イギリス子育てレポート

イギリスで子育て奮闘中。調べたこと、やってみたこと、感じたことをレポートします。

イギリスの自宅出産事情

前回、唐突に自宅出産を考え始めた経緯を書き始めまてしまいましたが、多分日本では自宅出産を選択肢として考えることはまずないだろうし、イギリスでもよくある訳ではないので自宅で出産するのがどういうものなのか書いてみます。

 

yumih.hatenablog.com

 私が調べたこと聞いたこと経験したことをもとにしていますが、病院によって異なることもあるかと思うので、実際に自宅出産しようと思う方はご自身のかかっている病院、ミッドワイフチームに確認してください。

 

BabyCentre UKによると自宅出産した人は、イングランドでは2.3%、ウェールズでは3%、スコットランドでは1%、北アイルランドでは0.3%。病院からの距離がある地方に行けば行くほど自宅出産をするのは難しいため、スコットランドや北アイルランドの数字は低くなっています。

 

誰でもできるの?

お産が始まると2人の助産師さんが自宅にきてくれます。お医者さんは立ち合いません。なのでリスクが高い出産はできません。

逆子だったり双子を妊娠していたり、妊娠高血圧症候群の疑いがあったり。また、年齢や既往症、1人目の出産で何か問題があった場合などでも自宅出産を反対されるようです。私の同僚は40歳のときに2人目を自宅で産みたいと言って反対されたそうです。年齢以外のリスクが何もなかったから強行して無事に自宅で産んだそうですが…。

その他に自宅出産出来ない例を挙げてみます。

 

  • 無痛分娩したい場合ー途中で自宅出産を諦めて病院に移動することは可能

  • 誘発しなければいけない場合 ー破水から時間が経ってしまった等

  • 正期産じゃない場合ー自宅で産めるのは妊娠37週から41週の間だけ

 

つまり、分娩中かその後かに医師の立ち会いが必要な場合はダメということです。

 

ちなみにイギリスでは医者が立ち会わないのは病院で産んでも同じです。独立したbirth centreや病院の中のmidwife-led unitと呼ばれる医者が常駐しない部門で産むことができます。何かしら医療の介入が必要な場合は病院内の医者がいる部門に移動したり、独立したbirth centreであれば救急車で搬送されます。

妊娠中も問題がなければmidwifeと呼ばれる助産師さんにしか会いません。妊娠中2回行われる超音波検査はsonographerと言う超音波検査士が行います。私も二度の妊娠出産の経験の中でお医者さんに会ったのは、長女の出産後の会陰裂傷の縫合のときだけでした。

 

安全性は?

基本的に自宅出産は低リスクの場合しか行われないため、病院で産む場合より著しく安全性が劣るとは考えられていません。

National Childbirth Trustが掲載しているBirthplace Study 2011によると、経産婦の場合は、計画的自宅出産の安全性は病院での出産と変わらないとのことです。初産の場合は1000人中4人の割合で、病院よりも自宅のほうが問題が起こる確率が高いとしています。

また、先ほどのBaby Centreのページによると、自宅出産のうち約20%が分娩中または分娩直後に病院に搬送されており、初産の場合は45%、2人目以降の場合は12%まで下がるそうです。

主な搬送理由は、分娩に時間がかかりすぎてしまったことと赤ちゃんに負担がかかってしまったこと。そして、特に初産の場合は無痛分娩に切り替えるため、だそうです。

 

どこでも出来るの?

水中出産のためのバースプールを置くのでない限り広さは要らないと言われています。私はあまり家具がない空き部屋を使ったので、レンタルしたバースプールにエクササイズボール、ヨガマット、座りやすいアームチェアとシングルサイズのマットレス、そして産まれたばかりの赤ちゃんを置く台を用意したらかなりのスペースが必要でしたが…また、やはり汚れるので色々な対策は必要です。

 

そして、36週に自宅出産に問題がないか助産師さんが事前確認に来てくれました。長いチェックリストに従って色々なことを確認していきましたが、重要なことは万が一のときに直ぐに病院に行けるか、ということの確認でした。

救急車を呼ぶ場合のために携帯がつながるか、自宅前に救急車を駐車するスペースがあるか、など。

 

