楽山舎通信

わたじん8の日記です

街角ピアノ スペシャル 「ハラミちゃん ロンドンを行く」見た感想

www.nhk.jp

 

昨日54日の再放送を見た。

街角ピアノのスペシャルは、角野隼斗さんのニューヨーク編があまりにも凄すぎて、というのは言い訳にはならないが、326日に放送されたらしい本放送は見逃していた。しかも、このWEBサイトの情報も見ずに、「テレビつけたらハラミちゃん」だったぐらいの感じである。

 

ピアノ好きなので、もちろん「ハラミちゃん」の存在はしばらく前から知っている。

2022年の911日、NHKホールでヴェルディ・レクイエムを聞くために上京したのだが、その時ぶらぶらと立ち寄った東京国際フォーラムでは、ハラミちゃんの公演があったのだ。なんとホールA5000人)で2セット。国際フォーラムホールA2セットやれちゃう人気があるのかと、その時驚いたのだった。ユーチューバーというくくりでは語りきれない才能があるのか。実に楽しそうに、かつ軽やかにピアノで歌う、という印象が強い。

 

NHKBSの「街角ピアノ」は好きな番組で、普段も15分編成の番組をけっこう見ている。「素人がストリートピアノをひく」というだけでは、語り尽くせぬエピソードが織り込まれ、「オレもピアノひけるようになりたい」と思ってしまうのである。実に多様な職種の人が、ちゃんと演奏しているのを見ると、自分がけっこう情けなくなる。

 

それはさておき、この番組を見たことを、スルーせずに書き留めようと思ったのは、番組の最後に登場してきたジェイコブ・コリアーが衝撃的すぎたからである。

 

ジェイコブ・コリアー 29歳。

 

私がジェイコブ・コリアーに始めて衝撃を受けたのは、なんとNHKFMの「ビバ!合唱」での紹介だった。多重録音で、歌だけではなく楽器も自分で演奏する。

 

「うわ、世の中にはすげえやつがいる。これぞまさしく天才」

 

「まさしく天才」

それで間違いないでしょう。

 

この番組に登場した彼を見ていて、「なるほど天才」以外の言葉が浮かばないわけで、短時間(30分)のハラミちゃんとの「インタビュー」で、あそこまでパフォーマンスができてしまうのは、驚きでしかない。彼の反応、目と身体の動きを見ていて、その反応の速さ、考えるよりも先に音が出てくる? 一回聞いただけでハラミちゃん作曲の曲のフレーズを入れ込んで即興してしまう能力。

んん~ ほんとに天才。

 

そして、このめぐり合わせが、ハラミちゃんのこれからに、どう影響していくのだろうかと、そこも楽しみになってきた。

 

プロのピアニストになりたくて、といいつつ一度普通に就職し、メンタル的などん底状態経験して、そこから立ち上がってのこの位置。

 

街角ピアノ見ていても、「ピアノが私の人生を支えてきた」というタイプの無名のピアノ弾きは多く、必ずしも「天才の道」ではない「どん底からの再開」的なピアニストが紡ぎ出してくる音は、たぶんその人にしか生み出せないヒューマニティに満ちたものになる、という気がしている。

2024.04.28sun 鳥海山スキー登山

ゴールデンウィークの恒例行事、鳥海山スキー登山。今年も無事登頂し、スムーズに滑降できた。

さらっとメモ程度の感想を書いておこう。

27、28、29日と三連休で、天気予報は概ね良好で、なおかつ日本各地で「真夏日」が予想されて、なかでも28日は文句なしの登山日和。この日に、どの山に行くかと悩みつつ、つまりGWの私の中では定番となっている山、燧ヶ岳、鳥海山、白馬岳の中からどれにするかというところで少し悩んだが、燧ではなく鳥海山にした。ちなみに、昨年の4月28日は白馬岳に登っていた。鳥海山は5月5日。昨年は燧ヶ岳には登れなかった。昨シーズンも少雪で、WEBに出てくる情報から「燧はパス」だった。今シーズンも、ちょっと無理っぽい。

モチベーション的には、かなり落ち目で、これで行けるんかいな、と思いつつ速攻で準備を進め、自宅で軽く睡眠を取って出発したのは午前3時。2時に出るつもりが、準備の最終チェックとモチベーションの低さ(眠気)から1時間遅め。この1時間が、大事だった。

