エレキギターはノリで買え
これからエレキギターを始める人でこれを読む人がいたら嬉しいなと思いながら書きます。
ギターを初めて買う時、「どれを買ったらいいのか」という疑問はまずあると思います。
どれを買ったら「正解」か、「バカにされない」か、「役に立つ」か、「音がいい」か、
知るために入門書やネットの記事を開けば、色んな情報が出てきます。
中にはちんぷんかんぷんな話、例えば
シングルコイルピックアップは音が鋭くて煌びやかさがあるとか、
ハムバッキングピックアップはノイズが抑えられて〜とか、
このギターの歴史は〜とか、
調べれば調べるほどややこしくなってきて、
後悔しないよう慎重に選ぶ人も多いと思います。
そんな楽しい時間をこれから過ごせる人が、もし悩んでるとしたら、声を大にして言いたい、
「ビビッときたやつがいいギターだ!」
ああ、生まれて初めてギターを買うなんてなんて楽しいイベントなんでしょうか、
僕はもう二度と体験できないドキドキをこれから味わえるなんて羨ましい限りです。
悲しいかな、そんなワクワクを知識で惑わせてくる人がたくさんいます。
実際、弾きごこちはあるとしても、アンプから出てくる音の違いなんて、少なくともしばらくは音を出していかないと分からない違いだと思います。
こういうジャンルが好きならこのギター、こういう音が出したいならこのギターという情報は初めての人にとっては「何か正解があるんじゃないか」と思わせるに原因なってしまっている気がします。
神経質になる必要はありません。
「ビビッときたギターを買う」
これだけでいいと思います。
1本目を弾けるようになったら、色々違いが分かってくると思います。
あのバンドの音はこのギターじゃ出せないな、とか、このギターのここ要らないなとか、もし出てきたら、次、買うときの参考にすれば良いです。
「じゃあいくらくらいのを買ったらいいのか」これもよく思うことだと思います。
結論から言うと、どれでもいいです。
ビビッときたやつが20万ならお財布と相談して考えて、ビビッときたやつが1万なら「もっと高いやつの方が良いのかな」なんて思う必要はないです。
「君のギターは1万円だから〇〇が〇〇かもね」とか言う言葉は聞かなくて良いです。
もし1万円のギターが1ヶ月使ったらぶっ壊れる、とかだったら僕も止めるかもしれませんが、そうそうぶっ壊れませんし、高くてもぶっ壊れるときはぶっ壊れます。
というかぶっ壊しましょう。ぶっ壊すくらいでいた方がたぶん良いです。
新譜完成まで、小山目線
ここ1年くらいのことを僕目線で。
THIS IS JAPANの新譜、WEEKENDERが11月27日に発売される。
アルバムの準備を始めたのは去年末くらい。
いろいろと経緯があって、僕らは1〜3月にかけてフルコーラスのデモをひと月10曲ずつ、計30曲作ることになった。
オルタナだオルタナだと騒いで、爆音ギターまっしぐらに前作FROM ALTERNATIVEを作ってからのこと。
正直な話、何がお客さんにとって良いか、ディスジャパにとって良いか、そもそも僕らは何がしたくて、何ができて、何が売りで、今後どうなりたいのか、
煮詰まってたというよりも、たぶんメンバー4人の気持ちがちょっとずつバラバラで、話し合うことは多かったけど答えは出ない、モヤモヤした状態が続いていた。
僕は元々、杉森さんにバンドを誘われてから、初めの頃はやりたいように曲作りしていたけど、いつしかこれはディスジャパじゃできないな、なんて考えて、最近はTHIS IS JAPANというバンドに楽曲提供する気持ちでやろうと、曲を作っていた。
それは一方では正しいところもあったけれど、たぶん、THIS IS JAPANがどんなバンドか理解した気になり、僕がどんなギタリスト なのかも理解した気になり、うるさくて、ドラムがエイトビートで、杉森さんがシャウトしてて…と決めつけているうちに、聴いている音楽の中に見つける面白いアイディアも、これはやっちゃダメだろうなんて考えるようになって、首が締まっていた。