書きながら思い返してみると、病院で産む以上に準備は大変でした。でもやってよかったと本当に思います。詳しくは引き続き出産レポートに書いていきたいと思います。

イギリスで自宅出産レポート①-無痛分娩か自宅出産か。

次女はあっという間に8週になりました。大きく生まれた上にどんどん成長して、いつの間にかもう新生児らしさもなくなってきてしまいました。なんだか寂しい…。

忘れないうちに出産レポート開始します。めちゃくちゃ長くなりそうな気がしますが、お付き合いいただけると嬉しいです。

 

満身創痍だった長女出産の経験

今回の出産は無痛分娩にするか自宅出産にするかで悩みました。

長女の出産は絶対に自然分娩と思っていた訳ではありませんが、なんとなくやっぱり自然に産みたいなぁ、というゆるい気持ちで臨みました。痛みにも強いほうなのでなんとかなるような気もしていました。

始めのうちは上手く呼吸することで耐えられていた痛みも、子宮口3cmから急速に進んだためか陣痛の合間も分からないくらい強く感じるようになりました。出産の前はなんとなく自然分娩のほうが良いような気がしていたのですが、激しい痛みに耐えながら自然分娩にこだわる理由が私には一つも見つけられませんでした。

3人に1人が無痛で産むイギリスなので、無痛分娩を希望すれば問題なくできたはず。なんでこんなに我慢しているんだろうと自問自答しているうちに、無痛に切り替えられるタイミングを逃してそのまま水中出産継続。陣痛の波が分からないからいきむタイミングも分からず、腸まで達するギリギリ手前のひどい傷を負ってなんとか出産。

結局、半身麻酔で縫い合わせることになったので、無痛分娩に使う麻酔よりも強い麻酔を打つことになり、だったら最初から無痛にすればよかったのに…という思いが残ることになりました。

会陰裂傷の回復にも時間がかかり、産後の私はまさに満身創痍という言葉がぴったりな状態でした。

次はあんなにボロボロになっていたら長女の世話なんて絶対に無理。だったら今度は最初から無痛分娩で。というのが無痛分娩を考えた理由でした。

 

振り返って感じる病院のイマイチさ

その一方で、病院に行くまでは呼吸とTENSマシーン*1を使って上手くコントロールできていたのに、なぜ急に上手く行かなくなったのか…長女のお産を何度も振り返りました。

陣痛の波が分からなくなったのは、多分痛すぎてパニック状態だったから。そんな状態になったのは病院に着く前の車の中から。渋滞にはまって時間がかかり、車を止めるところもなかなか見つけられず、駐禁覚悟で無理矢理止めて病院に入って夫が車いすを探したけれど病院スタッフは誰も助けてくれず、長い廊下を必死に歩いてやっと入った部屋は狭くて薄暗くて居心地が良くない。

出産後も、お金を払って個室にしてもらったけれど、窓も空調も壊れていて部屋はサウナのように暑く新生児を寝かせておくのに不安を覚える程。食事は、ローストチキンと名乗るパサパサの鶏胸肉や、30分は茹でてそうなデロデロなパスタ。シャワーは水圧が足りず、髪の毛を洗ったものなら泡も落としきれないような勢い。

 

思い返せば思い返すほど、自宅で産みたいと思うようになったのでした。でも、自宅出産なら無痛分娩はできません。次はもっと上手く痛みをコントロールできるのか。その悩みを解決したのがhypnobirthingという方法でした。Hypnobirthingについて次回に続きます。

*1:背中に貼ったパッドから微弱な電流を流しエンドルフィンの放出を促すことで痛みを抑制する機械。出産の早い段階での痛み止めによく使われています。

赤ちゃんに生活リズムを教えてあげる。

スリープトレーニングについての過去の記事をmarisunoさんに紹介していただきました。

marisuno.hatenablog.com

その中で紹介されていたブログ記事が印象的だったので私もリンク。

ameblo.jp

親がちゃんと赤ちゃんの生活リズムつけてあげないとダメって。すごく同意です。

 

