ヒデへ

ドルトムントでのブラジル戦、なんとしてもチケットを手に入れて行くべきでした。いまとなってはもう遅いのですが、ヒデのプロとしての最後の試合になるなんて夢にも思っていなかったから。

引退の知らせを聞いて、もう私はいい歳なのだけれど、ヒデは私の青春だったのだと気づいたのです。

代表ユニにはあえて背番号を入れず、「特定の選手ではなくチームを応援するのだから」と言っていたのだけれど、実は常にヒデへの特別な思いがあったのだと、気づかされました。

代表を本気で応援するようになったのは97年のフランス大会の最終予選から。国立でのウズベキスタン戦の前に、初めて買った代表デザインのTシャツの背番号は8でした。

ヒデのベストパフォーマンスはいろんなところで述べられるだろうと思います。私にとって、むしろ印象に残るのは負け試合で最後まで戦うことをやめないヒデの姿です。

サンドニでフランス代表に5-0で敗れた親善試合、ワールドカップ日韓大会の宮城スタジアムでのトルコ戦。

サンドニで「子供と大人」とまで言われたほどの差を見せつけられて5-0と惨敗し、いたたまれないほどの内容と結果を突きつけられたなかで、それでもヒデだけは最後までフランスに果敢に挑んでいました。

パリのホテルの主夫婦にも、ナカタはよかった、と誉めてもらったのですが、同じ主夫婦にはその3年前のワールドカップ・フランス大会でも同じことを言われていたのでした。ナカタはいい選手だと。3年たってもヒデしかいないのかと、逆に落ち込んだものです。

宮城スタジアムでの、淡々と攻めている印象の代表のなかで、ヒデはタイムアップまでゴールへ結びつくプレーを繰り返していました。

病み上がりで実戦から遠ざかっていた西澤を、監督のトルシエはワールドカップ決勝トーナメントでスタメン起用し、しかも試合終了までピッチに残しました。

好調からはほど遠いパフォーマンスの西澤に、それでもヒデは繰り返し繰り返し、パスを送り続けでいました。決して無理なパスではなくて、シュートを打て、チャレンジするんだという励ましのメッセージのこもったパスに思えました。

西澤は応えることはできませんでしたが、彼の無念な表情は、試合に負けたことよりも、ヒデのメッセージに応えられなかったからではないかと感じたほどでした。

日本代表の試合を、日本のサッカーを知らない外国の人が見ても、サッカーをよく知らない日本人が見ても、ナカタはほかとは違って見えるようです。それはナカタが有名人だからとか、かっこよくて目立つからということでもなく、派手なテクニックで魅せるからでもない。

勝つためにプレーする、チャレンジする、ためらわない、逃げない、ひるまない、あきらめない、いつも凛々しく。

ローマでの、リーグ優勝へ向けた重要な試合での活躍は、ヒデの真骨頂だったと思います。

サッカー以外の活動でも注目を集めていましたが、私にとってはピッチ上のヒデ、サッカーについて語るヒデが全てでした。いつか「あなたのプレーが好きでした」と、直接話して伝えることができたなら、それにヒデが苦笑いしてくれたなら、少しうれしい。私にとってヒデは最後のアイドルでした。

おつかれさまでした。こちらこそ、心の底から、ありがとう。

トーナメント進出を決めたブラジルではガチンコじゃないけど

今はもう、ひたすら不貞寝していたい。

勝つしかなかったはずの試合で引分けに終わり、まだ可能性が残っていると言われても、そうだよね、なんて簡単にポジティブになれはずない。

次の相手はブラジルだ。主力を休ませるかもしれなくても、むしろサブ組のほうが怖いじゃないか。昨日だってロナウドを下げてファビーニョいれたら前線に活気がみなぎったし、アドリアーノに変えてフレッジを入れたら、さっそくゴールを決めてる。余計に怖い。

日本は次の試合、とにかく守りを最大のテーマにする状況ではなくなった。ブラジル相手に点差をつけて勝つしかない状況にまで追い込まれた。

仮に勝っても、オーストラリアがクロアチアに勝てば、日本はブラジルに勝ってもトーナメントに進めない。いまのクロアチアのデキならオーストラリアに負けることは大いにありえる。日本のトーナメント進出は常識的にはノーホープだ。

