ロボットベンチャーでの転職方法 その2
概要
こちらの記事を公開してから1年経たずに、次のロボット会社さんに行く事になりました。
正直「え、もう転職するん?」と、私が私に問いたいくらいなのですが、より良い会社さんへの転職に繋がった為、今回のトライを記載しておきたいと思います。
転職先に求める事や、前回と重複するトライなどは、割愛させて頂きます。
結論
オススメ出来る活動方法
転職活動前
- 転職サイトのプロフィールをしっかり書く
- ロボット業界をきちんと理解しているエージェントさんを探す
転職活動中
- 何故転職しようという判断に至ったかを整理する
- エージェントさんに職務経歴書のレビューをしてもらう
- 消耗しきる前に転職活動に着手する
あまりオススメしない活動方法
- 転職サイトの有料プラン
以下は、上記のアクションが良かった・悪かったと判断出来るようになった、転職するまでの流れになります。
転職前の活動
転職サイトのプロフィールをしっかり書く
転職サイトに、ロボット開発に対する考え方、興味がある分野、最新の業務内容だけでなく、学生時代からの活動なども含めて更新しました。
結果的には、あるメガベンチャーさんよりお声がかかったり、エージェントさんが「こんな人ですが興味ありますか?」と職務経歴書を投げる前に見てもらえる為、便利だったようです。
採用する側も人間です。その人がどんな考えを持っていて、どんな事をやりたいと思っているのか、履歴書や職務経歴書を読む前に知りたいのではないかと思います。
人となりを知ってもらう意味でも、またロボット界隈はその人が実現した事を大切にされる方が多いように思いますので、大きい・小さいは問わず「自分でやったこと」として胸を張って言えることは、どんどん書くと良いと思います。
ロボット業界をきちんと理解しているエージェントさんを探す
前回、転職エージェントさんのお世話になったので、ロボット業界を得意とするエージェントさんが他にもいるのかもなあとぼんやりと思っていました。
そんな事を思っていたところ、たまたま、ロボット向けの転職エージェントさんを紹介する記事を読み、面白そうな人だなと思いお話に行きました。
実際に面白かった事と、結果的にはそのご縁で、今回の転職先をご紹介頂けました。
転職活動中
何故転職しようという判断に至ったかを整理する
今回は入社して日が浅いというのもあり、ここについては誰でも疑問に思うことだと予想されます。
よって、会社の何を問題だと捉え、その為にどんなトライを行い、どんな結果を観測し、それをどう判断したかのプロセスを自身の中で整理し話せるようにしました。
余談ですが、今回転職を考えた理由の一部は「ビジネスプランと現実の大きな乖離」「マネジメント手法を知らないまま、学ぶ事もないマネージャ」「チームビルディングの失敗/心理的安全性の欠如」「秘密主義」がありました。
ここから起きる諸問題をどうにかしようとして、疲れたというのが転職理由です。
でも、どうにかしようとマネジメント手法をチームに提案してみたり、威圧的にお話をされる一部の上層部にも忌憚なく話す姿勢を示したおかげ?なのか、同僚のエンジニアの方々とはとても仲良くなれ嬉しかったです。
エージェントさんに職務経歴書のレビューをしてもらう
上記エージェントさんから「よろしければレビューしましょうか?」とご提案頂いたので、素直にお願いしました。
結果、ただ情報を羅列するだけの職務経歴書から、読み手が何を欲しているかを想定した修正案をご提案頂けたこと、さらにそれを自分の言葉で修正した事で、読みやすい職務経歴書にきちんと変わりました。
これは採用担当側として「どこを読むか・どう知りたいか」という情報からの逆算ですので、エンジニア視点では分かり辛い部分です。少なくとも1度はやってもらう事をオススメします。
消耗しきる前に転職活動に着手する
転職は、しようと決断する前も、転職しようと決めてからも、本当に疲れます。
「もう限界だと思うまで、頑張るよ…」というお話を聞くこともありますが、僕自身は限界になってから、現状を冷静に振り返って次を判断できるという自信がありません。
