WHITE NOTES

主にトッテナムホットスパーの分析

【トッテナムホットスパー】前半戦総括

スパーズは前半戦を18試合で10勝6分2敗、勝ち点36、4位から1ポイント差、2位から4ポイント差、首位からは10ポイント差の5位で終えた。待望のチャンピオンズリーググループリーグ3位で敗退、ヨーロッパリーグに回ることに。

個人的にはそこまで悪く無い、70点ぐらいの点数かなと。CLとリーグ双方で相当苦しい期間があったのは事実だが、地道に勝ち点を重ねてリーグ戦に希望を残せたのが救い。アプローチ、戦力が新しくチームに上乗せされ、昨シーズンの課題も段々と解決しつつある今のチームは間違いなく強くなっている。

 

まず前半戦のチームの状態とそれに対するポチェッティーノのアプローチから述べると、一番痛かったのはどうしてもアルデルヴァイレルト、ケイン、ラメラの離脱になってしまうだろう。どの選手もスペクタクルで替えが効かず、ネガティブな方向で全体に影響を及ぼす結果となってしまった。

 

アルデルヴァイレルトの離脱に従いダイアーをCBで起用せざるを得なかったが、CBとしての穴は彼が十分埋めてくれた。しかし、ダイアーをボランチで起用できないのは想像以上に痛かった。間違いなくチームを救ったワニャマと昨シーズン同じく救ったデンベレの組み合わせが機能するまで時間がかかったのが挙げられるだろう。どちらもフィジカルを武器とし、インテリジェンスに優れているタイプではない。後ろからショートパスで組み立てる際にボランチを起点にできない試合が続いてしまったのが結果的にチームの硬直化に繋がってしまった。その前にもアンカーワニャマ、その1列前にエリクセンとデレアリを使う4-3-3も試してはいるが、活性化するまでには至らず。


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この問題点から生まれたポジティブな点として、まず両サイドバック(ローズ、ウォーカー)のプレーの幅が更に広がったこと。特にローズは中央で何度もパスの起点となり、良質な楔を打って組立ての起点となっていた。ウォーカーは一人でタッチラインだけでなく中央もドリブルで運んでいける、状況を打破するボールキャリアーに。高い位置での仕掛けとクロスも段々と質が上がってきている。



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次に、アカデミー出身のハリーウィンクスの才能を見いだせたこと。モドリッチの移籍以来ボランチの位置で全体を組み立てられるプレーメーカーがいなかったスパーズ待望の選手であり、プレミアリーグでもトップ3に入るプロスペクトだろう。俊敏なターンで次々とパスを出し、全方向にリンクができる。なおかつインテリジェンスが高く、常にスペースを意識した持ち上がりができるのもポチェッティーノが好むポイント。左足も遜色無く、最近は鋭いミドルシュートも放つ。懸念される守備面も着々と成長しており、スタメン目前まで評価を高めている。

 

昨シーズンの大きな課題であったスタメンとサブの戦力の乖離は、間違いなく無くなってきている。


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1シーズン経過後と時間はかかってしまったものの、ソンフンミンは自分の価値を証明し始めたと言ってもいいだろう。リーグ戦6ゴールはデレアリと並ぶチーム2位で、9月の最優秀選手にも選ばれた。積極果敢な仕掛けのドリブルが通用し始めてからは自分のリズムでプレーできるようになり、両足から鋭いシュートとクロスどちらも放つ彼の1番の武器を発揮している。

先に挙げたワニャマは今季の新戦力ベストで、3列目の強度を一気に上げた。守備の対人に関してはスパーズで最強だろう。攻撃面でボールタッチとプレー選択共に課題がある。直近のセインツ戦では縦パス、高い位置での攻撃関与と良いシーンがあったので継続に期待。

補強の目玉と言えるヤンセンとムサシソコは、どちらも苦しんだ時間が長かった。ヤンセンポストプレーで一定の貢献はしたものの、どのようにシュートを打つかまだはっきりできていない。フォワードである以上、シュートのパターンを作ることが求められる。

ムサシソコは12月に入ってからフィットしたと言えるプレーになってきた。フィジカルとスピードを活かしたドリブルでボールを運び、ディフェンダーを引きつけてフリーの味方に渡す。この手のタイプで一番大切とも言えるプレーができるとそれだけでシソコの貢献度はぐっと上がるだろう。今後はシュート面で持ち味を見せてほしい。

 