つまるところバンドの、自分の限界を自分で決めていたところがあった。
たぶんそれは僕の曲、杉森さんの曲どちらにも言えることだったけど、僕は極端だから、じゃあこうしようと自分で決めると止まらなくなる。
30曲デモを作ることになって、僕は半ばヤケクソにTHIS IS JAPANというフォーマットは取り払って、やりたい放題作ることにした。
川村さんはその時の僕は怖かったと言うけど…
でも、THIS IS JAPANで演奏したらどんな破茶滅茶な曲だってバンドのものにできるだろうという不思議な楽観もあった。
水元がベースを入れれば水元っぽくなるし、川村さんがドラムを叩けば、杉森さんが歌えば、なんとかなるという自信があった。
今年の正月、群馬の実家に帰って、リビングから離れた和室に父親が持っていた安いエレキギターを持ち込み、こたつの上にパソコンと小さなリズムボックス/サンプラーを並べ、血眼になって曲を作った。
家族からしたら実家に帰って来たのに何やってんだと思われていた気がする。
年越しそばを食べて、紅白歌合戦をちょっと見て、また部屋に戻るみたいな事をしてたから。
僕が勝手に決めつけてたこと。
バッキングギター、リードギター、ベース、ドラムの編成。
一回無視して、シンセサイザーのフレーズとか、クラップとかシェイカーとか、今まで見てなかったものを主眼に置いてみたりして、頭の中に一瞬現れては消える良いアイディアの端っこを掴んでは、これじゃダメだと放り投げたりまた拾ったり、ズタボロになりながら組み上げられた曲たちに杉森さんが作った新曲を加え、僕は1〜30までの番号をふっていった。
川村さんが怖いと思ってたのも分かる。
THIS IS JAPANをぶっ壊せくらいのつもりでやってた。
新譜を聴いて、変わったなと思う人もいれば、相変わらずだなと思う人もいるかもしれない。
実は無茶苦茶やった曲たちはそんなに新譜に収録されてない。
今後出てくることもあるかもしれないし、ないかもしれない。
ただ表面に現れてこなくても、THIS IS JAPANの裏側で、少なくとも僕は、ガラッと変わったことが絶対にあった。
もう次の準備をしないとな。
NUMBER GIRLと僕の17才
NUMBER GIRLはたぶん、僕の高校時代の全部と言ってよかった。
それはオルタナティブロックとの出会いで、人間4人が鳴らすロックサウンドとの出会いで、当時17才だった僕にとって実存主義的な思考との出会いだった。
言葉で書いてしまうのも虚しいほど、高校生の僕がNUMBER GIRLの音楽を聴いたことは得体の知れない黒い球体が迫ってくるような、本当に特別な経験だった。
誰がどう見ても、僕の高校時代は恵まれた環境だったと思う。
進学校に通い、家庭的にも経済的にも支障はなく、安全な空間で僕は勉強して、運動して、満ち足りた青春時代を送り、幸せな将来が約束されていた。
日本には戦争もなければ争いもなく、身の回りに喧嘩もない。
ゆっくりと安定して進んでいくエスカレーターに乗りながら、たったひとつ、何かだけが空虚で、僕は無性な衝動を何かにぶつけたいと思いつつも、その衝動をぶつける先もなく、取り憑かれたようにレンタルCDショップに通っては音楽を聴いていた。
今思えば、僕はロックがしたかった。
セックス・ピストルズみたいに、何かを取り返すために歌いたかった。
ロックはメッセージを伝えるための音楽だ。
幸せで、食べるものに困らず、寝る場所に困らず、何の問題もない。
こんな平和の中で僕が敵対するものはない。
そんな中にいる自分って何だろう。
自分は何を考えて生きてるんだろう。
野良猫は何を考えて生きてるんだろう。
自分は社会にとって何だろう。
社会にとって自分は何だろう。
そんな自問自答。
そんな自問自答も、どうせいつか忘れて安心して幸せになるんだろうなという不安。
