壁紙(クロス)のお役立ちブログ(業者向け)

内装 壁紙(クロス)についてお役に立ちそうな情報をお伝えします。

壁紙(クロス)のクレームについて

 

壁紙の種類と生産量

日本の壁紙の種類は、ビニル壁紙、プラスチック壁紙、紙系壁紙、繊維系壁紙、無機質系壁紙、その他に分類され、2019年実績で6億7千万㎡生産されています。ビニル壁紙はそのうち6億1千万㎡で約91%を占めています。

統計データ|一般社団法人 日本壁装協会

ちなみに、1996年には8億1千万㎡で、1986年は4億1千万㎡で10年間で壁紙は、2倍出荷されるようになりました。

日本で壁紙を生産している会社は、23社ほどあり、その会社で作られた壁紙をブランドメーカと言われている会社がサンプル帳をつくり販売しています。
サンゲツ、リリカラ、シンコール、トキワ、ルノン、東りなどが当たります。 

(*壁紙の普及の最も大きな要因は、1969年(昭和44年)に下地基材と組み合わせた状態で防火材料として建設省(現在の国土交通省)に認定されたことが大きいといわれてます。)

 

壁紙の良いところ

①豊富な商品群 和風、洋風、部屋別など幅広い要望に応えられる。
②広い価格帯
③塗装、塗り壁に比べて違い短い工期で施工ができる。
④簡単に模様替えができる
⑤工場で一貫してつくっているので安定した品質

模倣としての仕上げ効果
 天然素材よりも優れた物性で、それに近い色柄テクスチャーをもち、天然素材の持つ物性のばらつきもなく、均一になおかつ低価格で量産が出来き、天然素材に比べて施工が容易であります。

 

クレームについて

材料自体のクレーム

 ①壁紙の左右の色違い②左右の厚さ違い③同一ロットの色違い④傷⑤裏打ち不良⑥汚れ⑦プリント不良⑧エンボス不良⑨発泡不良

 これらが材料クレームとしてあります。最近は製造メーカーの努力でかなり、減っているのではないかと思います。

 材料クレームとしてならないケースとして、①②の左右の色違い、厚さ違いの中で、施工をする際、壁紙の有効巾を超えて施工した場合、また、ジョイントは、端と端で行う物ですが、端を使わず、中でジョイントすると①②のような現象が起きます。

 上記のような場合材料クレームとして扱えず施工クレームの扱いとなってしまいます。

施工によるクレーム

 ①糊に関すること

 1)希釈 糊はメーカー指定の量の水を入れて、攪拌して作るのですが、水を指定以上入れてしまい薄く作ってしまうと、糊の強度が生まれず、剥がれの原因になります。
最近無希釈の糊がありますので、これを使えば、希釈する手間や糊の濃さを気にしなくて済みます。

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 2)拭き忘れ 壁紙の表面にできるだけ糊がつかないように扱いますが、施工上どうしてもついてしまう場合があります。この場合は速やかにスポンジ、タオルを使って拭くようにします。放置しますとそこの部分が変色したりします。
 ローラー、撫で刷毛に糊がついた状態で使ったりすると、その糊が壁紙についてしまい同じように変色してしまいます。汚れたら拭くようにします。
 汚れたスポンジ、タオルをそのまま使うと同じようなことになります。

 ②下地に関すること

 1)石膏ボード 石膏ボードは、壁紙の下地としては最適なものです。石膏ボードの大きさは910mm×1820mmですので、必ず継ぎ目ができます。この継ぎ目にパテを入れ、継ぎ目が目立たないようにするわけですが、パテ処理のうまい、下手で壁紙の表面にパテ処理の跡が出てしまう場合があります。