日本にとってポジティブになれる唯一の要素は、試合が夜9時キックオフになることだ。ようやくの涼しい時間での試合で、人もボールも動くムービングサッカーを見せてほしい。最後まであきらめず走るサッカーを見たい。

ここまで日本は日本らしいサッカーの片鱗すら見せていない。ブラジルなら日本の良さを引き出してくれるはず。日本がブラジルに2-0とか、3-1とか、そんなスコアで勝つなんて、ワールドカップで優勝するに匹敵するほどの価値があるじゃないか。

日本のサッカーが世界で輝く試合を見せてくれ。

サポーターの勝負

今回のドイツへの遠征で、最初にオーストラリアサポーターに遭遇したのは、香港国際空港でのフランクフルト行きへの乗継だった。すでにイエローとグリーンに身を固め、一人はスキンヘッドの後頭部にカンガルーを形どって髪を刈っていた。

6月12日の午前に、滞在しているマンハイムからカイザースラウテルンへ向かう列車の中から、すでにオーストラリアが優勢だった。彼らサポーターの全てがオーストラリア本国から来ているわけでもないだろう。イングランドほかヨーロッパ各地から集まってきているのだと思う。

その存在感はフィジカル的にだけでなく、イメージとしても見上げるほどだ。日本のサポーターなど視界に入らないかのように、カイザースラウテルンの街を闊歩している。

オーストラリアは32年ぶりのワールドカップ出場だそうだ。しかし、世界に冠たるラグビー大国のひとつでもあるオーストラリアは、楕円球のワールドカップでも開催国各地をのし歩いているだろうし、オリンピックやトライネーションズなどでスポーツの自国代表とともに世界を旅することの醍醐味が広くファンに浸透しているように思う。

ワールドカップはお祭りだ。その本質をとことん知り尽くし、それを楽しむ術でも、32年ぶりに出場した彼らは日本のはるかに先を行っていた。イエローとグリーンというイメージカラー、カンガルーというアイコンを駆使し、相手国のアイテムであるべき相撲取りの着ぐるみをまとう者もいるという懐の深さも見せる。

対する我ら日本オリジナルには、浴衣、はっぴ、鎧兜、ちょんまげ。それらも日本のアピールとして十分なアイテムだが、和太鼓や竹笛での祭囃子に神輿とか、法螺貝とか、聴覚にも訴えるようなアピールがあるともっといい。

帰国後に日本-オーストラリアの試合をテレビで見たが、思った以上にバックスタンドが青だったことが意外だった。スタジアムでの存在感は、日本がリードしていた80分間も含め、オーストラリアに分があったからだ。同点に追いつかれてからは、オーストラリアが圧倒していた。試合の内容と同様に、最後の10分間、日本サポーターにも反発力は残っていなかった。

国内での代表の試合でも、スタジアムでのサポーターの一体感が薄れていく印象が年々強くなっている。相変わらずワールドカップでの動員力に陰りがないことは幸いだが、国内試合でも一体感を維持できない状況で、ワールドカップで急に一体感を発揮することなどできないだろう。

せめてフランスワールドカップ最終予選の一体感を取り戻したい。物見遊山ではなく、デートに誘う口実ではなく、本気でサッカー日本代表をサポートする気概のあるファンに、きちんとチケットがわたるシステムが作れないものか。誰がスタジアムに来ても、同じレベルの応援ができるほどには、日本にスポーツサポート文化は広く根付いていないのだ。

オーストラリアとの試合、ピッチ上だけでなく、スタジアムのサポーターにも覚悟が定まっていなかった。同点にされてからはピッチ上と同様にバラバラになってしまった。リーダーシップの問題ではなく、メンタリティの問題だ。このピンチにあたって、スタジアムにいる自分たちはどう振舞ったらいいのか統一された判断ができなかった。気象条件もスタジアムの条件も正反対だが、4年前の宮城スタジアムを思い出した。

サポーターの海外組と国内組の融合も課題のひとつだ。国内での代表の試合を知らない海外組を、国内組主導の応援に巻き込むためにも、代表は積極的にアウェイに出かけて試合をしたい。選手同様に、サポーターも一緒にやらなければわからないことが多いのだから、一緒に応援する機会を増やしたい。

ワールドカップとは、チームもサポーターも総力をあげて取り組むプロジェクトだ。まだ3回めの出場だ。今後積み上げていく経験も確実にサポーター文化を育んでいく。代表チームもサポーターも、勝っても負けても世界で敬意をもたれる存在になりたい。