自宅から祓川の駐車場までは、257キロ。グーグルのナビでは4時間23分。東北中央自動車道が繋がってきていて、時間的には近くなってきた。昔は鳥海山登山口まで5時間みていた。3時間台の領域に来た。

WEBにアップした登山計画書の登山開始時刻は7時。山岳遭難捜索システムのココヘリに加入し、山岳保険に加入している関係で、登山届はマスト。WEBで出す。所属団体なし、というところが、個人的な課題ではある。

山に向かって、山用の愛車フォレスターでドライブしていくと、モチベーションは一気にアップし、眠気は消えていく。ここは大事なところだ。タイヤはもちろんスタッドレスのままだ。2008年製のこのクルマについているHDDナビは、さすがに古すぎて話にならないのだが、HDDに入れ込んでいるCDがいつの間にか大量になってきて、捨てがたくなっている。ナビゲーションは、iPhoneのグーグル・マップを使うので問題ない。

どうでもよろしい前置きが長くなるが、HDDは、予め入っているCDの音楽情報とリンクして、入れ込んだCDの情報を読み取り、タイトルと曲名を表示できるようになっているが、2012年以後のCDの情報はインストールされていないので、曲名が出ない。

ということもあり、このHDDには古いCDを入れ込んでいるが、パット・メセニー・グループの「ファースト・サークル」を入れていなかったことに、最近気がついた。iPhoneには入っていて、そこからBTとFMを経由して聞くことはできるが、その音と、HDD、あるいはCDプレイヤーの音は、全く別物である。どうせ聞くならHDD、それが正解なのだ。

最初にパット・メセニー・グループのFIRST CIRCLE をHDDにRECしつつ大音量で聴き込む。このアルバムは、タイトルトラックのFIRST CIRCLE だけを聞くことが多かったが、アルバム自体が実に良い、ということに最近気づいて聞いている。このアルバムの印象を落としているのは、1曲めのForward March の調子ハズレの感じだと思う。意図的にこのマーチが来ている、ということを理解してアルバム全体を聞かないと、「なんか変なアルバムだ」で、超有名曲の First Circle だけを聞くことになってしまう。

ちなみに、このアルバムを見直すきっかけをくれたのは、挾間美帆である。4月最初の放送で最初にかかったのがこの曲。私個人的に注目している若手音楽家の一人が挾間美帆。もう一人は角野隼斗。クラシックとジャズの間に垣根がない。

前置きが長すぎるが、山に向かう間の大事な話なのである。First Circleで50分を過ごし、次に入れ込むCDは、スティーブ・ライヒの「18人の音楽家のための音楽」。演奏は、コリン・カリー・グループとシナジー・ヴォーカルズ。これについて書き出すと、またまた長くなって本編にたどり着けなくなさそうなので、ライヒミニマル・ミュージックをドライブのBGMにしつつ、トランス状態に入っていける変な登山者、が私という人である、くらいの解説に落としておこう。

そんなわけで、音楽聞いてクルマ運転していると、わりとあっという間。途中休憩買い物なし。ちなみに、東北中央道の途切れる金山町のコンビニで買い出ししないと秋田に入ってからは沿道にコンビニなし。私は、高速入る前に地元で買い揃える。コロナ以後、24時間じゃないコンビニが増えてきていて、「登山口最寄りのコンビニ」で準備しようという思う気持ちはもたない。白馬がこのパターン。

トンネルトンネルで米沢に出たあたりで、空はすっかり白み始め、すごく美しい夜明け前の山形を走るようになり、音楽と相まってテンションはどんどんあがる。

めちゃ白い鳥海山らしき独立峰が遠くに見えだしたのは、新庄あたりだったろうか。雪がないと心配していたが、十分に真っ白じゃないかと、けっこう感動した。

雄勝から国道108号に入り、すっかり明るくなって「もう登ってる時間?」、「1時間遅れ」の出発が、こうして響いてるんだよなと思いつつ、駐車場の満車ぶりを想像する。

やはり、前日乗り込みで6時登山開始が正しいと思う。登山する日の3時に家を出ていては遅い。まさに「出遅れ」。私の人生のようだ。

フォレスタ鳥海の脇の道路から祓川に上がる。雪の量は少ないとは言え昨年と同じくらい。緑の芽吹きが早すぎるようにも思う。

6時20分駐車場到着、第2駐車場にかろうじてスペースがあり即駐車。快晴の青空に鳥海山が山頂までスッキリ見えている。テンション上がる。私のあと5台目くらいから路上駐車。猿倉の駐車場にもだいぶ入っていた。