 壁紙によっては目立たないものがあったり目立ちにくいものがあったりします。厚手で発泡加工等ボリューム感のあるものは比較的下地の凸凹を拾いずらいです。逆に厚さが薄く、光沢感のあるものは、目立ちやすいので、下地の平滑さに時間をかけ、より気を使わなければならない商品となります。
  2)ベニヤ ベニヤは木材をスライスした板に木目が直交するように奇数枚重ね、接着剤で貼り合わせたものです。その下地にそのまま壁紙を貼ると、ベニヤから灰汁(あく)が出てしまい、表面が変色してしまいます。ベニヤ下地には壁紙を貼る前に必ず専用のシーラーを塗らなくてはなりません。
 ベニヤを止めている釘の頭には、必ず錆止め剤を塗ってください。壁紙の表面にその錆が浮いてきます。
 (*シーラーの役割は表面に被膜をつくることで密着性を向上させたり、下地面の吸水性を調整したり、壁紙の劣化、変色をしにくくします。)

  3)モルタル モルタル下地の場合は十分乾燥していることが条件となります。乾燥が不十分だと壁紙がはがれてしまいます。
 モルタル面に水が溶けるとアルカリ性を示し、白く粉がふき、いわゆる灰汁が発生します。このアルカリが、糊を変質させ、剥がれや目隙が起きやすくします。ベニヤ下地と同じく必ずメーカー指定の要領を守ってシーラーを塗らなくてはなりません。

 

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 ③ジョイントに関すること

 A.突きつけ施工
  1)突きつけ施工の場合、糊付け機のスリッターで両耳を切り、端と端を付けるのですが重ならず、隙間が空かないようにジョイントしなければなりません。
 壁紙にはジョイント部分がどうしても目立つ材料があります。それは突きつけ施工には適さない材料といえます。
 うまく合わせようとして、ローラーを強く押しすぎて、壁紙がテカってしまい目立ってしまう場合があります。
 隙間が空いてしまったことに対して、ローラーで無理によせすぎ、壁紙を伸ばしてしまうと、時間とともにジョイントがすいてきてしまう事もあります。

 B.重ね裁ち
  1)重ね裁ち施工は、壁紙と壁紙を重ねてジョイント部分をカッターで切るんですが、下地までカッターが入ってしまうと石膏ボードの紙を切ってしまいそこからめくれて来てしまいジョイントがすいてきてしまいます。

 モルタル下地の場合であっても、シーラーで塗った被膜を、カッターが入りすぎて切ってしまうとジョイント部分が開いてきます。
 ジョイントを切る場合は専用のジョイント定規で切るようにし、下敷きテープを使うようにします。
 仮に下敷きテープを切ってしまった場合は、その箇所をめくって、補強テープ(和紙テープ)を中に入れることで、ジョイント部分が開かないようにすることが出来ます。  

  

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 c.その他
  1)熟(う)ませ時間(オープンタイム)
 壁紙は、水分を含ませることで伸びます。仮に元寸法が92cmの場合熟ませると
93cm前後になります。そして、乾燥させると91.8cmぐらいに縮みます。この特性をよく理解したうえで、ジョイントしてください。
 糊が薄かったりした場合収縮を押さえることが出来ず、ジョイントが開きます。
商品によって熟ませ時間を変えなければならないものがあります。
 汚れ防止機能の付いた壁紙は、熟ませ時間を長く取る必要があります。逆に和紙系の壁紙や吸湿性の優れた壁紙などは乾燥が早いため熟ませ時間は短くしないと施工できなくなってしまいます。    

施工後の環境によるもの

  ①施工後は糊が安定するまで自然乾燥をしてください。施工中・施工後とも冷暖房などによる急激な室温の変化は避けてください。ジョイント部分の目隙、剥がれの原因になります。
  ②家具を壁に密着させないでください。家具の塗料やベニヤの色素により変色することがあります。
  ③その他、ストーブを近づけない、粘着テープを貼らない、薬品や化粧品類を付着させない、などが原因で変色することがあります。

壁紙の限界

下地・構造上の限界
  ①壁面のクラック
  ②下地の乾燥不十分による壁紙の剥がれ
  ③コーナー部分の隙間  建物の構造上振動の逃げ場にしています。また、木材の乾燥による収縮によって隙間が生じます。