誰が聞いても笑うような、こんな幸せな悩みは今思えばないんだろうけど、
自分がなくなっていく気がしたのは確かだった。
でもNUMBER GIRLの曲を聴いているとそんな自分も肯定されている気がした。
たぶん、これはNUMBER GIRLが好きな人にしか分からないと思う。
自分がないがしろにされていること、自分は何かの外側にいるんだろうなと思ったこと、それを吐き出すこと、今思えばNUMBER GIRLは初めてのオルタナティブロックだった。
群馬の片田舎で日常を送る僕が友人から借りたNAM-HEAVY METARICをラジカセに突っ込んで再生ボタンを押した時、時既に遅くNUMBER GIRLは解散していた。
CDの中の存在として、その鋭く尖った音は僕をグサッと差し込んだというより、時間をかけて緩やかに僕を侵食し、気づけば、
大学受験が終わり、
大学生活が終わり、
就職活動が終わり、
僕はその頃、想像していた社会の中にいた。
NUMBER GIRL再結成の知らせは、たぶん一部の人にとっては、喜ぶとか喜ばないとかのものじゃない。
僕はNUMBER GIRLを見たことがない。
「ナンバガの野音当選したよ」と言われても心のどこかで見たくないとすら思っていた。
もしかすると、自分の中だけのものにしておきたかったのかもしれない。
僕にとってのNUMBER GIRLはみんなで肩を組んで大合唱するような音楽じゃない。
当日になっても、僕はライブから目をそらすように映画を観ていた。
お金を払って、それに見合って提供されるエンターテイメントが終わって、
これから見るライブだって、同じはずなのに、何か触っちゃいけないものに一歩ずつ向かっている気がした。
会場に到着しても、ライブが始まるまでの間も、これだけ大勢の人たちが心待ちにしているのが不思議で仕方がなかった。
楽しそうにしている人もいれば上の空でステージを見つめる人もいた。
ステージセットの前に4人が並び、曲が始まって、僕は終始、呆気にとられ、この曲のこの歌詞の時、ここを歩いてたなとか、この曲を聴きながらあの事を考えていたなとか、思い出してちょっと泣いていた。
暗闇の中でアンコールがかかっている時、ここにいる人たちも一個人だったんだろうなとようやく分かった。
NUMBER GIRLはこの後、全国ツアーをするらしい。
こんな特別な時間を過ごす人が、1人も漏れずに行けたらいいなと思う。
エフェクターの話
「エフェクターのことがよくわからないので、こやびんさんのエフェクターへのこだわりや好きな、オススメのエフェクターなど書いてほしいです!!(youtubeでジロッケンのディスジャパの回を観たらすごく楽しそうに話されていたので……)」(質問箱より)
とリクエストもらったので書きます!!
いいんですか書いて!
エフェクターの話!
よっしゃ!!
エフェクターというのはギターの音に「エフェクト」=効果を与えるもので
・音を歪(ひず)ませる
(ギュイーーーンって感じにする)
=オーバードライブ、ディストーション、ファズ
・音を揺らす
(爽やかにしたり、ヘンテコにしたりする)
・音を重ねる
(1音しか弾いてないのに2音弾いてる感じにする)
=ピッチシフター、オクターバー
・音にエコーをつける
(「ヤッホーー」っと弾いたら「ヤッホー」って返ってくるようにする)
=ディレイ
・音にリバーブをかける
(トンネルの中で弾いてるみたいな感じにする)
=リバーブ
などがあります。
で、
このエフェクターっていうものは、ギタリストからすると、もはや女子にとっての化粧品みたいなもので、パッケージが可愛いってはしゃいだり、片っ端から集めたくなったり、これがいいよって人に勧めたり、とそれ自体がもうカルチャー化している訳です。
僕も散々ハマって買って、使ってみては首を傾げ、売っては買い、本を読んでは試奏して、沼に頭まで浸かりました。
ただ、
もう迷うことはない!