なので「あ、これはもう無理かもしれない」と思った時点で、転職活動に着手しました。
転職をおいそれと勧める事はしませんが「あ、これはまずいかも」と思った時点で、他社の見学などはしてもよいのでは無いかと思います。
あまりオススメしない活動方法
転職サイトの有料プラン
転職サイトの有料プランを、ものは試しと1ヶ月試してみました。
結果として、今まで知らなかった会社さんから募集案内が来ていた事から、おそらく通常より目につく仕組みが適用されていると思います。
ただ、自分を必要としている会社さんは、そもそも私が応募する前に、私のプロフィールを見ている事が多く、有料プランにしてリーチする先を増やすよりも、上記の通りプロフィールをきちんと書くほうが長期的には望ましいのかなと考えている所です。
まとめ
あまり特異な事はしていないと思いますが、何か参考になりますと幸いです。
ツイッターとリアルは分けたいので、どの転職サイトに書いているのか?やエージェントさんの詳細についてなど、質問・疑問などありましたら、DM頂けますと幸いです。
余談
前回の記事、どこかに需要があるのかな?あったらいいなと思っていたのですが、
- 「職場の先輩が参考にしてましたよ!(それはそれで大丈夫?)」
- 「リュートさんの記事を見て、初手ベンチャーは辞めておきました!(うん、でもベンチャー来ちゃったんだねぇ)」
- 「ロボットベンチャーで生きてる人が、どうやって生きてるかを書いている人見かけないので、参考になりますよー(あ、なるほど)」
というご意見を友人・知人各位から頂きまして、今回も書いておけば何かしらお役に立てるのかもしれないと思った次第です。
ただ、やれる事をやっていたらこうなった感もあるので、決して計算通りに生きている訳でもないです。本当にご参考までに。
ロボットベンチャーへの転職方法
概要
日本のロボットベンチャーに転職しようとしているエンジニアさんに向けて、
- どんな手法を使ったか
- どこが面談で刺さった(と思われる)か
- どんな観点で面談をうけていたか
- どんなメンタルでいるように心掛けたか
の4点について記載した記事です。
特殊な事はしていないのですが、ご興味がある方にとって、何かお役に立てれば幸いです。
転職先として想定していた組織
- 数名~10人程度くらいまでの会社or開発チーム
- 入社後、主にハードウェア開発を担当できる事
転職手法(おススメ順)
リファラル活用
前職時代からtwitter採用担当?だった為、twitter経由で仲良くなった方や、現職から転職した友人などに「何か出来る事無いかな?」と声をかけさせて頂きました。
私の特性?を知って頂けている分、お話しも早く、採用とならないケースでも「別の会社立ち上げる時は、来て欲しい」といったお声がけを頂けるなど、良いご縁も出来ました。
自分から売り込みに行く
転職にあたって、面白そうだなと思ったロボットベンチャーさんに、当時ハードウェアエンジニアの募集が無かったにも関わらず
「こういう部分でお役に立てると考えているので、もしご興味頂ければ…?」というメッセージを投げたところ、興味を持って頂き、採用面談のご対応を頂けました。
とりあえず、興味があると思ったら、自分を売り込むのは良いと思います。
twitterに転職したいと書く
普段仕事の事をtwitterに書かないのですが、それでも界隈では多少知って頂けていたようで、いくつかの会社さんからお声がけを頂き、遊びに行く事で業界の内情等がより見えるようになりました。
転職サイトを更新する
ちょっと時期がずれますが、本格的に転職活動を行う1年くらい前から、少しづつ自分のスキルセットや、どんな事が得意か・好きかを、更新していました。
その1年で、ロボットベンチャーさんからお声がけを頂いたのは4件でしたが、確かに自分の得意とする分野と絡んでおり、当時条件が折り合えばそこに転職していたかもしれません。
転職エージェントさんを使う
これは転職サイトに登録していたところ、エージェントさんからお声がかかり、何社かご紹介頂きました。
