野生のはてなブログ

twitterに書くには長すぎQiitaやサークルサイトに書くには雑多過ぎる話題を書いていきます

DAW「REAPER」でお手軽高機能なリアルタイム・バ美肉ボイスチェンジを行う

REAPERとは

Cockos Incorporatedが開発・販売を行っているデジタル・オーディオ・ワークステーションDAW)です。

DAWなのでMIDI打ち込み・非破壊エフェクト適用・動画合わせなど音楽制作全般に用いることができるソフトで、個人向けライセンスが$60、粗収益2万ドルを超える場合の商用ライセンスが$225ドルと、フル機能DAWの中でも個人ユースに向いたお手頃な価格設定となっています。

https://www.reaper.fm/v5img/ss.png

バ美肉とは

バーチャル美少女受肉」の略です。

(参照:バ美肉とは (バビニクとは) [単語記事] - ニコニコ大百科

恋声で男声音を女声音に変更するVtuberが多いことからこの名が付いていますが、本稿で説明する手法を使うと女声音から男声音への変換もかなり容易にできるので、今後は「バーチャル美(少女|男子)受肉の略になると嬉しいです。

1. REAPERを起動する

REAPERは有料ソフトですが、60日間は無料でフル機能を試用する事が可能です。そのため、本稿の内容をそのまま試してから購入。といった事が可能です。

REAPERを立ち上げると、初めにこういった空のプロジェクト画面が表示されます。

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1.1 音声トラックの追加

この状態から、下の画像の赤丸で囲んだ部分をダブルクリックすると音声トラックが追加されます。

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1.3 録音状態の有効化

左の暗赤色の〇は音声の入力を有効/無効化するためのボタンです。この表示では無効となっており、いくらマイクに向かって声を発しても何も起きないので一度押して有効化します。

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ボタンが赤くなり、また、既にマイク設定が正常に動いていればトラック右のメーターに音声信号が表示されるようになります。(デフォルトテーマでは黄色)

1.4 録音モニタリングの有効化

録音状態ボタンの下の列にある「IN (▼)」の右にある灰色のボタンは、録音モニタリングの状態切り替えボタンです。こちらもデフォルトでは無効になっているので、1クリックして有効化します。

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上のスクリーンショットの状態になっていれば、PCのマイクが音を拾うとその音がそのままPCのスピーカーから再生される状態となっているはずです。

もしPCのスピーカーから音が出ていない場合、PCのサウンド設定を確認してください。

https://support.microsoft.com/ja-jp/help/4026994/windows-fix-sound-problems

2. ReaPitchで音声のピッチを変える

2.1 ReaPitchをトラックに追加する

1.4の後、トラックの上の列にある「FX(エフェクト)」ボタンをクリックすると、Reaperにインストールされているエフェクトの一覧ウィンドウが表示されます。

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Reaperはフル機能のDAWなので、EQ(イコライザー)やDelay(ディレイ)、reVerb(リバーブ)などの音声処理に使えるエフェクトが始めから入っていますが、今回はボイスチェンジが目的なので「VST: ReaPitch」を選択してOKをクリックします。

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2.2 Pitch Shift Modeを最善にする

Reaperは商業開発ソフトなので、zplane社が開発しているプロオーディオ向けのピッチシフトアルゴリズムエンジンélastique Pro/Efficient/Soloist 2.x/3.xを標準で搭載しています。

新規インストールの場合、「Project Default」で既にélastique Pro(全機能を持つ最上位版)が設定されていますが、この状態で恋声の「M→W」設定と同じピッチ1オクターヴアップ、フォルマント4半音アップの設定を適用すると恋声とは違いかなり機械的な音声が出力されてしまいます。

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・元音声

・デフォルト設定

 

これは、デフォルトの設定が原音のフォルマントを無視した変換を行っているためです。そのため「Pitch Shift Mode」Algorithmをクリックし、一覧から「élastique Pro 3.2.7(Windows版だと文字化けしてéが漢字になっています)」を選択します。

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次に、Parameterをクリックし、「Preserve Formants (Most Pitches)」を選択します。

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これは、「フォルマントを保持/維持する(ほとんどのピッチで)」という意味で、元の音声を考慮したピッチ・フォルマント変更をしてくれる設定となります。

これを適用した音声がこちらです。

・フォルマント保持設定

このように、野太い地声でもかなり自然な高音ボイスになりました。声が低すぎる/高すぎると言った理由で地声だとMost Pitchesでロボットボイスになってしまう方は、Lowest Pitches/Highest Pitchesを試してみてください。

2.3 恋声よりも設定の幅が広く試聴が楽なReaPitch

恋声の場合、ピッチとフォルマントの変換は半音の2分の1(50セント)単位でしか設定できませんが、ReaPitchの場合は1セント単位から設定する事ができます。

また、恋声の場合は録音ボタンを押して変換モードになっている状態でしかボイスチェンジできませんが、Reaperの場合は上記設定で常にモニタリング+変換処理が実行され、最新版(5.95)で確認した所メモリリークも無い(メモリ使用量45.1MBのまま変動無し)ため、長時間使いっ放しにすることができます。

