ギザ十な日々

2人の息子と妻との日々を書いています。

息子をアレクサとまちがえた男

 

 

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在宅勤務中、アレクサに命じて音楽をかけるのが私のルーティンとなっている。

 

 

「アレクサ、集中できる音楽かけて」

 

アレクサ「おすすめの集中できるポップスを再生します」

 

 

ノリノリで仕事をしていると、会社スマホが鳴る。そのたびに、あわてて

 

「アレクサ、ストップ!」

 

と声をかけ、電話に応じる。

 

電話を切り、落ち着いたところで再びアレクサに音楽をお願いするのだが、営業職である以上、電話は社内外から不定期にかかってくる。テレワークの本格化の影響で、スマホだけで無く、パソコンのアプリであるTeamsを通じて、上司・同僚から呼出がかかることも多い。そのたびに「アレクサ、ストップ」と声をかける。

煩わしさを感じながらも、「アレクサ、音楽再生して」、「アレクサ、ストップ」と繰り返す日々である。最近、別に「アレクサ、ストップ」と言わなくても、アレクサの音量ボタンを押してボリュームを下げれば良いと言うことに気づいたのだが、なんか癖でつい「アレクサ、ストップ」と言ってしまうのであった。

 

 

そんな、アレクサに声をかける日々が続いていると・・・。

 

火曜日。在宅勤務。

 

タロウ「びえーん、びえーん!」

 

夕刻、リビングで息子タロウが泣いている。私は仕事を中断し、息子に駆け寄る。

 

「おお、アレクサ、どうした・・・あ」

 

妻「ちょっと、今、タロウに向かって『アレクサ』って言った!?信じられない!」

 

「いや、まあ、ちょっと反射的にね・・・」

 

妻「アレクサ禁止!」

 

 

いやはや、これもまた、在宅アルアルなんでしょうね。(・・・違う?)

 

 

 

 

 

「頼むからちょっと爪を隠してくれ」と思うことが増えて困っている

 

 

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朝のオンラインミーティング。

 

女性先輩A「未来プロジェクトのお陰で資料作り本当に大変ですね。今週は特に忙しいので、ちょっと会議不参加にさせてもらって良いですか」

 

上司「ああ、いいよ。あのプロジェクト、そんなに資料作りあるんだ。大変だね」

 

女性先輩A「大変ですよ~まあ、早く出世したいんで」

 

 

女性先輩は男性上司にも物怖じせずにハキハキおっしゃる。『未来プロジェクト』は少し前にも記した。社内公募の新規プロジェクトである。

 

yakiimoboy.hatenablog.com

 

意識が中くらいを自負する私は、参加はしないが参加しないことに劣等感を感じるという、最も精神衛生上よろしくない状態となっている。

 この女性先輩、ただでさえ仕事できるオーラがオンライン越しに漂ってくるのに、社内公募の未来プロジェクトにも参加し、ますます勢いを増している。そして、その勢いに圧倒され、萎えた気分になる私。朝から勘弁して欲しい・・・。

 

 

 

昼過ぎ。

この日は9月からうちの部署に異動となった先輩社員Bさんとオンライン会話。最近は出社制限がかかっているので、会社も意識的にオンラインで雑談できる時間を作ろうとしている。

 

Bさんは私よりも5つ年上の先輩。以前いた部署では、取引額が最も大きい得意先を担当していたらしい。ビジネス資格も多数所有しており、社内研修にも積極的に参加している。あ、上に記した「未来プロジェクト」にも参加している。

 

「ーーそれじゃあ、Bさんは本当にいろいろな経験をされてきたんですね。それに、ビジネス資格も沢山あって、更に社内研修にも参加って・・・本当にすごいですね。僕には真似できないです」

 

Bさん「そうだね。まあ、意識的にいろいろな経験をしようとはしていたね。資格や社内研修は、まあ、ここ最近だけどね。『時間を確保するためには、日常業務をどう効率化すればよいか?』というのは常に考えているね。前の部署だと、単純な業務が山のように存在してたから、それを効率的に処理すると意外と時間が作れたんだよね」