たまたま、この業界に詳しいエージェントさんとお会い出来たのが良かった事、向こうからアプローチがあったので、使ったというべきかは悩ましいところです(エージェントのメリット・デメリットは割愛)。
ちなみにエージェントさんをある程度信頼出来た理由としては、初回面談時に「この会社はどうでしょうか?」「先日直接オファー頂いたor遊びに行った会社さんです」を3回繰り返したので、業界を理解されているなあとは思いました。
転職先で教えて貰う
色々な所に遊びに行くと「~社さんに向いてるよ」「~社の人が欲しがってるよ」的なお話しも頂きました。
ガンガン遊びに行くだけでも価値があるなと感じました。
採用面談で私の何が刺さったか
「解決されていない課題を解決出来る力があるか」
ロボットを作っていると、過去に事例/知見の無い課題が出てきます。
「未解決問題をどう定義し、どう解こうとするか」なのですが、知識から、経験から、アイディアから、色々な視点から解く方法があると思います。
これに対して「今までどうやった手法で考え実践し、解決してきたか」を具体的事例と併せて説明出来た事が、各社で一番刺さったように思います。
プライベートでのモノづくり
趣味で開発していたプロダクトをいくつか持って行き、お見せできたのが良かったです。
特に、メカ・エレキ・ソフトが混合されたプロダクトの場合、自分がどこまで出来るか・出来ていないかを伝えやすかったです。
ただし、これは最終面談くらいの段階で出す方が良い様に思います(見せる事は目的では無く、会社の指針や考え方を知る方が優先なので)
会社選びの基準
「その課題は、なぜロボティクスの技術で解決すると良いのか?」
世の中にはロボティクスの技術を使って、課題を解決しようとする会社が沢山あります。
その中には、(私の想定する)ロボティクスの技術じゃなくても良いなと思う課題もあります。
なぜ、ロボティクスで解決する事が望ましい課題なのか、自分なりに納得できる会社を探しました。
「チームで困っている事は何か?」
チームの皆さんに対して、私がどんな視点や技術的バックボーンから、貢献できるかを知りたかったからです。
「コミュニケーションのやりやすさ」
意思疎通のやりやすさが、チームの強さだと考えています。
その為(可能な場合)チームメンバーの方とお話しをさせて頂き、思考の速度や、情報を出す順番、シーンに応じた言葉のレベル感を考えながら、お話しさせて頂きました。
(実際にお話している時は、こんな小難しい事は考えて無いんですが…言語化するとこんな感じでしょうか?)
「会社の資金調達計画を教えて貰えるか」
特に小さなベンチャーさんの場合は、いつどんな目的で、どこから調達を受ける予定なのかを教えて頂きました。
これは調達の可能性と共に、経営者がどこまで先を見据えて考えているかを知りたいというのがありました。
転職活動で心掛けていた事
「採用は時の運。落ちても気にするな」
現職では採用面談をたまに担当していた事もあり、どれだけ欲しい人材でも「あと2週間早ければ…今は採れない…」みたいな事がたまにありました。
もちろん、私の実力不足の可能性も大いにあるのですが、本当のところは、分かりようがありませんし、それが原因で次のアクションが出来なくなるのは本末転倒です。 そこに思考・心理的リソースを使わないように心掛けました。
これ、当たり前と思われるかもしれませんが、転職活動中には「(コロナ直前に)遊びに行った後、コロナで採用をストップしてるから今はごめんねという連絡があったけど、僕がダメなだけだったのかも…」みたいな心理には、容易になりやすいです。意識して明るく転職活動しましょう(笑)
まとめ
転職活動期間は5ヵ月で、コロナの流行りはじめた2月からスタートだったので、3-4月は事実上何も出来なかったですね。一時はどうなるかな?と思いました。
遊びに行ったのは7社、うち面談を受けたのは4社、最終的に内定を3件頂きました。その中でも一番変わった(ユニークな)会社さんを選択しました。
ご興味がありましたら、ご飯にでも誘ってください!!
