雲川ゆずの本棚

本のレビューやおすすめ本紹介、イギリス生活の記事を書いています!

Lisa Jewell"The Night She Disappeared" あらすじ・レビュー【洋書心理スリラー】

こんにちは!イギリス在住ブロガーの雲川ゆず(@ybook21)です!

今回は、Lisa Jewellさんの"The Night She Disappeared"という作品をご紹介します。

本の概要

・ISBN:9781982137366
・出版年:2021年
・出版元:Atria Books
・ジャンル:心理スリラー
・ページ数:416ページ

 

あらすじ

19歳のタルーラは、母親のキムに赤ちゃんを預けてデートに出かけた。キムは娘が出かけるのを見送り、夕方から夜、早朝になっても娘の帰りを待っていた――。

 

感想

リサ・ジュエルさんは大好きなイギリスの作家さんの一人なのですが、今回の作品も期待を裏切らないクオリティを誇っていました。また、リサさんの作品は割と心理的にガツンと来るものが多いのですが、この作品はその要素が少なめで、個人的にはとても読みやすかったです。

 

登場人物についても、個性の強いスカーレットや彼女の家族は出てきますが、物語の主な語り手であるタルーラや彼女の母・キム、そしてミステリ作家のソフィーなど、共感しやすい人も多く出てきて、読者がその世界に入りやすいようになっていました。おすすめですので、気になる方はぜひ読んでみてください。

 

5段階評価(おすすめ度)

※あくまで私の主観によるものですので、参考程度にお考えください。

 

★★★★☆(4/5)

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

Jane Harper"The Survivors" あらすじ・レビュー【洋書ミステリ】

こんにちは!イギリス在住ブロガーの雲川ゆず(@ybook21)です!

今回は、Jane Harperさんの"The Survivors"という作品をご紹介します。

本の概要

・ISBN:9781250232427
・出版年:2020年
・出版元:Flatiron Books
・ジャンル:ミステリ、クライム
・ページ数:374ページ

 

あらすじ

キエラン・エリオットの人生は、無謀な過ちが壊滅的な結果を招いた日に永遠に変わった。

かつて故郷と呼んでいた海岸沿いの小さな集落を若い家族とともに訪れたとき、彼をいまだに悩ませる罪の意識が再浮上する。

 

感想

素晴らしい作品でした。タスマニアのことは私はあまり知識がないのですが、情景が目の前にありありと浮かんでくるようなリアリティがありました。

12年前の事件と、現在起きた事件はどのようにつながっているのか、それとも全く関係がないのか。海、崖、洞窟、波、嵐といった自然や自然の脅威が、どのような結末をもたらしたのかという点が興味深かったです。

日本にもイギリスにも、世界にはさまざまな素晴らしい自然がありますが、やはり本当に恐ろしい面もあるなと。そんなことを改めて感じさせてくれる作品でした。

 

5段階評価(おすすめ度)

※あくまで私の主観によるものですので、参考程度にお考えください。

 

★★★★★(5/5)

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

Kate Morton"Homecoming" あらすじ・レビュー【洋書ミステリ】

こんにちは!イギリス在住ブロガーの雲川ゆず(@ybook21)です!

今回は、Kate Mortonさんの"Homecoming" という作品をご紹介します。

本の概要

・ISBN:9780063020894
・出版年:2023年
・出版元:Mariner Books
・ジャンル:ミステリ
・ページ数:547ページ

 

あらすじ

アデレード・ヒルズ、1959年クリスマス・イブ。灼熱の一日の終わり、謎めいた豪邸の敷地内にある小川のほとりで、地元の配達人が恐ろしい発見をする。警察の捜査が入り、小さな町は南オーストラリア史上最も衝撃的で不可解な殺人事件に巻き込まれる。

 

感想

またまた素晴らしい作品に出会ってしまいました。割と厚めの本だったので、ちゃんと読み切れるかなと少し不安でしたが、読み始めてすぐに、これは面白いと思いました。

 

この物語には大きく2つの謎があります。(1)母親と3人の子どもが亡くなったのは、事件なのか事故なのかそれとも……(2)残された赤ちゃんと、20年後に発見された赤ちゃんの正体は?というものですが、(2)の方は読み進めていくうちに何となくこうかな?というのがわかってきたのですが、その事実に至るまでの経緯や、そこからの展開は面白かったです。

 

(1)の謎については、シンプルにミステリとして面白かったです。動機、誰に責任があるのか、機会、といった部分は論理的でわかりやすかったです。ただ、そこに至るまでの複雑な人間関係が描かれているので、うまくその謎を覆い隠していたなと感じました。

ミステリとしてはもちろん、20世紀後半~21世紀にかけてのオーストラリアの歴史フィクションとしても質が高い作品でした。

 

5段階評価(おすすめ度)

※あくまで私の主観によるものですので、参考程度にお考えください。

 

★★★★★(5/5)

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!