産まれてすぐは欲しがるだけ授乳して、昼夜の区別ができてないから何時でも寝るときには寝かせておいてってスタートする新生児のお世話。いつの間にかそんな時期は過ぎてしまうけど、産後すぐのボロボロの体に連日の睡眠不足で訳が分からない状態で対応変えなきゃいけなくなってても分からないよなぁ、と思ったり。少なくとも長女を育てていたときの私は全然分かっていなかった。

長女の寝かしつけに苦戦してネット検索しまくっていたとき、赤ちゃんの夜泣きは仕方がない、一時的なものだからお母さん頑張って的なことが書いてあるページもよく目にしました。夜泣きの原因が科学的に解明されていないせいもあるのかもしれないけれど、なんでも母親が耐えればいいみたいな根性論の育児は私には無理。それで調べてみてジーナ式を見つけてやってみて子育てがぐっと楽になったとき、ちゃんと解決策があるじゃない!と思ったものです。

確かに歯が生えてきたり、新しいことができるようになる時期だったり(英語だとgrowth spurtと言うけど日本語だとなんて言うんだろう?)、体調が悪かったり、どうしても夜中に泣く時期はあると思います。それも、規則正しい生活が整っていて自分で寝られるようになっていた長女は、ちょっと大変な日が2、3日続けばいつも元通り。

 

 

産後の育児指導の少なさはイギリスも変わらないような気がするけれど、知り合いのイギリス人ママ達はみんな夜泣き対策のために生活リズムを整えるってことを当たり前のように知っているのはなぜなのか、不思議です。実際にどこまできっちりやるかは人それぞれのようですが。小学生になっても7、8時に寝てしまうのが普通のようだから、育児の常識としてみんな知っているのかもしれません。

ちなみに、欧米だと小さい時から子供は自室で寝るから、というようなくだりもよく目にしますが、個人的な印象では結構同じベッドで添い寝している人もいます。WHOの指針に従って乳幼児突然死症候群を防ぐため生後半年は同室で寝るように指導もされています。昔は産まれてすぐから別室が普通だったようだけど。

 

スリープトレーニングに関する日本語の本もどんどん増えてきているような気がするので、夜泣き対策を根性論で押し通そうとするような風潮もそのうちなくなるのかな。

赤ちゃんにもママにも優しい安眠ガイド

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赤ちゃんもママもぐっすり眠れる魔法の時間割

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2人目産まれてます&生後1か月半の生活リズム

次女を出産しました

数カ月おき更新が当たり前になってしまってる当ブログです。産休中なのに更新ペースは相変わらずですが、読みに来てもらえてありがたい限りです。

1ヶ月半前に無事、次女を出産しました。予定日を9日過ぎて、前々日に日本から母親が来たら陣痛が始まるという長女とまるで同じ流れで出産しました(長女は予定日超過10日、前の日の夕方に母親が着いて日付が変わった直後に陣痛が始まりました)。

陣痛開始からぴったり4時間のスピード安産。今回は自宅で水中出産でした。ここイギリスでは選択肢の一つとして当たり前な自宅出産ですが、実際にやった人は少ない経験なので忘れないうちに出産レポートを書かないと…。

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3.8キロ越えのビッグベビーでした。

 

スリープトレーニング成功

今まで散々長女のスリープトレーニングについて書いてきましたが、次女もがっつりジーナ式でいきます。長女のときは産まれてから2カ月くらい経って、寝かしつけにてこずるようになってから始めたけれど、今回は産まれてすぐからジーナ式の生活リズムを念頭にスタートしました。

上の子もいるしどうなるものかと思いつつ始めましたが、生後1か月半で昼間の昼寝3回計4.5~5時間、完全母乳だけど夜中に起きるのは夜8時から朝7時の間に2回だけ!(うち一回は自分が寝る前に起こすから夜中に赤ちゃんに起こされるのは1回だけ)と、かなり良いスタートができたので今日は早速スリープトレーニングについてです。

 

参考にした本

長女のときに買ったこの本。

The New Contented Little Baby Book: The Secret to Calm and Confident Parenting

The New Contented Little Baby Book: The Secret to Calm and Confident Parenting

 

 と、こちら。上の子がいる場合のルーティーンが詳しく書かれてます。でも長女は平日ずっと保育園に行ってるからあまり必要なかったかも。

The Contented Baby with Toddler Book

The Contented Baby with Toddler Book

 

