2017 上海ダイヤモンドリーグ観戦記 5月13日
先日、ダイヤモンドリーグ第二戦、上海大会を観戦してきたので、少しその雑感を書いていきたいと思います
注目の男子100mについて
注目の男子100mは、地元中国の苏炳添選手が10’09で優勝しました。
アメリカの4×100リレーメンバーのロジャース選手、今年41歳になった大御所キム・コリンズ選手を抑えての優勝でした。
すでに様々に報道されていますが、周知の通り、2度のフライングがあり、桐生祥秀選手は人生初のフライング失格となってしまいました。
スタート前に会場が静まらなかったことも報道されています。
当時、競技開始前の会場実況では、初めに苏炳添選手が紹介され、会場が沸き立ちます。次に、日本のリオオリンピック4×100mリレー銀メダルメンバー2人が参戦!という紹介が入り、これにも会場は大盛り上がりでした。
その後レーンごとに一人一人選手が紹介され、各選手がスタート準備につく
この時
"Silence please"
というアナウンスが入りましたが、このあと中国語で ”静かに” というアナウンスが入らなかったのです。
競技場はなんとなく静かになったのですが、それでもまだざわざわ、ざわざわしていました。だって外国人の観客なんてほんの少ししかいないですから、英語だけで言われても仕方ないのです。
そしてこれ
空気の入ったオレンジのビニール棒。
これは盛り上げる時に叩いて音を出すものですが、よりによって100mのスタート直前にもかかわらずまだボンボン叩いている人がいます。
特に子ども。
となりの母親は注意しないのかと思ってパッと見てみると、なんと母親は爆睡していました。
そんなざわざわした中でのスタートで、ぼくは内心、
「これはダメだろう、ちゃんとアナウンスしないとダメだろう、みんな位置についちゃったよ、まだ静まらないよ、本当にこれでスタートしちゃうの?」
と、落ち着かず、冷や汗をかいたのを覚えています。
結果、1回目のスタートでアメリカのヤング選手がフライング、2回目のスタートでは桐生選手がフライングとなってしまいました。
会場が静まらなかったのが直接フライングに影響したのかどうかは判断できませんが、最低限中国語で一言アナウンスを入れればもっといい環境でスタートできたと思います。
事実、その後の短距離種目はずっと
"Silence please"
だけのアナウンスで、スタート前は相変わらずざわついていたのですが、最終種目の男子110mH のスタート前だけ、
"Silence please"
の後に、
“请安静一下”
というアナウンスが入った瞬間、会場が静まりかえったのです。
おい!
競技の進行が速かった
国際陸上競技大会の運営という観点で見ると、スムーズで先端的な運営がなされていて、個人的にはかなりの感銘を受けました。
国内の大会や、オリンピック、世界陸上などに比べ、ダイヤモンドリーグは少し速すぎるのではないかと感じるくらい競技の進行がスムーズでした。
競技と競技の間はほとんど時間が空きません。
会場の実況放送に促されて、トラックからフィールドへ、フィールドからまたトラックへ、トラックから今度は約30分前に競技が終了した種目の表彰へと、息をつく間もなく目を移し、あっという間に3時間弱のプログラムが終了しました。
トラックに限っていえば、女子400mのレース中に、男子800mの選手はもうスタート付近に集まって身体を動かしていました。
女子400mが終了してから、男子800mのスタートまでおよそ3分でしょうか。
非常にリズミカルに競技が進行されていました。
(サブトラックは木々に覆われて外からは見えないようになっています)
サブトラックのウォームアップ場も見に行ったのですが、選手たちがウォームアップ場で招集してから、競技場に移動してスタートラインに立つまでも速かったように思います。
ついさっきまで静かなサブトラックにいたのに、数分後には何万人もの観衆のただ中へ飛び出します。そして、競技が終わるとあっさりとはけるのです。
こういうごく普通の流れの中で世界歴代何位というパフォーマンスを見せるのかと考えると、なんだか不思議な感じがしました。
運営がスムーズ
トラックとフィールドにおいて同時に競技が進行するのはいうまでもないことですが、選手の誘導から、表彰、通訳、会場の実況と、全てが並行して行われます。
しかし、途中で競技の流れが途切れることは一度もありませんでした。
しかも同時に世界テレビ中継をしているのだから、これは運営が優秀だとしか言いようがありません。
上海ダイヤモンドリーグがスタートしてから7年目、上海ゴールデンリーグ時代から含めると12年目になります。
さすが運営の慣れを感じました。
チケットが便利
国内の大きな陸上競技大会のチケットが現在、どういう仕組みになっているのか、実はよく知らないのですが、上海ダイヤモンドリーグのチケットはこんなカード型になっていました。
上の穴から幅のある紐が出ていて、首からぶら下げられるようになっています。
このチケットの中にはICチップが内蔵されていて、入場するときに専用の機械で読み取ります。
そしてなんと、大会当日はこのチケットで上海市内の地下鉄が乗り放題!