後半戦への期待として、リーグ戦はCL、タイトルまで狙える位置にはいるが、目標としてはCL権だろう。6位ユナイテッドまで含めた熾烈な争いになる。

今シーズンはヨーロッパリーグを絶対に狙うべき。クラブの欧州での立ち位置という意味でも重要なコンペティションになってくるし、怪我組の復帰とサブ組の充実でリーグとEL、どちらも戦力をつぎ込める体制は整っている。

 

トッテナム×ストークから見る、ポチェッティーノの引き出し

スパーズスタメン(4-2-3-1):ロリス、ウォーカー、アルデルヴァイレルトフェルトンゲンデイビス、ワニャマ、ダイアー、エリクセン、デレアリ、ソンフンミン、ケイン

ストークスタメン(4-3-3):ギブン、キャメロン、ショウクロスマルティンスインディ、ピータース、ウォルタースアレン、ウィーラン、インビュラ、アルナウトヴィッチ、ボニー

・スパーズ対策のテンプレート

スパーズは基本的に自陣でボールを保持するが、前半、特に開始直後はハイプレスでスタートしたストーク。

DFラインとボランチに1トップ、サイドハーフインサイドハーフが突撃してスパーズの時間を奪う。スパーズのシステムは昨シーズンのメインである4-2-3-1だが、ボランチのダイアーワニャマコンビはどうしても組立てで連携、能力共に優れているわけでは無いので有効な策と言えるだろう。

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ハイプレスを行う時、後方のDFはマンマークぎみに押し込むケースが多い。この試合の前半ではピータースがエリクセン、両CBもデレアリとケインに厳しくアプローチするシーンが目立ち、縦パスを受けても刈り取られる傾向にあった。

前々からこのような強いプレッシングをスパーズは苦手としている。色々な理由はあるが、一番はデンベレのようなプレスを掻い潜るドリブルだったり、パス&ムーブでスペースを作るボランチがいない事が大きい。ビルドアップの整備はできているが、ハイプレスで時間を消されると厳しく、下がってボールを受けたがるケインにボールが入っても時間を作る前にボールを奪われる、というのがテンプレート。

この試合もそんな感じ。ソンフンミンが開いてデイビスが絞る、エリクセンが下がる等の細かい動きもあったが、機能しているかと聞かれてると微妙だった。

その状況を打破したのがデレアリ。ドリブルで持ち上がりつつターンでいなし、右サイドのエリクセンにサイドチェンジ、スペースを受けたエリクセンが結果としてチャンスを作り、中央のソンフンミンへの高精度のラストパスを出すことに成功した。デレアリは段々と周りを活かす技を習得し始めている。

デンベレ不在への答え

今シーズン、ポチェッティーノは昨シーズンの4-2-3-1とは違うシステムを二つ使っている。新加入のヤンセンとケインを前線で組ませた4-4-2と、デレアリを低めのインサイドハーフで起用する4-3-3(4-3-2-1)。

ストーク戦の後半も4-3-3を使った。

詳しく見ていくと、ワニャマに変えてラメラを投入し、エリクセンをトップ下、デレアリをボランチに配置するが、攻撃時はデレアリがガンガン前に上がる。普段は2ボランチが後ろにいることが多いが、前の枚数を1枚増やす狙いがあることが分かる。

こうした修正は、崩しの多様化に繋がっていた。中盤、またはサイドの1枚が相手のSB裏にランニングしてもサイド、中、前に人が残っている分SB裏へのランを多発してもバランスが崩れず、それによりストークの中盤をより押し込むことに成功。常に両サイドに人を置いて、SBをパスの出し手に設定しているように見えた。

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SB裏にランニングする崩しの何が有効かというと、相手のボランチ、CBのどちらかを動かす事ができる事が挙げられる。ボランチがついていけばバイタルが空くし、CBがついてくれば中央のCB間のスペースが空いてクロスが通りやすくなる。デレアリだけでなくソンやシソコもそのスペースに走っていたので、チームとしての狙いがあったと予測している。

・結論

CLを戦う今シーズン、より色々な選手を起用する必要性があり、新しく試用している4-4-2や4-3-3が機能するとよりスムーズな試合運びができそう。

16-17序盤戦まとめ

16-17シーズン始動と展望

激動の15-16シーズンを終え、ユーロ2016を挟んで迎えた16-17シーズン。

・補強、放出

昨シーズンを通しての課題であった選手層の薄さが最重要の改善点であったが、ヴィクター・ワニャマとフィンセント・ヤンセンという実力者2枚の補強に成功した。

この2人が加わったことで選手のバランスはかなり良くなった。これから必要になる人材はサイドで個の勝負を仕掛けられるドリブラーアルデルヴァイレルトエリクセンそれぞれの控えだが、アカデミーからの抜擢で解決できる問題でもありそうだ。