 

「へえーーすごいですね。そういう発想、なかなかないですね・・・」

 

Bさん「ところで、やきいも君に聞きたいんだけど。君、部内の書類管理や提案資料作成を任されているんだってね?」

 

「ええ、まあ。そういうのもやってますね。片手間レベルですが」

 

Bさん「DX(デジタルトランスフォーメーション)の観点から、もっと効果的な提案ツールを作れないか?って考えているんだけど。○○って方法や、△△って方法は今まで取り入れたことある?」

 

「ああ、そうですね。昨年にコロナの影響でなかなかお客さんのところに行けなくなりましたけど、そのときにそんな話もでましたね。でも、結局、本格的な導入にはならなかったですね」

 

Bさん「ふーん。君はなぜそれが導入されなかったと思う?」

 

「うーん、なんででしょうね。まあ、デラックスの考え方が大事なのはみんな分かっているんでしょうけど、なかなか新しいことを取り入れるのは熱量がいりますからねえ」

 

Bさん「デラックス?いやいや、やきいもくん。デラックスじゃ無くてDX!ディーエックスだよ。マツコが出てくるかと思ったよ」

 

「え?あ、やだ、すごい恥ずかしいですね・・・(顔真っ赤)」

 

Bさん「君のあだ名はやきいもデラックスで決まりだね(笑)。ともかく、せっかく新しい部署に来たんだから、なにか新しいことを取り入れていきたいんだ。それが自分がこの部署に来た意義だと思ってるからね。社内研修で学んだことも生かしていきたいし」

 

「そうですね。年下なので、是非なんでも命じてください。えへへ」

 

Bさん「うん、よろしく頼むよ」

 

1時間ほどオンラインで会話終了。・・・終了後はなんとも疲れを感じた。主に劣等感から来る疲れである。なんというか、エネルギーを吸い取られたような気分。

 

 

 

夕方。

一通のメールが届く。昨年から1年間、指導係を任せられていた後輩君からであった。メールには添付ファイルが1つ。新人指導のフィードバックシートである。これは、1年の業務を通じ、新人自身が振り返りを行い、それに対して指導係が最後のアドバイスをするというもの。いかにも人事総務部が好きそうなことである。

後輩君からは、「こちらの振り返り欄を書いたので、最後のアドバイス欄を記入頂けますでしょうか?」とある。

 ファイルを開き、後輩君の振り返りを読んでみる。

 

効率を徹底的に考え、スピーディーな対応を意識して業務遂行できた。特に、□□という大企業との取り組みは、自分の今後の社会人経験として大きく成長につながると確信している。今後もインプット・アウトプットを両方をバランス良く行いながら、最高の提案ができる営業マンになれるよう努力を継続したい。もちろん、営業は一人ではできない。開発部署・工場・保証関係の部署の方々とのコミュニケーションも重視していきたい。(※)

(※こんな雰囲気の文章)

 

がくっとうなだれる私。とどめの右ストレートを食らったような気分である。ちなみに、この後輩君もまた、「未来プロジェクト」に立候補し参加している。(いや、うちの部署、どんだけ未来プロジェクトに参加してんだよ)

 

 

私は、アドバイス欄に

 

むきだしの爪を少し隠してみましょう

 

と入力。だが、すぐに自分が情けなくなり、ファイルを一度消去。ため息ため息、である。

 

 

このご時世、自己アピールが大事なのは分かっている。誰かが分かってくれる、なんて思っていたって、誰も評価などしてくれないのだ。

 

だけど・・・だけどさ・・・、もう少し抑えるわけにはいかないか?あんたら優秀なんだからさ、少し黙っていた方が賢く見えるぜ?周りからだって反感も買わないだろうしさあ。なあ、なあ(涙)

 

・・・些細なことが気になる無能人間の、せめてものお願いなのであった。ああ、もう、キライ!(地団駄)

 

 

電子書籍よりも紙の本の方がメリットが大きいたった1つの理由

 

