空と海と十字架の島をゆく|青砂ヶ浦教会・大曽教会ほか【五島列島の旅 12】
中通島ともそろそろお別れ。駆け足で島をまわります!
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津和崎港に停めてあったレンタカーに乗り、朝来た道を戻ります。13時半にレストランを予約していたのだけれど、その前にできれば寄りたいなぁという教会があって。
相変わらず夫は助手席で爆睡していたので、一人でひたすら運転。くねくね曲がる人気(ひとけ)のない道は、慣れると気が楽です。
途中、赤波江教会をチラ見。ほんの一瞬。
青砂ヶ浦教会
立派な駐車場、造花のアーチ
予約したレストランに到着……したのですがいったんスルーして、そこから2、3キロの距離にある青砂ヶ浦教会(天主堂)へ。ここは世界遺産の構成要素にはなっていませんが、重要文化財に指定されています。比較的大きな道路沿いに建ち、駐車場もしっかりと。車やバイクが何台か停まっていました。(五島の教会に車がこんなに停まってるの、初めて見たかも。)
外側は立派な煉瓦造りです。手前にマリア像がある。
そのマリア像を囲むように、造花でアーチが作られていたのです。(アップの写真撮ってなかった……)
……これが印象的すぎて、その他のことをあまり覚えていません。こんなに自然が豊かな環境で、花が造花ということが、正直とてもショックだったのです。色々事情はあるでしょうし偶々かもしれませんが、少しビジネスライクな感じがしてしまって。
自然と生まれた価値基準
レンガの赤色とアクセントの白色の組み合わせは、旧野首教会と一緒。形もかなり似ています。
……のですが、印象はだいぶ違いました。
いくつか教会を見てまわる中で、私たちの中に自然と生まれた価値基準として
● 周囲が豊かな自然に囲まれていること(ほとんどの教会がそうでしたが)
● 人の手の跡が感じられること
● どこかに個性があること
が挙げられるのかな、と気づきました。そういう観点で青砂ヶ浦教会はあまり「グッ」とくるものがなかった(あくまで自分たちの場合は、という意味で、教会を否定する意図はありません)。
これを機に、残りの旅はどちらかというと“立派そう”な教会を避ける傾向になりました。
たぶん、そういう理由で行かなかった教会にも感動する所はあったと思うのです。ただかなり時間が限られていたので、より興味の沸く方をと選択していった結果、そうなってしまいました。
私たち夫婦はこういう価値観が非常に近いので、普段は自然と物事を選んでいけるのですが、この感覚を究極に昇華させると美術の趣味になる気がします。美術の趣味(好み)がかなり近いという共通点が、実は夫婦円満の秘訣かもしれない……などと思ったり。
空と海の十字路(ホテルマルゲリータ)
また来た道を戻り、予約していたホテルマルゲリータのレストラン「空と海の十字路」へ。
ホテルマルゲリータは、中通島随一のオシャレホテルです。カップルとかで来るならここに泊まるのがおすすめです(他はビジネスホテルが多い)。部屋の写真を見るとちょっとエキゾチックでいい感じ。値段もびっくりするほどではありません(自分はビジネスホテルに泊まったくせにって感じですが)。
「空と海の十字路」のネーミングは、中通島の形が十字架に似ているところから来ているのでしょう。天井の高い開放的な空間、一つ一つのテーブルが大きく、団体客もけっこういました。
A・B・Cと3つあった中で、真ん中のBコース(2300円)を。メインは夫が豚肉、私は鴨肉。前菜含めてとても美味しかったです。特に鴨料理はすごく柔らかくて、臭みはないんだけど鴨のしっかりとした風味が残っていて、絶品でした!
前菜。
こちらが鴨。
向こうが豚。パンも美味しかった。
レストラン併設のお土産コーナーで、フィナンシェと五島うどんを購入。パッケージが可愛いです。
大曽教会
静かな港で階段を登る
次に目指すは大曽教会。色々なガイドを見て絶対に行きたいと思ったところ。
ホテルマルゲリータからはわりと近かったです。といっても車で25分ぐらい(だんだん麻痺してきた)。桐教会があった村に似た、静かな田舎の小さな港のそばにあります。
こういう小さな港が突然ポツポツ出現する!
細く急な階段を、民家沿いに登っていきます。
ほんとにこの先?という道
ついた!
教会の手前に手を広げたイエス像が。マリア像ではないんですね。(その違いがなぜなのか、気になるけどわからず仕舞い。)
奥深く上品
建物内部は旧野首教会や青砂ヶ浦教会と似たリブヴォールトの天井。木製の柱は断面がただの円形ではなく、中心の太い柱のまわりに細い丸柱をくっつけたような(断面が花みたいになるであろう)つくり。柱をくっつけたのか削り出したのか気になる。祭壇も立派でした。
似たような教会を見た中でも、ここは全体の雰囲気がとても上品でいい印象でした。
旧野首教会は廃墟感が得も言われぬ雰囲気を出していてかっこよかった。
青砂ヶ浦教会は少しきちんとしすぎていて、しっくりこなかった。
そしてここは……なんだろう?階段を登ることによって山に抱かれたような静かな環境ができ、その静寂が野崎島の「何もなさ」とは違う「奥行きの深さ」を生んでいる、のだろうか?
どこが「グッ」とくるのか、ハッキリと定義するのは難しいですね。
とりあえず外観のプロポーション、可愛い!
もう島を出る時間が迫ってきています。慌ただしい旅だけれど、見たい教会がたくさんあるなぁ。
(つづく)
青砂ヶ浦教会(青砂ヶ浦天主堂)
長崎県南松浦郡新上五島町奈摩郷1241
見学時間:9:00〜17:00
↓内観写真が見られます
青砂ヶ浦教会
ホテルマルゲリータ
長崎県南松浦郡新上五島町小串郷1074
TEL:0959-55-3103
公式サイト:五島列島リゾートホテル マルゲリータ(Margherita)
大曽教会
長崎県南松浦郡新上五島町青方郷2151-2
見学時間:9:00〜17:00
↓内観写真が少し見られます
大曽教会
※掲載している情報は2018年時点のものです。訪問の際には必ず最新の情報をご確認ください。
【この記事で使用しているカメラ/レンズ/フィルム(左下に透かしのある写真)】
Nikon F3+Nikkor 28mm f/2.8+Fujicolor C200
五島列島の旅|目次(記事一覧)
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世界の端へ|野崎火山火口跡【五島列島の旅 11】
野崎島の魅力は旧野首教会だけでなく、無人島ならではの手付かずの自然。その壮大なスケールと美しさは、想像の域をはるかに超えていました。
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世界の端へ
「野崎火山火口跡」を目指す
野崎島と教会が本当に気に入っただけに、夢中で撮った写真を失ってしまった(であろう)ことにはガックリきたけれど*1……気を取り直して再出発!集合時間の12時までは1時間半ほど時間が余っていました。
相変わらず、風が強い。
教会から港の方向へ戻る途中に山を登るルートがありましたが、時間的に戻ってこれるか自信がなかったのでやめました。代わりに来た道を帰り、野崎火山の火口跡を目指すことに。
↑旧野首教会、野崎港、火口跡の位置関係
道なき道を歩く
教会の近くでほんの1時間ほど前に鹿と遭遇した場所を再び通ったけれど、もう鹿の姿は見えなくなっていました。
菜の花の段々畑を過ぎたあたりで左に曲がります。
しばらく歩くと道がなくなってきます。「本当にこっちで合ってるのかな?」と不安になったところで小さな標識を発見。一応このルートでいいみたい。
鹿の姿は見えないけれど、ここにも鹿のフンがたくさん落ちています。海側の敷地はフェンスに囲まれていましたが(鹿対策なのか?)、フェンスとして機能しないほど強風になぎ倒されていました。本当に風が強い。遮るものがないから当然なのだろうか。
調べてみると、このフェンスはやはり鹿対策だったようです。鹿から田畑を守るために住民たちが設置したのですが、無人島となってしまった今、穴も開いて意味を成さなくなっているとのこと。
参考:野崎島の段々畑・シカの群れ - 野崎島 観光 | トラベル - [ありの木]
港の方向を振り返る
展望所からの景色は……
港から10分ほど歩くと、「北崎展望所」に到着。
左手にはかつての噴火口が見えます。
海が信じられないほど澄んで、青い。
崖の赤い土。
樹木の緑色。
それぞれの色が極限まで引き出されているさまは「美しい」と何度言っても足りないような景色でした。
私たちはその光景に見とれ、というかむしろ心をグーンと引っ張られるような気分で、しばらく放心していました。
ふいに、鷹のような鳥が飛んだ。
すぐそこに、エメラルド色の海の上に浮かぶ小さな島があります。赤い土の上にこんもりと緑の塊ができている。
あそこには何があるのだろう?生物がいるのだろうか?
