2015年初時点のWebについて思ったことをまとめておくよ

2014年のWebは、またちょっと残念感が増したなぁ、という印象でした。
残念感が増した、というのは、「情報共有の環境として質が低下したように感じた」という意味です。これは別に2014年に始まったことじゃなくて、ここ数年ずっと続いている傾向が継続している感じです。

何かを検索した時に、まとまった情報ではなくてQAサイトのようなものが引っかかりやすくなって、Wikipediaもイマイチで、イマイチ知識として充足しない、とか。
なんとなく不寛容な人の発言や、まとめサイトの類のわりとどうでもよい情報が目につくようになった気がする、とか。

ただ、それは世間の人の寛容性が下がったとか、馬鹿になったとかそういうことではないし、ゆとりだとかなんだとかと教育が行き届いていないとかそういうことでもなく、単純に

  1. Webで情報を公開するハードルが年々低下していっていること
  2. Webを見ている人の構成が変化していること
  3. Webを利用する(閲覧する/投稿する)ときに使うデバイスの変化

を原因とするもので、至極真っ当で自然な流れだなとは感じています。

twittermixiより前のWebにおいて、「自分が持つ何かしらの情報をWebに掲載する」ことは、非常にハードルが高い行為でした。HTMLやFTPなどの様々な知識がないと、まずまとまった情報を公開することが許されなかった。それに比べれば情報を投稿/公開するのが比較的容易だった、2chを中心とした掲示板・フォーラムの類も、ローカルルールや殺伐とした雰囲気などによって人と情報を選別していましたし、そもそもネットに繋いでいるのは一部の物好きだったわけで。
つまり、Webに情報を公開していたのは一定以上の技術的な知識や度胸、強い関心を持つ人であったわけです。そのため、Webに出力される情報には一定の「知性」「濃さ」がありました。

しかし、Blog以降、SNS以降、twitter以降、スマホ以降と、時代が下るにしたがって、Webへの情報公開は、だれでも簡単にできるものになってきました。Webデザインの領域でも、スマホなどのデバイスの開発上でも「いかにしてハードルを下げ、誰でも簡単に使え、情報共有ができる状況にできるか」を意識した開発がずっと続けられていますし、実際にそれは多くの分野で成功しています。
その結果、本当にどこにでもいる普通の人が、誰でも情報を発信できるようになりました。

それは素晴らしいことではあるのですが、情報の質や情報収集の効率の観点から行くとちょっとしんどいことになりつつあります。
単純に、情報の量が増えれば、いかに検索エンジンアルゴリズムが優れていたとしても、確率論的には検索精度は下がります。
また、「普通の人」のアウトプットによって、「普通じゃない人」のアウトプットは埋もれやすくなる。たとえば原発の話でも、原子力の専門家の正確な情報よりも「なんとなく怖い」と言ってる普通の人の声のほうがどうしたって「量」としては多いわけですし。

また、Webを「閲覧する」側の人も同じように、ブロードバンド以降、スマホ以降、と次第に「一部のややマニアックな人」から「普通の人」へと変化しています。
Webの情報は、閲覧者の求めるものに最適化されていきます。人の関心をパラメータとして優劣を判断するアルゴリズムで動く検索エンジンは、マジョリティとなった「普通の人」に向いた形に最適化されていくし、人の関心をお金に変換する、広告を主とした多くのシステムも同じように「普通の人」向けの情報にインセンティブを多く支払うようになる。
結果、自然と「普通の人」が好む種類の情報のほうを高く評価するように圧力がかかりますし、テレビのワイドショー的(?)な情報が目につきやすくなるのは自然なことです。

さらに、単純に人が増えればリテラシーや寛容性の低い人の絶対数も増えるので、Webに情報を公開するリスクもちょっと上がるし。
そうすると名のある人/知識を持つ人の情報共有が非公開のSNSやメルマガなど閉じたところで行われることも多くなるし。
スマホなど小さなスクリーンのデバイスが主流になっているため、短く小さくまとまった情報が好まれやすくなり、投稿される情報もTwitterくらいの長さ以上の文章はなかなか書きづらくなるし。

そんな諸々循環の結果として、「正確で、体系的で、知的かつ面白い知識/情報」は開いたWebには投稿もされづらく、閲覧も評価もされづらくなるし、そりゃコミケからテレビに変化もするし、次回作に期待する心地になるよね、っていう。

さすがにそろそろこのあたりを打開する何かが個人的には欲しいので、

  1. Webに投稿される情報の「質」を高めるアプローチ
  2. 情報を集約し編集し、わかりやすくまとめること。Wikipediaの次のナニカ

みたいな事を企図した何かを、密やかに企みたいところです。押忍。

合同会社qumuは「合同会社テンマド」に会社名が変わります

先日「合同会社qumu」という会社を立ち上げたわけですが、いわゆる商標権というものの関係で、「qumu」という社名での事業継続が、不可能ではないけど面倒の多い感じの状況になりまして。

というわけで、会社の名前を「qumu」から「テンマド」に変更することとあいなりました。

新社名どうしようねぇと@hiro_yと話していて、@hiro_yから「天窓とかいいな」という案が出て。
しかし「天窓/tenmado」だと字面的にも意味的にもちょっと弱いなーと思っていたところ、ふと「ten(10) + mado」ってよいのでは、ということが思い浮かび。