最近、図書館で本を借りる機会が増えている。元々紙の本メインだったが、電子書籍を生活に取り入れて以来、すっかり紙の本はご無沙汰になっていた。

 

 

10代後半~20代前半 紙の本じゃないと読めません。

20代後半~30歳 電子書籍のメリットに魅了され、紙の本の大半を売る。

30歳~現在 電子書籍メインとしつつ、図書館を利用するようになって以来、紙の本のウエイトが急速に増加。

 

 

紙の本と電子書籍の違いはネット上であふれている。比較サイトは沢山あるが、だいたい以下の感じだろうか。

 

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(細かいところで言えば、「紙の本の匂いが好き」とか、「紙をめくっている感じが好き」等という、個人的嗜好もあるだろうか


私の場合、辞書や図鑑や参考書などを除き、電子書籍の方が圧倒的に便利と思っている。一度電子書籍に慣れてしまうと、紙の本が読みにくくすら感じるところもあった。

 

ーーそれでも、最近、紙の本を再び読んでみて、上記以外の紙の本で無ければ感じられない、ある重要な利点に気づくことになる。ただしそれは、私が「妻と同居していること」が前提条件にある。

 

その重要な利点とは何か、それぞれの場合の夫婦の会話を比較して説明しよう。

 

電子書籍を読んでいる場合

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妻「なにやってんの?」

 

「うん?ああ、本読んでる」

 

妻「あ、そう。あんまりiPadばっかりみてると目悪くなるよ」

 

「まあね・・・それよりもこの本、面白いのよ。昭和38年のオリンピック開催時に起こった事件なんだけどーー」

 

妻「ふーん、わたしよくわかんない、そういうの。あんまり夜更かししちゃダメよ。あたし先に寝るから」

 

「ああ・・・(少しは興味持ちなさいよ)」

 

 

○紙の本を読んでいる場合

妻「(表紙をのぞき込み)それってどんな本なの?」

 

「うーん、まだ読み始めたばかりだけど、昭和38年のオリンピック開催時に起こった事件を題材にした小説だね」

 

妻「へえ、面白そうだね。どんな内容なの?私も読めそう?怖い内容?」

 

「うーん、まあ殺人事件だけど、残酷なシーンとかないし、貴女が読んでも面白いんじゃない?」

 

妻「そうなんだ。読みたくなってきた。イモちゃん、昔は本が好きだったよね。最近あんまり読んでなかったけど」

 

「いや、今までもiPadで本読んでいたんだけど・・・」

 

 

こんな感じである。電子書籍を読む私に対しては冷たい反応で、紙の本の場合は、読む本に興味を示している。会話も紙の本の方が弾みやすい。

 やや大げさに感じられるかもしれないが、妻はたしかにこういう反応の違いをみせる。たまたま一度だけ違いがあったならば気にもとめなかっただろう。しかし、上記のような反応の違いが何度も起こるうちに、ハッとしたわけである。

 

これが私の勝手な思い込みであっては意味が無いので、この反応の違いについて妻に訊いてみる。すると、

 

妻「ああーーまあ、そうね。いわれてみれば。電子書籍だと、正直なにやってんのかよくわかんないし。紙の本だと読書してるんだなあってわかるしね。面白そうな表紙だったり、イモちゃんが夢中に読んでいたら、そりゃ内容を聞いてみたくなるでしょ」

 

とのこと。

 

どうやら、妻にとって、電子書籍を読んでいる私」と、「紙の本を読んでいる私」は下表のようなちがいがあるようだ。

 

     表 妻視点の「電子書籍」と「紙の本」の違い

 

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ポイントは以下2点である。

 

①妻は「読書」という行為を好意的に感じている。

電子書籍の場合、仮に読書をしていても、妻がそれを一目で読書と判断できない。この時、私に対する妻の印象は、ゴシップニュースやいやらしい画像をみているのと変わらない。一方、紙の本の場合、読書をしていることを一瞬で妻に伝えることができる。

 

上の2つを合わせると

 

同じ「読書」でも、紙の本を読まなければ、妻からの好意的な評価は得られにくい

 

という結論になるのである。これは非常に重要な発見である。

 