っていうのは何が自分に必要かもう分かったからだと思います。
あくまで、これまでやってきて
「僕が!」思った事、
「僕が!」やってる事
なのでどれが正解とか本当にないです。
エフェクターについては、
①出来る限り無い方がいい
②つまみが少ない方がいい
③踏みやすい、壊れない方がいい
④わざとらしくない方がいい
と思ってます。
以下、どういうことか書きます。
①出来る限り無い方がいい
エフェクターにハマると、エフェクター自体が目的になってきて、何がやりたいのか分からなくなってきます。
エフェクター選びは激烈に楽しいんですが、
たぶん「誰が聴いても最高の音」なんて存在しません。
僕にとっての最高の音は誰かにとってのクソみたいな音かもしれないし、僕にとってのクソみたいな音が誰かにとっての最高の音かもしれない。
一本で聴いたらクソみたいな音でも、バンドで合わせたら最高のハーモニーかもしれない。
自分の弾きたいギターを、すっぴんの顔を最高に彩ってくれるエフェクターだけあればいいと思います。
②つまみが少ない方がいい
3〜4個までじゃないと僕の頭じゃ扱いきれません。
③踏みやすい、壊れない
「ジャンプして踏んだら音が良くなる」と僕は本気で思ってるので、ジャンプして踏んでも壊れないやつじゃないとダメです。
④わざとらしくない
ある程度エフェクターにハマると、エフェクターと会話できるようになります。
ジャラーーンと弾いた時に、
「おやっさん!これいいおとでっしゃろ!」
としつこいエフェクターは嫌いです。
ジャラーーンと弾いた時に
「俺はこういう音だけど、どう?」
みたいなやつと友達になりたいです。
ということで、
僕の今のエフェクターは
MXR micro amp
BOSS SD-1
BOSS DS-2
BOSS LS-2
BOSS DM-2
で、もう2年くらい変わってません。
一個ずつ紹介させてください!笑
MXR micro amp (ブースター)
これは、ブースターといって(さっき書き忘れましたが)音量を上げるエフェクターなんですが、これはただ音量が上がるだけじゃなくて、踏んだ時に音が変わります。
これがないとやかましいディスジャパの人達に勝てません。
常にオンです。
BOSS SD-1 (オーバードライブ)
「倍音」っていう言葉があります。
倍音とは、僕も口でどう説明するものなのか良く分かってないのでノリで説明しますが、
「ジャーーーーン」っひいた時に一緒に出る「ヒーーーーーン」っていう音
これがない方がいいと思う人もいれば好きな人もいるんですが、僕は倍音中毒なので弾いたら全部「ヒーーーーン」ってして欲しい。
ほぼ常にオンです。
BOSS DS-2 (ディストーション)
歪みの種類が切り替えられて、モード1とモード2がありますが僕は絶対モード2。
これを踏むと
ギャリーーーーーン
ジャギーーーーーーン
ビーーーーーーー
ピーーーーーーーー
オッケー。
みたいな。
BOSS LS-2 (ラインセレクター)
これも書き忘れましたがラインセレクターっていう、信号が通る道を切り替える(トロッコの切り替え板みたいな)エフェクターなんですが、僕はこれで道を2つに分けてる訳ではなく、ただブースターとして、音量を上げるためだけに使っています。
さっきの話で、ブースターは目立つように音が変わることもあると書きましたが逆に変わって欲しくない時もあって。
そのままでかい音でバチコーーーンと行きたい時、
これは音自体を全く変えずにただ音量だけあげてくれます。
これの一個前の段階で僕は
ギャリーーーーーン
ジャギーーーーーーン
ビーーーーーーー
ピーーーーーーーー
にしちゃってるので
もうこれ以上、味付けしたら訳分からなくなるためです。
圧倒的に目立ちたい時だけ踏みます。
BOSS DM-2 (ディレイ)
これは本当に愛してる奴です。
この中でどれか1人とだけ付き合ってくださいと言われたら迷うことなくこいつを選びます。
初めてこれを踏んだ時、体中をエレクトリックサンダーが走りました。
ディレイは音を遅らせてやまびこのようにするエフェクターなんですが、これのやまびこ音はロマンチックで、かっこよくて、エロくて、クールで、
もうなんと言っていいか分かりません。
とにかくこれ以外のディレイとはお付き合いする気はありません。
他のディレイはお引き取り下さい!
以上です!
お疲れ様でした!
良いエフェクターライフを。
ストラトキャスターの話
リクエストいただいたので使ってるギターについてマニアックな話。
たぶん興味ない人は…
…
僕が今使ってるのはFender Mexicoのroad wornというシリーズのストラトキャスター 50’s仕様再現モデルです。
ロードウォーンっていうのは確か「くたびれた」みたいな意味で、使い込まれた50年代製のストラトキャスターを新品で再現しようぜ、的なやつです。
そもそも、ストラトキャスター(以下ストラト、この形のギターのこと)って、
みんな大体同じだと思われてるけど実は細かい違いがたくさんあります。
僕もずっとストラトっていったって全部一緒だろと思っていましたし、学生の時はストラトがとにかく嫌いでした。
僕はあまのじゃくなので、みんなこぞってストラトを使ってるのが嫌で、強がって杉森さんに「あれはギターじゃねえです」とか言っていた気がします。
その状態からなんで今ルンルンでストラトを使ってるかというと、理由は簡単で、
「その後に好きになったギタリストがみんな使っていたから」
です。
リッケンバッカーもそうです。
ヴァン・ヘイレンとかジェフ・ベックとかエリック・クラプトン、ディック・デイル、ジミ・ヘンドリクス、スティービー・レイヴォーン、ロリー・ギャラガー、ストラトを使うギタリストは挙げればキリがないですが、
特に僕はエリック・ジョンソンとU2のエッジ、MC5のウェイン・クレーマーにどハマりして、
「なんで好きなギタリストはみんなストラトなんだろう」と思うようになりました。
なんですごいギタリストはみんなストラトなのか!