 別の本の訳かもしれませんが、日本語の本もあります。

カリスマ・ナニーが教える赤ちゃんとおかあさんの快眠講座

カリスマ・ナニーが教える赤ちゃんとおかあさんの快眠講座

 

 

生後1か月半の生活リズム

6時半~7時頃

起床。次女がまだ寝ていたら先に自分の身支度をさっとして長女を起こして着替えさせます。食べるのが遅い長女は夫と朝ご飯開始。私は次女に授乳してその後に自分も朝ご飯。

8時まで

長女は夫と一緒に保育園へ。

8時半過ぎ

次女は眠くなるので8時45分までに授乳してコットに置くと勝手に寝る。

10時

朝ねんね終了。まだ寝ていたら10時15分頃までに起こす。カーテンを開けて部屋を明るくすると割と自然に起きる。起きてお腹が空いてきたら授乳。

11時半過ぎ

また眠くなる。朝と同じく11時45分までに授乳してコットに置くと大概勝手に寝る。ただ、ここで2時間以上寝てもらいたいからしっかり飲むように気を付ける。なかなか寝付かないようならもう一度授乳。ここから昼ねんね2時間~2時間半。

14時~14時半

まだ寝ていたら起こす。

15時まで

授乳。できればこの後17時まであげない。まだ上手く行かない日も多いけど…。

16時

長女のお迎えにバギーで徒歩20分の保育園へ出発。帰りは長女をバギーボードに乗せて上り坂をヒーヒー言いながら歩くので30分位かかって、その間に45分位夕方ねんね。

17時

帰宅。次女は家に着くと大体起きるけれど、起きなかったら夜の寝かしつけに影響がでるので絶対に起こす。で、授乳。

18時

夫も帰宅して長女と3人で夕食を食べる。

18時半

夫が娘2人とお風呂に入る。次女のお風呂はささっと済ませて、私が寝室に連れて行く。

19時

私は次女の授乳して寝かしつけている間、夫が長女に絵本を読んであげる。

19時半

上手くいけば娘2人とも就寝。

22時半~23時

私が寝る前に起こして授乳。オムツも変えておやすみなさい。

2時~3時頃

一回は必ず起きるので授乳。少し前まではこの後5時位にも起きてしまっていたのですが、昼寝のリズムも理想に近づいていくに伴って6時半~7時頃まで寝てくれるようになりました。

 

まぁ、毎日こんなに理想的ではありませんが。長女は確実に7時半までには寝てくれるけど、次女は9時過ぎまでかかる日も。でも、昼寝が上手くいった日は確実に8時までには寝ます。

さらっと書いてみましたが、子供が2人になって夫の助けがないと絶対に絶対にできないルーティーンです。特にお風呂と長女の寝かしつけ。日本のお父さんたちは普通6時になんて帰ってこれないよな...

そのうち夫が夜サッカー観に行ったり、仕事で泊まりのことがでてきたりしたら、次女に授乳しながら長女に本を読んであげたりしないといけないのでしょう。1人で上手くできるのかな。

 

眠くなるタイミングと昼夜の区別

気を付けるポイントとしてジーナも書いているのですが、この時期の赤ちゃんは目覚めてから長くても2時間しか起きていられません。1時間半位過ぎたあたりから気を付けて見てあげて、良いタイミングで寝かせてあげることが大切です。

生後1か月になってすぐに頃なんて1時間起きていられれば良いほうでした。赤ちゃんがなかなか寝てくれない~、となる頃には疲れすぎで眠れないと考えたほうがいいようです。

ジーナ式は泣かせる寝かしつけと思われていますが、生活リズムを整えるのが先です。その上でcry downという方法をとることもありますが、タイミングがばっちりなら泣かずに自分で寝てくれます。

 

また、昼寝の時間をしっかり意識するようになったのは生後1か月過ぎてからでしたが、産まれてすぐから昼夜の区別が着くようには気を付けました。

朝7時半までには起きてカーテンを開けて電気も点けてしっかり朝モードにします。夜は反対にいつまでも明るい部屋に置いておかない。長女のときはこれで大失敗。私たちが寝る時間までテレビを見たりして煌々と明かりが点いた賑やかな部屋に長女もいました。その後にいきなり「はい、寝てください」って寝室に連れて行っても当然寝てくれません。