日本-オーストラリア

昨日でグループリーグの1クールが終了し、全ての出場国が1試合を消化した。
都合4日間ドイツに滞在し、12日の日本-オーストラリアをカイザースラウテルンで観戦した。

まず、ドイツは暑く、日差しが強い。15時キックオフの試合は特に消耗が激しい。
1試合め、2試合めがともに15時キックオフ予定の日本は、この点で非常に不利だ。

日本時間22時キックオフというのは日本でのテレビ放映にはベストだが、
代表のパフォーマンスには悪影響を及ぼすだろう。

事実、有力国の試合運びには、この暑さでの消耗を避けるような内容が見て取れる。
先制したら、その後はハイペースで追加点を狙うことはせず、守備のバランスを優先して、
攻撃での消耗はできるかぎり避けて効率的に試合をすすめ、1-0で終わればOK、
というコンセプトだ。

イングランド、オランダ、ポルトガル、ブラジルがそうだ。

日本もそうありたいと思っていたし、事実80分過ぎまではそのとおりだったのだが、
上の4か国との違いは、試合終了までミッションを遂行しきるだけの力がなかったことだ。

ドイツの強い日差しと暑さを体験して、この気象条件は日本に有利なのではないかと思っていた。
暑さへの耐性や、暑熱対策の経験値に日本は強みがあると思っていた。試合終了に近づくほど、
日本は相手を運動量で上回ることができるだろうと。

ところが現実には逆だった。いや、相手も疲れてはいるのだが、勝負がかった場面で動けたのは
オーストラリアだった。また、疲労で動けなくなったときの体格のハンデはあきらかだった。

ドイツの暑さは日本や東南アジアの暑さとは異質だ。「湿気がなく強烈な日差し」という暑さは、
モンスーンの蒸し暑さのような日本にとってのアドバンテージはない。そして運動量と思考力、
集中力が落ちたとき、日本は高さや重さというフィジカルな差を埋めるアジリティが発揮できないと
勝負に勝てなくなる。

クロアチアとの試合は消耗戦になる。その消耗戦に勝利したとして、ブラジルとの試合に臨むお釣りを
残せるかどうか。目の前の相手に勝つことが最優先だが、すべてではない。

ジキルとハイドと中庸と

三年連続の首都圏開幕戦は、昨年を上回る完敗、ホームに戻っての第2節はつけいる隙を与えない完勝。両極端に振れた今年のアルビ、第3節は相性のよい大宮。埼スタにいざ参戦!の予定が、妻の抗議にあえなく自宅待機に‥。しかもスカパー中継は22日。21日に次節があるというのに。

そんなときに限ってアルビは勝つ。昨年、生観戦した首都圏の試合でも、唯一勝ったのが大宮。アウェイ4勝4分9敗だったのだから、勝ち試合は貴重なのに、妻がグズるのがよりによってこの試合だなんて‥。

浦和はJリーグ通算成績で勝ち越したそうだ。新潟は2005年シーズン終了時点で21勝16分27敗。2006年第3節終了時点で、23勝16分28敗。今シーズン中に勝ち越すとなると、プロ野球的に言えば貯金5が必要だが、昨シーズンで貯金5以上だったのは、ガンバ、浦和、鹿島、千葉、セレッソの優勝を争った5クラブのみ。ひるがえってアルビは借金5だったのだ。

でも、ダービーマッチの通算勝敗には多少重みがありそうだけど、リーグ戦通算勝敗数にどんな意味があるかと言えば、いつか勝ち越したときに「昔は弱かったな」と借金完済にしみじみするくらいのことで、何年かに一回タイトルが獲れるくらいのクラブになったなら、通算勝敗など、きっとどうでもいいな。

5年間で4年負け越しても1年はタイトルを獲れる。それくらいで十分楽しい。なんて控えめな望みだろう。いや高望みだ(苦笑)。

開幕戦は散々だったが、その後の2試合でアルビは昨年からの進化の一端を見せてくれている。2節でのディフェンスはすばらしい内容だった。川崎に6点取られたことなど、出会い頭の事故だったかのようだ。そう、あれば事故だったのだ。年に数回はそういう試合がある。それがたまたま開幕戦だったのだ。