僕が使ってみて思った結論は!
「いろんな音が出るから」
これに尽きます。
なんでいろんな音が出るのか、
その話をする前に、ストラトって、みんな使ってるからスタンダードなエレキギターなんだろうと僕は思っていましたが、よくよく考えるとストラトって超変態的な構造です。
絵なしで口で説明するのがすごく難しいんですが…
エレキギター、というかギターってめちゃくちゃ端折ると、
木に弦を6本張ってる楽器ですよね。
で、張る時に
「木に弦をどうやって張るか」
ていう問題があります。
1番シンプルに考えると、「穴が6個空いた鉄のプレート」を木にねじ止めして、その穴に弦を通すのが簡単です。
で、反対側は引っ掛けてくるくる巻けるようにしてピンと張る、と。
普通にこの仕組みでいいじゃん、と思うところ、ストラトはどうかというと
シンクロナイズドトレモロユニット
!!
シンクロナイズド?
トレモロ?
ユニット?
シンクロ!
かっけえ…
これをすごくざっくり説明すると
木の裏側にフックを取り付けて
↓
そこにスプリングを3〜6本引っ掛けて
↓
その先に金属のブロックを付けて
↓
ボディに穴を開け、そのブロックを木の前面まで貫通させて
↓
そこに弦を通して張る
↓
しかもそのブロックは中に浮くように設定することもできて、浮かせると、弦の張力だけでバランスを取っていることになる。
意味わからん!!
そんな事する必要ある?
と思ってたんですけど、ストラト買ってから自分でイジイジイジイジして思ったこと。
いろんなギタリストがストラトを使ってるのはこのシンクロナイズドトレモロユニットのせいです。
しかも、この機構の効果はいろんな音がでるからだけじゃない、
なんと弾き心地が変わる!
つまり自分の奏法に合わせた調整ができる、とんでもカメレオンギター。
僕がみんな持ってると思っていたストラトキャスターは同じように見えて、設定はバラバラ、全然別物だった訳です。
だからギタリスト達は自分好みにガンガンカスタムして自分だけのストラトキャスターを生み出していた。
スプリングの長さ、硬さ、材質、引っ掛ける本数、金属のプレートの長さ、重さ、材質、スプリングの引っ張り具合、金属のブロックを木にくっつけるか、浮かせるか、
オカルトな話、
僕の好きな楽器屋さんの方は
「ストラトは沼、ネジを半周閉めるかどうかで音が変わる」
と言ってました。
ネジの数で音が変わるとか…
裏ブタを開けたら音抜けが良くなるとか…
PS.