ものすごい登山者の多さで、お祭り状態。準備を済ませて7時2分に登山開始。ウインドブレーカーは着ずに、インナーの上にR1ジップアップ。これで十分。帽子は夏用。

すでに100人ぐらいは登ってそうな感じで多くの登山者の姿が見えていたが、一つのトレースに数珠つなぎという感じではなく、自分の思ったルートでどこでも登れるので、バラけている。

雪面は程よく緩んでいて、急斜面でもシールが効きやすい。アイゼンに履き替えることなく、上まで行けそう。特に急ぐつもりもなく、マイペースでのんびりのつもりだったが、同じような歩行ペースの人たちよりも前に出てしまうのは、止まらないから。ペースは遅くても、急登の途中で足を止めるということがないと、結果的にずいぶん差がつく。七ツ釜避難小屋の前で、東寄りの尾根に移るところも、雪が切れずについていて、ほとんどの人はそちらを登る。小屋のそばあたりから急登に切り替わるところでザックおろして休憩。ここでスキーアイゼンを装着する。シールの効き目が若干悪く、スリップのロスを減らしたい。

最後、舎利坂が見えてからがいよいよ本番という感じ。左側に回り込みながら直登モードで多数の登山者の中を、まるで競争してるような感じになっていく。すでに山頂付近にも多くの人。滑降している人も多い。昨シーズンもコンディションは良かったが、今年のコンディションは、昨年よりも良い感じ。ほぼゲレンデ状態。

時計見ながら、「2時間45分」という、ひとつの基準が浮かんできた。時間は全く意識してなかったが、だいたい2時間45分というのが、今までの登頂時間の基準だった。

山頂まで雪は繋がっていてスキー履いたまま登頂。人が多いので、少し下で外したが。

三角点の礎石を、雪から掘り出している状態なので、思ったよりも雪は多いという私の印象。

まあとにかく、人が多い。30分くらい休んで滑降開始。まあまあいい感じで滑られる。今シーズンはほとんど滑っていないので、滑り続けるほどの筋力がなく、止まっては滑り、の繰り返し。それでも、あっという間に終わってしまう。

黄砂で汚れた雪は、下部でストップスノーとなり、いきなりブレーキになるのが面白くなかったが、それでもやはり鳥海山は快適でクセになる場所である。東北に住んでいる山スキーヤーとしては、やはりこの山がイチオシとなる。

クルマに戻り、山を見ながら余韻に浸りつつ、片付け済ませてフォレスタ鳥海へ。

途中で見るブナの新緑が、花で一杯になっているのが目に付き、6年に一度くらいのブナの実の豊作周期からすると、これはどうなんだろうと思いつつ。ブナの花がたくさん咲いているから、必ずしも豊作というわけでもないのだろうが、毎年たくさんの花をつけるわけでもなく、ナラに比べてもずいぶんと差があるわけだが。

昨年は凶作でクマの出没が過去最多ということだったが、裏返すと、豊作の年に大量に生まれたクマがいたということで、この豊作凶作のタイミング「マスティング」の間隔が、異常気象の影響で変動しているということもあるのかもしれない。と、ここでググると長くなるのでやめておくけど。

フォレスタ鳥海で温泉にひたり、待ち時間の長い「ももや」でお蕎麦食べて帰宅の途についた。

鳥海山

登山開始

人は多いが少なめの写真

高山登

新山ピーク

行者岳方面

下山完了

第2駐車場

振り返りながら遠ざかる

新緑が緑に見えないわけ

花がすごい

豊作?

入浴500円 安すぎ フォレスタ鳥海

 

2024年度はじまり

FMファン的に、この4月の番組改変は大きな出来事である。

FMファンといいつつも、NHKFMの話に限定されてしまうが、3月で終了した番組数の多さ、4月からの時間帯の引っ越し案件では、2年前を遥かに凌ぐ量ではないかと思う。

まずは、「古楽の楽しみ」。開始時刻が、6時に戻った。昨日朝のX(旧ツイッタ)では、この変更を喜ぶ「民民」のポストが祝祭感覚であった。

2年前に、それまでの「6時」から「5時」になり、6時からが中学生の基礎英語の時間になったことを書いた私のブログは、長い間アクセス数がダントツ一番のブログになっていた(私のブログの中で)。「2年の実験」が終わり、この間の不評を認める形で6時に戻った、と言って良いのかと思う。私も、NHKに時間帯変更の要望を送っていた。