これらを壁紙でカバーするには限界があることはご理解ください。

まとめ

  日本において壁紙は、住宅はもちろんのこと公共建築物にも広く使われ、目にしないことはほとんどないと思います。商品として長い歴史の中で、ほぼ完成された形になっていると考えます。製造メーカーが苦心に苦心を重ね、ブランドメーカーとタックを組んでより良い商品を提供するようにしてきました。
 これら壁紙は職人の手を介して初めて価値を生むものとなります。使う側、施工する側、企画する側、製造する側が一体となって良いものという位置づけになります。壁紙の特性をよくご理解いただき気持ちよく使っていただきたいと思います。

壁紙 汚れ防止壁紙の説明

壁紙(クロス)には、いろいろな機能を備えているものがあります。

防カビ性、抗菌性、吸放湿性、透湿性、消臭性、そして一番需要のある機能として汚れ防止機能があります。
 今回この汚れ防止機能がある壁紙(クロス)の説明と施工の注意すべき点について書かせていただきます。

 

汚れ防止壁紙の性能
1. 汚れ防止壁紙の性能は、表面に汚れ防止性能を目的とするフィルムを貼り合わせた壁紙の汚れ落ち性能を言います。
2. 汚染物(コーヒー、醤油、クレヨン、水性サインペン)をそれぞれ付着させ、24時間後、拭き取ったものを目視で判定する。拭き取りについては、コーヒーと醤油は水、クレヨンと水性サインペンは中性洗剤で拭き取ることになっています。
3. 壁紙工業会の汚れ防止の性能基準は汚れを拭き取った部分を原片と比較し「4級以上」を有することとしています。また、試験開始から24時間経過後としています。

www.svkikaku.gr.jp

目次

 

汚れ防止壁紙のフィルムについて

 汚れ防止壁紙と言われているものは、この「フィルムを張り合わせた」というところがポイントとなり、フイルムの貼ってないものを混乱を避けるため汚れ防止と表記してはいけないこととなっています。このフイルムには2種類あり、エバール®フィルムファンクレア®フィルムというものが使われています。
 それぞれについて説明をさせていただきます。

エバール®フィルムの特徴

 1.エバール®は株式会社クラレの登録商標。
 2.油汚れに強い。
   ・水汚れはもちろん、しつこい汚れや油汚れ、油性マジックもアルコールを
    使ってふき取れます。
 3.臭いがつきにくい。
   ・臭気成分をバリアして、壁紙への付着を防ぎます。特にタバコの煙成分
    の汚れや臭いが付着しにくくなっています。
 4.抗菌性がある。
   ・安全性の高い抗菌剤使用で大腸菌、黄色ブドウ球菌などの増殖を抑制します。
 

ファンクレア®フイルムの特徴

 1.ファンクレア®はグンゼ株式会社の登録商標。
 2.水汚れに強い。
   ・水汚れが心配なトイレ、洗面水廻り用途にお勧め。
   ・施工時の糊がふき取りやすく、拭き残した糊も乾燥すると薄い膜状
    になって剥がれます。
 3.施工性
   ・比較的柔らかいフィルムなので、出隅、入隅の収まりが良い。
 4.抗菌性がある。
   ・安全性の高い抗菌剤使用で大腸菌、黄色ブドウ球菌などの増殖を抑制します。
 