よりマニアックな方へ
僕は純正のスプリング3本
ユニットはかなりフローティング
ブロックをスチール製に交換
リアピックアップはセイモアダンカンのクオーターパウンド、ボールピースが高さがバラバラなやつ
弦はタダダリオ10-46
弦高は超高く
Vネック
ジャンボフレット
裏ブタなし
です。
何かあったら質問箱にどうぞ…
ニューヨークに行ってきた(続き)
だいぶ間を空けてしまいましたが旅行記の続きです。
ライブ当日。
僕は少し早めにホテルを出発して会場の近くにあるギター工房に立ち寄りました。
というのも、そこは今年の春に下北沢のお花見で知り合ったアメリカ人のニックが経営するRivingston Guitarsというお店。
ニックは突然の来訪をとても喜んでくれ、壁にズラッと掛けられた1950年代〜60年代の骨董品級なヴィンテージギターを次から次へと何本も弾かせてくれました。
雑談していると時間はあっという間に過ぎてしまって急いで会場へ。
ここが会場のアーヴィングプラザ。
僕は会場前にウェインと話すことができるその名も「スーパーファンチケット」を買っていたので、会場よりも前に集合時間が設けられていました。
旅行の何ヶ月も前に英語で予約と支払いをしていたのでちゃんと入れるのか不安でしたが、無事に受付を済ませ、中へ入ると、なんと早速MC5の曲、Kick Out the Jamsのリハーサルの音が聴こえてきました。
聴き慣れたギターリフに誘われて階段を登り、物販の準備をするおばちゃんたちを避けてグングン進んで行くとその音はどんどん近くに。
高まる興奮を抑えながらフロアのドアに足を踏み入れ、ステージがギリギリ見えるか見えないかくらいのところまで近づいた時に、
「あれ、ここまで入ってきていいのか
な?」
と思い足を止めました。
事前に受け取っていたメールに会場の中での集合場所は特に書いてなかったので、僕は近くにいたタトゥーだらけのイカついスタッフに話しかけてみました。
「スーパーファンチケット持ってるんだけどどこで待ってればいいかな?」
「!? お前、どうやって入ってきた…」
「(入り口を指差して)あそこからだけど」
「いやまだオープンしてないから!外だよ外!笑」
今回ばかりは自分のうっかり癖を褒め讃えたい。
あのリフを2回も聴けたんだから。
とは言ってもちっちゃいジャパニーズがフラフラ入ってきたら怪しまれそうなものだけど…相当自信満々に入ってきたんだろうか…
タトゥーのスタッフにつまみ出され、実は外に出来ていた10人くらいの列の1番後ろに並ぶと、僕の後ろにもMC5のTシャツを着たおじさんたちが続々と後ろに並び始めました。
おじさんたちは、あの時のライブはああだった、こうだったと昔話に花を咲かせています。
今でこそ、家族を守るがっしりとした体格のおじさんたちも、今日は少年に見える…
定刻になると会場の中へ案内され、僕らはロビーで待つことに。
「〇〇年のライブは実は〇〇で…」
うんちくを披露するロン毛の少年。
「このレコードにサインしてもらうんだ!」
レコードを取り出し、大興奮する少年(おじさん)。
スタッフのお姉さんから注意事項のアナウンスの後、しばらくすると、奥からウェイン・クレーマーが!
もう70歳だというのに背筋はピンと真っ直ぐしていて、身のこなしはとても軽やか。
眼光は森の中で長く生き抜いてきたフクロウのように鋭く、そして暖かくもあります。
ソファーの背もたれの上にチョコンと座り、手を組むと、
「さあ質問タイムだ!誰から?」
と一言。
かっけぇ…
僕が圧倒されている間に次々に手を挙げ質問するファン達。
自分の拙い英語力で他のお客さんの大切な時間を邪魔するのも申し訳ないので、なんとなく聴き取れる質問と回答を楽しんでいました。
ひとしきり質問が終わり、
「他に質問ある?」
とウェインが言うと、
本当にスーパーファンチケットを買ったお客さんなのか信じられないくらい、離れたソファーでどっかりと足を組んで座っていたおばちゃんが、足を組んだまま、
「現代社会についてあなたはどう思う?」
と言った。
いや、おばちゃんもかっけぇ…
放課後の校庭でMC5のかっこよさについてあれやこれやと話す男子に向けて「ただかっこよくたってダメよ!」といい放つ少女の姿が見えました。
そして真摯に答えるウェイン。
「現代は昔に比べて、あらゆる点で恵まれた時代だ。だからこそ僕らは学ぶべきだよ。この世界について、社会について、そして人間同士のコミュニケーションの仕方について。」
半世紀も、社会の動きをその鋭い眼光で見つめてきた人だけに凄まじい説得力。
おばちゃんもご満悦でした。
質問タイムが終わり、スタッフのお姉さんから、これからサイン会をする旨のアナウンスがあると、ウェインはすかさず、
「サイン会はするけど、ストラトキャスターのピックガードを何十枚も持ってこられてもサインしないからね!」
でたーーアメリカンジョークだー!
階段に沿って続々と並ぶファンたち、おじさんとしゃべったりして気を紛らわしながらも、テンポよく列は進んでいっていよいよ自分の番に。
会場が結構うるさかったので、ウェインの耳元で
「日本から来ました!あなたのために!」
と言いました。
ウェインの耳元で!!!
信じられない!!!
その後のウェインとの会話は秘密!