ただし、使っているオーディオデバイスが長時間の音声再生に対応していない可能性があるためオーディオデバイスのドライバはちゃんと常に最新にしておきましょう。

BIT VALLEY 2018でバ美肉した際、ヤマハAG03のWindows標準ドライバでは不定期にノイズが載ってしまい、ヤマハの公式サイトから修正済みのドライバをインストールすることで改善しました。

image.itmedia.co.jp

download.yamaha.com

3. Reaper+ReaPitchでバ美肉する

Reaperはフル機能DAWなので、標準でもイコライザー(ReaEQ)やデノイズ(ReaFir)などのエフェクトが付属していますし、VSTプラグインを使用できるので下記ページで紹介されているVSTプラグインも使用する事が出来ます。

purureko.com

今回マグロナちゃんの定番フレーズを野生の男の声でReaperのみで変換した音声がこちらになります。

・元音声

 

・変換後

 また、Blenderモデリング講座のzenさんが女声から男声へ変換を試してみた例もあります。

www.youtube.com

 Reaper自体がフル機能のDAWなので、ボイチェン以外にも無料・有料のプラグインを使ってSEを作ったり音楽を作ったりする事も可能になります(例:喉を鳴らす声を低音にすると野獣の咆哮みたいになる)。

・元音声

 

・変換後

 

Reaperには日本語化パッチもあるので、

GitHub - Phroneris/ReaperJPN-Phroneris: 製品版REAPER日本語化パッチ(森)

これをきっかけにDTM生活を始めるのも良いでしょう…!(そして10万円台が1万円台でセールされるプラグイン沼にハマるんや…)

3. 宣伝

 2018年初の記事更新がこんな内容ですが、私野生の男は本職でエンジニアをやっており、趣味でゼロ年代高専時代から同人ゲームを作ったり、2012年にOculus Rift DK1のKickstarterにBackして日本初のVR同人ゲームを作ったり色々すぎる所で展示してきたり、今年はサンフランシスコのGame Developers Conference、浅草橋のTokyo Sandboxパシフィコ横浜CEDECを経て、今週20~23日に幕張メッセで開催される東京ゲームショウ2018に初出展します。

youtu.be

1人で作っているので宣伝とか全然やってこなかったため、今年初めてVRChat等でVRを触った方には全く知名度が無いかと思いますが、これでも日本国内で4つも賞を頂いたり台湾HTC本社様のイベントブースに出展させて頂いたり、めちゃくちゃ面白いゲームなので首都圏の方や東京ゲームショウに用事がある方はぜひ幕張メッセ9ホールのインディーゲームコーナーA80番ワイルドマンブースにお越しいただければと思います。🙏

 

それでは良いバ美肉ライフを!

Unityでゲームを作った際に「カクカクしている」と言われないためのTimeSettings.FixedTimestep講座

はじめに

 土日は久しぶりに一般参加者としてOcufesに参加してきました。そのため出展側で参加するいつものOcuFesよりも多く他の方のアプリを体験することができました。盛況だったので残念ながら全てのコンテンツを体験することはできませんでしたが、酔い対策もフレームレートも十分なコンテンツ、スマートフォンなので時々フレームレートが落ちるが許容範囲なコンテンツ、このご時世にOculus ReadyどころかGPUを搭載していないノートで展示しているコンテンツなど、色々体験しましたが、一つ気になったのがフレームレートは足りているのにカクカクするコンテンツです。「フレームレートが足りているのにカクカクするってどういうこっちゃ」と思われる方が多いと思いますので、以下で解説していきます。

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Oculus PC SDK 0.7がリリース。Windows 10の暫定サポートも追加

多少延期されつつも公開

前回の記事 

yaseino.hatenablog.com

 を書いたあと、直前になってバグが発覚したとのことでリリースが延期されてしまいましたが、日本時間の今日Oculus PC SDKの0.7がリリースされました。

developer.oculus.com

 

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Oculus PC SDK 0.7が8月20日(日本時間21日頃)にリリース

Oculus VR社がOculus PC SDKの新バージョンである0.7のリリースを予告しました。

developer.oculus.com

Oculus VR社がソフトウェアのリリース日を事前に予告するのは今回が初めてということからもその重大さが窺えます。

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ニコニコ超会議2015に出展します

 今週土日に開催されるニコニコ超会議2015の10ホール

東京オッキューランド @ ニコニコ超会議 4/25、26 | Oculus Festival in Japan

にて

yaseino.hatenablog.com

で展示したThe Gunner of Dragoonの最新版を展示します。

 

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11月16日は秋葉原UDXで蒼いドラゴンに乗ろう!

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突然の更新ですが今回は4日後に迫ったデジゲー博の参加告知です。

僕が所属する(僕しか居ない)同人ゲームサークルHydrangeaでは上記の通りドラゴンに乗るゲームのプロトタイプ初展示を行います。僕が作ったものなのでいつもの通りOculus Rift専用です。Oculus Rift専用のドラゴンゲーというとDK1時代のEpic Dragon VRがありますが、このゲームはそれとは大きく異なるものになってます。

 

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インディーゲーム開発者なら安くorタダで使えるソフトウェアのメモ

 ここ最近インディーゲーム開発者を対象に、安価や無償で使える開発用ソフトウェアが増えています。その中で使えそうなものを以下にリストアップしてみました。

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