小説置き場

小説とかSS書いてます

1970年 闇魔館前

 

「・・・ここが闇魔館、か」

ぼろきれを来た薄汚れた少女が、暗く黒い館を見てそう呟く

その左手には、一振りの「刀」が握られていた

「・・・?おい!そこの!止まれ!」

少女が館へ歩みを進めると、門の前に立っていた門番が呼びかけ

「ここは闇魔館、関係者以外は立ち入り禁止―」

少女の邪魔をしたのが運の尽き

話を終える前に、門番の首が地面へと落ちた

「もっと、強い人を・・・!」

門を開き、目前へと迫った闇魔館をみて

まるで獲物を見つけたライオンのように闇魔館へと入っていった

 

 

 

闇魔館 かんなの部屋

「も、申し上げます!!ただいま、何者かが闇魔館に侵入し兵たちを殺しまわっております!!」

乱暴にドアを開け、息を切らせながら側近が報告をする

しかし、この異常事態に女王、かんなは慌てる様子も無く

「・・・面白い、あいつらを呼んできなさい」

邪悪な笑みを浮かべ、「あいつら」を呼ぶように側近へ命令した

「さぁ、楽しませて頂戴、『訪問者』―」

 

 

 

 

神月裂夜の憂鬱

1969年― 闇魔館

 

 

「ねぇ、なんか面白いことないの?」

広い部屋に置かれている椅子

その椅子に座り、頬杖を付いている少女が側近に問う

「そういわれましても・・・」

いきなりの無茶振りに、側近は困った表情で少女に返す

「・・・そう」

側近の答えを聞いた少女は、不機嫌そうに呟き前を見る

その視線の先には綺麗に清掃されたドア

少女は、ボーっとドアを見つめながら

あぁ、いきなりドアが開いて挑戦者でも来ないかしら

とでも言いたげな表情をし、ため息をつく

無論、挑戦者など入ってくるはずはない

この闇魔館に住まう者は、この少女

「神流 理紗」に服従しているのだから

尤も、「㎡」と呼ばれる魔法使いを除いて、だが

少女、神流の隣にいる側近も彼女に服従をしている

もう闇世界で彼女に反発するようなバカはいないだろう―

 

 

 

 

 

 

 

1970年― 闇世界都市部

ここで事件は起こった

闇世界の都市部は、闇世界一の都会であり

闇世界一の治安の悪さを誇る街だ

そんな街中を、一人の少女が闊歩する

ボロい布を身に纏い、いかにも貧乏そうな子供

確実に襲われそうな格好の少女は、ただ、何かを探すように歩いていた

「おい、そこのガキ」

不意に後ろから声をかけられ、少女はゆっくりと振り向く

マフラーで隠れてて、あまり見えないが

その顔は整っており、中々の顔立ちだ

「俺と一緒についてこいや」

ガラの悪い男数人が少女の周りを取り囲み

1番体格のでかい男がそう言う

それに対しての答えは―

「嫌、だね」

臆することなく、はっきりとでかい男に向かって言い放つ

この答えを聞いた男達が簡単に諦めるはずもなく

「おう、やっちまえ」

少女に向かって男達が襲い掛かる

標的は少女一人、そんな危機的状況で

「確立変動―・・・99」

なにかを呟いた、その瞬間

ビルの上から鉄骨が落下し、男達を潰した

その返り血をぬぐい、少女は再び歩き始める

 

 

その少女が手に持つ懐中時計にはこう刻まれていた

「神月裂夜」と

 

 

続く