大した距離ではないはずなのに、今自分たちが立つこの場所とは全く別の世界が展開されているような……あそこに未確認の生物が暮らしていると言われても、すんなり信じてしまいそうな。
「あぁここが世界の端っこかもしれない」という感覚でした。
人間の介入しない世界
少し別の方向に歩くと、より平坦で何もない土地に出ます(ここもサバンナか?)。
すると出会ったのは……満ち潮で水が届く部分だけに、はたまたかつて川があった場所だけに、緑が育ったかのように見える景色。信じられない、見たこともないような絵。
とっても残念なことに、ここでフィルムが足りなくなって撮れなかったのです……。というわけで、iPhoneで撮影した写真を(iPhoneの性能は素晴らしい!)。
不思議。きれい。いや美しい……。と、少ないボキャブラリーで目の前に広がる景色を称え合う二人。
なぜこんな育ち方をしているんだろう?
これが(おそらく)人間が意図したものでなく、さらに全く人間の役に立っていないという事実が、私にとっては大きな驚きでした。見て楽しむために植えられた花畑でもないし、収穫して食べるための農作物でもない。なのにこんなに美しくて尊いものがあるなんて。
人間が介入する前提の世界に自分は生きているんだ、と、人間がいない場所で逆説的に知る。人間がいなくても(いないほうが?)世界はこんなにも美しいなんて……。
約束の12時
帰り、また少し廃墟を見て、港に戻りました。
大きな木の下で。
12時ちょうどに津和崎丸はやってきました。
船に揺られている間、二人とも無言で、いま離れた島を窓から注視していた。
十字架が見えた。今回は行けなかった教会の跡(※舟森集落*3)だ。あそこにも力強いものがありそうだ。時間があれば行きたかったなぁ。
行きと同じくものの15分ほどで津和崎港に到着。
わずか3時間ほどの野崎島での滞在。本当に充実した、忘れられない時間になりました。
(つづく)
五島列島の旅|目次(記事一覧)
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大自然に負けない力強さ|旧野首教会【五島列島の旅 10】
野崎島をしばらく歩き、いよいよ見えてきた旧野首教会。ここでまさかのミスに気づいたのです……。
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旧野首教会
堂々とした姿
鹿に出会った場所からすぐ、旧野首教会が見えました。遠くに、ポツンと。
見渡す限り高い建物は一切なく(そもそも建物がほとんどなく)、大きく広がる青空。力強い日差し。その足元に広がる大地と木々。壮大な自然の中で、それらに全く負けない存在感が遠くに見える小さな教会に感じられたことに、本当に驚きました。
島民の信仰の象徴として、おそらくは島の最も良い場所に建てられたであろうこの教会。
今は使われていないはずなのに……礼拝をしに来る人はいないはずなのに、寂しげな気配は見せずとても堂々としているのです。
赤いレンガ造りの教会は、その後の旅でいくつか見学しましたが、旧野首教会が一番美しく、見えないパワーを発しているようでした。
コントラスト
レンガ積みの赤色と、窓など部分的に使われた白色とのコントラストが、青い空によく映えます。
内部は小さめながらきれいに保存されており、ステンドグラスを通して差す強い日光が室内を明るく照らしていました。木製のリブヴォールト天井を見たのは初めて。丸柱も、祭壇前の木の柵も、高台に建つため光を遮るものがなく、はっきりと照らされます。
室内でもまた、白い壁や天井の「面」と、天然木の造作が生み出す「線」は、実に魅力的なコントラスト。手彫りによる細部の作り込みもすばらしい。この教会も鉄川与助の設計施工によるそうです。
ついに1908年(明治41年)10月、教会建築の名工・鉄川与助の設計施工による野首教会が完成します。総額はおよそ3,000円。現在のお金に換算すると2億円ほどの価値があるといわれています。「たった17戸の集落で、これほどの資金を払う事が出来るのか?」工事に関わった人々の中には不安を感じる人もいたそうですが、信者たちは落成の日、1円のの不足もなく現金で支払いをしたといわれています。
旧野首教会 | おぢか島旅| 長崎県五島列島・小値賀町の観光情報公式ホームページ
★上記HPで内観写真が見られます。
もちろん旧野首教会に限った話ではありませんが、キリスト教信者の強い信仰心が教会という形になって現れていることが、間接的にその美しさからも感じ取れます。丁寧に建てられ、大切に維持されているのだなぁと。
失いたくない静寂
空気は、今までになく静か。
私たちが見学した時にはほかに男性二人組がいて、後から何人か入って来ました。野崎島はアクセスが難しいわりに、観光客が多いようです。
世界遺産に登録されたらこの美しい自然や鹿の暮らしも一緒に失われてしまって、この島や教会の魅力が半減してしまうのではないかと、とても心配になりました。それほど今の野崎島の状態は素晴らしかったのです。
まさかのミス
フィルムが止まらない?
フィルムのカウンターが「37」になりました。
……のに、いつもの「終わり」の感触(これ以上巻き上げられない感じ)がない。
あれ!?と、もう一度シャッターを切ると、まだ切れる。
……これは……。
気分は真っ青。
巻き取れているのか
結局40枚(カウンターの最後)までシャッターを切ることができ、そこからさらに何回か切ったら「終わり」の感触がありました。
で、巻き取ってみる。……と、フィルムを巻き取る重みがない。スカスカ。軽い。
実は、海上タクシーに乗っているときに巻取り部分のパーツが外れてしまい、手探りで直したという経緯がありました。だから、写真自体は撮れているけれど巻取りが壊れているのか?と、まず思いました。
しかしいつまで回してもスカスカなので、最悪この1本フィルムがダメになってもしょうがない……と考え、フタを開けました。すると、フィルムのベロは中に入っている。
これはつまり、うまく巻き取れたのか?
結局写っていなかった
新しいフィルムに交換して恐る恐る撮影してみると、コマを送る時に「きちんとフィルムを送っているな」という”重み”がある。音もなんとなくそれっぽい、うむこれは撮れているな大丈夫、と安心するも束の間。
「さっき撮影していた時にこの感触はあっただろうか?」
結果、この悪い予感は的中。先程の1本は現像しても何も写っていませんでした。
おそらく最初に(観光案内所で)フィルムを詰めた際にうまくセットできていなかったのだと思います。野崎島に興奮しすぎていて巻き上げのスカスカな手応えに気づかず、撮影を続けていたらしい……。
こういうことがあるからフィルムって怖い!
★フィルムカメラを使う際は初心に戻って気をつけます!