ちょうど今の家のリビングは間接照明で薄暗いので、テレビも音声は控えめにしてブルーライトが当たらない距離に寝かせたり。気を付けていたら生後1週間で昼夜の区別がついたのか、夜のほうが授乳感覚があくようになって授乳したらすっと寝てくれるようになりました。

最近はベビーモニターを使って暗くした寝室に連れて行って寝かせています。よっぽど昼寝しすぎた日でなければ夜中の授乳の後に寝てくれないということはありません。

 

これから成長と共にどんどん変わっていくし上手くいかない時期もくるのだろうけど、ひとまず生後1か月半の今は順調です。

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ぐっすり。

日本でも液体ミルク解禁!

ついに日本でも液体ミルクが解禁になったようですね。規制が準備できたというだけで販売までは1、2年かかるようではありますが…。 今まさに液体ミルクがあったらすごく助かる!という状態の人には遅すぎて意味がないかもしれないですが。

 

液体ミルクについて記事を書いたのは1年半以上も前でした。これを書いたころに新生児の赤ちゃんを育てていた人は卒乳しててもおかしくないのか。

yumih.hatenablog.com

時間はかかっているけれど、少しでも次の子育て世代が楽になるのなら嬉しいことです。

イギリスの低い母乳育児率と産後のサポート不足

先日イギリスの母乳育児する母親の割合の少なさについてテレビで取り上げられ、いくつかニュースの記事にもなっているので、今日はそれを紹介したいと思います。

www.channel4.com

イギリス国内からなら後28日間オンラインで視聴できます。多分国外からはアクセス不可。こちらの記事から内容は読めます。

www.independent.co.uk

 

先進国の中でも最低レベルなイギリス

番組や記事の元となっているユニセフUKの調査(2010年)によると、81%の保護者が母乳でスタートするにも関わらず、イングランドでの生後6週間の完全母乳育児の割合は24%、生後3か月には17%まで下がり、生後6か月にはわずか1%しかいないとのこと。ミルクと母乳の混合の場合は生後6週間で55%、6か月で34%。つまり6割以上の人が生後半年の間に完全ミルク育児に移行しているということです。これは世界の先進国の中でも最低レベルとのこと。

 

私個人の経験

出産直後に一緒に苦労して母乳をあげていた周りのお母さんたちが、半年も経つ頃にはいつの間にかみんなさくっと直接母乳を卒業して哺乳瓶であげるようになっていたから(もしかしたら中身は搾乳した母乳だったかもしれないけど)、1%という数字も驚きではありません。

うちの娘は生後3、4か月頃に哺乳瓶を拒否するようになってから1歳で自然に卒乳するまで完全母乳育児だったのですが、義母に「6ヶ月経ったら母乳あげるメリットなんて何もないのよ!」なんて言われて腹が立ったのを覚えています。

 

日本の場合は?

日本ではどうなんだろうと思ってサッと調べてみたところ、生後1か月と3カ月のデータしかなかったけれど下の記事を見つけました。生後3か月には完全母乳がなんと54.7%、混合も合わせるとほぼ9割の人が母乳をあげている。6週間で半分近くまで下がるイギリスより遥かに大勢の母親が母乳育児に取り組んでいます。

www.jiji.com

これってすごいことじゃありませんか!?母乳あげるのって赤ちゃんも母親も自然に本能でできるようになるのかと思いきや、全くそんなことはなくめちゃくちゃ大変でしたよ。それを9割の人が続けるなんて、私はこれはすごいことだと思います。

日本の場合は、母乳で育児しなきゃいけないプレッシャーを感じるのかもしれませんが。これについては別の紹介したい話があるのでまたいつか。

 

低い母乳育児率の原因は

テレビ番組では3つの原因をあげていました。一つは母乳のメリットのついての保護者の知識不足、もう一つは母乳育児への公的資金の削減からのサポート不足、そして最後は公共の場所での授乳に対するネガティブな反応、ということでした。