語学番組がNHKFMの中に混じってきたのは、2年後に予定されているAM放送のラジオ第2の廃止案件に絡んでいる。6時台だけではなくて、7時台にも英会話の番組が入り込み、ふだん私は、7時台通勤の車の中でFMを聞いているのだが、この2年はAMのラジオ第1を聞くようになった。

この7時30分からの英会話番組は、2024年度からは23時からの時間帯に引っ越し、朝7時台に「クラシックカフェ」の後番組となる「クラシックの庭」が戻ってきた。今週は「クラシックカフェ」の再放送の最終週なので、ある意味貴重な一週間である。

23時30分から1時間半の枠に語学番組が新たに入ることで、この時間帯の番組も大きく変わった。4つの番組が終了。23時台に放送されていた番組の中では、アルフィーの「終わらない夢」だけが、時間帯を引っ越して生き残った。

23時台の番組が大きく変わったことで、この時間帯の番組の再放送枠だった18時台も大きく変わった。ここに来たのは、「夜のプレイリスト」の後番組「マイ・フェイバリット・アルバム」。元々この午後6時は、「夜のプレイリスト」の再放送枠だったので、戻ったことになる。

ミュージックライン」も語学番組の影響を受ける形で、30分短縮の45分番組になった。が、再放送枠ができたことで、新たなリスナーは増えるのかも。60台の私も、この番組はたまに聞いていた(NHKFM流しっぱなし)。

3月で終了した番組の中で、最も大きなニュースは「ワールドロックナウ」の終了だろう。

音楽評論家の渋谷陽一氏(72)がDJを務めるNHK-FM「ワールドロックナウ」(毎週土曜後9・00)が30日に放送され、病気療養中の渋谷氏不在のまま、1997年4月5日の放送開始から27年の歴史に幕を閉じた。」(スポニチ

土曜の夜は、片山杜秀さんの「クラシックの迷宮」から渋谷陽一さんの「ワールドロックナウ」というのが、私にとって自然の流れだった。「クラシックの迷宮」は、普通のクラシック番組とは大きく違い、違和感なくロック番組につながる感じだった。

ワールドロックナウ聞いてるだけで、ロック系ジャンルの最新情報もそれなりに仕入れていた。「ノンジャンル」でなんでも聞く私にとっても、貴重な番組だった。渋谷さんの紹介の仕方は、DJとして、やはりプロ中のプロである。振り返れば、中学生の頃からラジオで渋谷さんの声を聞いてきた。

新しい番組の方で注目するのは、江﨑文武のBorderless Music Dig!

「“新しい”音楽は、常にジャンルの狭間で生まれている!」がコンセプトで、昨年の夏に単発で放送されていた番組が月一回ではあるがタイムテーブルに入ってきた。この番組は要注目だ。ちなみに、このタイミングで江崎文武さんはNHKFMの「NHKクラシック」というジングルを作成し、私は最初に聞いた時に、これは坂本龍一さんかと思っていたが、江崎さん作成のものだった。3月31日には、ブルーノート東京で「初」となるソロ公演を開催し、私はこれを配信で見ていたが、弦楽を入れたピアノ三重奏が紡ぎ出す音楽は、ジャズとクラシックの融合的な感覚だった。ゲストでサックス奏者の上野耕平が一曲演奏したが、かれもクラシック畑の演奏者ではある。若手の音楽家たちは、クラシックやジャズというジャンルにこだわることなく、素直に自分が作り出したい音楽の世界を表現できるようになっている。

ちなみに、江崎さんの番組枠は、挾間美帆さんの番組枠の最終週。彼女も要注目の若手ジャズ作曲家でありジャズオーケストラを率いる指揮者である。この才能も、今までなかった。

レギュラー枠ではないプロトタイプの放送として、「石若駿 即興と対話」という番組が3月31日に放送された。私は聞き逃しで聞いたが、この番組は「505スタジオ」で収録されたようで、「セッション505」の話題が出ていたし、もしかすると、2022年で終了してしまったNHKFMの老舗番組「セッション」の後番組のようなニュアンスもあるのかも、と期待してしまった。実際、その場限りの日野皓正との即興が放送された。不定期番組は、年に何度か突然来るので、チェックを忘れないようにしよう。

というわけで、2024年のNHKFMは、語学番組の時間帯変更案件ひとつとっても、2年前よりはるかに期待できる編成になったのである。