(おまけ) ロボットベンチャーを目指す学生さんに向けて
転職について書いたついでに、ロボットベンチャーに憧れている学生さん向けに、ちょっとだけ書いておきます。
私自身、ロボッベンチャーさんをあっちこっち遊びに行っているせいか、時折学生さんより、進路相談を受ける事があります。(話を聞きたいと思って貰えるおっさんになれていて、ありがてぇ…)
で、これは誰であろうと必ず伝えているのですが「ロボットベンチャーを目指す学生さんは、絶対に新卒で、ロボットベンチャーに入らないで」とお伝えしています。
理由は3つ。
1点目は「ベンチャーに向かない」と思っても、そこから大企業に転職するのは大変だからです。これは良く語られるので割愛します。
2点目は「教育コストを支払えない」からです。チーム内でのスキルの共有が無い環境の場合、極端な事を言えば「言われたことをやった以上の知見を得られない」事になってしまいます。
3点目は「ベンチャーの採用は、必ずしも技術に詳しい方だけが判断する訳では無い」という事があります。
(これは日本特有かもなのですが)ベンチャーだからこそ、技術で評価される!とお思いかもしれませんが、採用に技術系でない経営層や投資層が絡む事も多々あります。
その際、経営層が判断できる材料として分かりやすいのが、職歴や学歴になります。ベンチャーしか経験がない人材だと、経営層の方からストップがかかりかねません。(そしてこの問題は、一生つきまといます)
ベンチャーでやりたいとお思いの方ほど、最初は大手が良いと考えています。 何が言いたいかと言うと、例え3 or 6ヵ月でも良いので、大企業の職歴をGETしておきましょう。
Haritora - ハードウェア設計のポイント解説 -
概要
izmさんから頂いたHaritoraのプロトタイプに対し、メカ・回路視点からブラッシュアップを行ったさいの、検討内容まとめ記事です。
Haritoraとは?
装着型の下半身モーションキャプチャーデバイス。
trackerたくさん付けるの高いやん?ってトコからスタートしてたはず。
初めまして。
— Haritora (@HaritoraVR) 2020年5月3日
Haritoraという下半身トラッキングシステムを作っています。
ベースステーションが結構高いので、フルトラを民主化出来たら嬉しいです('-'*)#vrchat pic.twitter.com/nQstCKjmy7
何故作ったの?
1つ目は、最近Kicadで遊びはじめたので、じぶん以外の人が使うデバイス(回路)を作ってみたかった。
2つ目は、izmさんと得意領域が分かれており、かつお互いの領域について知見があるので、やりとりがスムーズ!!スーパーエンジニア izmさんはすごい!
構成要素は?
腰に取り付けるユニットを親デバイス、太ももやすねに取り付けるユニットを子デバイスと呼んでいます。
親と子は、LANケーブルで接続され、子機はディジーチェーン接続が可能です。
完成品
生基板
先にまとめ
基板CADの乗り越え方
今年基板CADを覚えたばっかりで、実際のプロダクトとして基板を作ったのは初めてでした。
回路設計は、ロボコン現役時「さっぱり分からん…」となり、どうしても苦手意識がありました。
ユニバーサル基板でいろいろ作ることはあっても、基板化までたどり着けずだったんですが。
今回のりこえられたのは、しごとで出会った、回路を相談できる友人達と、教えて貰ったこの本のおかげでした。
booth.pm たとえば「KiCADのエラーと警告ってどこまで対処するべき?全部?」「回路レビューを頼む(有償で)」が気軽に相談できるので、どうにか作れるようになってきました。得たもの
エレキ・メカをシームレスに変更出来るスキルは本当に楽ですね。
「あ、ちょっとここ変えたい」という要求の難易度と実装コストを、自分で把握できるため、どちら側で解決するかをすぐ考えられるのが嬉しいです。
他、仕事ではスクラム開発なのですが、チームでロボットを作りたいので、そこに貢献できるスキルを一個GET出来たのも、けっこう嬉しいポイントでした。
ここからが、本題です。
プロジェクトの前提条件
使用方法
- ユーザー自身に装着して貰うデバイス