施工について

糊付け

・下地は平滑にし、濃いめの糊で施工してください。
   フィルムの貼ってある汚れ防止壁紙は癖が強く、でんぷん糊だけでは、
   初期の接着力が弱いため、出隅、入隅がはねてしまい直角がでず、収まりが
   悪くなります。そのためより初期に接着力を発揮できるように、
   ボンドが高配合されたものの方がおさまりが良くなります。
 ・オープンタイム(熟ませ時間)を長めにとってください。
   壁紙は、糊に含まれている水分を吸収することで伸びて、柔らかくなります。
   一般的なビニル壁紙で最低でも15分ぐらいの目安でオープンタイプを
   取ります。その伸びた状態で壁に貼ることで、壁紙が安定し接着剤の強度が
   増し、乾燥したときにきれいな仕上がりとなります。
    フィルムの貼ってある汚れ防止壁紙は、いわゆる壁紙の上からビニール
   で覆われている状態の為、水分が壁紙に浸透しづらい状態になります。
   浸透させるために、長め(30分ぐらいを目安)にオープンタイム
   (熟ませ時間)をとり、壁紙を安定させ、接着力の強度が増した状態で
   施工するようにしてください。
    オープンタイムを取る間は、必ずプラスチック容器又はビニル袋などに
   入れて養生してください。ビニル袋などに入れずに空気に晒された状態
   ですと、晒された部分が乾燥してしまいます。
 ・糊付け後のたたみ方は、ゆるやかに大きくたたみ、折シワが出来ないように
   気を付けてください。フィルムが貼ってあるため、折シワが出来てしまうと
    跡が残ってしまいます。
 

施工

・突きつけ張りは不向きですので、重ね裁ちで施工をお勧めします。
・出隅、入隅、ジョイント部ところの壁に捨て糊をお勧めします。
  *捨て糊: プラゾールSS (ヤヨイ化学工業(株))
        パラダイン390クリーン (ウォールボンド工業(株))
  捨て糊をすることで、入隅では直角が出やすくなり、出隅では膨れが
  抑えられることになります。
・表面についた糊は変色の原因になるので、きれいな水で十分に拭きとってください。
張替工事の場合は、一般的には既存の壁紙をはがした場合は裏打ち紙が残ります。
 その上からビニル壁紙を張り、仮にその裏打ち紙が水分を含んで空気を含んで
 ふやけても、壁紙の乾燥とともに、そのふやけは解消される場合がほとんどです。
  しかし、フィルムが貼ってある汚れ防止壁紙は、下地がふやけてしまった
 ところの空気の抜けが非常に悪いです。そのまま戻らない場合もあります。
  これを防ぐには、裏打ち紙を完全に剥離する必要があります。または、裏打ち紙にスプレーなどで水を掛け、浮いた部分のみをはがし、段差はパテで平らにするようにしてください。

まとめ

施工について繰り返しになりますが、①濃い糊で②オープンタイムをしっかりとり③畳むときは大きくゆったりと畳む④表面についた糊は変色の原因になるのですぐに拭く⑤ジョイントは重ね裁ちで施工すること、以上となります。

汚れ防止壁紙は、リフォームの時は裏打ち紙をはがすという大変な作業がありますが、施工については、上記内容を守っていただきクレームの起こらないように施工をしたいものですね。
 エバールフィルムファンクレアフィルムについて説明いたしましたが、施工性はファンクレアフィルムの方が良いようです。

以上ご参考にしてください。

 

*裏打ち紙がふやけて浮く原因

 ①糊をメーカー指定の希釈率ではなく、薄い糊で施工された。
 ②撫で刷毛が均等に撫でられていなかった。

 などと考えられます。このようなことが後々起こらないように丁寧な施工を心がけたいです。

 

 

 

 

 




 

壁紙(クロス)糊につて

壁紙(クロス)糊について説明をさせていただきます。

1.取り扱いメーカー

①ヤヨイ化学工業株式会社 https://www.yayoikagaku.co.jp/

②ウォールボンド工業株式会社 http://www.wallbond.jp/

③株式会社大力 http://www.dai-riki.co.jp/

④極東産機株式会社 https://www.kyokuto-sanki.co.jp/

  上記4社が一般的です。

2.糊の種類と商品名

種類

①1種・・でんぷんを主成分として増量剤、安定剤、防腐剤、防かび剤などが配合され、使用時に水で希釈します。

 ・ウォールボンド工業(株) 商品名 グルーS 

https://a.r10.to/hIN2TN


 ・(株)大力 商品名 クロスダインA

 