 

プレシーズンマッチ

毎シーズン開幕前に行われるプレシーズンマッチはそのシーズンで監督がやりたい事が見え、試したい選手が多く起用されることが多い。

スパーズはユベントスアトレティコという格上の2チームと対戦した。

目立ったのはやはりアカデミーの選手。左サイドバックで突破を仕掛けたミラー、ボランチで何度も有効な配球をしていたウィンクス、センターバックでの競争に加わる実力があるのを証明したビッカース、弱冠17歳ながらトップチーム契約を勝ち取ったエドワーズあたりは十分なアピールができたのではないか。

新加入となったヤンセン、ワニャマもデビューしたが、特にワニャマは良い意味で裏切られた感がある。フィジカルを活かしたタックルも勿論、インテリジェンスが求められるビルドアップでのポジショニング、CBとボランチを操る配球能力、展開と縦パスのバランス等万能なプレーが目立っていた。当初はダイアーの相方役としての補強だと思っていたが、アンカーとしての起用でも活躍できそうだ。

ヤンセンは主に1タッチでのポストプレーが印象にあり、期待通り1トップのフォワードらしいプレーだったと思う。常時トップでポイントを作る選手が増えたのはかなり大きい。ラメラ、デレアリ、エリクセン、ソンフンミンはいずれもバイタルエリアで前を向いての仕事に長けるが、最前線の潰れる仕事はケインに依存していた面は否めなかった。それ故にヤンセンの存在は枚数以上の効果がある。最前線だけでなく広い範囲でプレーするのを好むケインとの同時起用は新しいオプションを増やす可能性もある。

 

・16-17シーズン展望

昨シーズンのレギュラー11人でのサッカーはほとんど完成しており、修正するとするならサイドでの起点を増やすこと。安定した2バック+2ボランチでのビルドアップ、両サイドバックのオーバーラップと前4人の超流動的な定位置攻撃、ハイプレスからのショートカウンターポチェッティーノが志向するビジョンが見えた1年であった。

今シーズン、新しくオプションとして加える可能性がある戦術を述べてみる。

まずは3バック。両サイドバックをオーバーラップさせる現行の戦術はどうしてもカウンターに弱い側面と、サイドの起点をSBが上がるまで作りにくい側面の二つの弱点がある。3バックとサイドアタッカーの起用で前線の枚数と予防的マークの両方のバランスをとることが可能になる分、試す価値はある。

次に3センターの導入。昨シーズンまでは一貫して2ボランチエリクセンがサポートする形をとっており、ラメラ、デレアリがサポートする時はエリクセンが2列目の仕事をするシーンが多かった。

しかし、ボランチの控えとして計算されているトムキャロル、メイソン、デレアリは2センターで起用する選手では無いのが現状のジレンマ。ダイアー、デンベレ、ワニャマ以外の選手で戦う試合は中盤に3枚並べるのも現実的な戦略ではないか。

4-2-3-1を更に向上させるとすると、サイドバックサイドハーフの役割整理が挙げられる。サイドバックが中へ絞ったり、3バックに変形してバランスをとる(昨シーズンから試してはいた)。サイドハーフが中に絞るだけでは無くサイドに張って、縦への突破をレパートリーに加える。ラメラ、ソンフンミン、デレアリは縦への突破ができる能力はあると思う。勿論中央でのプレーを得意としているのも分かるが、時には個での突破も有効な選択肢として持っておいて欲しい。

 ・目標

リーグはCL権獲得。優勝争いができればベスト。

CLはベスト8。

TottenhamHotspur 15-16シーズンまとめ

・基本システム
4-2-3-1 
攻撃時 3-4-2-1、2-4-1-3 守備時 4-4-2
GK ロリス、フォルム
RSB ウォーカー、トリッピアー
LSB ローズ、デイビス
RCB アルデルヴァイレルト、ダイアー、ビッカース
LCB フェルトンゲン、ヴィマー
アンカー ダイアー、デンベレ、ベンタレブ
攻撃的CM デンベレ、デレアリ、エリクセン、キャロル、メイソン、ベンタレブ、ウィンクス
インサイドハーフ エリクセン、デレアリ、キャロル
トップ下 エリクセン、デレアリ、オノマー、プリチャード
シャドーストライカー デレアリ、ソンフンミン、エンジェ
サイドハーフ ラメラ、ソンフンミン、エリクセン
サイドハーフ エリクセン、ラメラ、ソンフンミン、シャドリ、プリチャード
フォワード ケイン 
※並びは序列順