でも、開幕戦のアルビと2節のアルビは、同じアルビなんだろうか?どっちが本当のアルビなんだろうか?と悩んで迎えた3節が、もっとも本当のアルビに近いのだろうか。押される展開を耐えて守って少ないチャンスをモノにする。いいじゃないですか。ハイライトしか見ておらず新聞評からの印象ですが。

矢野貴章のパスからエジミウソンがゴールを決めたのもうれしかった。ファビーニョが復帰したらと考えると楽しみで、それまで誰もケガはしないでくれよと願ってやまない。3節終わっての順位が今季最高位でした、とならないように。

Football in Ballpark

アメリカのクラシックスタイルの野球場が好きだ。スタジアムの風景が、歴史、伝統とスポーツ観戦の喜びが同時に湧き上がってくるようなワクワク感をかもし出してくれる。いったいスタジアムの風景の何がそうさせるのかはよくわからないけれど。

国内海外あわせてもそれほど多くのサッカースタジアムを訪れたわけではないのだけれど、たとえばオールド・トラフォードに行けば同じようなワクワク感を感じられるだろうか。イングランドのビッグクラブのスタジアムならきっと感じられるだろうな。

私が実際に行ったことがあるアメリカの野球場はシアトルのセーフコ・フィールドだけ。(いまはないモントリオール・エキスポズのドームスタジアムにも行ったが、つまらなかった)スタジアムツアーに参加したときはファウル・グラウンドまでしか入れず芝の感触を確かめることはできなかったが、密度が濃くてびっしりと生えている印象だった。

テレビで見るスタジアムの光景も、野球の扇形のフィールドにサッカーの長方形を敷くというアメフトっぽさは仕方ないとして、ボールパークの雰囲気はサッカーにとっても悪くないと思う。

本当ならジーコの代表も一度アメリカとやれるはずだったのが、SARSだったかテロの影響だったかで試合がキャンセルされてしまったから、試合はずいぶん久しぶりだ。しかし、その二年間に世界各国のレベルアップが図られている。もちろん日本ももちろんその中に含まれているわけだけれど。そしてアメリカは申し分ないモチベーションで試合に臨んでくれた。日本をガツンとやってくれたことを感謝したい。

最近でも各年代でアメリカとはやっているけれど、シドニー五輪のイメージがもっとも強い。4-4-2で徹底したサイドアタックを試みて、それをキックオフから試合終了まで続けられるフィジカルとメンタリティがすばらしい、しかもフェアなチームだった。

SBCパークの芝では日米両国の選手がよく滑った。芝の種類の問題なのか、刈り方の問題なのか、アメリカの選手ですら滑ってるのだから言い訳もできない。

試合内容は完敗だった。それにしても、トルシエの2001年のサンドニほどの打ちのめされようではない。ただ問題なのは、本大会までの時間は逆に少ないことだ。

今回は日本がとにかくコンディションがさっぱりだった。第一の敗因はフィジカルとメンタルの疲労によるコンディションの低下だろう。

3-6-1のフォーメーションのトライアルについては、フォーメーション自体はオプションとして持っておくべきであって成功とか失敗という評価はあたらず、今回の1トップと2トップ下の顔ぶれでは難しかったのだと思う。コンディションがよくても結果と内容は大きくは変わらないだろう。

アテネのときの小野ですら、すでにボランチとしてのプレースタイルが確立されていて、トップ下でのパフォーマンスはいまひとつだった。いまトップ下に入っても、かつてのようなプレースタイルには急には戻れないのだろう。むしろはっきりと2列目に位置したほうが小野は威力を発揮すると思う。

サブ組のコンディションとモチベーションが高かったといわれているが、長谷部がいい動きを見せていたのはかれの持ち味を発揮したからだ。彼の縦の運動量は小野をしのいでいたし、巻も同じように久保をしのいでいた。これはコンディションの問題だけではなくて、プレースタイルの問題ではないか。

本山も縦の動きに特長がある。いまの日本代表で3-6-1で2トップ下を任せるとすれば、柳沢や玉田、本山のようにプレイエリアが2列目から前にあって縦方向への動きがいい選手だ。小笠原はボランチもこなすバランサーだからプレイエリアが若干後ろだし、小野はいまではトップ下にははまらないと思う。