②2種1号・・1種の材料のほかに合成樹脂エマルション(ボンド)を配合し、使用時に水で希釈します。

 ・ヤヨイ化学工業(株) 商品名 ルーアマイルド、アミノール、アミノールUP、

                アドウォール、他

https://a.r10.to/hIN2TN

 ・ウォールボンド工業(株) 商品名 スーパーグルー96α

https://a.r10.to/hwL3Lq

 ・(株)大力 商品名 クリーンペースト、スーパークリーンペースト

③2種2号・・1種の材料のほかに合成樹脂エマルション(ボンド)を配合し、使用時に希釈しないで使用するもの。

 ・ヤヨイ化学工業(株) 商品名 ダイレクトPRO、ダイレクトUP

https://a.r10.to/hDycQl

 ・ウォールボンド工業(株) 商品名 ウォールボンド100、ウォールボンド105

                 ウォールボンド200

https://a.r10.to/hzGgHD

https://a.r10.to/hImWSF

 ・(株)大力・・商品名 スーパークロスダイン

④でんぷん・メチルセルロース(粉糊)

 ・極東産機(株) 商品名 NEWプロフィット

https://a.r10.to/hzFcv2

  *極東産機さんは、粉糊(こなのり )という少し特徴的な糊を扱っています。
   一般的なペースト状の糊は18kgあって、持ち運びが少し大変ですが、
   1袋2kgで150㎡張れる粉糊は運搬が楽ですが、水で希釈しクロス糊の状態
   にするまでに少々時間がかかります。

3.まとめ

1種2種の違いとしては、でんぷん糊の中にボンドが入っているかどうか、になります。下地が石膏ボード(表面が紙)で一般的な壁紙を貼る分では1種のボンドなしのクロス糊で十分です。条件として、各メーカーが出している希釈率(混ぜる水の量)を守り、オープンタイム(熟ませ時間)を取ることを忘れないでください。

2種1号、2号の糊は、ボンドが混ざっているため、初期タック力が1種の糊より強いことになります。そのため、汚れ防止機能など機能付きの癖の強い壁紙を張る場合は、2種のボンド入りの糊でないとジョイント部のおさまりであったり、出隅の部分のおさまりがうまくいかないことがあります。

2種2号の糊は原液糊と言われ、水で希釈する必要のない糊となり、希釈する手間もなく、大きな糊バケツも必要がないです。また、水で研いでいないという事で、伸縮率の高い紙系の壁紙などでは、こちらの2種2号の原液の糊の方が良いです。
 以前聞いた話で、ハウスメーカーが「職人さんによって壁紙の仕上がりの違う理由が糊の濃さによると思われるところがあります。職人さんによって糊を薄く作っているように感じます。糊の濃さを操作できない、原液のクロス糊を作ってください。」と要望されて開発されたと聞いたことがあります。
 このように2種2号の糊を使えば、仕上がりは安定すると思います。先ほどオープンタイムの話をしましたが、汚れ防止壁紙など機能付きの商品を張るときにはオープンタイムを普通の壁紙より長く取ることも忘れないようにしてください。各ブランドメーカーが商品ごとに記している施工要領書をしっかり確認して施工してください。

4.おすすめ図書

「素晴らしい壁紙に素晴らしい技術」

 発行:壁紙施工団体協議会 平成17年9月 定価 1200円+税

 

 

 

 株式会社ビルトゥ 壁紙スクール  

www.n-smt.jp

 

 

     


  

 

 

 

壁紙貼りの標準施工方法並びに単価について

ここでは、壁紙の標準施工方法と国が定めている職人さんの単価を書かせていただきます。参考にしていただければと思います。

目次

 

 

1.標準施工方法(ビニール無地調)

