ニューヨーク現地採用れぽーと

米国の銀行で現地就職したケースのレポートです。

損保ジャパンの国際戦略の経緯が分かります

タイトルの通りなんですが、私が前職で勤務していた損保ジャパン社の国際戦略の歴史といいますか、経緯について書いていこうと思います。国内損保会社の国際化はこの10年で非常に進みました。将来的に損保で国際事業に携わりたい方や興味がある方の参考になれればと思います。ざっとまとめると以下の通り。

 

<損保ジャパンの国際戦略の歴史・経緯>

①南米安田保険時代(~2010)

②ニッチ市場のM&A(~2013)

③Lloyds進出(~2016)

④Endurance M&A Deal

⑤Sompo International

今日は①について書きます。

1.南米安田時代

損保ジャパンの前身であった安田火災がブラジルで保有していた会社が『南米安田』というローカルの会社であり、ブラジルでは1958年から営業を開始しています。売上高でいうと400億円くらいの規模であり(2014年)、トップの保険会社とは言えないものの、中堅損保として長い間営業していました。昔から非日系のビジネスをやっている、唯一の会社が『南米安田』だったのです。

当然、『南米安田』以外にも数多くの海外支店を損保ジャパン(旧安田火災)は保有していましたが、これらは海外の日系子会社へ保険を提案することが目的でした。

ですので、2010年ぐらいまでは、損保ジャパンの国際事業は実質的に『南米安田』だけだったわけです。

下のURLからもわかる通り、2010年の損保ジャパンの国際事業の利益はあくまで20億円程度でした(=利益(総計)298億円*海外事業比率7%)。

一方で、19年では国際事業の利益額は470億円となっており、2010年度の23倍くらいになっている訳です。

https://www.sompo-hd.com/~/media/hd/files/ir/individual/seminar/20191002.pdf

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15年IR資料より

 

https://www.sompo-hd.com/~/media/hd/files/doc/pdf/ir/2019/20191128.pdf

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19年IR資料より

この10年でどれほど国際事業に投資をしているかがわかると思いますし、一方で2010年まではあくまで国内市場をメインにした会社と言えるでしょう。

その後、2013頃までにかけて、損保ジャパンは海外のエマージングマーケット(新興国)で積極的にM&Aをしていくことになります。その過程の中で、M&Aの重要性が高まっていくのですが、それは次回書こうと思います。

 

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損保ジャパンと東京海上の違いを理解する―企業文化編

外からですとなかなか損保業界の各社間の違いが分かりにくいので、今回は損保ジャパンと東京海上の企業文化を解説していこうと思います。

就職活動をされている学生さんや、損保業界への転職を考えている人に読んでもらえると幸いです。

 

ざっくり言うと下のイメージです。

損保ジャパン:元気な体育会系。自由奔放気質のワンマン経営。

東京海上日動:頭の回転が速く合理的。良くも悪くも官僚的な会社。

 

1.損保ジャパンの企業文化

損保ジャパンという会社はもともと安田火災という営業力に特化した損保会社が前身で、幾つかの会社を吸収してきています(日産火災や大成火災、日本興亜損保など)。が、会社の中心にいるのは旧安田火災の出身者で、会社のカルチャーとしても安田火災のそれが色濃く残っています。

そのカルチャーとは超体育会系ということです。今でこそありませんが、昔は会議中に怒声が響いたりペンを投げられたりで大変だったそうです。そして、根本的にはそのカルチャーは今でも残っています(怒声からネチネチ系になったといいますか)。

男性の職員(私の同期)が特にそうだったのですが、ある意味元気で、ちょっとDQNぽく見える人も少なくなかったです。逆に個人の性格としては魅力的な人も多い印象。

営業に感しては営業マンのやり方に一任されていて、非常に自由奔放な会社とも言えます。社内の部門についても、変な派閥の様なものはなく、チャンスは全職員にフェアに与えられている会社です。

昔からワンマン気質の会社であり、平野社長時代には金融庁から行政処分も受けています。現在もなおワンマン体質は変わらず、櫻田会長が院生体制を敷いています(19年現在)。

2.東京海上の企業文化

東京海上は損保ジャパンとは異なり、どちらかというと頭の回転や行動力で勝負する方が多かったと思います。損保ジャパンの場合は人間性でビジネスを取ってくる人が多いのですが、東京海上の場合は提供するシステムや手数料といった組織としてのメリットを提示してビジネスを取ってくるイメージです。

営業のやり方も『トップダウン』方式であり、重点的に攻めなければならないマーケット・対象はあらかじめ決まっており、その方針は上から下まで浸透しています。

損保ジャパンと比べると、やはりどちらかと言うと高学歴主義、端的に言うと『東大』の力が強い会社だと思います。組織としても決してワンマン経営という個人の側面はなく、あくまで『組織』として強みを発揮する会社でしょう。

 

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東京海上と損保ジャパンの違いとは?ー営業編

就活をしている学生さん向けです。

なかなか損保ジャパンと東京海上の社内の違いとか分からないと思うんで、ちょっと書きます。『御社を志望する理由』を考える際に、参考にしてもらえば幸いです。

 

営業で言うと『東京海上トップダウン』で『損保ジャパンはボトムアップ』であるという点です。詳しく書きます。

 