公共の場所での授乳については前に書いたのと、母乳のメリットについては私がぐちゃぐちゃ意見する立場にないので書きませんが、資金カットによるサポート不足についてはまさに私自身も被害にあったと感じています。

 

yumih.hatenablog.com 

足りない退院後のサポート実体験

娘を生む前に日本で既に子供がいる友達には、出産翌日には退院させられることをよく心配されました。「大丈夫、退院した後1週間位は助産師さんが自宅に来てくれるらしいから!」と無邪気に答えていたのですが、実際に来てもらえたのは退院翌日だけでした。

新生児を抱くのもはじめてだった私に、娘がちゃんとおっぱい飲めてるかなんて分かるわけもなく、ほとんど飲めていなかった娘は生後3日目で黄疸になりかかり、産んだ病院の救急に戻る羽目になった話は既に書いた通りです。

yumih.hatenablog.com

日本みたいに数日間入院できればと思う反面、病院にいる間も授乳のやり方含めて赤ちゃんのお世話について助産師さんからの指導はほとんどありませんでした。院内のスタッフは忙しそうで、何度もアピールして捕まえてこないと放置されていたような感じ。

当時は必死すぎて何がどうあるべきか考える余裕がまるでなかったけれど、産後数日間のサポートは退院前も後も明らかに足りなかったと改めて感じます。

 

実際に足りていない産後のサポート

そんな私個人の経験から受けた印象もどうやら間違いではない様子。当時はロンドンは人口が多いから人手が足りないせいで他の地域は違うかも、と考えていたけれどそんなこともなさそう。

ここ数年の間にイングランドの44%の地方自治体が母乳育児のサポートへの予算を削減または完全に取りやめにしたそうです。

冒頭のテレビ番組の中にも、一番近くの授乳相談できる場所は車で2時間かかる、とコメントしていた女性がいて衝撃でした。生後数日の赤ちゃんをつれて2時間移動なんて絶対に無理です。

www.theguardian.com

 

さらに下の記事よると、病院にいる間も助産師さんが授乳指導に割く時間はなく、退院後48時間以内に訪問サポートを受けられなかった女性は大勢いる、なんて眩暈がしそうなことが書いてありました。

www.theguardian.com

政治的優先度の低い子育て世代

政府が2016年に発表した子育て支援の5ヵ年計画には、母乳育児の重要性は触れられているものの具体的な支援策は何も書かれていないようです。結果、地方自治体の裁量に任されている現状です。2010年から続く中央政府からの予算削減に、今日もNorthamptonが財政破綻を発表したばかり。今後、授乳サポートが増えるような気がしません。

書いている間に絶望的になりすぎてどうまとめていいのか分からなくなってきました。イギリスで出産しようとする日本人女性を怖がらせるような記事になってしまったような気もして、それも不本意です。残念ながらNHSの現状はこんな状態ですが、NCTをはじめ様々な授乳サポートが各地にあるはずなので、しっかり情報収集して頑張って欲しいところです。次はもうちょっとポジティブに役に立ちそうな記事も書きたい。

 

夜中に睡魔と戦いながら授乳をしている間によく考えていたことがあります。娘の長い人生を考えると、こうしておっぱいをあげられる時間はほんの短い間だけ。こう考えると娘に授乳できる時間がとても大切なものに思えて、苦労してでも頑張ろうと思えました。

 

乳児を抱えて苦労する時間は人生の中でもほんの短い間。制度が変わる頃には、今まさに問題を抱えている家族にとってはその新しい制度は必要がないものになっているのかもしれません。

なかなか解決しなさそうな日本の待機児童問題や、どんどん予算が削られるイギリスの授乳サポート。子育て世代の声はどの国にいても社会に反映されにくいのかな、と思います。

せめて、これから生まれる次女が乳児じゃなくなってからも、子育てが一番大変な時期が終わっても、子育て真っただ中の世代を支えようという気持ちを忘れずに持ち続けたいものです。

怒涛の7月終了ー産休開始と30代折り返し

7月が終わってしまいましたね…今週から産休に入りました。金曜には妊娠36週、臨月です。そして昨日は35歳の誕生日でした。

 