 *業界が定めている基本的な施工方法につきまして、日本壁装協会のHPでご確認ください。

www.wacoa.jp

 ①下地つくり
(新規)ボードのジョイント部分に下地パテを打ちその上から仕上げパテを打つ。
    *必要に応じて回数を重ね、平滑にする。(標準)
    *合板下地で釘を使用している場合は、防錆剤を釘の上に塗る。
(新規)前面にシーラーを塗る。(標準)
    *モルタル面の下地の場合は先にシーラーを塗り、その上から必要な箇所
     にパテを打つ。

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 【シーラーの役割】
  シーラ処理の目的は下地の補強及び吸水性の調整です。モルタル面、合板面は表面から灰汁が発生し、糊の強度を弱めたり、壁紙の表面を変色させたりします。下地面にシーラーで被膜を作ることでそれらの現象押さえる役割があります。 
  防火壁装材料の施工共通仕様書において「張替の際は、壁紙をきれいに取り除き下地基材面が完全に見える状態にしてから施工する。」と書かれています。日本の壁紙は下地の保護を目的として、壁紙をはがすと裏紙が剥離するようになっております。内装制限のかからない住宅の場合はその裏紙の上から、新たに壁紙をありますが、内装制限がかかる建物においては、書いてありますように残った裏紙をすべて剥がし、下地基材面が完全に見える状態にしなければなりません。残った裏紙のはがし方としては、霧吹きなどで水を掛け、糊をふやかし、スクレッパーなどでその裏紙を削ぐのですが、その際シーラーが塗ってあることで下地面を痛めづらくなります。そのため、石膏ボードの面にもシーラーを塗ることになります。

 (張替)壁紙のはがしは簡易剥離とし、段差ができた部分にパテ処理を施す。
    *簡易剥離・・表面層をはがし、裏打ち紙はそのまま残す。(標準)
               *標準剥離・・下地基材面を完全に見える状態にする。(別途)
    *特殊剥離・・劣化が原因で壁紙がチップ上にしか剥がれない状態の物を
      はがす事(別途)

 

 ②施工方法(新規)(張替)
  ・ジョイント方法は突きつけ施工若しくは重ね裁ち施工とする。重ね裁ち施工
   をする際は必ず下敷きテープを使用する。(標準)
  ・廻縁、幅木、柱などの切りつけ押さえのところには
   コーキング剤を差す。(標準)
  ・入隅は壁紙を張りまわさないで切りつける。
   その際コーキング剤を差す。(標準)
   *ただし、切り口が目立ちやすい物や地域的な習慣や顧客の意向で入隅を
    まわす場合もある。
  ・吹き抜け、落とし込み天井など特殊な箇所は要相談(別途) 

2.公共建築工事標準単価積算基準

https://www.mlit.go.jp/common/001226704.pdf

この基準は、国土交通省官庁営繕部及び地方整備局等営繕部が官庁施設の営繕を実施するための基準として制定したものです。また、この基準は、官庁営繕関係基準類等の統一化に関する関係省庁連絡会議の決定に基づく統一基準です。

 毎年国土交通省において、単価積算基準を発表しています。こちらの72ページのA62ページあたりのところ壁紙の施工に関する係数が書かれています。

3.公共工事設計労務単価表

https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001328838.pdf

国土交通省 土地・建設産業局 建設市場整備課
令和元年度に実施した公共事業労務費調査に基づき、公共工事設計労務単価を決定し、
令和2年3月から適用することとしたので、お知らせします。

   今回の価格のポイントとして
 ①全国全職種単純平均で対前年度比2.5%引き上げられた。
 ②労務単価には事業主が負担すべき人件費(必要経費分)は含まれてなく、下請け代金に必要経費分を計上しない、又は下請け代金から値引くことは不当行為。
 ③労働基準法の改正による有給休暇の取得義務化を踏まえて、義務化分の有給休暇取得に要する費用を反映している。

