コミックマーケット101のこと:既刊ですが2版です
こんばんは。もうすっかり……。
コミックマーケット101に参加します
スペース
12月31日(土) 東ム16a 人工くらげ(Webカタログ)
頒布物
夏コミで出したSF小説『つまり人間』を持っていきます。300円。
<作品紹介>
「で、それはなに? お兄ちゃん」
細く白い腕が僕の背後を指す。「そんなに面白いものあるの?」
そこまで聞いて理解する。
「あ、見えてない? 画面」
自分の机に向き直る。僕の視界では現実の机の上に、四角いモニターが浮かんでいるのだけれど。
「うん真っ白。外側の、見せるやつの、四角いやつだけがサライズされてる」
見せるやつの四角いやつ? 意味が分からず戸惑う。……ああ、モニターのフレームのことか。
「ちょっと待って」僕はサキの〈パーソナル〉設定を開き、「使用する語彙の難度」をマイナス3.8からマイナス1.0に上げる。こんな低くしてたっけ。下げすぎるとさすがに意思の疎通が難しい。
(本文より)
人口が極端に減少したあとの世界。
主人公はARの「妹」と一緒に、遺された過去の映像を通じて、「世の中がこうなる前」の様子を垣間見る。
装画=宇野山むじ(Image Labo)
このあいだ在庫が(ほぼ)なくなったので、重版しました。せっかくだからとその際、気になっていた文章を少し直しました。なので2版です。初版(夏コミ版)から描写などがちょっとだけ変わっています。
初版をお持ちの方は、冬コミ会場でお伝えいただければ2版を無料で差し上げます(自己申告制)。お気軽にどうぞ。
文章も変わってるんですが、いちばん変わったのはレイアウトです。初版は字がでかすぎた等の気付きがあり、2版ではフォントを小さくしてページ当たりの字数を増やしました。少し読みやすくなったと思います。
今年やったこと
写真見返したら、やたらと旅行に行ってた。
そして旅行の時期と執筆時期がかぶっていたときは、旅先で見たものを『つまり人間』にすぐ盛り込んだりしました。節操ない。
飛騨金山については別に詳しく書きたい。
電車で飛騨から富山に移動していると、河の流れがいつのまにか反対方向になっていて驚きます。知らないうちに分水嶺を越えていたのか。
では冬コミでお会いしましょう。土曜日東ム16aです。
コミックマーケット100お疲れ様でした
お越しいただいた皆さんありがとうございました。
設営思ったより早く終わった。
— 山科 (@jnc_klg) August 13, 2022
夏コミ東P10b「人工くらげ」です。来てね。非接触式本文サンプルもあるぞ。 pic.twitter.com/BbkQXizvfN
新刊が出せて本当に良かった……。印刷会社さんに頼むのも(冊子では)初めてだったりいろいろ新しい経験が積めた。
頒布物の経緯
今回頒布したポスアポ小説『つまり人間』は、3月ごろからアイデアを考え始めていました。
夏コミの参加申し込み、出す小説のアイデアを3月7日までに思いつけるかどうかにかかっている。
— 山科 (@jnc_klg) February 24, 2022
無事思いついたので夏コミに申し込みました。
ただ、もっとずっと前から「ポストアポカリプス書きたい」という欲求自体はありました。『ビフォアラ』完成直後くらいから。
つくばに住んでいると、ポスアポのことをよく考えます。
そして、今回表紙をImage Laboの宇野山むじさんに描いていただきました。
以前からむじさんのゲームやイラストを拝見しており、いつかイラストを依頼できればと考えていました。また、むじさんが『ビフォアラ』をプレイしてくださっていたというご縁もありました。
おかげさまで素敵な表紙になりました。小説の本文以上に『つまり人間』の世界を表現しています。ありがとうございます。
夏コミ当日のこと
ずっと1人で売り子をしていたので、買い物が(ほぼ)できなかった。無念。
でも色んな方とお会いできたので、ちゃんとイベントに参加した甲斐がありました。来られた方全員に対応できたのは初めてかもしれない。その点はよかった(これまでは、買い物で席外してて、その間に来た人と会いそびれたとかがあった)。
久しぶりにイベントでお見かけした方、『ビフォアラ』の感想をおっしゃってくださる方……。『ビフォアラ』について質問リストを作ってきてくださった方もいて、すごく嬉しかったです。皆さんお話ししていただきありがとうございました。