これからフィルムカメラを使うために知っておくべき10の基本ルール! | Amazing Graph|アメイジンググラフ
というわけで、この記事と一つ前の記事で使っている写真は実は「やばいな、もう一回同じ写真一応撮っておこう」と再度撮ってまわった写真なのです……。まぁ、撮っておいてよかったというべきかしら。
後ろから見た旧野首教会。大地と海を見下ろしている。この島の生命たちを守っているかのよう。
さて来た道を戻ります。
10時半。約束の12時までまだ少し時間がある。
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旧野首教会
長崎県北松浦郡小値賀町野崎郷
見学時間:9:00〜14:00
※小値賀島からの定期船運休日は見学不可。必ず事前連絡を!
ご来島の前に | おぢか島旅| 長崎県五島列島・小値賀町の観光情報公式ホームページ
※掲載している情報は2018年時点のものです。訪問の際には必ず最新の情報をご確認ください。
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五島列島の旅|目次(記事一覧)
美しい生命の島|無人島・野崎島【五島列島の旅 09】
今回の五島列島の旅で、一番行きたかった野崎島。「野崎島の集落跡」は世界文化遺産の構成資産の一つ*1。想像をはるかに上回る美しい島でした。
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野崎島を歩く
野崎島へ入る際には事前連絡を!
前日中通島の「頭ヶ島天主堂」に行った際に、シャトルバスの待合所になっている上五島空港にたくさんの教会や島の情報が貼ってありました。
その中に、野崎島の集落が世界遺産候補(当時)で「事前連絡が必要」と書いてあったので、その場でおじかツーリズムセンターに電話を。
「明日海上タクシーで入島します」と伝えると、名前・電話番号・住所を聞かれました。無人島なので万が一のことがあったときのためかなと思います。野崎島には休憩施設があるけれど、そこを使用しない場合は入村料はいらないと言われたので、特にお金は支払っていません。
★詳しくは以下のリンクをご確認ください。
ご来島の前に | おぢか島旅| 長崎県五島列島・小値賀町の観光情報公式ホームページ
小さな観光案内所から
野崎島は無人島。現在、人は暮らしていません。
ただ、島の管理人さんが通ってきています。船着き場の目と鼻の先にある小さな観光案内所(ビジターセンター)には、野崎島の風土についての展示があり、そこで管理人さんから島についての情報をもらうこともできるため、まずはここに立ち寄ることをおすすめします。
ちょうど撮り終わったフィルムを交換して、いざ出発。
「旧野首教会までは徒歩15分、けっこう高低差があってきついかもしれません」
と言われて、体力のない私は心配になり……無料で貸し出されている杖を借りました(が、実際には、若い人なら心配しなくても大丈夫な程度でした)。
打ち捨てられた廃墟たち
歩き出すとすぐに廃墟がありました。
普通の住居が廃墟になっているみたいで、教会関連の施設ではなさそう。
あたり一面にビール瓶が散乱していたり、日用品が落ちていたり、生活の跡がくっきりと感じられます。
廃墟って、いつ見てもモヤっとした説明できない気持ちになってしまう。大切にされていた家が一瞬で「廃墟」になった様子は、別に悲しい出来事がなくても、訴えかけてくる物悲しさがあるというか。
自分も、(賃貸だけれど)引っ越しでトラックに荷物を積み終わって部屋に戻ったとき、妙に「ガラン」としていて「あれ、本当にここに何年も暮らしていたんだっけ……?」と寂しくなることがよくあるのです。家って生活においてウェイトが非常に大きい存在ですよね。物理的にも大きいし。でもそれは単なる入れ物にすぎず、ハードにすぎず、自分とは簡単に切り離すことができてしまう。その事実が切ないのかもしれない。
かつての生命と、いまの生命
廃墟を数件抜けると、段々畑のようなひらけた土地に出ました。
菜の花が生い茂り、後ろには赤土の崖、手前には水路や、小さい焼却炉のようなレンガ積みの工作物。
青い空、若い緑と相まって、この光景には奇妙な美しさがありました。
なるほど、ここで人が暮らしを営んでいたんだ。
と、確たる証拠が形として残りながら、それはもう過去のものとなっていて、覆いかぶさるように自然が自生し勝手に美しくなっている。とにかく見たことのない、想像もできないような景色でした。人はもう誰もいないのに、圧倒的な生命力がある。
快晴の5月という条件もきっと良かったのだと思います。ネットで見た冬の野崎島の写真は、同じ風景なのにとても悲しい雰囲気だったから。
自然が強く生きている状況が、私たち人類が誕生する前の世界かのように見える。
でも人が暮らした跡があるから、奇妙でした。
すぐそばには団地のような場所もありました。室内には布団が敷かれ、開け放した窓の周りには植物がからまっています。おぞましく、そして美しい光景でした。
※このあたりの写真が事情により欠落しています。その理由は次回の投稿で詳しく……
静かな海と鹿たち
団地を過ぎてしばらく山道を登ると、海を見下ろせる場所に出ました。
海はこれ以上ないってくらい透明に澄んでいて、それに相反するように周りの自然は荒々しく力強い。風が強く吹くからなのか、木々はみんな風になびいたような形でひんまがっています。
いわゆるビーチの透き通った穏やかさとは違い、けっこう過酷な環境なのかもしれないなぁと思う。
途中、鹿がいました。三匹。こちらを見ている。可愛い。彼らは強風に耐えられるんだろうか。
家の猫を思い出す。元気かな。
するとすぐに、野首教会が見えました。
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無人島・野崎島までの15分【五島列島の旅 08】
旅にかけるお金の価値基準って、本当に人それぞれですよね。私はたぶんケチなほうですが、この15分×2=30分にはちょっと奮発!
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津和崎丸
初対面
車で津和崎(つわざき)港に着くと、電話で予約した津和崎丸の船長さん(という呼称で合っているのだろうか?)が待っていました。
● 「わ」ナンバーの車で約束の時間に現れる
● いかにも旅行中の夫婦
という状況で向こうは一瞬で判断したらしく、結局一度も名前を聞かれることはありませんでした。
船長さんは、標準的な体格に日焼けした浅黒い肌の、人の良さそうな男性。口数は多くないけれど、時々冗談を言ってくれます。
絶対に行きたかった野崎島
五島について調べ始めてから、真っ先に「行きたい!」と思ったのが野崎島にある旧野首教会です。
(字面を見るとちょっと怖そうだけれど、別に凄惨な事件が起きた場所ではありません)
野崎島は五島列島の北に位置する無人島。かつては集落がありましたが、高度経済成長期を経てだんだんと人口が流出してしまい、平成13年についに無人島になったのだそう。*1
そんな野崎島の高台にいまだポツンと建っているのが、旧野首教会です。煉瓦造りのずっしりした建物、まわりに自生している木々、のびのび暮らす鹿たち、青い空と海。すべてが重なり合う風景は五島列島の中でもひときわ魅力的に違いない、と思いました。
↑煉瓦造りの建物が旧野首教会
野崎島へのアクセスは難しい
しかしこの野崎島、アクセスにやや問題が。
基本的なルートは、近くの小値賀島(おぢかじま)に渡ってから「はまゆう」という定期船で島に渡るという方法です*2。しかし便は少ないので、1日のうちに中通島から小値賀島経由で野崎島へ、の往復は無理。そうなると小値賀島にも宿泊しなければいけない。小値賀島も魅力的な島だとは思ったけれど、二泊三日の旅行で一泊使うのは痛い……。
そこで、ネットで情報を集めて知ったのが「海上タクシーを使う」という方法。中通島から海上タクシーに乗り、直接、野崎島に渡ってしまいます。
海上タクシー!?