もはや電子書籍の優位性は揺らがないと思っていた。利便性の点では確かにそうだろう。独り身ならばそれで良かろう。ただし、家庭円満のためには、妻からの評価が何よりも重要である。紙の本の方が妻の評価が上がるというのであれば、紙の本を選ばない理由がない。

これは些末なことと思うだろうか?私はそうは思わない。こういう小さな積み重ねが、何十年後かに大きな差になっているものである。そこら辺の長期的視点を無視し、短期的な合理性ばかりを根拠に我らの紙の本を否定してくる電子書籍派に対しては、もはや失笑を禁じ得ない(寝返り)。

 

しかしまあ、どんなに電子化が進んでも、こういう側面があるから、きっと紙の本は無くならないんだろうなあ、と、思ってみたり。

 

あ、逆に、読んでいることを妻に知られたくない本は電子書籍にすべき、ということであろうか。・・・まあ、そんな本はこの世に存在しないが・・・ね?

 

 

 

「子育ての知恵」は誰でも言えるが、誰かに当てはまるものではない

 

子育ての本を読む。

今回はこの本。

 

 

 

「育児は母の手で」「三つ子の魂百まで」「「ママがいい」に決まってる」……。根強くまかり通る育児神話や「通説」。それに翻弄される多くの保護者たち、とりわけ母親たち。実際のところ、子どもは何を訴えているのか、様々な仕草はどのような発達の表れなのか? 発達心理学の長年の研究成果をもとに、確かな育児の知識を平易に伝える一冊。

高橋恵子『子育ての知恵 幼児のための心理学』表紙

 

発達心理学の研究成果をもとに、主に子育ての相談件数が多い「1歳半から就学するまでの幼児期」のテーマを中心にまとめられている。ちまたにあふれる「子育て体験本」・「(怪しげな識者の)ハウツー本」とは違い、学術研究をベースにしているため、内容は至ってかため。

 

各章は以下の通り。

 

第一章 心の発達 三つ子の魂百までか

第二章 母親の神話 「愛着」の心理学

第三章 幼児の人間関係 子どもからの報告

第四章 わたしが主人公 自己主張と自制心

第五章 子どもと社会 あなたの子どもは、あなたの子どもではありません

 

第二章・第三章は特に興味深かった。

 

 「発達心理学

人間の発達に伴う心理という、なんとも実験しづらいテーマを研究対象としている。そのため、どうしても小規模で制約の多い研究にならざるをえないのだと感じる。当然、一般化した結論を出すことは非常に難しいのだろう。

 そんな発達心理学の研究成果をベースにしながら書かれている本なので、何かありがたい子育て術を教えてくれるわけではない(していたら眉唾)。そのため、身近な育児のダイレクトな解決策を期待すると、少し肩すかしを食らうだろう。

 

 でも、個人的には、自分の頭の大半を占める「育児」という営みが更に興味深く感じられるようになった。

 

 

 

興味を持った点をメモ的に下記に残す。

 

 

・第一章

ブロンフェンブレンナーの生態学的モデルを元に、子どもを取り巻く環境を客観視してみてもよいかもしれない。子どものために親が果たせる役割というのは、数ある外的環境要因の1つなのかも知れない。(以下のブログが更に詳細にまとめてくれている)

ikuji-hoiku.net

 

・第二章

母性愛は18世紀半ば以降の社会によって作られたものであるが、根拠のある物ではないようだ。江上園子が提唱する「母性愛信奉尺度」を元にした実験では、母親は世間が期待するような強い母性愛はもっていなかった。ただし、母性愛を神聖視する発想は依然として根強かった。そのギャップがなぜ引き起こされるのか?それがどのように育児に影響するのか?はよく考えなければならない。(子育ては母親がやるもの、という強いプレッシャーから、母性愛を信じるしか心の逃げ道がなかった・・・?)

www.jstage.jst.go.jp

 

・第三章 

著者が発案した子どもの人間関係「愛情のネットワーク」を可視化するためのツール「PART(絵画愛情の関係検査)」の手法紹介と、使用した際の研究成果。おそらく、この本のハイライトではなかろうか。

