哲学の効用について

 哲学という営みを特殊たらしめているのは、いったいどういう性質なのか。これは非常に私にとって重要な問いである。なぜならその特殊性が、科学に対して「より根源的」とか「より徹底的」とか言われるとき、その意味するところが「結局科学なんて、整合性をもった世界をちまちま作る営みにすぎない」のだとしたら、私が科学している理由がもはやなくなるからである。私は、知ったところで益のないものに青春をささげているということになるのだ。