―よくわかんないけど、ハードル高そう……。
と思って調べると、確かにハードルは高い。というか金額が高い。最初にみつけたところは、野崎島までの往復で2万円でした。団体ならいいけれど、2人で2万円はキツイ。
さらに調べていたら、たどり着いたのが津和崎丸。往復で9千円!片道15分の距離なので、高いといえば高いけれど、絶対に見たい場所だと思えば出せなくもない金額でした。
海上タクシー津和崎丸
↑ホームページはなくて、ブログのみ。ここに書いてある電話番号に直接かけて予約しました。ドキドキです。
旅行ではケチって後悔したくない
遡ること数年前。私は一人でヨーロッパ建築を巡る旅をしていました。
フランスで、巨匠ル・コルビュジエ設計の「ロンシャンの礼拝堂」を見に行った時のこと。
By Valueyou (talk) - I created this work entirely by myself., CC BY-SA 3.0, Link
最寄り駅から礼拝堂まではタクシーでないと厳しい距離、つまり山の中のような立地でした。当時の私は今よりもさらに楽天的で、「駅まで行けばコルビュジェ巡礼者の一人や二人いるだろうから、相乗りすればいいや」などと(勝手に)思っていたのですが、予想が外れて、駅には観光客がまったくおらず閑散としていました。
タクシー代は、ハッキリとは覚えていないのだけれど……学生の私の財布にはきつい金額だったんです。たぶん野崎島までの海上タクシーぐらいか、もっと高かったかな?
しばらくその駅で右往左往した結果、私は諦めました。ロンシャンの礼拝堂を諦めて、帰路についたのです。
なんと愚かな!!!
またいつフランスに行けるかもわからないのに、そこでケチってどうする!多少高くても絶対に行くべきだったんだ!(涙)
……というわけでそれ以来、「旅行では見たい場所を諦めない!」と心に決めました。
前置きが長くなりましたがそんなわけで、津和崎丸さんにお世話になることに。
15分の貸し切り海上タクシー
早速チャーター船に乗り込みます。
船内はカーペット敷きで、靴を脱いでゴロゴロできるようになっていました。といってもめちゃくちゃ揺れるのでゴロゴロする余裕などなかったけれど。まわりには漫画雑誌やスティック型の掃除機なんかが置いてあります。
↑入り口から数段下がって靴を脱ぐ
↑2人だと広い。6人ぐらいまでは乗れるのかな?
船に乗っている時間は15分くらいです。窓を開けると、水しぶきが少し入るけれど気持ち良い。水面より下にいるというのは不思議な気分。
名前も聞かれず目的地とか何も言わず乗ったので、なんとなく「どこに連れ去られるのだろう……」という若干の怪しさを感じてしまったけれど、しばらくして、左手に見えていた島が野崎島だと気づきます。
運転手さんが「教会が見えますよ」と教えてくれました。たしかに、砂浜の先に小さく旧野首教会らしき建物が見えます。このとき見た教会は、正直言ってとてもこじんまりとした、ちっぽけな雰囲気でした。
↑教会が見えたのは一瞬で、写真は撮りそこねてしまった
「今もらうと迎えに来なくなっちゃうかも」
すぐ、港に着きました。
「12時ぐらいに他のお客さんも乗るから」と言われ、帰りは12時の待ち合わせに(……なったはずなのに、実際は帰りも私たちだけでした。なまっていたからうまく聞き取れなかったのかもしれない)。
―お金はまだいいんですか?
と聞くと、
「帰りでいいです」と。
数秒後、思いついたように
「今もらうと迎えに来なくなっちゃうかも」
と(たぶん)言ってニコッと笑う。けっこうひょうきんな人みたい。
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津和崎丸
海上タクシー津和崎丸
個人でやっているようなので、事前に予約を。日時と人数、名前と連絡先を伝えればOK。電話で予約しました。ブログが実はかなりマメに更新されていて面白いです。
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朝、島の最果てまで|米山教会【五島列島の旅 07】
旅行にいくと、ついつい早起きして予定を詰め込んでしまいます。二泊三日の五島列島の旅、二日目も例によって詰め込んだ!
中通島、2日目の朝。早起きして7時ごろにホテルを出ました。空はまだ薄暗い。
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米山教会
長く細い道をゆく
前日にスーパーで買った朝食用のパンをカバンに詰めて、レンタカーの軽自動車で島の最北端を目指します。ホテルからは1時間ほどの距離。
運転は私。夫婦共に運転が下手ですぐ喧嘩になるんですが、なんとなく、私が運転するほうが丸くおさまることが多い(……のは、たぶん私が口うるさいからかな)。
有川港周辺を離れて北へ進むと、途中からくねくねと曲がる細い道が海沿いをひたすら続き、軽自動車が二台なんとかすれ違える程度。といっても、ほとんど車とすれ違うことはありませんでした。連休だから人がいないのか、そもそも人口が少ないのか、マイナーな道なのか、わからないけれどひたすらに静かです。
途中、車を停めて朝食をとりました。
ゴールデンウィークの朝はまだ寒い。
ホテル近くのコンビニでコーヒーを買おうと思っていたのに買い忘れたことに気づき、テンションが下がる……。この島でコンビニは、一度逃すとなかなか出会えない貴重な存在なのです。
そして、再び車へ乗り込み、黙々とくねくね続く道を走る。助手席の人は音もなく寝ていました。
他の教会とは一味違う、まるで表現主義?
目的地である津和崎港までの道のりには相当数の教会があったけれど(カーナビに地点登録されているので★マークが出る)、時間もないし、朝早いから開いてないだろう……と思ってほぼスルーしてしまいました。中通島にある教会は全部で29。まともに全部まわっていては時間が足りません。
しかし、到着直前にあった米山教会だけは見てみたくて、ほんの少し下車しました。
擁壁の上に、異国感ある白い塊が。
シンプルな形、ぬるっとした稜線に、細長いガラス窓。おでこから伸びる細い十字架がモダンで、とても可愛いバランス。
ドイツのポツダムにある「アインシュタイン塔」を彷彿とさせるなぁと、ふいに思い出しました。
アインシュタイン塔はこんな建物です。
太陽観測所であり、設計はエーリッヒ・メンデルゾーン。ドイツに旅行した時一人でここを見に行ったのだけど、今思うとマイナーな所に行ったな、という感じ。相対性理論を実測検証する為に建設された施設……というのがなかなか胸熱ポイントです。
ドイツと日本の「アインシュタイン塔」|WIRED.jp
朝早いのに開いていました!内部に入ってすぐ後ろを振り向くと、入り口上部にかけられた「最後の晩餐」のレリーフが思いのほか力強い。
内部空間はごくシンプルです。
周囲には何もなく、静か。島の先端は日差しが爽やかで風がよく通ります。開放的な立地も含め、雰囲気がよく、気に入った教会のひとつです。
小さく、ややドライな仕上がりのルルド。周りの松など和風な装飾のミスマッチぶりがまた素敵。中ノ浦教会も松が印象的だったけれど、これが五島のキリシタンのスタイルなのだろうか。
いよいよ、この旅で一番の目的地へ!
米山教会から車で5分もかからず、津和崎港に着いたのは約束の「8時半」。ほぼピッタリでした。
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カトリック米山教会
長崎県南松浦郡新上五島町津和崎郷589-14
(有川港から車で約50分)
見学時間:9:00〜17:00
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五島列島の旅|目次
日記編
1日目:中通島
戦場カメラマンの苦労!?【五島列島の旅 06】
大人になって、気づいたら高所恐怖症になってしまったのですが、ここはなかなか命がけの夕焼け撮影でした……。
冷水教会の猫に別れを告げ、刻々と沈みゆく夕陽を追いかけに「矢堅目公園」まで車を走らせました。
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矢堅目公園
「上はかなり風が強い」!?
矢堅目公園は、中通島の夕陽スポットとしてガイドブックにも載っている場所です。中通島の西側「奈摩湾」の入口に位置し、有川港から車で30分ほどの距離です。
公園の駐車場に着くと、展望所から降りてきたおじさんから突然、
「上はかなり風が強いから気をつけたほうがいいよ!」
と声をかけられる。
その日は確かに風が強い日だったけれど、わざわざ見ず知らずの人にそんな風に声をかけるって、一体どういうこと!?