- ユーザー自身がLANケーブルの抜き差しや、接続を行う(故にLANケーブルの接続ミスは減らしたい)
- 親機はベルトで取り付け。子機はベルト or リングフィットの脚に付けるやつに挿す。
- 電源は、別途ユーザーにモバブを付けてもらう
販売
- 販売方法の想定は2種類
- 生基板のみ販売 (ユーザー側で、ケースの製造や、電子部品の購入・製造 )
- 完成品の販売
- 初期の製造数は恐らく10~20セット程度。
プロジェクトのゴール
- 初期ロットをizm or リュートが出荷が出来るようになること
プロジェクトの優先度
- 開発速度(出荷出来るレベルまでまずは持って行く)
- 安全性 (個人開発の為、使用時の怪我などは自己責任とさせて頂きますが、それでも安全は出来るだけ担保したかった)
- コスト (trackerより高いと作る意味ない)
- 耐久性
- 製造汎用性(ユーザー側で製造する際のばらつき対応)
- 量産性 (組み立て性やばらつき対応)
要求・要望
- ユーザビリティ
- M5stickCの電源ケーブルを挿せるように
- M5stickCの電源ボタン(2カ所)のうち、いずれか1ヵ所を押せるようにする
- LANケーブルの抜き差しは、ケースを分解せずに出来るようにすると嬉しい
- 子機は上下が分かるように
- 子機は、スイッチのケースに入れるケース形状と、脚に巻けるケース形状の2種類に対応して欲しい
- 拡張性
- 下半身のトラッキングが目的だが、将来的に拡張性(ex:上半身と接続できるポート)があると嬉しい
- ソフトウェア的制約
- IMUの取り付け方向は、親子で指定の向きとする
- RJ45の接続口は、右足子機・左足子機で、別にしたい
設計検討事項
メカ側
- 安全面
- 装着時の怪我を防止する為、RJ45コネクタなどのエッジ面には触れない形状である事(基本的にケースで全て覆う)
- 転倒時に人体の側で無い方が自壊する・屈曲するように構造で制御(特に親機)
- 破損した場合、破損した部品が鋭角な壊れ方になりづらい材料で製造する
- コスト
- 耐久性
- 親子機が接続された状態で、いずれかの機器だけ持った状態で搬送される、ケーブルをどこかに引っ掛けるなど、LANケーブルが引っ張られる可能性が高いと判断
- コネクタ周りに負荷が集中する事故が想定される為、コネクタの根元で基板やケースとの結合を想定
- 組み立て性
- 親機はねじ止めしやすいよう、位置決め穴を2カ所設定。子機は組み立て難易度が低いと判断し、位置決め穴は無し。
- ネジはM2.5で統一(M5stickC 固定ネジは制御出来ないので例外)
- 部品選定
- 基板の着脱が多そうだったので、タップタイプねじ(Pタイプ)を使用(量産時は変更予定)。
回路側
- 前提条件
- izmさんの個人プロジェクトから始まっているので、電子部品の構成は確定済。
- 耐久性
- IMUなどの脱落防止に、着脱防止用のJQコネクタを検討。世界的な入手性が不明だったため、ケース側でIMUを押さえる方法に変更。
- 仕様準拠
- RJ45をI2Cで使用する際の仕様に準拠
- I2C バス仕様およびユーザーマニュアル
- SCLとGND(VSS)、SDAとVCCをペアにする(60P)
- RJ45をI2Cで使用する際の仕様に準拠
- テスト性
- M5StickCの使用していないピンと、I2Cのテスト用コネクタを別途実装
- ノイズ対策
- プルアップ抵抗を、各I2Cラインに接続出来るように追加(今のところは無しでも動く)
- I2C マルチプレクサのリセットピンとM5StickCを接続(起動時・通信トラブル時等にリセットをかけられるように)
- 汎用性
- RJ45をAliexpressで買うと、基板と接続する端子の上下が変わる事があったので、両方挿せるように対応
実装時の工夫した点
子機着脱用爪
台形形状の構造とし、押し込むと、ニュっと入っていく圧力感と脱落防止を実現
LANケーブル着脱穴
組み立て性
親機のフタを外せば、m5STICKCを取り外せるように実装しています。
テスト
親機を装着した状態で、お腹から転んでみる
- ゆっくり/ちょっと激しく転倒を、それぞれ5回ずつ実施。僕のお腹限定ですが、ケースに破損は見られませんでした。でも、お腹痛いのには変わらないので、何度もはやりたくないですね。みなさんも気を付けて使って頂けると幸いです。