PARTは下記で試すことができる。大体、3歳6ヶ月頃から問題なく使用できるよう。

息子タロウがもう少し大きくなったら是非試してみたい。

 

www.keiko-takahashi.com

 

・第四章

マシュマロテスト二関する最新研究にも触れている。私自身、マシュマロテストに対して少しうさんくささを感じていたが、「欲望を抑えられる子がすぐれている」というよりも、「恵まれた環境のおかげですぐれて育った子は、欲望を抑えられる」っていう方が納得がいくよね・・・やっぱり・・・。

 

 

 

うーん、子育てって、奥深い!

 

 

意識中くらい系のモヤモヤは読むに耐えられぬ

 

在宅勤務。

 

メールフォルダに全社員向けのメールが届く。それを見て、ため息。

 

「未来プロジェクトねえ・・・」

 

そのメールには未来プロジェクトに参加するメンバー数十名の名前と写真が連なっていた。無論、そこに私はいない。まあ、申し込んでないんだから、いたらおかしいのだが。わかりきっていることなのに、プロジェクトに参加している人たちの存在を知ると、意味もなく落ち込んでしまう。

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(メールにはこんな感じにプロジェクトメンバーの写真が載っている。)

 

最近、会社内で様々な社内公募が増えている。新型コロナウイルスの影響で、会社も新しいアイデアや人材発掘に熱心に取り組んでいるようである。経営者層との意見交換や、新規プロジェクトへの参加等の案内が2~3ヶ月に1度は飛んでくる。

 

・・・こういったメールを読む度に、なんとも複雑な気持ちになる。そりゃ、この会社で出世したいと思うなら、当然、参加した方が評価が高くなるだろう。だが、

 

他にやらなければならない業務がたまっている。

 

とか、

 

子どもが産まれたばかりだし今は家庭を優先したい

 

とか、

 

仕事ばっかり考えるような人間にはなりたくない

 

とか、とか、参加しない理由が湧いてきて、結局申込せずに期限切れとなってしまうである。

 

重い気持ちになるのは、後日、会社からのメールで同じ部署のやる気のある年の近い先輩・後輩たちが、積極的にこういったプロジェクトに参加していることを知る時である。そのたびに、自分がどんどん遅れをとってしまっている気がする。

 

一生迷ってろ そして失い続けるんだ・・・・・・貴重な機会(チャンス)を・・・・・・!

 

いつものようにカイジの中で出てくるこの言葉が脳裏をよぎり、なんとも言えない焦燥感にも駆られる。本当に、この言葉通りなんだろう、俺の人生は。

 

・・・ようは、私がどのくらい、参加しない理由を覆すほど、「社内公募に応募してみたい」という気持ちがあるかだ。同僚たちが応募するから俺も応募しなきゃ、というレベルであれば、応募してもろくな結果にならないだろう。

ーー残念なことに、そこまで前向きな気持ちは私にはないのである。万一、自ら手を挙げて応募するとしたら、それは焦りや恐怖感から来た気持ちである。これはこれで情けない限りであるが。

 

30歳を過ぎてから、「仕事だけ考えていてもダメ。今の時代、家庭のことを何より大事にしなきゃ」という思いが強くなった。それは間違ってないと思っている。でも、やっぱり人生の多くの時間を仕事に費やすのだから、何かやってみたい気持ちもある。その何かがなんなのか、いつまでもわからないのだが。気づけば何もせずに何しているか分からないおじさんになっているのだろうか?