あと、常時マスクつけてたので会場のにおい(比喩でなく)が感じられなくて、その点もやや残念だった。コミケ会場特有のにおいがあるでしょう。建材と大量の紙と人いきれの混ざったにおい。いや、そんないいにおいか? と言われるとそうでもないんですが。でも「コミケのにおい」として記憶の深くにしみついている。
今後
申し込み済みのイベント
- 文学フリマ東京35 2022年11月20日(日) 東京流通センター
- コミックマーケット101 2022年12月30日(金)~31日(土) 東京ビッグサイト
どちらもSF小説で申し込んでいます。少なくとも『つまり人間』は持っていきます。受かれば。
次回作
夏コミ会場で、「新作ノベルゲームを出す予定はあるか?」と何人かの方から聞かれました。
今のところ未定ですが、考えてはいます。アイデア出しの段階です。
最近読んだ本
閉鎖空間SF。冒頭から読むのが止まらなくなる。本当にノンストップで読んでた。上巻読み終わったら下巻を即Kindleで購入。謎とその解明と次の謎がどんどん出てくる。限られた空間内で、主人公が試行と推理を積み重ねていく細かな描写が魅力。
ラストで全てのつじつまが次々と合っていくさまに圧倒される。何度もため息が漏れる。それも喜びというよりは、苦い気持ちとともに。
以上です。
『ビフォアラ』音楽のはなし:ボーカル曲編
こんばんは。
おかげさまで、ホラーノベルゲーム『ビフォー・アライビング・アット・ザ・ターミナル』はSteamで好評配信中です(本当*1)。ありがとうございます。
前も書いたとおり、このゲームのBGMはすべてPrhyzmica様からご提供いただいています。
使用曲の一覧はSteamのストアページにありますが、どこのシーンでどの曲が使用されているかは書いていません。
そこで今夜は
『ビフォアラ』の、あのシーンで流れている歌の題名は?
ということについて説明していきます。ストリーミングサイトへのリンクを張ってますので、全曲フルで試聴できます。
なお下記にはゲームのネタバレがどさどさありますので、最後までプレイされてからご覧になってください。
以下
『ビフォー・アライビング・アット・ザ・ターミナル』の
ネタバレがあります。
アルバム『timescaler』より3曲
2周目・小学生編「廃病院の二階」
夏休みに廃屋で、綾子さんとドクターペッパーを飲むシーン。歌詞の内容が、奇跡のようにストーリーと一致しています。ぜひフルで聴いてみてください。
2周目・中学生編「もうすぐ来られなくなる」
綾子さんと2人で田んぼ道を歩くシーン。恥ずかしいくらい青くて、ひたすら微笑ましい歌。
2周目・高校生編「子供を見た」
駅前のペデストリアンデッキで、根津先輩と一緒にケバブサンドを食べるシーン。根津先輩の、シュウに対する気持ちを歌っている(と山科が勝手に思っている)歌です。黙読だとこのシーン、曲の長さと文章読む時間が一致する。たぶん。知らんけど。
アルバム『月の息』より
最終話の4. 「フィールドワーク(3/3)」
松林を魚住さんと一緒に歩くシーン。
『月の息』は名曲ぞろいのアルバムです。「沈む」「地平線」など穏やかで美しい曲もあれば、この「ようこそ」や「セカイノシクミ」など怪しげな魅力のある曲もあって、聴きながら本当に驚きます。
アルバム『Digitalism』より
エンディングテーマ曲
エンディングにはこれしかない、と山科が一目惚れした歌(目?)。主人公の「彼女」への思いを歌っているかのようです。君のことを思うといつも、心が痛む。
上記の楽曲は、BandcampからDL購入ができます。気になった曲があったらぜひ聴いてみてください。
今回はボーカル曲についてでしたが、それ以外のBGMについてもできたら紹介記事書きたいです。
2. 最近のゲーム
『DEATH STRANDING』クリアした。
お父さん(クリフ)が好き。顔も好みだし人柄も。
風景の美しさ「だけ」でここまで楽しめるのは、希望のような気がした。歩いてるだけで楽しいゲームだ。コラムニストのブルボン小林は、「かつてゲームは観光だった」と指摘したが*2、現代でもそれは可能なのだなと感じた。
あと面白いと思ったのは、「素材を投入すると建築物ができるゲームシステム」を、「本当の光景」として表現してしまったこと。
材料や資金を消費してビルを建てたり橋を造ったりするシステムは、様々なゲームで登場する。たいてい、コンソール画面上でビルや橋を選択すると、一挙にボン! とその建物が出現する(そして、材料や資金を表す数値がUI上で減少する)。