斜面を登ると……
斜面に丸太を食い込ませた急な階段を上ると、そこは、360度まわりに何もない展望所でした。いや、展望所というか……ただの広場。
なるほど。
確かにおじさんの忠告通りだ。
周囲に遮るものが何もないので本っっっ当に風が強く、前も後ろも海という状況は、怖くて怖くて吹き飛ばされそうで立ち上がることもままならない。いい歳こいて恥をかなぐり捨て、草をむしる勢いで、這いつくばるように歩きました。
↑後ろを振り返ると、崖から真っ逆さまに海に落ちそう……。
↑あまりにも這いつくばるので、こんな風にシャッターを切ってしまう始末。
戦場カメラマンの気分
その時思ったのです。
―あぁ、戦場カメラマンかもしれない今。
……なんて言ってしまっては本当の戦場カメラマンの方にだいぶ失礼だけれど、自分にとってはそれほどまでに必死の思いで「頑張れ!生きのびろ!」と念仏のように唱え、ほふく前進をしながらシャッターを切り続けました。
↑結果として、夕焼け写真には雑草がフレームイン。
そんな感じで死ぬ思いで戦い抜いた(?)のだけれど、夫も、まわりの女性の方がたもなんら問題なさそうに普通に見ていたから、私だけ特別ビビリで高所恐怖症という説もあり……。
↑強風に吹き飛ばされそうとはまったく思えない、のどかな写真。なぜみなさん、こんなに落ち着いていることができたのか…謎である。地元の人っぽかったので、慣れっこなんだろうか?
夕焼けに関しては、美しかったのかどうか……とにかく「怖かった!!」という思いが強すぎて、実のところあまり覚えていません。写真を見返すと「あぁたしかに夕焼けを見れたんだなぁ」と、そこで再認識。やっぱり写真はよいですね。という話。
★Google Mapの口コミでも「風が強い」と書いている人が複数いたので、強風スポット認定。怖がりさんはお気をつけください。
ホテルメリッサ
朝ごはんを調達
強風のせいもあって体がすっかり冷えてしまい、ぐったりして帰路につきました。
途中でホテル近くのスーパーに寄り、翌日の朝食を調達。
以前も書いたようにこの島のコンビニはポプラしかないし、その数も「コンビニエンス」なレベルではないので注意が必要です。「朝ごはんはコンビニで適当に買おうかな〜」なんて思わず、必ず目星をつけておくことが大切!
(ホテルの朝食をつければもちろん問題なしです。私たちはケチりましたが……)
「酔道蔵」で夕食を
さてさて、この日泊まる宿「ホテルメリッサ」にチェックイン。
わりと清潔感のあるビジネスホテルです。和室が8畳プラス板の間が2畳の計10畳と広くて、家みたいで落ち着けそうな雰囲気。水まわりも清潔。強いて言えば、窓の先の90度折れた面に他の部屋の窓がある、というシュールな構成だったけれど、どうせ景色が見えるわけではないから障子を閉めていれば問題なし。
ホテルの1階にある「酔道蔵(すいどうこ)」という居酒屋(宿泊客以外の人が利用できるかは不明)で夕食を。「初日は疲れているだろうからここにしよう」と前もって決めていました。
大学生くらいの若い女の子がふたり、接客をしてくれました。あまり慣れた感じじゃなかったけれど、愛嬌があって良い。初めて食べた五島の刺し身が美味しかった!
念願の五島うどん(地獄炊き)も一応食べられました!五島うどんは麺が細く、そうめんとうどんの中間のような感じで、私はかなり気に入りました。
朝は空港で、昼は車の中でコンビニ弁当だったから(笑)、ゆっくりご飯できて幸せ〜。
後日談。
とあるサイトの矢堅目公園の解説を読んでいたら……
奈摩湾入口にあり、円錐形の奇岩と複雑な海岸線が美しい。
夏には鮮やかなオレンジ色のオニユリが咲き、展望所から見る雄大な景色や、東シナ海に沈む夕日に感動をおぼえます。
対岸の白草公園から望む、矢堅目の岩越しに沈む夕日は素晴らしく、多くのカメラマンをとりこにしています。
矢堅目公園|観光スポット|【公式】長崎観光/旅行ポータルサイト ながさき旅ネット
……ん?
対岸の白草公園から望む、矢堅目の岩越しに沈む夕日は素晴らしく、多くのカメラマンをとりこにしています。
おい!!
対岸の公園が絶景撮影スポットなのかい!!!
道理で、ガイドブックで見た構図となんか違うわけです。あんなに必死だったのになぁ。またもや適当な性格を十二分に発揮してしまった……。
でもまぁ思い出に残ったし、きれいな夕陽が見れたからよしとします。
畳に敷いた布団の上で、泥のように眠りにつく。これで、旅の三分の一が終わってしまいました。
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矢堅目公園
長崎県南松浦郡新上五島町奈摩郷矢堅目
(有川港から車で約25分)
矢堅目公園|観光スポット|【公式】長崎観光/旅行ポータルサイト ながさき旅ネット
白草公園 (対岸の撮影スポット)
長崎県南松浦郡新上五島町曽根郷
(有川港から車で約25分)
ホテルメリッサ
長崎県南松浦郡新上五島町浦桑郷1298
(有川港から車で約8分)
Tel: 0959-54-2001
公式サイト:メリッサ || 長崎県上五島町のビジネスホテル
トリップアドバイザー:ホテルメリッサ【 口コミ・宿泊予約 】- トリップアドバイザー
※和室だけでなく、シングルやツインベッドルームもあります。私は予約が一杯だったので和室にしました。
↑ホテルの外観
※掲載している情報は2018年時点のものです。訪問の際には必ず最新の情報をご確認ください。
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五島の猫に浮気した日|冷水教会【五島列島の旅 05】
五島にも、もちろん猫はいます!
頭ケ島天主堂の見学を終えると、時刻はもう夕方17時すぎ。5月の強い日差しは少しずつ陰りはじめていました。
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夕陽を見に行こう
天主堂ではすごい豪雨に見舞われたけれど、次第に空が晴れてきたので、夕陽を見に行こうという話になりました。ものの20分程度のまさにゲリラ豪雨、スコール、夕立。どれだろう。
中通島の夕陽スポットは、有川港のある中心部から車で30分ほどの「矢堅目公園」というところ。どうやら岬の先端に公園があるようです。
冷水教会
海を見下ろす
矢堅目公園までの道すがら、冷水教会が近かったので立ち寄ってみました。
交通量の少ない道路の端に軽自動車を寄せました。五島の教会はだいたい17時に閉まってしまうけれど、もしかして開いているかも……と期待して玄関の前へ。がやはり、もう閉まっています。
そういえば当たり前の話だけれど、これだけの数の教会がありながら、教会ごとに神父さんあるいは牧師さん(やその家族)がいて、毎日鍵を開けたり閉めたりしているのでしょうか?
中通島は外形としては大きいのだけれど面積が小さい、つまり海岸線が長くて「身」の部分が少ない形をしています。形が「十字架に似ている」とする説もあるらしいけれど、どちらかというとナスカの地上絵っぽいなと、個人的には思いました。道路の多くは海沿いを走っているため、基本的に海を眺めながらドライブができます。
By Modified by Pekachu - File:Goto in Nagasaki Prefecture Ja.svg, CC 表示-継承 3.0, Link
青いのが中通島。五島といっても島は5つじゃなくて、もっともっとあるんです。その数なんと、大小合わせて140あまり!