 

・・・はあ、とここまで書いてきてため息。なんともモヤモヤの多い32歳の胸の内である。書いていて疲れる。読んでいる方はもっと疲れるだろう。

 

 

 

「ーーと思うんだが、君はどうだ」

 

同期男「・・・まあ、分からんでもないがね。愚痴に熱がこもってるね」

 

「そりゃそうだよ。俺ら、そういう年頃だろ」

 

同期男「まあねえ。あるあるな悩みでしょ。ツイッターでつぶやいたら共感されるんじゃない」

 

「俺はツイッターもインスタもやってないから、こうして同期に電話してグチグチ言っているわけじゃん」

 

同期男「俺の部署はそんなにプロジェクトに参加する人がいないから、正直他人事、って感じだけどね。ヤキイモ君の部署の人、参加している人多いから、余計悩むんじゃない」

 

「そうねえ、なんか知らんけど、ここ1~2年でそういうのが好きな人が増えたんだよね。こんな意識高い系が無駄に集まった部署、俺は肩身が狭いよ。いっそ、異動したいなあ・・・」

 

 

今日の昼の同期とたわいもない会話。ありがたいことに、こういう会話をしていると、少し気持ちが落ち着く。・・・でも、落ち着いちゃダメなんだろうけどなあ、とも思ってみたり・・・。

 

ああ、読むに耐えられぬ。ごめんちゃい。

 

ベテラン営業への悲しみと、自戒の念を込めて。

 

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火曜日。

 

基本的に在宅勤務メインとなっている中、本日は久しぶりに朝から出社。

出社すると同僚と会話ができるのが心の安定につながる・・・というが、今日の私はそれを享受できるような状況では無かった。

 

昨日、上司からの仕事の依頼を、有給を理由に断った。詳細は下の通り。

 

yakiimoboy.hatenablog.com

 

このときのことを上司にお詫びしたところ、

 

上司「ああ、いいよいいよ」

 

と、特に気にとめることも無い様子。ホッとしたのもつかの間、

 

上司「そういえばさ、別件なんだけど、○○と△△と□□をやってもらえる?○○はAM中、△△は今日中、□□は明日のAMまでによろしく」

 

と、更に仕事を沢山振られることになったのである。あ、上司の名誉のために言っておくが、上司は私が有給を理由に断ったことに対する当てつけとして仕事を振ったわけではない。ただただ、日常的に仕事を振りたがる人なのである。決して悪い人ではない。むしろ、性格はとてもいい人である(私の時間が無限にあるのならば、だが)。

 

 

ひとまず急ぎの仕事○○をなんとかAM中に片付けたが、PMから会議なので、△△にとりかかる時間があまりない。そこで、昼休み返上で作業に取り組む。

 

(とりあえず昼休み中に△△をやろう。会議中もバレないように内職しよう。コレがオンライン会議のいいところだ。なんとか△△を定時までに終わらせて、そこから少しでも□□に着手できれば、明日のAMまでには終わるだろう)

 

そんなことを考えながら作業を行っていた、消灯中のお昼時のこと。

 

 

がんも「やきいも、いまちょっといいか?」

 

「ーーあ、はい。どうされましたか」

 

 

昼食後のがんも(仮)さんに声をかけられる。

 

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がんもさんは別部署の営業30年の大ベテランで、誰とでも直ぐに打ち解けられるような人柄の方である。私も新人の頃から良く声をかけてもらっていた。新人の頃は、先輩から話しかけてもらえるだけで同じ仲間として認めてもらえるような気がし、がんもさんの新人にも気遣いをしてくれる優しさがありがたかった。

 

 

ソーシャルディスタンスを保った距離で椅子に座るがんもさん。

 

がんも「いや、別になにかって訳でもないんだけどさ。ちょっと話がしたかっただけよ。どうだ、調子は。在宅が増えているけど、うまくやれてるか?」

 

「ーーそうですね、おかげさまでなんとか」

 

この時、私の心の中では、「やばいなあ」という思いでいっぱいであった。がんもさんはいい人なのだが・・・いかんせん、話が少し長めなのである。

 

がんも「そうか。今日はくもってるなあ。夜から雨がふるらしいぞ。傘持ってきてるか」

 

「ええ、はい(ソレデ、ゴヨウケンハ・・・?)」

 

がんも「お前、今、千葉に住んでるんだっけ?どのあたりっけ?」

 

「ああ、チョメチョメのあたりです(コレ、アトナンプンツヅキマスカ?)」

 

がんも「子育てはどんな調子だ?俺も子どもがふたりいるけど、俺の頃はーー」

 