2020年東京五輪のときなど、こういうやり方ができると、海外からの観客にとっても非常に便利ですね。
上海ダイヤモンドリーグに行ってきました
今度こそ出るぞ!9秒台
今シーズンに入ってから、レースを走るたびにメディアを騒がせている、リオ五輪リレー銀メダルメンバー、山縣亮太、ケンブリッジ飛鳥、桐生祥秀の3選手。
世間の注目はもちろん、誰が、いつ10秒の壁を破るのか。
2017年の今シーズンが始まって以来、各選手10秒0台のタイムを次々と出していますが、風などの条件が悪かったりで、なかなか9秒台に届きません。
しかし、今年が9秒台への突入に歴史上もっとも時が熟していると見るのは、間違いではないでしょう。
タレントも出揃い、みな充実した冬季練習を積み、身体も作られました。昨年8月のリオ五輪の銀メダルから続く世間の注目も、十分すぎるほどに加熱しています。
さて、5月13日のダイヤモンドリーグ第2戦上海大会には、日本からケンブリッジ飛鳥、桐生祥秀、サニブラウン・アブドゥル・ハキームの3選手が参戦する上に、ほかの参加選手のベストタイムが全員9秒台ということで、
「今度こそ出るんじゃないか」
と、非常に注目を集めました。
当日の男子100mのスタートリストです(直前に出場選手の変更があり、自己ベスト10秒台のローソン選手が入っています)
www.diamondleague-shanghai.com
「ちょうどオリンピックや世界陸上の準決勝のレベル。ここでしっかり勝たないと、本番でも決勝に進めない」
レース前にケンブリッジ飛鳥選手が話しています。
・・・本当に今度こそ出るんじゃないか
ダイヤモンドリーグ初観戦!
以前、
「海外旅行のついでに陸上の大会を見にいくのも一興なのでは」
などと無責任に書き散らしました。
現在、ぼくは偶然にも中国にいるもので、上海で行われる今回のこのチャンス、絶対に逃してはいけない!と、初めてのダイヤモンドリーグ観戦に行ってきました。
実際に観戦してみて、いろいろと思うところがあったので、少し記事にさせていただきます。
5月13日上海到着、おっちゃんから観戦チケットを買う
そもそもダイヤモンドリーグ、年間12戦のうち、8戦がヨーロッパで行われ、残りはオレゴン、モロッコ、ドーハと、日本人にとって非常に行きづらい。
上海大会が日本から一番距離が近い大会なのですが、不覚にも、中国にいながら中国でダイヤモンドリーグが開催されると気がついたのは試合の前々日のことでした。
それに加えて中国は広いので、自分のいるところから上海まで行くのは少し面倒臭い。一番安い普通列車に座って20時間ちょっとかかります。
正直、行こうかどうかかなり迷ったのですが、前述したダイヤモンドリーグという世界レベルの大会の稀少さと、今回出場する選手の顔ぶれを見て(世界記録保持者や五輪メダリストが何人もいる)、上海行きの汽車の切符を購入しました。
当日午前中に会場の上海体育場に到着しました。ネット上のチケットはすでに売り切れていたので、会場の周辺をウロウロしているダフ屋のおっさんからチケットを買いました。
チケットは50元〜680元(およそ800円〜11000円くらい)
ぼくは380元のチケットをおっちゃんから300元で買いました。
あとで気がつくのですが、失敗しました。
もっと安く観戦できる
1、ぼくが会場に着いたのが午前中(開場は18時)だったため、ダフ屋のおっちゃんがほとんどいなかった。
そのときぼくにチケットを売ったおっちゃんは、一番安いのはこれしかない、もうほとんど売り切れなんだ、と言った上に、本当にほかにチケットを売る人がいなかったので、ぼくは焦って300元で買ってしまいました。
しかし夕方、開場直前になってからまた上海体育場へ行ってみると、無数のおっちゃんたちが片手にチケットをごっそり握ってあちらこちらでお客さんに声をかけていました。
ああ、やられたな。
と気がつきました。
聞いて回ってみると、50元のも70元のも普通に売っていました。
2、あまり席が関係なかった。
それでも開き直って、380元のいい席を買ったんだから近い距離で、じっくり観戦してやろう、と思うことにしました。
しかし、実際に競技が始まって見てみると、観戦席の入り口で柵に腕をついて立ったまま観戦している人が少なくありません。
ぼくもあちこちの入り口に移動して、好きな場所から立って観戦してみました。
はじめのうちは、その場所の担当の係員によっては自分の席につけと追っ払われることもあったのですが、そのうち係員もいちいち客のチケットを見なくなりました。
競技の後半は、みんなあっちこっちに移動して、好きな席に座って観戦するようになりました。
思っていたよりも自由度が高かったです。係員もしっかり競技に見入っていました。
これだったらもっと安いチケットを買って、競技に応じて移動して見ればよかった・・・。
実際の競技などについての記事は、後日すぐにアップします。
史上最強の女子長距離チーム 中国「馬軍団」
馬軍団とは
1993年の「第7回中国全国運動会」、女子の長距離競技では王軍霞の10000mのほかに、1500mでは曲雲霞と王軍霞の2人が世界新記録、3000mでは5人が世界新記録を出しています。
一体何がどうなっているのやら訳がわからない、という話になります。
じつは彼女たちは、馬俊仁という監督のもとでトレーニングを積む選手たちでした。
このチームは、通称「馬軍団」と呼ばれ、90年代の女子長距離で世界を席巻しました。
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