・定位置攻撃の一時的な完成
アルデルヴァイレルト、フェルトンゲン、ロリスに+してダイアー、デンベレの5枚でのビルドアップのオプション増加
エリクセンが自由に降りてオーガナイズすることによる攻撃の幅、クオリティ増加
サイドバックがサイドの幅をとる為にオーバーラップ(ビルドアップが安定している時は機能)
サイドに張らず、極端に絞ってボックスで得点に絡む(ニアへのデコイラン、動き直してクロスに合わせる等) 

・ハイプレス~ショートカウンターの完成
前線からのプレス、中盤の押し上げ、マーク、サイドのケアをチーム全体(ケイン含む)で構成。
バイタルエリアをカバーするボランチ(ダイアーとデンベレ)が釣られた時のマイナスクロスへの対応は修正が必要。

・試合の進め方に大きな課題
リードした展開でのカウンターとポゼッションの使い分け、引いて守る守備と前から仕掛ける守備の使い分けのチョイスミスで攻守のバランスを崩すシーンが多い。

・乏しい控えメンバー
3列目の変わりが現状アタッカーとしてスタメンのデレアリしか計算できない。試合途中で修正しようにも駒が圧倒的に少ない。
試合の展開を個で変えられるドリブラーと前線のターゲットになるストライカーも要補強。

・まとめ
フルメンバー、なおかつ目的がはっきりしている場合はプレミア最強。対ビッククラブでの得点力、引いて守る守備の修得、3バッグの恒常化による定位置攻撃の拡大など、オプションを増やす選択肢をポチェッティーノがとるか。現状のシステムを極め、どのシチュエーションにも対応できる戦い方を身につけるか。補強も含めてチェックしたいです。




トッテナム×アーセナル

スパーズスタメン:ロリス、ウォーカー、アルデルヴァイレルト、ヴィマー、ローズ、エリクセン、ダイアー、デンベレ、ラメラ、デレアリ、ケイン

アーセナルスタメン:オスピナ、ベジェリン、メルテザッカー、ガブリエル、ギブス、ラムジー、コクラン、エルネニー、サンチェス、エジルウェルベック

スパーズはデンベレが復帰。アーセナルの構成が少し変わっていて、2センターにエルネニー、その1列前にラムジーを起用している。

 

・スパーズ対策

徐々に明らかになってきたポチェスパーズの形。形が見えてくれば対策されるのも当然で、この試合は主にラムジーの起用法に色が見えた。

コクランとエルネニーでしっかりバイタルをケアし、その上にラムジーを置く。いわゆる2センター補佐のような動きで、バイタル脇、スパーズのボランチ(デンベレダイアー)を見る等サイドハーフに任せるには厳しい役割を設定できるのが強みだろう。前の3人(エジルウェルベックサンチェス)は前に残り、プレスを仕掛ける。

スパーズのサイドハーフ(デレアリ、ラメラ)は極端に絞る。バイタルで縦パスを受けて起点を作る役割があるが、ラムジーがいることで少し難しい展開になった。CBSBの押し上げ+3枚のCHに挟まれる中で繋ぐのは難しく、ラムジーが絞ることによってできたローズのスペースとデンベレエリクセンを中心に試合を進めていた。

 

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25分にスパーズに決定機。フリーになったローズからデンベレに渡り、デンベレがラメラとワンツー。更に横にいたエリクセンに繋いで一気に縦のケイン、パスのこぼれ球をウォーカーがマイナスに送ってラメラがシュート。左サイド→中央→縦→右サイド→中央と、崩し方としてはとても綺麗な形だっただけにオスピナを褒めるしか無いかなと。

スパーズのディフェンスは4-4-2。前2枚がCB、サイドハーフサイドバックボランチにガンガンプレスに行って、後ろが連動する仕組みはほとんど浸透しているだろう。

アーセナルエジルウェルベック中心に攻める展開が多く、エジルがデンベレとサイドハーフの間で受けて起点作り、ウェルベックはアルデルヴァイレルトにスピード勝負を仕掛けるシーンが目立つ。特に後者は何回かチャンスを生み出していた。

