアSteeplechaseであったが飛越には問題はなかったようだ。Raffaele Romano陣営のPan De Azucarが2着。Premio Neni Da Zara (G2)では2着のある馬だが、当時のSopran Legerにも10馬身突き放されており、力量的には少々前とは差がありそうだ。

 

Pakenham (AUS) Soft5

〇 Ecycle Solutions 1JW Hurdle

Handicap. Three-Years-Old and Upwards, No sex restriction. Restricted Conditions. Apprentices can claim. 3200m (Replay)

1. Elementry (NZ) J: Ross O'Sullivan T: Gai Waterhouse & Adrian Bott

人気のCustom of the Sea、Pure Dealなどを尻目に前に行ったElementryがそのまま逃げ切り勝利した。ElementryはこれでHurdleはMaidenから2連勝とした。So You Thinkの産駒のニュージーランド生産馬だが、今シーズンになってHurdleに参戦してきている4歳馬で、年齢的にここまで若い馬が障害戦線に参戦することはやや珍しく、今回はやや展開的に恵まれた感はありそうだが、その将来性には期待しておきたい。昨年5月にMaidenを勝ったPure Dealはその後1年程の休養を経て復帰、Calvi等を抑えて2着に入った。元々はアイルランドでHurdleのMaidenを勝ったCustom of the SeaはこれがオーストラリアのHurdleとしては初参戦であったが、好位から進めるも最後脱落し4着に終わった。

 

〇 Ecycle Solutions Maiden Hurdle   

Set Weights. No age restriction, No sex restriction. Maiden. Apprentices can claim. 3200m (Replay)

1. Huntly Castle (AUS) J: Luca Remondet T: Declan Maher

好位から進めたHuntly Casleが残り600メートルあたりで先頭に立つと、そのままLeaderboard以下を振り切って快勝した。Huntly Caslteは平地競争ではVICダービーにも参戦した実力馬で、Hurdleはこれが初参戦であったがいきなり結果を残した。フランス出身のLuca Remondet騎手にとってはこれがオーストラリアでの初勝利ということで、いきなりこのような能力馬で勝利を挙げたことで今後が楽しみになるレースであった。ニュージーランドのMark Walker厩舎のアメリカ生産馬Leaderboardがやや離れた2着に入った。昨年にはWellington Cupという3200メートルのG3競走を勝利しているようで、昨年の6月にニュージーランドで0-1 WIN HDLを使っているが5着と敗れている。既に9歳とそれなりに年齢を重ねているようだが、初のオーストラリアHurdle戦にしては上出来の内容で、このあとオーストラリアに留まるのかは不明であるが、Hurdle競走に出てくるのであれば楽しみにしたい。

 

〇 Ecycle Solutions Super Jumps Maiden Hurdle   

Set Weights. No age restriction, No sex restriction. Maiden. Apprentices can claim. 3200m (Replay)

1. Affluential (NZ) J: Will Gordon T: John Leek Jnr

人気のDubai Moonが元気よく逃げるも、これを最後Affluentialが差し切り勝利した。Affluential自身は平地ではMaidenを走っていた馬で、今年に入ってはMaidenで2着2回、3着1回と頑張っている。全姉にはVerry Elleegantを持つという良血馬だが、面白いことにVerry Flashという全兄もまたニュージーランドHurdleで活躍した馬で、昨シーズンはWaikato Hurdleにも挑戦している*2。実況にも"Iron Horse"と言われているように2週間で計4勝をあげたDubai MoonはこれがHurdleは初参戦であったが、元気よく引っ張って2着に入った。前走WarrnamboolのMaidenで3着のあるSir Peterはまたもや3着に終わった。

 

Ecycle Solutions MJ Bourke Hurdle   

Quality. No age restriction, No sex restriction. No class restriction. Apprentices cannot claim. 3200m (Replay)

1. El Diez (AUS) J: Richard O'Donoghue T: Eric Musgrove

例によってAaron KuruのFabalotが後続を引き離して逃げる展開で、好位にいたThe Mighty Spar、Blandford Ladがじわじわと差を詰めてくる。しかしその後ろにいたEl Diezが直線でこれらを差し切り勝利した。

El DiezはHurdleでは比較的長い馬で、昨年のBallaratではGotta Take Care Hurdleを勝利している。基本的には後方から脚を伸ばしてくる競馬を得意としており、今回はFabalotをめがけて人気馬が早めに動く中をワンテンポ遅らせて出てきた利があった。65kgという斤量的なところも考えた方がいいだろう。外から動いて行ったBlandford Ladが最後Fabalotを交わして2着。逃げたFabalotは例によって前半はやや行きたがって走っていたようだが、そこから上手く息を入れることが出来たようだ。展開次第ではチャンスはあるだろう。ニュージーランドのMark Walker厩舎The Mighty Sparは好位から進めるもじわじわ差を詰めて4着で、直線の瞬発力でやや前の3頭に後れを取ったとはいえ、展開次第ではもう少しやれるかもしれない。

 

〇 Ecycle Solutions BM125 Chase   

Handicap. No age restriction, No sex restriction. BenchMark 125. Apprentices can claim. 3200m (Replay)

1. Budd Fox (AUS) J: William McCarthy T: Henry Dwyer

前に行ったBudd FoxがそのままTom Foolery以下を振り切って勝利した。Budd Foxは遡れば2021年にMaiden Hurdleを勝った馬だが、その後はあまり障害戦線には積極的に参戦せず、2022年のこの開催のBM125 Chaseで2着に入って以来の障害戦となる。とはいえ2021年のJericho Cupでは2着に入るなど能力はあるようで、やや展開に恵まれた感はありそうだが、引き続きのSteeplechaseへの参戦を期待したい。番手から進めたTom Fooleryが差のない2着。後方から押し上げてきたNot Usual Dreamが3着に入った。

 

J.E.H Spencer Memorial Steeplechase   

Quality. No age restriction, No sex restriction. No class restriction. Apprentices cannot claim. 3500m (Replay)

1. Stern Idol (IRE) J: William McCarthy T: Ciaron Maher

レースは例によってStern Idolが元気よく引っ張るも、これにBrungle Bertieがぴったりとついて行く。3番手以下は大きく離れる。そのままBrungle Bertieを振り切ったStern Idolが追いかけてきたCastrofrancaruを振り切って勝利した。

Stern Idolは昨年のSteeplechase路線では非常に強い競馬を見せた馬だが、一方でGrand Annual SteeplechaseやGrand National Steeplechaseなど、比較的距離が長いレースにおいては途中棄権に終わっている。今回は3500メートルと短い距離であったこともあってか問題なく走ることが出来たようだが、とはいえ最後はCastrofrancaruに詰め寄られているように距離的には不安があるのは相変わらずのようだ。昨年はGrand National Steeplechaseで3着に入るなど活躍したCastrofrancaruが2着。勝ち馬に対して7kgの恩恵があったとはいえ、Rockstar RonnieやBrungle Bertieなどがぱったりと止まる中で勝ち馬に詰め寄るまで至ったことは立派な内容だろう。そのRockstar Ronnieはじわじわと差を詰めるもコーナーで一杯となって3着。Brungle BertieはStern Idolについて行ったが苦しくなって大敗と、Stern Idolのペースの特異性が改めて目立つ内容となった。