今年前半を振り返る

お正月直前に2人目妊娠が発覚してから、これまでの間にかなり色々なことがありました。

4月までは、ロンドンで住んでいたフラットを売るのに悪戦苦闘(買い手は9月にすぐ見つかったのに手続きがめちゃくちゃ大変で半年以上かかった)。4月頭になんとか売却したのと同時にブリストルで一軒家を購入。見た目の状態は良い家だったのですが、住み始めてみると問題がボロボロと見つかり、家の改築・修繕で大忙しでした。

その頃、つわりは大したとこなかったのに、引越し後の片付けに加えてどんどん見つかる家の問題にストレスマックスだったからか、謎の咳が続いて体調は最悪。5月のGWには日本に一時帰国してエネルギーチャージしてから、やっと少しずつ体調も心の状態も上向きになってきました。

 

7月に入ると産休カバーの人が入り引継ぎ開始。日本よりも転職が一般的で仕事の流動性が高く、決められた仕事に人を付ける形で雇用するイギリスでは、誰かが産休に入ったら丸っとそのポジションに新しい人を有期雇用で雇い入れるのが普通です。前回も今回も私の産休には1年間の契約で新しい人が入ってくれました。

引継ぎは思った以上に大変でこの一カ月間バタバタでした。でも出来るだけのことはしたと思うから、仕事のことはしばらく忘れてようやく終わりが見えてきた家の修繕と片付け、赤ちゃんを迎えるための準備に集中します。

 

イギリスで過ごした30代前半を振り返る

29歳になる年に日本で結婚してイギリスに来たので、私の30代はずっとこの国で過ごしました。引っ越してきた当初は収入もないし、配偶者ビザだから夫がいなければこの国に住む資格もなし。さらに住んでた家は夫の両親所有だったから、一人じゃ絶対に生きていけない状態でした。仕方がないことだったけれど、自力で生活できない自分が嫌で嫌で、どうしようもない癖に一人でもがき苦しんでいた気がします。

そんな中、直接職には結びつかなかったけれど大学院を出て多少は英語で生活することに慣れ、辞めるときには色々と不満を持った日系企業の事務だったけれど仕事にも就けて次の職につながる経験も積めて、無事に永住権も取得して。当時は目の前の課題を一つ一つクリアしていくことしか考えていなかったけれど、少しずつ確実に何かを身に付けてきました。

そして、念願だったただの事務じゃない、日系じゃない、やりがいがあって働きやすい仕事に就けて、家も買って子供にも恵まれて、今までの経験全部無駄じゃなかったと思える状態に満足です。

 

20代の頃は、自分がどう見えるのかが気になってばかりでした。そのせいか年をとるのが怖かった。見た目だけじゃなくて自分が持ってるものにも自信がなかった。仕事でアピールできるようなスキルや経験も足りないし、今の状態のままで40歳になるなんて絶対に嫌でなんとかしないといけないと常に思っていました。

でも、今なら40歳までにまたきっとまた新しい何かを得られるような気がします。変わりたくてもがいていた30代前半を折り返してみて、年をとることをポジティブに捉えられるようになった気がします。

きっと自分の人生に子供の成長を見守る喜びが加わったのも年をとるのが怖くなくなった理由の一つです。一方で、子供の成長だけが自分の喜びという状態にもなりたくないから、仕事を含めて子育て以外に頑張る何かをこれからも持っていたいと思います。イギリスでのキャリアはスタートしたばかりなので、次の5年間はどこまで上を目指していけるか。頑張ります。

 

これからはもっとブログを更新したい

久々の更新で自分を振り返ってみましたが、なかなか長女の子育てについて振り返って書くことはできずにいます。ブログを始めた当初に書きたかったスリープトレーニングとBaby Lead Weaning (BLT)についても、中途半端で止まってしまっています。書きたいことは色々あるのに。

多分、これからも過去のことを書くのは難しいだろうけれど、次女が産まれたら今度こそ成長にあわせて更新していくつもりです。せっかく産休に入ったんだから、ブログを頻繁に更新するっていうのも一つの目標です。

話題があれこれ飛びまくりなこのブログですが、今後も日本とちょっと違うかもしれない育児を紹介するというのをメインに今後もやっていくので、どうぞよろしくお願いします。