[833]ウクライナで召集令状

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 ロシア•ウクライナ戦争はなお続いています。21日プーチンのロシアはマリウポリウクライナ軍に撤退の最後通告を突きつけ総攻撃しようとしています。ウクライナゼレンスキー政権の副首相は撤退を拒否しました。ロシアのウクライナ侵略戦争は全世界の資本主義国家をまきこみ世界戦争に転化しつつあります。ロシア、ウクライナの労働者階級民衆とともに反戦の声をあげましょう。
 ゼレンスキー政権は国家総動員令にもとづいて徴兵しています。その現状を読売新聞の特派員がリアルに伝えています。オンライン配信されたレポートを引用します。

避難先にも招集令状「まさか自分の元に」…ウクライナは総動員体制、家族離散も
3/20(日) 7:19 配信 (読売新聞)

国支えたい でも逃げ出したい
クラクフポーランド南部)=笹子美奈子】

居所通報

ロシア軍の侵攻により「総動員」体制下にあるウクライナで、一般市民に軍への招集令状が届き始めている。一方、国外脱出を図る男性の拘束も相次いでおり、国との関わり方を巡ってウクライナ国内で分断が起きている。
 「まさか自分の元に来るとは思っていなかった」。ITプログラマーのロマさん(35)は3月中旬、軍への招集令状を受け取った。妻イリーナさん(32)と生後3か月の息子の安全を考え、侵攻が始まる直前の2月中旬、首都キエフから西部リビウ近郊に移っていた。仮住まいのアパートに徴兵事務所の職員が訪れ、令状を直接手渡されたという。 軍への入隊は頭になかった。「たった2週間の訓練で戦闘術を学べるとは思えない。自分は実際の戦場では役に立たないだろう。サイバー攻撃などの情報戦で戦いたいと考えていた」と戸惑う。イリーナさんは「自分は国を愛しているし、国を支えたいと思っている」と語るが、招集により夫がそばにいなくなると思うと、逃げ出したいという気持ちが芽生えるようになった。
 総動員令は、侵攻開始当日の2月24日に発令された。徴兵の対象は18~60歳の男性で、出国が禁じられた。侵攻後、ウクライナ国内では愛国主義的な風潮の高まりもあって入隊を志願する人も多く、招集される事例はまだ少ない。ただ、国外へ出る人の経由地となっているリビウなどの西部では、キエフや東部からの避難者を「非国民」だと敵視する住民も一部におり、避難者の居場所を徴兵事務所に通報するケースもあるという。

女装で脱出図る男性も

 総動員令は家族の離散を強いている。ポーランド国境に向かう列車が発着するリビウ駅では、妻や子供、恋人と、見送る男性の別れの光景を目にすることが日常的になった。ポーランド側の避難所には、両手で子供の手を引き、重い荷物を背負ってたどり着く女性の姿が数多く見られる。 国境付近では、国外脱出を図る男性の拘束が相次ぐ。国境警備隊は、女装したり、荷物に身を潜めたりして国境を越えようとして拘束された男性の事例を、見せしめのようにホームページに掲載。3人以上の子供や障害者の扶養者など、特例で出国が認められている男性についても、証明書の偽造などがないか目を光らせる。

国外から戦闘へ

 一方で、国外から戻る市民も多い。国境警備隊によると、露軍の侵攻以降、今月17日までに32万人以上が入国。その多くが男性だ。海外出張でウクライナを離れていたニコラ・チュブリンさん(25)は3月上旬、「子供が露軍の爆撃にさらされており、守らなければならない。国の独立もだ」と言い残し、ポーランド国境プシェミシルの駅から、キエフ行き列車に乗り込んだ。 ポーランドに逃れた大学生アリナ・ラウロバさん(19)は、古里に残る父が露軍と戦っている。母から毎日1回、父の近況を伝えるメールが届くのを待つ日々だ。「総動員は正しい。こんな状況なんだから」。複雑な表情で話した。

引用以上。

 私の意見:
 これまで公式メディアはゼレンスキー政権にたいする反対派の動きは伝えていません。長期化する戦争に労働者とその家族に厭戦の気持ちが芽生えるのは当然だと思います。
 停戦交渉の背後で、ゼレンスキーはNATO加盟が難しいということはわかっていたと言い始めました。
 9日に公開されたABCテレビインタビューでゼレンスキーは「だいぶ前に、NATOには、ウクライナを受け入れる覚悟がないと理解し、この問題を冷静に考えられるようになった。NATOは、ロシアとのいざこざや対立を避けている」と言いました。プーチンが侵攻する直接的理由とした・ゼレンスキー自身によるNATO加盟の働きかけという事実は語りません。停戦交渉で「中立化」を受け入れる際に自分の失敗の責任を負いたくないのだと思います。
 私はウクライナNATO加盟の動きに侵略をもってこたえたプーチンを許すことはできません。しかしゼレンスキーは上の発言をロシア軍が侵攻する前に言うべきでした。多くの犠牲者が出ているいまごろになって言う権力者ゼレンスキーにも怒りを覚えます。
 ウクライナ資本家階級の政治的代表ゼレンスキーの利害と労働者階級の利害はイコールではないのです。
 インターネットによれば2021年5月ウクライナ自由労働組合総連盟は次のようなスローガンを掲げて闘っていました。
1)COVID-19 による危機からの労働者及び職場の擁護 2)支部レベルにおける団体交渉と現行労働協約(CBA)の改定 3)労働法改悪反対キャンペーン 4)報酬を得る権利の擁護 5)EU/ウクライナ市民社会綱領作業部会への参画

 こういう要求が出されているということは要求せざるを得ない現実的根拠があるということです。

 あるいは、ゼレンスキーの言うことに賛成して西側の軍事同盟NATOに加盟したい人がどのくらいいるのでしょうか。加盟してプーチンのロシアと日常的に一触即発の軍事的緊張関係が高まることをよしとする国民は多くはないと私は思います。
 プーチンの侵略に怒る労働者民衆がゼレンスキーから独立した形で戦うことを願うばかりです。わたしはかれらと連帯して日本の地で闘いたい。
 今ゼレンスキーがNATO加盟に否定的なことを言うのは国内に戦争反対の声があるからだと推測されますが、ゼレンスキーの各国の議会での発言の勇ましさばかりがクローズアップされ、実際に国内の反対運動の状況がどうなっているのかわかりません。