38分にアーセナルがその形で先制する。スローインからウェルベックがアルデルヴァイレルトとヴィマーの裏を取り逆サイドのベジェリンに展開、中に戻してラムジーのヒールが炸裂するという実にアーセナルらしい攻撃をやられた。これに関してはアーセナルを褒めるしか無いと思う。ダイアーのパスカットが相手側に転がってしまった不運にラムジーの素晴らしいシュートが重なった。

 

後半もほとんど同じ展開で試合は推移。少しアーセナルが前に強くなった。

54分、コクランが退場。前からくるアーセナルをロングボールでかわす。ケインがギブスの裏に走り込んだ時点でコクランが後手を踏んでいたのは分かるけど、安易なスライディングだったと思う。

60分スパーズ同点。コーナーキックの直前のデンベレのキープがとにかく素晴らしい。中盤で引きつけてローズが走るスペースを作り、直後のコーナーをアルデルヴァイレルトが逆足で打ち込んだ。

勢いのまま縦に走るスパーズ。ヴィマーのロングボールに走り込んだデレアリのヒールパスでフリーになったケインのスーパーミドルで逆転!

段々と打ち合いになったノースロンドンダービー。ダイアー、ケインのシュートのどちらかを決めていれば勝っていた可能性もあったが、75分にアーセナルが追いつく。エリクセンのクリアボールのこぼれ球をベジェリンがシュート、ローズがブロックするもメイソンのパスが繋がらず、ショートカウンターを浴びる。ラムジーからベジェリンに展開され、デンベレの裏に走り込んだサンチェスの冷静なフィニッシュが決まる。

このシーンはメイソンの判断が勿体なかった。押し込まれていた分大きくクリアしても良かったし、ラムジーが前を向いた時にもっと詰めれたはず。

その後はお互いに打ち合うもロリスがオスピナが防いで試合終了。

この試合は攻撃面で少し改善点が見えた。ケインとデレアリが前を向いた時にもう少し連動した攻撃が欲しい。ミドルのコースが見えたら打つ姿勢も大切だが、違う選択肢があった方がよりミドルシュートが際立つとは思う。

 

 

15-16トッテナムホットスパー研究①

・今シーズンのポチェッティーノはチームを一気に改造した。昨シーズンの地盤固めから一転、細部まで現代的なチームに仕上げている。

4-4-2、4-2-3-1、4-2-1-3、4-3-2-1、4-3-1-2、3-4-2-1、3-1-5-1とシステムを同じ選手で試合中に可変しまくるのがポチェスパーズ。選手によって変えているのか、選手の判断なのか。エリクセンの位置で決まっているのか。4-3-2-1のまま1試合やる時もあるので何とも言えないが、今後どのように完成させていくか楽しみ。

・「選手の素材」を活かすのが戦術の最大目的とすると、今の布陣で外せないのはエリクセンエリクセンはトップ下、左サイドハーフ、右サイドハーフ、左インサイドハーフ、右インサイドハーフボランチの全てのポジションを遜色なくこなせて、流動的なピッチ全体のバランスを見れる。彼はなんと言えばいいか、上手く言語化できない。底が見えないし、スパーズに来て一番成長した選手。

・ケインは絶対的なフォワードになった。両サイド、1トップ、10番のスペースでのポスト、空中戦、ドリブル突破、サイドチェンジ、クロス等ゴール前以外の仕事もこなせる。ゴール前での細かいラストパスは得意では無いが、それをカバーする両足からのシュート能力。振りぬく速度が化け物級で、コースにズバッとミドルシュートを打ちきれる。ファーへの巻いた、いわゆるコントロールシュートも狙えるようになり、しかも左足で打てるのが凄い。

・シャドリの復帰、進化。最前線から流れ、ペナ角付近のエリアでボールを預けられる存在になれたのは大きい。エリクセン、デレアリ、ラメラには中々こなせない仕事。シャドリだけでは厳しいが、ソンやエンジェと組めばケイン不在でも十分機能する。

・ベンタレブとキャロル

前者はアンカー、後者は2列目起用がフィット。キャロルの判断スピードと瞬発に得点とアシスト、守備が増えてくると面白い。

ベンタレブはワンタッチでの配給といなしでダイアーに比随かそれ以上。大成するための大きなステップとなる単体でのゲームメイク(ペースダウン、リンクの中心)が欲しい。