フタの脱落テスト
- ベルトを通す部分辺りを手で持って、シェイクする感じで100回ほど激しく振ってみましたが、特に外れませんでした。
まとめ(悩んだ点・感想など)
回路
- 低速の信号なので、そこまでノイズに配慮しなくても良いだろう反面、I2Cの一般的な使用方法と異なる為、どこまで気に掛ければ良いかが分からない。
- Aliexpressの基板は、回路図が公開されていないので、ICのリファレンスを見ながら、きっとこの部品はこれ目的だろうという推測しか出来ず困った。
- 子機はもう一回り小さく出来そうだなと思っているので、もちょっと別バージョン作ってみたい
ケース
- 誰でも3Dプリントできる程度のパラメータで設計する(低価格3Dプリンタでも出せる収縮設計)。収縮比とかある程度目算持ってやってるけど、データ公開時は出力方向とか指定がいりそう。
- 分解し易いけど、外れにくいケースにする点。上記の収縮の事を加味する必要があるので、実は結構難しかったりします。
感想
今回、ノリノリで設計して楽しくやってたんですが、あらかた作った後、ControlVR※というKickStarter案件を思い出しました。(※ 2014年に、上半身のモーキャプデバイスとして、5300万円を調達したデバイス)
6万円ほどバックしたんですがまだ届かないので、Haritoraが完成したら、バッカー限定のスレッドに「下半身は出来たけど、そっちはどう?」って書き込みたいなぁ。
https://www.kickstarter.com/projects/controlvr/control-vr-motion-capture-for-vr-animation-and-mor?lang=jawww.kickstarter.com
さいごに
Haritoraが動いてるところ、早くみたいなぁ ;)
SolidWorksでのSTLデータ編集方法
概要
SolidWorks上でSTLデータを編集する手順について解説した記事です。
検証環境
- SolidWorks 2019 SP4.0
- Windows10
ポイント
SolidWorksでは、STLでインポートしたデータや、ソリッドボディを「メッシュボディ」という、名前の通りメッシュ化されたデータに変換します。
メッシュ化されたデータ同士の和や差を取ることで、形状の追加・削除を行うことが出来ます。
手順概要
1. STLデータのインポート
任意のSTLを、SolidWorksから開きます
2. STLデータを操作するソリッドボディの作成
追加・削除したい形状を作成します(ここでは青色の円柱部分)
作成したソリッドボディを、メッシュボディに変換します
変換後、メッシュボディに変換されていることを確認します。
3. STLデータの加工
組み合わせコマンドを使って、メッシュボディ同士の和・差を取ります
形状を追加したい場合
組み合わせの加算を選択します。
形状を差し引きたい場合 組み合わせの除去を選択します。
まとめ
SolidWorks2020からは、任意の面から面を定義したり、軸を定義したり出来るようになるようです(が、リリースノートを読んだだけなので、未検証です。誰か試して下さいませー)
おばーちゃんの見守りデバイス作成 M5stack + SORACOM 3G
概要
SORACOM AIR の「M5Stack用 3G 拡張ボード」とM5 stackを使ったHTTPS通信の実装例です。
SORACOM 3GモジュールでHTTPS通信を使う場合のハマりポイント(ライブラリやボードバージョンの相性問題と対策)を記載しています。
開発内容
目的
叔母より「おばーちゃんが起きてこない時に、メールで通知を飛ばせないか?」と相談された為。
具体的には、トイレを監視して、半日反応が無かったら(起きてこない)時に通知して欲しい
制約条件
- おばーちゃんの家にはネット環境やスマホは無い
- 叔母はガラケー使い
- Maker Fair Tokyoで買った、SORACOM AIR 3GモジュールとM5Stackで遊んでみたい
全体の構成イメージ
実装手順