小野も久保もコンディションが万全だったとしても、小野はボランチが適任で、久保には前に出て行ける1.5列目の選手がパートナーとして必要に思う。

結果論だけれど、今回のメンバーで3-6-1を組むのなら、前の3人は途中から交替で入った

FW:巻
MF:本山、長谷部

がよかったのではないかな。って本当に結果論で申し訳ないです。自分も小野と小笠原でもデキるだろうって思っちゃってたしね。

結局、一番ウマイ奴がトップ下をやるっていう日本サッカー界の弊害がここでまた出てきている。小野やヒデの適性はボランチセンターハーフ)だとわからせてくれたのはヨーロッパだった。でも過去の彼らのトップ下のプレーのイメージが抜けないから日本代表ではそのポジションに配置してしまい、アジアレベルはともかく国際大会レベルの試合になると中途半端なプレーになってしまうというのでは、実にもったいないと思うのだ。

Group of FUN

グループFについて、世間はなんとなくポジティブともネガティブともつかない微妙な反応に終始している。ラッキーなのかアンラッキーなのか印象がまとまらず、最後はワールドカップのグループ分けには運不運などない、という意見で収束されてしまう。

日本にいて抽選を生中継で見るほど朝に強いわけでも徹夜が得意なわけでもない私は、土曜日の朝9時頃起きだして、TVでグループ分けを知った。

ジーコってほんと強運だな」。ブラジルと同組になるなんて。

年に一度はセレソンを生で拝みたいもの。その試合が日本-ブラジルとくれば最高じゃないですか。

世界サッカー界の金の成る木がアラブやロシアで育つにつれ、セレソンは日本に来なくなったような気がしてさびしい。ほんのちょっと前まで、ちょくちょく来てくれるようになっていたのに、金の切れ目は縁の切れ目か(笑)。

Jリーグはブラジル人選手なしではなりたたないほどなのに、それどころか日本代表だってブラジル人の日本国籍取得選手が戦力として欠かせないほどなのに、最近ツレないよなぁ(関係ないといえば関係ないが)。

コテンパンにやられても、心の底からは悔しくなれないのがブラジル。同組に入るシードがブラジルでよかった。

さて、オーストラリア。でかくて強くて規律もあるイメージ。ヒディンクは代表監督として適任だと思う。彼がアメリカ代表を率いたら、あっさり優勝するんじゃないかと思うくらいだが、オーストラリアならグループ突破までは大いにありうるんじゃないだろうか。

日本にとって勝てない相手ではないけれど、勝利を計算できる相手でもない。いい意味でフェアで激しい試合ができるだろうと思う。

クロアチアは、あのフランス大会でのナントの強い日差しと暑さを思い出す。クロアチアは明らかに動きが悪く、日本は勝点を得るべき試合だったのに、どこまでやってもゴールを奪えそうにないという試合だった。それでも、あの試合でのクロアチアのパフォーマンスからは、その後準決勝でフランスを苦しめ、3位という結果を得るまでに上りつめるなんて思いもよらなかった。

今回、まったく違うチームになっているとはいえ、ワールドカップで3位になったことのある国だということを忘れてはいけない。それだけのポテンシャルを持っている国であって、強豪を相手にしても互角の勝負に持ち込める力を持っているのだから、最大限の敬意を払わなければならない。

コーチにも有能な人材を多く輩出しているし、かつてのボバン、シューケル、プロシネツキ、ヤルニといったワールドクラスのタレントはいなくても、インターナショナルレベルで通用するクオリティの高い選手が多い。

過去含め日本が参加する3大会のなかで、大会前の予想として全敗の可能性がもっとも高いのがドイツのグループFだと思う。ジャマイカチュニジアのような、希望的観測が高まる国がいない。

ただし、非常にいいグループだと思う。日本も強くなったから、オーストラリアにもクロアチアにも「勝てる」という意識で試合に臨める。少なくとも未知の対戦相手ではないから、非必要な不安や悲壮感を持たなくていい。

ブラジルだって、すでにグループ突破を決めていてくれれば勝点を狙える相手だとまで考えられる。南米が苦手な日本にとって、いっそブラジルだったのはよかった。しかも我らの監督はジーコである。きっとブラジルからみたら日本のベンチには後光がさしているだろう。これがアルゼンチンだったらほとんどノーチャンスだった。

やっぱりグループ組み合わせが決まると気分がたかまってくるなぁ。C組なんて他人事だともう最高だけど、案外終わってみるとアルゼンチンとオランダの予定調和な気がするし、E組のほうが激しそうだなぁ。まだ半年もあるのだが、今から待ち遠しい。とにかくチケットを確保しなくては。