教会は海岸線沿いの道路に面して海を見下ろすように建っていることが多く、冷水教会もまたそうでした。
これらの教会が建てられたときにはもう、キリスト教の弾圧は終わっていたので、ひそひそと信仰を隠す必要もありませんでした。そういう歴史を知っていると、眺めのいい場所に堂々と建つ教会たちの姿はなかなか感慨深いものです。でもどの教会も強く自己主張するというよりは「あ、あった」というさりげない存在感で風景に馴染んでいます。
玄関の前に立ち、外の景色を眺める。小さな湾と、その向こう側の緑。
花に彩られた小さなマリア像がいた。
夕方のうっすら曇った空と海を背景にそっと笑みをたずさえるマリア像は、すごく静かで……誤解を恐れずにいうと、ちょっと不気味でした。人気のまったくないこの状況ときれいに飾られた花(暗に「誰かが飾っている」と感じさせる)のアンバランスさが、小さく違和感を生んでいたのかもしれない。
猫を発見!
突然ロックオンされる
路肩に停めていた軽自動車に戻ろうとしていたその時、見つけてしまいました。
五島の猫!
民家へ上るための擁壁一体型の階段があり、その階段の上方にいた猫と目が合った。…気がする。
……いや、気のせいではないみたい。だって猫がニャーニャー鳴きながら、階段を駆け下りてきた!
―おいおいおい、どんだけ人懐っこい猫なんだよ〜!
とイヤイヤなふりをして歓喜する私たち(猫好き)。
ニャーニャー、ニャーニャー、と鳴きやまない。
―お前、そこの家で飼われてるんじゃないのか?野良なのか?餌、持ってないよ。
話しかけても変わらずニャーニャー鳴いている。スリスリからだをくっつける。少し撫でてやると、ずっと、ついてくる。これが本当に東京の猫と比べ物にならないくらいしつこい。
もしかして本当に物理的に飢えすぎているのではなかろうか?と思えてくるような、丸っこいのに痩せたからだ。お腹のまわりのたるたるした余分な脂肪(=ルーズスキン)もないし、手足は細い。我が家の猫とは大違いだ。ちょっと心配になってしまう。
顔が絶妙にぶさかわいい!
いやしかし、こんなにスリスリニャーニャーついてきて、嬉しいけど、持ち帰るわけにもいかないし、なんか道路の近くで車にひかれそうで怖いしね……と困り果てる二人。何度か抱っこして階段に戻してやったりしたけれど、すぐにまたついてくる。うーん。
道路の反対側のバス待合所に逃げてみた。が、それでもついてくる。
待合所で、しばしの密会(?)。猫と私たちだけの時間。
…なんて悠長なこともそう言っていられないので、最終的には元いた場所へ抱きかかえて戻し、停めていた車のほうにダッシュで逃げてみた。するとようやく諦めたようで、もうついてはきませんでした。
車を走らせながら「ひかれるなよ!絶対ひかれるなよ!!」と祈りを込める。
ちょっと浮気
「かわいいなぁ。ちょっとかんちゃん(注:家の猫)に申し訳ないけど、心が揺らいじゃったよ」と、相当まんまる猫が気に入った様子の夫。
―かんちゃん、家で元気にしてるかな。
とふと切なくなった。浮気しちゃって、なんとなく後ろめたいような気分もあった。かんちゃんにとって二泊三日の留守番は初めて。心配性の私は、その後の道中もずっと気をもんでいた。
それにしても、なぜあの子はああも貪欲につきまとってきたのかな。今はちゃんと、ご飯を食べられているといいけれど…。
そうそう、だいぶ寄り道してしまったけれど、本来の目的「矢堅目公園」に行かねば。日が暮れてしまう前に!
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カトリック冷水教会
長崎県南松浦郡 新上五島町網上郷623−2
(有川港から車で約20分)
見学時間:9:00〜17:00
↓解説、内観などの情報があります。
http://kamigoto.org/church/15hiyamizu/index.html
※掲載している情報は2018年時点のものです。訪問の際には必ず最新の情報をご確認ください。
【この記事で使用しているカメラ/レンズ/フィルム(左下に透かしのある写真)】
Nikon F3+Nikkor 28mm f/2.8+Fujicolor C200
五島列島の旅|目次(記事一覧)はこちら
石の教会は静かに海を見ていた|頭ヶ島天主堂【五島列島の旅 04】
2018年7月に世界文化遺産に登録された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成要素の一つである「頭ヶ島集落」を訪れました。
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昼食難民に注意!
頭ケ島集落(頭ケ島天主堂)は、中通島のちょうど真ん中あたり、有川港の近くにあります。若松島付近から有川港までは、車で30〜40分の距離。
若松島を出発する時点で14時半だったのですが、実は……早朝に東京を出てからここに来るまで、お昼を食べ損ねてしまっていたのです。
どこかで軽く食べられないかな〜と探すも、どの店もランチは14時か14時半まで。15時過ぎると選択肢は全くありません。(カフェらしきものも見当たらないし、ファーストフードも皆無)
五島で美味しい食べ物といえばまずは海鮮、つぎに五島牛、そして五島うどん。お昼だから五島うどんが食べたかったのだけど…有川港にある「五島うどんの里」に行っても、うどん茶屋は営業終了……。
結局、有川港近くのポプラ(コンビニ)で弁当やらおにぎりやらを買って、車の中で食べました(港は風が強過ぎて断念。とにかくこの日は風が強かったんです)。
でもこれも、楽しかったな。…というか、お腹が空きすぎていて、もはや食べられるというだけで異常に幸せ。
まさに空腹は最高のスパイス!
旅に出ると思わぬハプニングやうまくいかないことが必ずあるけれど、五島に来てまでコンビニの焼きそばを食べているというのも、それはそれで面白いなぁと思いました。地方に旅行するとよくあることかもしれません。
ちなみに有川港周辺は一応街並みがありますが、人はほとんど歩いておらず、お店もあまりやっていない、かなり静かな所です。
中通島全体で、コンビニ(ポプラ)は2軒程度、スーパーもほとんどないし、ファーストフードもないし、とにかく食事には注意したほうがいいです。前もってガイドブックをみて目星をつけ、営業時間帯を狙って行く。できれば予約を。行けば何かしらあるだろう、という感覚は通用しません!
頭ヶ島天主堂
頭ヶ島とは?
飢えを満たしたところでいよいよ、頭ケ島天主堂を目指します。
頭ヶ島天主堂は中通島から橋でつながった「頭ヶ島」という小さな島にあります。この島では、かつて1軒をのぞいて全員がキリシタンだったそう。離島のさらに離島ということで、役人の目が届きづらいこともあり、潜伏キリシタンが増えたようです。
五島崩れの際に信徒たちは島を離れてしまいましたが、迫害が終わってから頭ヶ島に帰ってきて、教会(天主堂)を建設したんだとか。*1
「五島崩れ」とは?
「崩れ」とは、潜伏時代に信仰を語り継いできた組織が大規模に摘発されることである。
日本は明治時代を迎え、開国したにもかかわらず禁教が解かれないなか、1865年の大浦天主堂での「信徒発見」をきっかけに、五島でもキリシタンたちが次々と信仰を表明した。明治政府は組織を一掃するため、弾圧を始めた。久賀島の牢屋の窄(さこ)では静かな湾に面したわずか6坪の牢屋に約200人のキリシタンが収容された。
この悲劇がプティジャン神父によってヨーロッパに伝えられると、日本は各国から非難を受けるようになり、やがて明治政府はキリスト教を認めることとなった。
出典:
久賀島から始まった五島崩れ | 「おらしょ-こころ旅」(長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産)
設計は鉄川与助
五島の教会の多くは「鉄川与助」という建築家兼大工棟梁の手によってデザインされ、建てられています(むしろ当時は建築家という概念がなかったのでしょう)。この頭ヶ島天主堂もしかり。石造りの教会は珍しく、その石は、近くの島から切り出したものを信者が運んだとのこと。
- 作者: 林一馬,川上秀人,土田充義,鉄川進,山田由香里,LIXILギャラリー企画委員会,住友和子編集室,村松寿満子,白石ちえこ
- 出版社/メーカー: LIXIL出版
- 発売日: 2012/03/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- クリック: 4回
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★鉄川与助のお孫さんが運営しているサイト
長崎の教会 鉄川与助(おじいちゃんが建てた教会)
まずは上五島空港へ
上五島空港という現在は使われていない空港が観光センターになっており、観光客はそこへ行って車を停め、バスで頭ヶ島天主堂まで運んでもらいます。つまり、頭ヶ島天主堂に直接車で行ってはいけないので、注意が必要です。
★詳しくはこちら
頭ヶ島の集落|教会を訪れる|長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産
どことなく日本の宗教建築を思い起こさせるような形態が特徴的な、かわいらしい空港です。(とても小さい)
駐車場はかなりゆとりあり。なぜ空港のまわりってこういうパームツリーっぽい木が生えているんだろう?