「へえ。そうなんですね(・・・ホント、ゴメンナサイ、ジカンナインデスケド・・・)」

 

がんも「そういえば、この前、鳥取の方に行ったんだけど、○○って温泉、知ってるか?」

 

「いや、知らないですね(イマジャナキャ・・・ダメデスカ?)」

 

本当に良くないのだが、マスクの下では、()に書いたようなことをつぶやいていた。そして、時計をチラチラと見たりもした。それでも、私の気持ちは伝わっていないのか、がんもさんの話は続く。

 

 

30分ほど経過し、まもなく昼休みが終わろうとした頃、

 

「ーーあ、ごめんごめん。話しすぎたな。じゃあ、邪魔したな」

 

「・・・・・・いえ、お疲れ様です」

 

と、がんもさんが席を離れる。私は急いで作業を再開した。とうぜん、昼ご飯をゆっくり食べる時間も無いので、コンビニで買っていたアンパンをぎゅうぎゅうに握りつぶし、口の中に一口で放り込んだ。

 

そして、

 

今じゃないよ・・・がんもさん

 

 

というつぶやきが、こみ上げてくるストレスげっぷと一緒に漏れた。結局仕事は終わらず、会議中に更に新しい仕事を上司から割り振られるのであった。(上司は悪い人ではない。多分・・・)

 

 

今回のがんもさんも、もう少し余裕があるときに声をかけてくれればありがたかったのだが・・・まあ、いつもならば、ここまでブログを書くほど感じることも無かったのだが・・・。

 

がんもさんに対する憤りはあまりない。むしろ、えもいわれぬ悲しみの方が強く残る。

 

新人の頃は話しかけてもらって嬉しかったはずなのに、今は煩わしさを感じてしまっている自分。

 

慌ただしく作業している息子のような年齢の後輩に対し、いつものように声をかけ、いつものように雑談モードに入って、後輩から「早く終わってほしい・・・」と思われてしまっているベテランの姿。

 

本当に、どちらもそれぞれに悲しい。ただ、特に後者への悲しみは人ごとではない分、恐ろしさも感じる。20年後、私も同じように後輩から思われる己の姿を想像すると、ゾッとした気持ちになる。

 

私も注意しなければならないなあ、と、なんだか戒めにも似た気持ちを感じたのであった。

 

・・・この文章、20年後に読んだらどんな気持ちになるのかなあ。痛いだろうかなあ。

 ああ、もう、本当に嫌な日記になってしまった。

 

 

家族優先にも仕事優先にもなりきれない、そんな胸の内

 

月曜日。

 

本日、有休を取得し、息子の100日記念を自宅で祝う。

 

AM、近所の洋菓子屋に行き、妻が予約していたお祝いケーキ(息子は食べられないが)を取りに行く。一方の妻は、前日から着手していた「お食い初め」料理の準備の続き行う。本当に、大変に気合いが入っている。

 

「だって一人目だからね」

 

と妻。これが妻の照れ隠しなのか、それとも事実となるのかは、今の私には分からない。

 

昼過ぎにお食い初めを行った。

 

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(煮物は相当気合い入って作ってました。鯛とケーキは買ったヤツ)

 

写真を撮ると言うことで、妻は久しぶり(2ヶ月ぶり?)に化粧をしていた。私も妻に言われて、出勤時以外は付けないコンタクトを付ける。

正直、やり方がよく分からなかったので、YouTubeで事前に見ていた動画の見よう見まねで息子の口にハシを付ける。多分、無事にお食い初めを終えた。

 

 

お食い初めを終えた後、妻がずっと行きたがっていたアカチャンホンポに行く準備。休日だと混むけど、平日月曜日であればそこまで混雑していないだろう。これも有給のいいところである。

 

 

と、ちょうど家を出ようとしたとき、会社スマホが鳴る。上司からであった。

 

上司「あ、ヤキイモ君?今大丈夫?実はやって欲しいことがあってね」

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私が有給中だということは知らない様子で、仕事の依頼の連絡であった。本日中に対応しなければならない急ぎの件らしい。