「窓」というのは、入ってきてほしくない余計なものはカットしつつ光や風など、よいものを取り込むためのものだし、
また、僕らの作るものの多くは画面上の「ウィンドウ」内に展開されるものでもあるし。
十という数字には「十分」といった言葉のように、たくさん、満ちている意味もあるし、記号の「+(プラス)」のようでもあるし。

「+」になるようなよいものを取り込める「窓」をたくさん作る、
そんな気持ちを込めて「合同会社テンマド (10mado, LLC)」という名前に決めました。

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名前が変わったからといって、やることが変わるわけではありませんが、
せっかくの機会、気持ちを新たに、またサービス開発や色々なイノベーションのお手伝いに邁進したいと思います。
今後とも「合同会社テンマド (10mado, LLC)」を、どうぞよろしくお願いいたします。

合同会社テンマド | 10mado, LLC
Webサイト:http://10mado.jp
Twitter : https://twitter.com/10mado_jp
Facebook :https://www.facebook.com/pages/10mado_jp/1520060578226262

借方・貸方、バランスシートとか

フリーにしても会社にしても、経営的なことをやり始めるとプログラムだけ書いてればいいというわけにはいかないもので。

会計処理をするときに、借方/貸方とかどう分けてどう計上していけばいいのかとか、バランスシートの読み方的なこととか、自分の中にしっくりくる筋が通ってなくてずーっと気持ち悪かったのだけど、図にして整理してたらようやく少し腑に落ちたのでメモ。

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フォーカスする範囲を変えると損益計算書と貸借対照表になる。よくできてるなー。

qumu、という会社を立ち上げました

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突然ですが、qumu、という合同会社を、@hiro_yと一緒に立ち上げました。

http://qumu.co/

ウノウ時代の同僚である@hiro_yから「会社を辞めるつもりで、次どうしようか考えてる」という話を聞いて。

自分のほうは5年ほどのフリーランス生活で一人でやる限界というのもそれなりには見えていた部分もあり、
Webサービスを作って運用しようとしていくと、個人事業主でやるのはちょっと不便が多いなぁと思うことも多々あり、
そろそろ会社にするのはどうか、と思っていたタイミングだったのもあり。

@hiro_yとは考えることの根っこに通じ合うものを感じることも多く、過去にサービスを一緒に作ったこともあり、自分にとって一番話もしやすく信頼できるエンジニアだというのもあり。

「会社作るなら全力で乗っかりますよ!」と伝えたりしたのが、こんな形に着地しました。

「qumu」は「くむ」と読みます。
「くむ=組む、汲む、酌む」から取っていて、
僕らが作るものというのはプログラムにしてもデザインにしても人にしても「組む」ものだということだったり、
お茶を汲んで過ごす時間のような、日常のちょっといい時間のようなものを作りたい、ということだったり、
なにより、いろいろな人と組み、気持ちを汲み、しっかりしたいいものを組んでいけたらという願いを込めて名付けました。

はじめは事務所も構えず、お互いの仕事場でリモートでやりとりしながら、
これまでのフリーランスの延長に近い形での活動になりますが、
今後はWebサービス作りをもう一つの軸として進めつつ、
色々な面白い話を作ったり首を突っ込んでいければと思っております。
何かご一緒できることなどあれば、
ぜひメールなどでお声かけください!

まずはとにかく1年、きちんと足場を固めつつ、
よいアウトプットを出していけるように精進したいところ。
qumuをどうぞよろしくお願いいたします。

あわせて読みたい
http://cotori.cc/post/87572306826/establishing-qumu-inc

ChromeのDeveloper Toolsの$x()とcopy()

ChromeのDeveloper Toolsで、$x()でXPathによる要素の抜き出しができるのと、copy()でクリップボードにコピーができるのを把握したのでメモ。

たとえば、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E6%BC%AB%E7%94%BB%E5%AE%B6%E4%B8%80%E8%A6%A7 のページでコンソール開いて

a = $x('//*[@id="mw-content-text"]/ul/li/a/text()');
b = [];
a.forEach(function(item,idx,arr){ b.push(item.nodeValue); });
copy(b.join("\n"));

とすると、クリップボードにページ上の漫画家の名前がずらっとコピーできる(余計なものもちょっとつくけど)。

静的サイト用boilerplate

昨今のWebアプリケーションのひな形その2 - Grunt

ちょうどここ数ヶ月で取り組んでるとこなので。

自分は最近JSONデータ+Jinja2テンプレを元に静的HTMLを吐き出す自分用コマンドラインツールを作って
https://github.com/zk33/negi

それ+compass+JSHintをGruntで走らせて、
HTML5の基本的なテンプレート組み込んでおいて、
あとはbowerでJSライブラリをDLしてくるのも足して、
静的サイトを手早く作るためのboilerplateを整備しているところ。
https://github.com/zk33/static-website-boilerplate

まだ完成はしていない、というかどれも使いながら進化させていくものなので完成というのはないわけですが。

とりあえず静的サイトを手早く作るために作ってるのだけど、Jinja2ベースなお陰で、同じ系統のテンプレート(DjangoのやつとかTwigとか)を使うプロジェクトであれば、クライアントサイドのモックアップ作ってそのままテンプレートが移行できるという利点もあることが最近判明した。

このままDreamweaverなどを無事過去のものとしたいものです。