空港内の観光センターは展示スペースにもなっていて、上五島にある教会の内観や説明が観れるようになっています。名産品のお土産も少しだけ売っています。
ほどなくして、バスは天主堂へ向けて出発。乗車人数は10人弱、乗車時間は10分程度。
空港は山の上にあったので、山を下って教会に向かうようなルートです。
ぽつんと、静かな場所
バスは天主堂のすぐ近くに停まり、出発時刻までは各々自由に見学できます。
天主堂の前方には長いアプローチ(道)があり、その脇にはサツキ(?ツツジ?いつも違いがわからない…)がきれいに咲いていました。
遠くに見える石造りの天主堂は、これまで見た教会とはあきらかに違う重厚感があります。
うしろに静かな山並みを背負う姿も含めて、絵になる教会でした。
どこか独特な印象を受けるのは、そのやや頭でっかちなプロポーションのせいじゃないかと。全体の高さに対して、十字架のてっぺんからドームの部分までの比率が大きく、丸窓も低めの位置についている。こんな表現が適切かわからないけれど、白い帽子をかぶった給食のおばちゃん的なずんぐり感があります。いい意味で!
この石のひとつひとつを手作業で運んで積んでいったのだから、大変だよなぁ……。
この木、おもしろい形だなぁと思ったけど、樹種がわからない。
意外なことに内部は可愛らしく、中ノ浦教会と同じように椿のモチーフが散りばめられており、この男前な外観からはちょっと想像し難いようなパステルカラーの雰囲気でした。でも、中ノ浦教会のようなビビッドな椿ではなく、もうすこしふんわりとした印象(椿の色も赤ではなく白)。
空が広く、静か。
突然のゲリラ豪雨
一通り見学し終わり外でバスを待とうとしたら、途端に大粒の雨が降ってきました。
どんどん強くなり、ついには本降りに。
これは、ゲリラ豪雨だ!
電気自動車の充電スポットの狭い狭い掘建て小屋に数人が入って、雨宿り……。
すると、隣にいたおじさんに話しかけられました。
ここでもやはり「どこからきたの?」と聞かれ、東京です、というと、また「へえ〜」という(”よくそんな遠くから!”というような)反応。
「五島だけ?」
「そうです。教会を観に来ました」
「雨降っちゃったから今日はもう終わりでしょ?」
「本当は夕陽を見に行きたかったんですよね…」と言うと、
「うーん、今日はもう無理だね」と。それくらい、雨は強烈だったのです(関東はその翌日かなり荒れたとニュースで知った)。
そうこうしているうちにバスがきて、みんなでわーーーっと駆け込む。
空港に着く頃には雨はほとんど止んでいました。
教会の傍らにはキリシタンの墓地があります。教会も、墓地も、静かに海を眺めているようでした。
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頭ヶ島天主堂
長崎県南松浦郡新上五島町友住郷頭ヶ島638-1
(有川港から車で約20分)
見学時間:9:00〜17:00
↓詳しい解説、内観などたくさんの情報があります。
頭ヶ島教会
※掲載している情報は2018年時点のものです。訪問の際には必ず最新の情報をご確認ください。
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五島列島の旅|目次(記事一覧)はこちら
五島でいちばん美しい教会をつくろう|中ノ浦教会と若松島【五島列島の旅 03】
五島列島で最初の教会・桐教会の見学を終え、つづいて車で10分ほど離れたところにある中ノ浦教会を目指しました。
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中ノ浦教会
五島で一番美しい教会を!
この中ノ浦教会は、五島列島の教会のなかでも頻繁にガイドブックなどに登場する教会の一つです。水辺に建ち、時間帯によって水面に映るその姿が、とても写真に映えるからでしょう。
それもそのはず、中ノ浦教会は「五島で一番美しい教会を!」という想いがあってつくられた教会らしいのです。
この地区の信徒の祖先は、寛政年間に外海地方の黒崎から移住してきたキリシタンだが、現在、主任教会のある桐地区が伝道師ガスパル与作の出身地であったことから、明治初め「五島崩れ」と言われる迫害が激しかったところのひとつでもある。この教会は、激しい弾圧を経験した信徒たちの「五島で一番美しい聖堂を造りたい」という願いを形にしたものである。
出展:Laudate | 教会をたずねて
私がこの教会をはじめて写真で見たのは、今年の正月に遡ります。本屋で何冊か大人買いした中に一冊、紛れ込んだ写真集があったのです。
- 作者: 長濱ねる,細居幸次郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2017/12/19
- メディア: 単行本
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欅坂46の長濱ねるさんの写真集。
この子が特別好きだったわけではないのだけど、表紙の写真が可愛かったし、売れているらしいので気になって買ってしまった。
長濱ねるさんは上五島市(中通島)の出身らしく、写真集は五島でもロケをしていました。その中に、この中ノ浦教会の前を歩く写真があって、印象的だったのです。
…その刷り込みがあったせいか、旅の計画を始めてから「この教会には行きたいな」と思うように。
ちなみにこの写真集は、写真としてとても完成度が高いのでおすすめです(笑)
端正な横顔
私たちが教会についたのは午後13時半をすぎていました。時間帯のせいか、引潮だったからか、残念ながら水鏡に映る教会は見られませんでした(午前中にしか見られないという話も聞いたので、行くなら午前中がいいかもしれません)。
建物の横顔はたしかに美しい。背景の山と手前の水面との間に、すっぽりと教会がおさまっている感じ。正面でなく横顔をこれだけ意識して見せる教会は他になかったと思います。
教会の内部に入ると、平面は身廊と側廊の三列で構成されており、身廊の天井が高く、側廊の天井が低くなっていました。この二段階に高さが変わる天井は、折上げ天井”といわれる形式。
身廊の壁には五島のシンボルである椿の絵が派手に描かれていました。椿はベタっと塗りつぶすような描かれ方で、とても図案的。小さな子が描いた椿の絵のような、ゆるいテイストです。
五島は椿の産地として有名です。ゆるキャラで「つばきねこ」という頭に椿をのせた奇妙な白い猫がいるんだけど、これがけっこう可愛いのですよ。
はじめての「ルルド」
建物の外には、「ルルド」と呼ばれる小さな泉がありました。
ルルド、はじめて見た!
「ルルド」。聖母マリアがいる泉です。
「ルルド」という名前は、フランスにある都市の名前に由来するようです。ピレネー山脈のふもとのその都市には「ルルドの泉」があり、そこから湧き出る聖水を飲むと難病が治る、という奇跡の泉とされているとのこと。
この奇跡にあやかりその後世界各地でこのルルドを模倣し、聖母マリア像を収めた“ルルド”が造られるようになったのだ。つまり、本場のルルドは地名だが、日本では “奇跡の泉”や巡礼地の意を込めた固有名詞として使用されている。
(出典:「ナガジン」発見!長崎の歩き方)
この旅でいくつかルルドを見ました(五島の教会群はルルドで有名なようです)。
教会によってルルドの作られる位置やデザインが違うだけでなく、手入れがきちんとされている教会とそうでもない教会がありました。丁寧に手入れされている様子のルルドがあると、きちんと”活動している”感じがして印象が良いものです。
建物の入り口には松が生えていたりと和洋折衷な雰囲気もおもしろいです。
若松島
それから、桐教会のそばでおじいさんに聞いた「若松島」へ。
「絶景スポットがあるらしいけど、まあ適当に行けば見れるよね」
と軽い気持ちで車を走らせたのですが……果たしてどこに行けば絶景なのかわからない!