 

いつもの私ならば、有給中とか関係なく会社のPCの電源を入れ、仕事にとりかかっていたところである。だが、この日の私は違っていた。今日は家族サービスのための有給なのである。ここで仕事をしたら、家族と過ごす休日が台無しになってしまう。

 

「すみません、今日は有給なので・・・これから外出してしまうので・・・18時からであれば戻りますので、そこからでよろしければ対応させて頂きますが」

 

と返す。ああ、何という中途半端な回答だろう。

 

上司からは、

 

「それじゃあ、18時以降に頼むよ、悪いね休日中に」

 

と言われる。

 

14時頃、妻と息子タロウとアカチャンホンポへ行く。こうして家族で出かけるのも本当に久しぶりだった。アカチャンホンポにいる間も、会社スマホが気になってしょうがなかったが、極力スマホは見ないように努めた。だって、家族のための有給なんだもの・・・!(会社スマホをしっかり持ってきてしまうところが・・・なんとも中途半端ではあるが)

 

 

夕方、そろそろ時間的に戻らないとまずそうなので、妻に相談し、帰宅のために駅に向かう。そして、17時半頃に家にたどり着く。と、ちょうどそのタイミングで、会社スマホでメールが届く。

 

さっきの件、急ぎの件だったので、○○さんに代わりにやってもらって完了しました。

 

このメールを見て、一気に力が抜ける。

 

慌てて家に帰ったけど、やることは無くなってしまった。ひとまず、「承知しました。このたびはご迷惑をおかけし申し訳ございませんでした」と返信する。こういうとき、とりあえず謝っておくのが正しい、というのが私の経験則である。いやはや、一瞬で自己嫌悪になりそうな経験則である。

 

上司はハッキリとは言わないけど、多分、私に対する評価は結構落ちたことだろう。急ぎでやらなければならない、っていっているのに、家族を優先するようなヤツには仕事を任せられないと思ったはず。そう考えると、なんだかため息が出る。

 

 

「・・・仕事、終わったよ。終わったというか、やる必要なくなった」

 

妻「え、どういうこと?」

 

「急ぎだったから、他の人に任せちゃったみたい。まあ、しゃあないね」

 

妻「そうなんだ・・・ごめんね。月曜日から有給とっちゃったから」

 

「いや、別に君が僕に謝ることじゃないよ。もともとこの日は休むってことだったんだもん。事前にそれはちゃんと伝えていたし。・・・でもまあ、はっきりとは言わないんだろうけど、上司からはあんまり良くは思われないだろうなあ・・・。うーん。仕事人間で生きていきたい訳じゃ無いけど、まだまだ家族大事って、強く主張できない小さい人間ですよ。俺は」

 

そんなことを情けなく言う私に、妻の一言。

 

妻「大丈夫だよ、上司さんは今回のこと直ぐに忘れてしまうよ。でも、今日一日、家族のことを優先して一緒にいてくれたことは、私はずっと覚えているよ」

 

ドキッとした。

 

「・・・なんだ、すごく良いセリフ吐くね。今の俺が一番言われて喜ぶようなセリフだ」

 

妻「前にイモちゃん(私)が言っていたことを真似しただけだよ。『どうせいくら仕事に時間を費やしたって、上司は俺の頑張りなんてあっという間に忘れてしまうんだよ。でも、家族のために時間を使わなかったときは、家族にずっと恨まれるんだ』って。同じことを言っただけ」

 

「・・・ああ、そんなこと言ったかもね。なかなか的を得ているよ、俺。--ありがとう、元気でました。まあ、上司には明日会うから、そのときに改めてお詫びしておくよ。俺の頑張りは忘れても、仕事断った態度はしっかり記憶に残るかも知れないからね」

 

妻「それはそうね笑。でも、今日はありがとう」

 

というわけで、妻の一言に救われた気持ちになった、そんな息子生誕100日記念日でした。俺は家族優先人間になるぞ!とブログの中では宣言しておきます。一方で、明日は上司にペコペコしてるんだと思いますが。