それはゲーム的な省略・単純化として、「ボン!」をやっていたのだ。「本当は一定の時間と手間がかかっているんだけど、まあ、途中のシーンはカットしています」というていで、プレイヤーに納得してもらっていた。
でも本作では、3Dプリンタ的な未来デバイスで「本当に一気に建物ができている」ものとして建築シーンを描いた(素材はサムが本当に手で持って、プリンターに入れている)。美麗なCGで橋や国道がモリモリ出現していく光景は、ある意味、滑稽とも感じられる。
そのような光景やそのような架空のデバイスを導入せざるを得なかったのは、ゲームの映像が進化したためでもある。美麗な、実写と見まごうCGを描けるようになってしまったからこそ、かつては単純化できていた光景(ボン! とビルが建つ)が、単純化できなくなった。誤魔化しがきかなくなったのだ。つまり、一瞬で建物が建つ「理由」をちゃんと説明しなければならなくなった(そうでなければ逆に、ゲーム内の画風や表現を全てコミカルにデフォルメして、ビルが突然出現しても不自然でない雰囲気にする必要がある)。
人物の動きや地形、木、岩等はリアルなのに、建物だけ一瞬で完成してしまったらミスマッチだ。でもかといって、「大工さんが来て……柱を立てて……」と、そんな過程を美麗なCGで描写したら、まだるっこしいしそれこそギャグになってしまう。『DEATH STRANDING』は、「カイラル・プリンター」というフィクションのデバイスを導入することによって、この描写の問題を回避した。
英語翻訳プロジェクト開始
1. 概要
ホラーノベルゲーム『ビフォー・アライビング・アット・ザ・ターミナル』を日本語から英語へと翻訳するプロジェクトを開始しました。
現在、翻訳にご協力いただける方を募集中です。
オンライン上で、誰でも自由に翻訳に参加できます。
ただし、このプロジェクトは有志(ボランティア)の翻訳者の方々を募集しています。あらかじめご了承ください。
ゲームの日本語版は、現在無料公開中です。
2. 方法
下のGoogleスプレッドシートに翻訳文を記入することで、ゲームの側から訳文を読み込みます。ご自由に翻訳文を記入してください。
※ネタバレ注意※ 右の方のシートにゲームのシナリオが全て書いてあります。
翻訳プロジェクト全体に関するご意見やご質問は、Steam掲示板の下記スレッドにお願いいたします。
個別の翻訳文に関するご意見などは、スプレッドシート内の該当するセルに、コメントで記入してください。
皆様のご協力をよろしくお願いいたします。
1文だけでも大変助かりますので、お気軽に訳文を書いてみてください。
コミックマーケット97のこと
1. 冬コミは無料ペーパーです
コミックマーケット97に参加します。
4日目(12月31日火曜日)
南モ39b 人工くらげ
冬コミでは、ホラーノベルゲーム『ビフォー・アライビング・アット・ザ・ターミナル』の宣伝ペーパーを無料で頒布します。
こんなの。裏面もあります。B5/両面カラー/オンデマンド印刷。
ただしこのペーパーは、『ビフォアラ』を知らない人向けに書かれています。
『ビフォアラ』を既にプレイされた人にとっては新情報がないです。
それでもよろしければ、ご自由にお持ち帰りください。
当日はよろしくお願いします。ブースには山科がいる。
2. 参考リンク
『ビフォアラ』はこちらで無料配信中です。
3. 来年の初夏コミ申し込むかどうか問題
まだ悩んでる。
4. 今年観た映画
『ボーダー 二つの世界』
強烈。美とグロテスクがごちゃ混ぜになってて夢に出るレベル(実際出た)。淡々と描写されるサスペンスシーンもそこに加わって、もう現実と非現実の境が曖昧になる。
『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』
「あのテーマ曲」がいかに優れた曲かがよく分かった。あの曲を劇伴として聴けるだけで観る価値がある。
『ビフォアラ』Steam配信開始
1. Steamで出た
ホラーノベルゲーム『ビフォー・アライビング・アット・ザ・ターミナル』完成版を、Steamでリリースしました。
価格は無料。動作環境はWindowsです(推奨はWindows 10)。
改めて作品を紹介します。
本作は「町」と「記憶」をテーマにしたホラーノベルです。
とある地方都市を舞台に、主人公が小学生のころから大学生のころまで体験してきた、いくつもの不思議なエピソードを読むことができます。