中通島と若松島をむすぶ橋を渡り終わったところに駐車スペースがあり、水際に下りていく遊歩道があったので、とりあえず下りてみました。
うん、すごくきれいだけど、絶景かというと……?
でも水のそばの岩場でぶらぶら遊んだら満足し(元来ふたりとも適当な性格である)、そのまままた橋を渡って中通島に戻ってしまいました。
後であらためてガイドブックを読んでみると、どうやら私たちが行ったのは「若松大橋展望台」の下で、もっと島の内部に入った「龍観山展望所」というところが、絶景がみれる場所らしいです。
あぁ、先に調べればよかった。。
次は頭ヶ島天主堂へ
さて、ここから中通島を北上し、世界遺産にも登録された頭ケ島天主堂を目指します。
レンタカーを借りた際に、頭ケ島天主堂に行く際は事前連絡が必要ということ、さらに近くの空港からパークアンドライドのシステムになっていることを聞いていたので、渡されたチラシの番号に電話を入れてみました。
★詳しくは以下のHPをご覧ください。
頭ヶ島の集落|教会を訪れる|長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産
「夕方遅めの時間がいいです」と言うと、16時半発の便があるとのことだったので、それを予約。
この時点でもう14時半ぐらいです。
お腹が空いた……。
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カトリック中ノ浦教会
長崎県南松浦郡新上五島町宿ノ浦郷中ノ浦985
(奈良尾港から車で約25分)
見学時間:9:00〜17:00
↓内装や水鏡に映る様子が見られます。
Laudate | 教会をたずねて
龍観山展望所(龍観山園地)
長崎県南松浦郡新上五島町若松郷
龍観山展望所|観光スポット|【公式】長崎観光/旅行ポータルサイト ながさき旅ネット
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青と緑に囲まれた、オレンジ屋根の桐教会【五島列島の旅 02】
2018年ゴールデンウィークの真っ只中、五島列島二泊三日の旅。今回は、中通島に上陸して真っ先に向かった桐教会のお話です。
前回の話はこちら↓
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奈良尾港からもっとも近い教会
早速、迷う
桐教会は奈良尾港から車で5分ぐらいの距離。
…のはずなのに、途中の岐れ道を間違った方に進んだり、運転自体が二人とも久しぶりすぎて、かなり時間がかかってしまいました。
ちなみに私たちは運転がどちらかというと下手で、ドライブで喧嘩になったり事故寸前だったりということがちょくちょくあるので、極力運転を避けて生活してきました。が、今回の旅ばかりは車でないとどうしようもない場所。一応バスで回ることも可能なようですが、本数が少なく効率が悪いです。
奈良尾港からの道は、森に入るような感じで、案内標識などもないのでわかりづらいです。ぐるっと一周してようやく正確なルートにのりました。
駐車場は一応あるみたい
近くに行くと、教会の案内看板のようなものがありましたが、車を停める場所がわかりません。なので教会のかなり手前の道端に停めて歩きました。うっかり周辺住人の邪魔にならないよう、注意が必要です。
注)その後よく見たら、教会の足元に駐車場と思しきスペースありました。以下のリンクには「駐車場:有(※但し、ミサ時は一般観光客使用不可。)」と書いてあるので、時間帯によっては停めていいのだろうと思います。
桐教会|五島エリア|教会めぐり|【公式】長崎観光/旅行ポータルサイト ながさき旅ネット
駐車場はちゃんとある教会と全くない(どこかわからない)教会があります。中通島は特に駐車場のない教会が多く、仕方なく道端に停めたりしたけれど、世界遺産登録によって今後観光客が増えると思うのでぜひ整備してほしいポイントです。
第一村人発見!
歩いていたら、第一村人のおじいさんを発見。
「どこから来たの?」と話しかけられる。
「東京です」と答えると、
「へえ〜〜(”わざわざそんな所から!”)」という反応。
「東京はいいところでしょう。ここは何もないよ」
「あの教会を見に来たんです」と桐教会を指差したら、
「大したもんじゃないよ」
バッサリ。
「橋で繋がってる若松島のほうはきれいだよ」
若松島。たしかにそんな島と繋がってるのは知っていたけれど、時間があったら行こうかなぐらいにしか思っていなかったなぁ。でもおじいさんがそう言うなら行ってみよう。
信じられないほどの緑と青
おじいさんは「こんな辺鄙なところに来て」という感じをひたすら出していたけれど、この桐教会前の小さな小さな漁港のような場所は、緑が豊かで海も信じられないほど青く、もうそれだけで胸がいっぱいになるくらい美しい自然に囲まれていました。
ステンドグラスの代わりに、ありのままの緑が
そしておじいさんの謙遜に反して、桐教会はとても素敵な教会でした。私はこの教会が大好きになりました。
蛍光オレンジ色の屋根はやや唐突で、なぜオレンジなの?という感じがするかもしれません。
実は、この島にはオレンジ屋根の教会や家がたくさんあるのです。これが不思議と、海の青色や山の緑色と調和し、可愛らしい風景をつくっているように思えました。
階段を上ると真っ白でモダンな印象のファサード。建物の形が潔くシャープでカッコいい。
それに対して内装は淡いブルーグリーンを基調とした可愛らしい雰囲気で、でも決して幼いわけではなく、全体的に清潔感があります。
さらに、ステンドグラスがない代わりに窓から見える豊かな緑。
五島にいる間にたくさんの教会を見ましたが、多くは窓がステンドグラスになっていました。桐教会のようにシンプルに透明のガラス窓という教会は珍しいです。あらためて周りの自然環境は偉大であること、そしてその力を有り難く借りて設計することの大切さを感じました。
海がこんなにも青い!
周りを自然に囲まれた環境で上品に佇む教会を、最初の教会ながらいたく気に入ってしまい、その後島を離れる直前にもう一度見に来たほどです。
毎週日曜に通いたい教会
この旅行中に、他にも素晴らしい教会をたくさん見ました。でも、仮に自分が五島に移住して毎週日曜に通う教会を一つ選ぶことができるとしたら、私は桐教会を選ぶと思う。飽きのこない、シンプルであたたかい美しさがあるのです。
ちなみに、五島の教会は基本的に内部での撮影が禁止されています。月並みな表現になるけれど、内観は心のフィルムに焼き付ける必要があります。
でも写真を撮らなかったからこそ印象の強い教会ほどはっきりと脳に刻み込まれていて、そんな機能が自分にもまだ残されていたことが、少し嬉しかったりもします。
絵の描ける方はぜひスケッチブックと鉛筆を持っていってください。
次に目指すは中ノ浦教会
さあ次は、桐教会の近くの中ノ浦教会を目指します。ここから車で10分ぐらいの距離!
あくまで順調に行けば……ですが。
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カトリック桐教会
長崎県南松浦郡新上五島町桐古里郷357-4
(奈良尾港から車で5〜10分)
見学時間:9:00〜17:00
↓少し内装が見られます。
Laudate | 教会をたずねて
Google Mapの航空写真を見てみてください。いかに海がきれいか!
※掲載している情報は2018年時点のものです。訪問の際には必ず最新の情報をご確認ください。
【使用しているカメラ・レンズ・フィルム(左下に透かしのある写真)】
Nikon F3+Nikkor 28mm f/2.8+FUJICOLOR C200