【公共建築工事標準単価積算基準並びに公共工事設計労務単価表を踏まえて】

 令和二年 東京都  内装工   27,700円/人 

 ・壁紙素地ごしらえ(せっこうボード面)0.01 *100㎡/日
  *シーラー、パテ、研磨
          単価 0.01×27,700円=277円/㎡

 ・壁紙張り 壁 プラスチック程度 0.025 *40㎡/日

          単価 0.025×27,700円=692.5円/㎡

       天井 プラスチック程度 0.028 *35.7㎡/日

          単価 0.028×27,700円=775.6円/㎡

 上記金額が令和二年度の国が公共工事を発注する際に参考にしている積算基準並びに単価となります。

 

4.壁紙施工の業界統一標準の積算見積もり書

http://www.mlit.go.jp/common/001036500.pdf

  平成25年に国土交通省が各団体に要望し作成された標準見積書となります。

  建設産業においては、行政、発注者、元請企業、下請企業、建設労働者等の関係者が一体となって社会保険未加入問題への対策を進めておりますが、こうした取組を進めるに当たっては、社会保険等に加入するための原資となる法定福利費の確保が重要です。このため、見積に当たって従来の総額単価だけではなく、その中に含まれる法定福利費を内訳として明示することにより、必要な金額を確保していく必要があります。
 各専門工事業団体においては、法定福利費の内訳を明示するための標準見積書を作成するとともに各業界の取引実態も踏まえ、各社の実情に応じた法定福利費の額を簡便に算定することができるよう、算定のための作成手順書を策定しこれらを法定福利費の算定を行おうとする専門工事業者の参考に供しています。      

  そこで内装業界がその要望に基づき見積書の考え方基準を作成し提出しました。

 壁紙ブランドメーカー8社の見本帳の商品数約7千点を述べ約700人の施工者が15の作業項目につきそれぞれ5段階評価をして作業性をチェックした。

      この内容の中に生産性分類表がだされ、それに基づき評価記号を設けています。

 例えば、無地系、厚手、発泡加工などボリューム感の商品を生産性分類「4」*40㎡/日とし、評価記号を「1」としています。また、ビニル壁紙で浅シボ、光沢材、メトリック調、防火高性能認定、表面強化等の生産性分類を「2.5」*25㎡/日以下とし、評価記号を「2.5」としています。

 壁紙の中には施工しやすい壁紙と慎重に取り扱わなければならないものがあります。しかし、一般的には壁紙の価格が同じであれば施工代も同じと思われがちです。
 扱いを丁寧にしなければ、又施工的に手間のかかるものは本来であれば1日で施工できる数量が変わり施工単価が変わるのは当たり前です。そのあたりのことを、上記生産性分類表を上手に活用していただき、単価の違いを説明できれば良いように思います。本来であれば、ブランドメーカーがこの生産性分類表をサンプル帳に表記してもらえれば選ぶ側もわかりやすいように思います。

5.まとめ

 壁紙(クロス)の施工に際し、その単価の中身を標準施工方法に基づき説明し、価格が追加変更になると想定される内容を別途説明しておけば後々トラブルにならないと思います。また、最終的に選ばれた商品が施工難易度を必要とされる商品であればその旨もきちんと説明し、それに見合った単価をいただくようにしてみたらいかがでしょうか。選ばれた商品について、下地が目立つ、ジョイントが目立つ等できないお話より施工方法をきちんと説明をして、ご納得して選ばれた商品が施工されることを望みます。もちろん機能、柄により施工不向きの場所などもあり、材料ロスもたくさん出てしまう物もあります。これらのこともきちんと説明が出来ればよいですよね。

これら資料を参考に、わかりづらいと言われている壁紙の施工単価を一度見直されてみてはいかがでしょうか。

 

参考図書

  • 「素晴らしい壁紙に素晴らしい技術」発行元:壁紙施工団体協議会 
  • 「防火壁紙の知識」 発行元:壁装施工団体協議会 
  • 「壁装ハンドブック」 発行元:一般社団法人 日本壁装協会 

 

 

 

 

株式会社ビルトゥ 壁紙スクール

www.n-smt.jp