ようこすのブログ

忘却の彼方に行ってしまわれるあれやこれやを書き留めておくところ

全妊娠中、4割は自然淘汰される

coloponさんのエントリーを見て、私も思うところあって書いてみます。

タイトルですが、びっくりですよね。
私も、息子の人を授かる前に一度流産しました。その時に診てくださった先生が仰っていたことです。
「弱い卵子、弱い精子が受精できても、育っていけなくて流れたり(流産)します。育っていく中の一つの過程で、自然淘汰なんですよ。妊娠に気づく前で、ちょっと重めの生理?ってくらいで流れていくものから、お腹の中で育っていっても死産になるものまで含めると、全妊娠数のうち4割は自然淘汰で消えていきます」と仰っていました。
具体的な細かい数字の提示はなかったけど。私も裏付けが取れなかったけど。

でも、妙に腑に落ちる説明でした。
「4割の人」はそれを自分から公表することはありません。つまり、4割の経験は妊娠経験のない人たちには共有されてきませんでした。だから、一般的には残りの6割のうち、問題なく出産に至ったケースだけ広まります。つまり、妊娠経験のない人からしたら「妊娠=無事出産」だと思いこみやすい環境なのです。6割のケースしか知らないんだから当然です。

私は知られていない4割のケースにあたっただけなのです。4割といえばまあ結構な確率です。

私も流産してすぐは4割の人の大多数と同じく、自分の経験を他人に公表することはしませんでした。思いのほか、流産というのはダメージが大きいです。肉体的にはプチ出産と言ってもよく、しばらく出血が続きます。精神的には、母は取り残され、自分を責め続ける、という感じかな。まだ顔も見られない胎児でしたが、間違いなく腹に子供がやってきた時から、私はお母さんでした。なのに、母ちゃんだけ残して子はどっかに行ってしまったのです。「妊娠=無事出産」だと思っていた新米妊婦には結構辛い現実でした。しばらく私は抜け殻でした。

変な話ですが、息子の人を妊娠した時も、正直「また流産したら嫌だなあ」と真っ先に思いました。心拍が確認できても心配で心配で、つわりが酷くても辛くても心配で心配で、22週(※)超えても心配で心配で。胎動を感じるまではずーっと「いつ、この生命が消えてしまうのだろう」とビクビクしていました。今、大暴れしてる息子の人を見るとただの笑い話ですが、渦中だとマジ苦悩です。
※22週…23週以降は早産で産まれても救命できる可能性が出てくる。中絶できるのも22週まで。

無事妊娠出産できた今でも、妊娠中出血があり(細胞分裂上2〜3割ある事例)ずっと安静だった人とか、ずっと張り止めのお薬を飲んでいた人とか、仕事をセーブせざるを得ない人とか、産まれるときに病院に間に合わなかった人とか、産まれたあとに血圧がコントロールできなくなった人とか、友人・知人・入院中、いろいろな方を見ました。
私一人と人生がクロスした人だけでざっとこれだけ集まるのです。妊産婦が集まる産婦人科はどんだけの大変な事例があるんだって話です。

妊娠っておめでたいことですが、実は「一寸先は闇」、常に死がそこにあります。本当におめでたいことが約束されているわけではないのです。「一寸先は光」を積み重ねた結果が、出産であり、育児のスタートです。

そう考えると、無事に大人になれた私たちは、どれだけの光を積み重ねてきたのだろうと思います。みんな頑張ってるよね?

 

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