SendGridのユーザー登録(認証に1営業日くらいかかるので最初にやる)
sendgrid.kke.co.jpSendGridのユーザー管理画面から、メール発行用のAPI KEYを発行。
M5 stackの環境構築。 dev.soracom.io
TinyGsmClient と ArduinoHttpClientライブラリを使用して、実装。(使用ライブラリのバージョンは、readme 参照。)
github.com配線作業
M5 stack 2番ピン - RST 接続
M5 stack 5番ピン - 光センサ 3ピンの真ん中
M5 stack 5V - 光センサ VCC
M5 stack GND - 光センサ GND光センサの遅延時間調整
DELAY_TIME のポテンショメータを調整して、人を検知してから、15秒~30秒間くらい反応するように変更します。
完成図
まとめ
契約プランと月額料金
特定地域向け IoT SIM (plan-D) 特定地域向け IoT SIM (plan-D)
月額料金 300円くらい(1日10円+通信料。ただ通信料は知れているので数円レベルと思われる)
使用デバイス
- M5 stack 3200円
- M5Stack用 3G 拡張ボード 8800円
- SIM カード 895円?(Maker Fair Tokyo会場で、3G拡張ボードに無料で付いてきた)
- 焦電型赤外線センサーモジュール(焦電人感センサ)600円
- Type-C充電器 1780円
ハマったポイント
TinyGsmClient / ArduinoHttpClientライブラリをESP32で使用する場合、ESP32のライブラリバージョンを1.0.1にする必要がある
github.com
TinyGsmClient の公式サイトに書いてあったんですが、ArduinoHttpClient のエラーだったので、TinyGsmClient 依存だと気づくのに時間がかかった…EPS32を1.0.1に下げると、M5stackのライブラリの最新版で問題が出るので、M5 stackのバージョンも0.2.5 に落とす
補足
公式サービス
SORACOM には、データ保存サービスのHarvestや、アクションをかけるLagoonというサービスがあります。
そもそも、これらのサービスを使えば、サクッと実装出来ると思うのですが、Harvestの方は無料枠が無くて、どうせなら追加料金無しで出来ないかな?と思って実装した次第です。
お金で解決する場合は、こっちでも全然良いと思います。(実際、Harvestの無料枠があったら、そっち使ってたと思う)
soracom.jp
他社サービス
同じ仕組みで何かやるなら、IFTTTでHTTP->メール発行が出来ると思うのでこっちが良いと思います。
(このへんかな? IFTTT 自作アプリからHTTPリクエストでスマホへプッシュ通知 - OITA: Oika's Information Technological Activities)
普段やらない事の勉強と、夏休みの自由研究みたいな気分だったので、実装例が見当たらないHTTPSで実装して遊んでみたかったというのが本音。
まとめ
Arduino系を久しぶりに触ったんですが、3G系のサービスも、かなり楽に実装出来るようになってきてるんだなという印象。 ソフトの実装は、サンプルで書いた以外にも、NTPサーバーで時間取って決まった時間にメール飛ばすとか、死活監視とか、3G通信失敗した時にリトライする処理入れるとか、まだまだ修正するところはあるんですが(そもそもリファクタせーとか)、とりあえずその辺りは、実装例があったり、比較的難しそうじゃなさそうなトコなので、最低限の内容で記事を書きました。
Phrozen Shuffle 用 レジンバットヒーター 製造方法公開
概要
Phrozen Shuffle のレジンバットヒーターの公開記事です。
元々、自分用に設計した為、製造には配慮出来ておりませんが、温度管理でお困りの方が見えるのでは無いかと思い、公開させて頂きました。
何かありましたらお気軽にご質問頂ければと思います。また、使用に際しては、全て自己責任でお願い致します。
内容
