何度か通信制高校のオープンスクールに行くうち、娘のやじろべえは少しずつ傾いているようにも見えます。
娘が「普通高校を卒業して…」と言ったのがきっかけで、高等支援学校だけじゃなく、普通高校にも視野を広げたのですから、結果的にそうなっていくのは予想通り……ではあります。
そう言いつつも、はじめのうちは、特別支援のない普通高校 (たとえ通信制であっても) でやっていけるのか、娘自身も不安はあったようです。
しかし、オープンスクールに行くうち、その空間には慣れてきたようだし、学校説明を聞き、興味がわいた部分もあるようです。
何より体験授業が魅力的で…… 子供達が興味を引きそうな内容なので、商売上手だなーとも思います。
とは言え先生方が、娘がほかの生徒達とぎこちなくならないように、それとなく立ち回ってくれるのはありがたい事です。
しかし母の中ではまだ、「通信制高校のほうがいい」とジャッジできない気持ちがあります。
もちろん娘にも、まだ結論を求めず、ただその日の感想を聞いたり、高校生活をイメージしてもらう程度です。
選択としてはきっと無いとは思うけど、とりあえず全日制高校もこれから見学したいし、最終決定するまでまだ時間に余裕はあるので、ギリギリまで時間をかけて迷いたいなとも思います。
通信制高校を見学してみて思ったことは、ひと昔前に私がイメージしていた通信制とは、かなり違うという事です。
通信制高校って、自宅でひとり黙々と勉強して、テスト (スクリーニングだっけ?) だけ受けに行く感じ。
そして本人の強い意志がないと、卒業できないイメージでした。
もちろん今も、年に何日か通うだけで、あとは自宅で勉強するコースもありますが、制服を着て毎日登校するという、一見、全日制と殆ど変わらないようなコースもあります。
そのほかに、週に1日や3日の登校という選択もあり、その子の状況や進路に合わせて、コースや授業が選択できる…… そうです。
(各学校によりそれぞれ特徴があるので、調べて比較する必要がある)
何にしても、全日制よりも少人数クラスで、自分に合った時間割で、自由な感じ、ではあります。
楽しそうな授業もあり、娘が心奪われてしまうのもわかります。
でも、ただ楽しいだけで3年間過ごせるのかな?
3年間だけじゃなく、卒業後の進路にどう影響するのか?
人生そう甘くはないような気持ちになり、つい慎重になってしまうのでした。
そこで、3年間の高校生活を、今、手元にある情報を整理し、高等支援学校と通信制高校とで比較してみます。
(あくまでも我が家流の情報なので、ゆるい参考程度に読んでみください)
【 学校での授業などについて 】
娘は勉強が好きではありません。
知的な遅れはないが、特性を考えると本来、普通高校は難しい。
なので母としては、娘が小学生の頃から自然と、高等支援学校(知的障害)に進む事を考えていたし、職業学科だと思いました。
というか、殆どの高等支援学校が職業学科だったので。
* 高等支援学校 (知的障害) の普通科について
高等支援学校 (知的障害) の 普通科は、この地域ではここ2〜3年に新設されたのですが、寄宿舎ではなく通学コースなので、家からは遠いし、はなから対象外ではありました。
なので、詳しく調べもしなかったのですが、授業内容は職業学科よりも5教科しっかり学習するようだし、パソコンなどの授業もあるみたいです。
しかし、まだ卒業生も出ていないので、卒後の進路先などはわからないし、普通科と言っても、知的障害の学科として位置付けられているので、ちょっと捉えにくい感じです。
しかし、進学を考えている高等支援学校は職業学科なので、作業訓練や仕事のスキルを身につける事に重きを置いているのは確かで、教科の勉強は社会生活に必要な基本的レベルのものになりそう。(小中の支援学級でもそうだったけど)
その辺りが、娘の違和感というか、ピンとこないところ、興味を削ぐところみたいです。(勉強は嫌いだけど)
あとは、高等支援学校に入ると寄宿舎生活になるので、色々な制約があるのが不自由さを感じるところかも。(携帯やインターネットができないなど)
ただし、週末は自宅に帰ってくるので自由に過ごせます。
(金曜の授業終了後から日曜日の夕方くらいまで)
通信制高校については、先ほど書いたので省略。
通学は、慣れれば何とかなると思ってます。
【 卒業後の進路 】
卒業後、就職を考える場合。
通信制高校の卒業後の進路は、就職よりも進学する率が高いようです。
もし就職を選んだ場合、どのくらい相談に乗ってもらえ、協力してくれるのか。
(因みに高等支援学校に進んだとしても、保護者が動き回り、就職先を開拓しなければならない……と先輩ママから聞いた事がある)
