被害者なのになんでこんな面倒なことしないといけないの!?
ごあいさつ
はじめましてluckyと申します。
自動車・損害保険、交通事故関係の仕事をしてます。
これから、交通事故の関する記事をアップしています。
出来れば交通事故の関連の本に載っていないような話や
載っていても、かみ砕いて解説できればと考えております。
どうぞ、よろしくお願いいたしますm(__)m
本日のテーマ
「被害者なのになんでこんな面倒なことしないといけないの!?」です。
この言葉はある運送会社に休車損害の調査に行ったとき言われた一言でした。
休車損害というのは、事故のよって運送会社の保有する車両が使用できなかった
場合、使用できなかった車両が稼いでいた利益を補償するものです。
使用できなかった車両が稼いでいた利益を算出するために、必要な書類を運送会社
の担当者へお願いしたところ、「こっちは被害者なのに、なんでこんな面倒な書類
を準備する仕事までしなきゃいけなんだ」と、お怒りの一言。
事故をもらった上に面倒な仕事まで押し付けられてと、運送会社担当者の 言い分は
「確かに面倒なことを押し付けているな」と言えるものです。
被害の主張と証明は被害者がする
しかし、被害を填補する保険金請求をするのは被害者です。そして被害者は、損害
額の主張とその証明をする必要があります(民法709条、715条)。
でも、なんで被害者自身による損害の証明が必要となるのでしょうか?
教科書的な説明では、被害者には、被害についての主張責任と証明責任がある。
主張責任とは、事実があることにより有利なる者が、事実を主張しなければなら
ない。 で、事実とは実際に生じたこと、それによってある権利の発生・変更・
消滅を基礎付けることです。だから被害者が被害のあった旨の主張しないと、
被害の事実はなかったとされてしまいます。
また、事実が存在(または真偽)不明になれば自己に不利になる判断をされる者
が、 事実を証明しなければならない。この証明とは事実が真実であると確信を
抱かせるために証拠を提出する行為、 事実が真実であると確信を得た状態のこと
です。だれが見ても事実があると納得させることと考えるのいいのでしょう。
被害者の責任を知らない人がいる
「なんで保険会社は被害がありませんか?」って聞いてこないのかって怒鳴る
被害者がいます。
それから「保険会社は示談のときの相場を知っているのだから、被害者から証明
する書類を出す必要ないだろう」という被害者もいます。
さらに「こちら(被害者)が言っていることが証明だ」とまで言う被害者もいま
す。
もっというと「保険金が出るから」と決めつけて損害の拡大を防止しない人
(徒歩で通院できるのに、公共交通機関で通院する人)や交通事故とは関係の
ないことまで請求する人・・・・・・。
こうなると「被害者だから」と言われても可哀そうに思えません。
損害があるなら被害者自ら保険会社担当者または加害者へ被害があると伝えれば
いいのですから。示談はお互いの主張をぶつけ合う場のですから、お客さん気分
でいるのは、いかがなものかと思います。
また証明や相場を加害者の委ねるのは、お人よしすぎます。加害者側である保険
会社が「損害を証明するものはありません」とか、相場よりもはるかに低い価格
を提示したら、それで納得できるのでしょうか?
被害を拡大したり、被害とは関係ない事柄まで被害に上乗せするのは
言語同断です。
結論
結局、「被害者なのになんでこんな面倒なことしないといけないの!?」と、言
うものの、その「面倒なこと」は被害者の正当な権利を獲得するための、必要経
費なのです。 被害者であっても権利の上に眠ることは許されていないのです。