Phrozen Shuffleにスポッと差し込んで、電源を入れるとレジンを暖めてくれます。
効果
タフレジンをタンクの半分程度に注いだ状態で、15V ACアダプタを使用 : 30分で、24.8° -> 35.3° に上昇。
3月末頃から使用していましたが、寒い日(最高気温10°程度)でも安定して造型出来ていましたので、冬場にも有効だと思います。
ただ、もっと冷える場合は、後述の16V ACアダプタを用いると良いかもしれません
製造のご依頼について
Boothにて、1.6万円で完成品の販売を行っております。
ryutosouma.booth.pm
受注生産となりますので、発注を頂いてから、1~2week程度で発送させて頂きます。
DIYの為、使用に際する事故などへの保証が出来ませんので、あらかじめご了承ください。
制作方法
前提条件
- はんだ付けが出来る環境を前提としています。
- 200mm角のサイズが造型出来るプリンターをお持ちの方 or 外注出来る方
準備するもの
- 必須部材
- いずれか必要 (現時点では15V 推奨)
- あったら良いもの
制作手順
- 3Dモデルをプリント
www.thingiverse.com - DCジャックの配線をします
- DCジャックを3Dプリント部品に固定します
- アルミ箔ヒーターをはんだ付け (この時、耐熱テープ(ポリイミドテープ)などで必ず絶縁して下さい)
- 両面テープを、3Dプリント部品に、間隔を空けて2列に張り付けます(間隔を空けずに貼ると、貼り付けに失敗した時、リカバリーできなくなります)
- DCジャックの口にL字変換プラグを挿して、完成です。
ミスミ RAPiD Design(inCAD Components)使用感レビュー
概要
ミスミで最近公開された、RAPiD Design(以下RAP)の導入手順と、使用感についてレビューした記事です。
jp.misumi-ec.com
RAPiD Design(inCAD Components)とは
CAD画面上で、要素部品の仕様を変更すると、ダイレクトに形状が変更される機能です。
例えば、ベアリングの外径を変更すると、それに合わせたベアリングの形状に変更されます。
結論
部品検索の為の導線が、Web検索・RAP内検索と2つ存在するのですが、従来のWeb検索で無いと探せない部品が多々あり、現時点では導入し辛いと感じます
問題点
- RAPからの部品検索ではRAP対応モデルしか検索出来ない。
- RAPに対応していないモデルは、ミスミのWeb画面から検索しないといけない
- 設計時の選択肢が狭まる可能性がある以上、Webから部品検索をしないといけない
よって、RAPから操作したいと考えていても、Webから検索せざるを得ず、RAPを使いたいが、使い辛い。
解決策提案
RAPの画面上から、Webの検索と同等の部品検索が可能となり、RAP非対応のモデルもDL出来るIFにして欲しい。
感想
全体的な印象
操作については、必要なモデルを検索 -> パラメータ設定 -> CAD上にインポート -> 以降はCAD画面上でパラメータ編集 という流れになり、以降のCADモデル入れ替えが不要となり、設計変更が楽になります。
画面上から直接モデルを変更出来るのは、初期の荒い設計検討や、設計の最適化などを行っている際には便利な機能という印象です。
データの受け渡し
任意のフォルダにファイルを置いても、後からパラメータ変更が出来ますので、さしあたり複数人数で使用しても問題は無い様に思います。
導入手順
使用申請
ミスミのRAPiD Designのページより、使用申請を行います。
ソフトのDL先のメールが来ますので「inCAD_Components_XXX.zip」をDL -> 展開し「MisumiRD_SW_setup_dl.exe」を実行します。
- プロキシサーバーの設定うんぬんが出てきますが、ガン無視して「次へ」を実行していきます。
- インストールが完了したら「ツール」->「inCAD Components」->「起動」を選択します。
- 検索画面が出てきますので、ミスミのWeb検索画面同様、部品の仕様を指定して、部品を選択していきます。
バグっぽい挙動
追加工がモデル上に反映されない