福祉サービスを利用して仕事を探すにしても、生徒の学校生活の様子を学校から説明してもらえたり、仕事探しにある程度の協力をしてもらえると、心強いと思うのです。
(その辺は高等支援学校の方が手慣れてはいるんだろうなあ)
逆に、大学や専門学校に進学するなら、高等支援学校よりも通信制高校のほうが、親身になってくれるような気がします。
なぜなら、通信制高校パンフレットには進学率を誇る表現がされており、通信制でも進学できる、進学するチカラ (学力) を育てる、というアプローチが感じられます。
高等支援学校 (知的障害) の職業学科となると、卒後はやはり就職が圧倒的に多く、進学するケースはごく僅かです。
就職の内訳は、一般就労と福祉的就労(就労継続A/B・就労移行支援など)があるが、割合としては一般就労は少ないです。
進学は専門学校や能力開発センターがある。(1人とか)
なので、今さらながら、当然、就労を見据えた高校生活なのです。
高等支援学校で進学を考えるなら、職業学科ではなく普通科に行くべきなんでしょうね。(高等支援学校の普通科も見学に行くべきだろうか……)
通信制高校でも、レベルの高い大学や専門学校でなければ、卒後の進学は問題ないとしても、進学できるかどうかより、その頃に娘がどれくらい成長できていて、それに見合う場所が探せるかの方が、重要な気がします。
行きたい大学や専門学校が決まっているなら、それに向けての高校選びになるし、それが一番の王道でしょうね。
娘はそこまでは決めてはいないけど、専門学校に行きたい気持ちがあるなら、高等支援学校の職業学科は対象外なのかもしれません。
しかし、たとえすぐ就職にならなくとも、高等支援学校の3年間で得られるスキルは無駄ではない気がするし、支援が手厚いのなら、安心して学校生活を送れるのではないかな…… と期待してしまうのです。
【 支援について 】
今の通信制高校は、以前よりも、不登校や発達障害のある生徒を視野に入れているようですし、配慮が強く感じられる学校もあります。
しかし、通信制といっても普通高校ではあるから、必ずしも特別支援の免許を持った先生がいるとは限らず、
(実際聞いてみた一校にはいらっしゃらないとの事)
高等支援学校と通信制の普通高校、どちらの学校に進むかで、支援の形はきっと違ってくるのでしょう。
(手厚さは高等支援にかなわない……はず……←そうでもないという話も聞く)
小中学校では、特別支援の免許を持った先生が娘の担任になった経験がないので、「こ、これが特別支援免許のチカラか…… !!」と、感動に打ち震えたい欲望はあります。
【 人間関係的な支援 】
高等支援学校で3年間を過ごすことで、どれくらいの社会的人間関係的なスキルが積み重ねられるのか。
定員割れしている全日制の高校では、発達障害のある生徒を受け入れ、配慮してくれる学校もあると聞きます。
(個別に相談し、まず受け入れてくれるかどうかが先でしょうが)
もし入学できたとして、学校生活の中で、支援なしで人間関係を良好に築くのは、娘には困難だと思います。
(ほっとかれたり、気にされない事が多そう)
そしてそこまでの目が行き届いた支援は、望めないんじゃないかと。
(聞くだけ聞いてみたいけど)
通信制であれば、教室の人数が20〜30人とゆとりがあり、(学校によっては10数人というところもあった)
全日制より時間割も緩やかで、授業も伸び伸びした印象だし、先生も各々の生徒の個性 (特性) を、意識して動いてくれそうではあります。
通信制の先生はユニークな先生が多そうだし、ピリピリ感やキビキビ感はあまり感じなかったです。多分。
公立と私立の違いもあるのでしょうか。
なぜ全日制ではなく通信制の教員になったのか、機会があれば聞いてみたいです。
【 生徒同士の人間関係 】
いくつかの高等支援学校を見学しましたが、作業場面などは、やはり皆さん真剣で真面目です。見ているこちらも気持ちが引き締まります。
学校でも寄宿舎でも、それなりの支援はしてもらえると思いますが、最終的には、娘がどう感じるか…… に尽きる気もするし、娘にとって刺激的とは言えない部分もあるように思います。女子は少ないし。
通信制高校のオープンスクールに何度か行ってみて感じたのは、娘が憧れる学校生活はきっと、通信制の雰囲気が近いような気がしました。
体験授業をしながら、先生・生徒さん達と同じ空間で過ごすうちに、娘の輪郭というか、人間像がやっと見えてきた気になります。
「ここで学校生活を送りたい」
娘がそう強く思えてくれたら、母の細かな心配事なんて、どうにかなるさと吹き飛ぶんじゃないかな?
願わくばそう願いたいので、もっと心奪われてほしい・・・