ライブはそれはもうひたすら最高で。
齢70にしてこんなエモーショナルなギター弾くおじいちゃんいるかという…
ライブ前もライブ中も全く年齢を感じなかったけど、体には気をつけて、ずっと元気でいて欲しい。
そしてぜひぜひぜひぜひ日本へ!!
ニューヨークに行ってきた
先々週くらいにニューヨークに行ってきた。
ニューヨークでの第一目的はデトロイトのバンド、MC5の1968年のライブアルバム、”Kick Out the Jams”のリリース50周年企画「MC50」を見ること。
50周年といってもMC5は解散しているので、ずっと活動してきたという訳ではないけれど、一瞬の時間と空間を記録したライブアルバムが半世紀もの間、大勢の人の耳に触れ、愛され続けるなんて本当に素晴らしいこと。
MC5 - Kick Out The Jams live 1970 Detroit
既に亡くなっているメンバーもいるので、これは再結成という訳ではなく、オリジナルメンバーはギタリストであるウェイン・クレーマー氏のみですが、それでも、当時のメンバーが半世紀経って全く同じセットリストでライブをするんだから世界中のファンは大興奮。
(しかし日本はツアーに組み込まれておらず…)
しかも、さすが伝説的なバンドだけあって他の演奏陣もFUGAZIやSOUND GARDENのメンバー。
というのも、MC5は1960年代から政治志向やエネルギッシュなライブをしていたことからパンク以前のパンクバンドとも言われており、そう考えるとウェイン・クレーマーさんは現在最高齢のパンクロッカー。
全世界のパンクキッズはもちろん、フガジやサウンドガーデンという大御所バンドにとっても、もはや仙人のような存在なのです。
ニューヨークはロンドンと並び、パンクロックの聖地。
MC5のもう1人のギタリスト、今は亡きフレッド・ソニック・スミスの奥さんはニューヨークパンクの母と呼ばれるパティ・スミスで、ニューヨーク出身のバンド、Sonic Youthの「Sonic」も彼のミドルネームから。
そんなニューヨークとMC5の繋がりも感じつつ名所巡りへ。
ニューヨーク・パンクのバンドを挙げればキリがない。
テレビジョンにリチャードヘル・アンド・ザ・ヴォイドイズ、トーキングヘッズ、ラモーンズ、スーサイド…
今やレジェンドなパンクバンド達が夜な夜な破茶滅茶なギグをしたのがバワリー315番地に存在したライブハウス、「CBGB」だった。
今は閉店して服屋になっていると聞いていたので、行ったところで何かあるのかなと思いつつ、とりあえず行ってみると…
なんと、店構えは全くそのまま。
テンション爆上がり。
どうやらこの場所を引き継いだお店のオーナーはパンク文化に理解があり、ここを自分のお店兼CBGBのメモリアルホールとしたらしい。
特徴的な看板や中の壁一部はそのまま残され、入口脇には刻印も確かに残っていた。
正直、服は高級志向で、チープで低俗なパンク文化とは程遠く、むしろ当時のパンクロッカーが中指を突き立ていた対象のような気がするけれど、皮肉なもので、そんなハイソな文化のお陰でここが残っている。
名残惜しくもお店を後にして、周辺を散策。
CBGBから少し北に上ったイーストビレッジには小さな日本街があり、うどん屋や居酒屋がポコポコ並ぶ。
このパンクファッションのお店、SEARCH & DESTROYも、1階も「ケンカ」という名前の居酒屋と合わせて日本人が経営しているらしいく、甲本ヒロト氏やガーゼなど日本のパンクバンドのTシャツも。
自分のバンドTシャツとお土産バンドTシャツをたらふく買い、川を渡ってブルックリンへ。
ブルックリンは、1990年代のインディーロックの聖地。
日本でいうと下北や吉祥寺っぽい。
パンク以降のポストパンク、ニューウェーブ、オルタナティブシーンを盛り上げたイギリスの名レーベル、ラフトレードのニューヨーク店。
倉庫をそのままレコード屋にしたような作りでめちゃくちゃ広く、ライブフロアもカフェもあり、1日中いられる。
残念なことにニアミスで、この日の前日、CHAIがここでライブだった。
見たかったなぁ。
変人とゴミだらけのマンハッタンの喧騒から離れて、この川沿いの公園は落ち着いた雰囲気。
ここが自由の国なのは、当たり前のように柵を乗り越える彼が一番示していた。
続く