2024-05-04 惜春 惜春の 湯網の後に 君を抱き (せきしゅんの ゆあみのあとに きみをだき) [解説] 春の花が散って、過行く春を惜しむ初夏の頃。外から戻って君と2人で風呂に浸かる。互いの身体を洗いながら、気持ちの高まりを抑えきれないように君のことを抱いた。 湯網(湯浴み)=風呂に入ることの古風な言い方。 "ゆあみ"の「ゆ」とは、清らかなもの、けがれがないという意味があり、「あみ」は、浴びるという意味。 Write:2024.05.04 Photo:2022.04.29 撮影 Camera:OLYMPUS PEN Lite E-PL7 Lens:OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL 45㎜ F1.8(35㎜換算90㎜)
2024-03-20 『月曜はじまりの恋』 君とつき合い始めた頃から 共有していたカレンダーアプリ 僕は月曜日はじまりで 君は日曜日はじまりのスケージュールだった 何度か君に 月曜日に合わせてほしいとお願いしたけど 君は頑として譲らなかった 今にして思えば二人の時間軸は 最初からズレていたんだね 夜と昼の間で君に逢って 昼と夜の間で君を抱いた 僕らは互いが交わる時間を 必死に模索しながら 心を繋いでいた 僕は月曜日はじまりで恋をして 君は日曜日はじまりの恋をする 少しずつズレながら その恋は3年半で終わりを告げた・・・ Write:2024.03.20 Photo:2023.03.20 撮影 Camera:Panasonic LUMIX DMC-GM1 Lens:OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL 17㎜ F2.8(35㎜換算34㎜)
2024-02-21 『生キトシ生クルモノ』 生キトシ生クルモノ スベテ コレ 罪ノ子ナレバ もしもうちが あなたよりも先に死ぬときは あなたはどんなことを思うのかな 哀しいけど あなたのほうが先に死ぬとき うちは何をしてあげられるのかな そんなことを時々思うことがあるの それは13年前の3月のはじめに あなたに云った言葉 「永遠なんてないよ」と あなたが云うたびに あなたの背中に縋って泣いた あなたに抱かれるたびに 人の業の深さを知った 生キトシ生クルモノ スベテ コレ 罪ノ子ナレバ Write:2023.03.08 Photo:2024.02.21 撮影 Camera:Panasonic LUMIX DMC-GM1S Lens:OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL 17㎜ F2.8(35㎜換算34㎜) *自信モテ生キヨ 生キトシ生クルモノ スベテ コレ 罪ノ子ナレバ 太宰治 『晩年』の一節
2024-02-12 沫雪 沫雪の 合鍵で開く 秘め扉 (あわゆきの あいかぎであく ひめとびら) [解説] 春が近づくにつれて降る淡い雪は、まるで儚げな恋のようだ。 君から預かっている合鍵を持って、一足先に踏み入れる逢引きの部屋で、君の帰りを一人待ちわびている。 沫雪(泡雪・あわゆき)=泡のように溶けやすいやわらかな雪。春が近づく頃に降る雪。 Write:2024.02.11 Photo:2017.02.06 撮影 Camera:OLYMPUS STYLUS TG-2 Tough
2024-02-10 『遅春の頃』 湯上りの 遅春の頃 床を敷き (ゆあがりの ちしゅんのころ とこをしき) [解説] 暦の上では春になっていても北国の冬はまだまだ遠い。 風呂に入る前、「布団敷く?」と聞いてくる君が、その後の営みを求めていることに心が躍る。 遅春=春の到来が待ち遠しい気持ちをこめた言い方。 Write:2024.02.10 Photo:2019.01.13 撮影 Camera:OLYMPUS STYLUS TG-2 Tough スーパーマクロ
2024-02-07 『嬉し恥ずかし19の恋』 バスを待つあいだ 2人は傘に隠れて何度もキスをした 嬉し恥ずかし19の恋 このままずっと雨がやまなければいい このままずっとバスが来なければいい 誰かに見られたらどうしようとか 噂になったらどうしようとか そんなことよりただ君のことが好きだった 恋は恥ずかしげな歌詞みたいに純朴で 否応なしに心を奪いに来る それでもいいと思った それでいいと思った それが恋をするということだと思ったから・・・ Write:2024.02.07 Photo:2016.04.03 撮影 Camera:Panasonic LUMIX DMC-GM1S Lens:OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL 17㎜ F2.8(35㎜換算34㎜)
2024-02-07 『断捨離』 僕と別れてから君は断捨離をしたかな? お揃いのコーヒーカップ 僕が置いて行ったジャージの上下 僕があげた愛車と同じミニカー 2人で撮ったたくさんの写真 「この子は責任を持って育てます」と言った 僕が拾ってきた猫 「この雑誌は私にちょうだい」と言った 何冊かの雑誌 それは今でも君の手元に置いてあるのかな 君が僕のことを誰よりも一番愛してくれていたことを 僕が君のことを誰よりも一番愛していたことを そのことだけは決して忘れないでいてほしい 僕は今でも君との思い出を 何一つ捨てられずにいる そんな情けないヤツだってことを・・・ Write:2024.02.06 Photo:2024.01.28 撮影 Camera:iPhone15Pro