たくさんの思い出を重ね合わせることで、主人公はある隠された事実に少しずつ気付いていきます。
詳細な紹介サイトはこちら。
作中のBGMは、全てPrhyzmica様からご提供いただいています。
ぜひプレイしてみてください。
※Steam版は、2019年夏コミ版からシナリオ、背景画像、およびシステムの微修正を行っていますが、夏コミ版とほぼ同内容です。変更点の詳細は以前の記事にあります。
2. 今後
未定。たとえばビフォアラの別プラットフォーム展開とかは完全に未定です。次回作のこともまだ何も考えてない。
冬コミは受かりました。12月31日(火)南モ39b
何出す問題がある。いまのところフリーペーパーの線が濃厚です。
3. 光の点と線と面
LEDが普及して、街中が光の「点」であふれるようになった。
これまでは「線」や「面」だった灯りが、小さな点の集まりで表現されるようになった。代表的なのは信号だ。それから蛍光灯型のLED電灯も、点をたくさん並べることで1本の線を、つまり従来の蛍光灯を表現しようとしている。
光る部分それ自体が大きかったり細長かったりするLEDは見たことがないから、多分そういうものを造るのは技術的に不可能(あるいは困難)なのだろう。
信号や「蛍光灯」のような分かりやすい例に比べると地味だが、自動車のテールランプやブレーキランプもまた、点の集まりになった。
かつては、ひとつのブレーキランプ(左右に2個あるうちの片方)ごとにひとつの電球が入っていたと思うが、今は複数個のLEDによって「ひとつ」のランプが構成されている。
それらブレーキランプのほとんどには、光を散乱させる工夫(すりガラスみたいなカバー)が施されている。しかしそのカバーの向こう側には、小さな光の粒が透けて見えることが多い。
いじらしい、と感じる。
大きな灯りがつくれないから、仕方なく小さな光を寄せ集めているように見える。
本当は技術的な発展・進歩によって、従来の電球からLEDへの変化が生じているはずなのに、なぜか「苦労してやりくりしている」ように見えてしまう。さっき書いた「すりガラス状のカバー」もそれを隠す工夫として感じられてしまうし、その向こうから光の点が透けて見える様なんてもう、「隠しているのにバレてしまった」みたいに見える。
実際に進歩しているものが、外見も「進歩しているように見える」わけではない。
ここまで書いてきて気付いたが、考えてみればすりガラス状のカバー(文字数多いが正式名称が分からない)だって以前からあった。テールランプや、ウインカーや、バックランプは、カバーだったり凹面鏡だったりに刻まれた細かな凹凸によって、実際よりも大きな光、指向性の低い光に、擬態させられていた。つまり「いじらしい工夫」は昔からあった。
LEDへと替わってからもまだそういう工夫が必要なところに、面白さを感じる。
4. 最近プレイしたノベルゲーム
Eternal(開発:Kunsina)
主人公が少しずつ前向きになっていくのが良い。いじけてなくて。
あと、人工知能「テラ」のセリフにさりげない伏線……というか、作中の別のシーンを暗示する言葉が紛れていて、それが独特の魅力になっている。あるシーンでテラが語ることが、その後に描かれるまったく違うシーンと共通点を持っていたりする。
後のシーンでそのことに気付いて、かつて聞いたテラの言葉を思い出すとき、なぜか納得感があるというか、不思議な晴れやかさを感じる。「伏線」とすら呼べない偶然の一致みたいな言葉の重なりが、テラと主人公の人生を繋いでいる。
『ビフォアラ』Steam版での変更点詳細
ホラーノベルゲーム『ビフォー・アライビング・アット・ザ・ターミナル』は、日本時間の11月1日にSteamでリリース開始予定です。価格は無料。
これまでに出した完成版パッチや夏コミ版に比べて、Steam版での変更はほとんどありません。ストーリーの追加や大幅な変更などは無く、細かな修正のみ行いました。
変更内容は下記のとおりです。
システム面の追加 Steam実績を実装。また、(ネタバレ→)全クリ後にリセットして初めからプレイできる機能を追加。
文章の修正 矛盾点の修正、誤字脱字の校正、またクリック待ち位置の修正など。旧版よりも多少は読みやすくなっていると思います。
背景画像の追加・修正 新規の背景画像(街並みなど)を数枚追加。既存の背景画像の修正(写真の加工方法を多少変えるなど)。
Steamからは既にリリースの承認を受けていますので、11月1日にはリリースできると思います。多分。
よろしくお願いします。