東京海上の営業スタイルは『トップダウン型』です。言い換えると、その地域で一番大きい企業(保険を買ってくれるお客さん)や一番大きい保険代理店を上から順に並べ、上から順番に攻略するということです。

もちろんビジネスですからリストの上から順にお客さんを得られるとは限らないし、保険代理店との代理店契約を結べる訳ではありません。ですが大きいお客さん、保険代理店を獲得した方が、商売としては手間がかからないため、理に叶うわけです。

ですので、東京海上の損保マンに求められる資質は『新規営業』・『開拓能力』です。今でいう地域型総合職の方がルート営業的な部分はやってくれるので、全国転勤型の総合職がやることは新規開拓の一言です。その意味では証券や銀行の営業にも近いと思います(もちろん証券や銀行の営業の方が、キツイですが 笑)。

 

一方で、損保ジャパンの営業スタイルは『ボトムアップ』です。すなわち、中小企業や小さめの代理店を広く扱っていて、小さめの代理店が人間関係で中堅企業や場合によっては大きめの企業の保険契約を獲得。代理店も大きくなり、損保ジャパンの売り上げも増えるみたいな循環があったのです。

ですので損保ジャパンの場合は『トップダウンリスト』の様なものはなく、営業先も上から順にやっていくといった形式がありません。よく言えば営業マンの裁量に任されていて、悪く言えば個人能力に依存した営業スタイルといいますか。

小さめの代理店が数多くあるので、損保ジャパンではルート営業の比重が大きいです。ルート営業の上で、優秀な営業マンは自分で新規開拓もやってます。いい意味で縛りが無いので、優秀な営業マンはしがらみがない環境で数字を伸ばすことに集中できるともいえるでしょう。

 

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損保業界に新卒で就職するためには?

雑記です。

 

私は今は銀行ですが、6年間損保ジャパンにお世話になりました。損保ジャパン側の面接官として採用面接にもかかわっていたので、採用する側から見て、どんな学生を通したいか書いてみます。

 

結論から言うと、『きちんとした服装で』、『自分なりの志望理由があって』、『業界や弊社(損保ジャパン)を知ってる人』は採用したいと思います。

 

『きちんとした服装で』という点ですが、これは就職活動においてクリーニングされたスーツを着て(シャツは白で)、長すぎないくらいの黒髪で(男性は)、靴が磨いてあって汗臭くなさそうという普通の就活生のみなりのことです。

もちろん個性的な服装とかでもいいんですけど、サラリーマンをやる以上は組織で動くため組織のルールがあります。組織のルールをいちいち言わなくても守ってくれそうな人かどうかをチェックしてるって感覚ですね。変な言い方をすれば、採用のボーダーライン上にいる学生が大半なので、変わってる人よりは無難な人を取りたいということでしょうか。夢も希望もなくてスイマセン。

 

『自分なりの志望理由』は一番大事だと思います。損保業界の場合は「社会のために必要と思って志望してます」という方が多いのですが、皆さんそれを志望理由に上げるので、その志望理由だと弱いです。他の学生さんとの差別化が必要と言いますか。

その上で言えば、自分の経験から志望理由を言える人は採用したいと思いますね。例えば、損保のコールセンターで働いていてその実務体験をベースに『社会のために必須であり、自分も携わりたい』と言えれば取りたいと思いますね。

 

『業界(会社)を知っている』というのもポイント高いです。自分がやりたい業務内容を的確に理解していて、その上でそれにチャレンジしたい学生は魅力的に映ります。なぜならば自分が会社に入った後に何をするのかを調べる能力・行動力があり、その仕事のマイナス面も踏まえても挑戦したいという覚悟があるからです。

業務内容をマニアに語る必要性はないですが、自分が何をすることになるのかぐらいは調べてもいいと思います。例えば損保の営業の場合、ディーラーや整備工場を営業先で回ることになるんですけど、そういう部分まで確認してる学生さんは少ないですね。損保の場合は会社からの車両購入の斡旋があり、新人の営業マンは(得意先のディーラーから)車を買わなければならないみたいな暗黙の了解があるんですけどね。

 

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保険代理店の種類とは-プロ代理店編(規模や大きさ)

損害保険の代理店の種類のうち、⑤プロ代理店の区分(他社プロ・自社プロ)について説明しました。今回のエントリーはその続きで、プロ代理店の規模や人員などを話してきます。

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<保険代理店の種類>

①企業グループの子会社保険代理店

②自動車ディーラー・中古車販売業者

③自動車整備工場

④不動産会社・ハウスメーカー

⑤専業の保険代理店(プロの代理店)

5-2.専業の保険代理店(プロ代理店)の規模感は?

大企業の子会社保険代理店や自動車ディーラー、整備工場やハウスメーカーはあくまで『副業』として保険代理店業を行っています。一方でプロ代理店は保険の代理店業、すなわち保険会社からの代理店手数料のみでご飯を食べている『専業』の方々です。

ではどのくらいの規模の保険代理店かが気になる人も少しはいると思うので、今回は語っていきます。ざっくりというと下の感じです。

 

小規模プロ代理店:売上げ(保険扱い高) 1000ー2000万円。個人で活動。

中小プロ代理店:売上げ(保険扱い高) 数千万-2億円。家族経営(2-4名)。

中堅のプロ代理店:売上げ(保険扱い高) 2億円-5億円。法人。5-10名くらい。1か所。

大規模プロ代理店:売上げ(保険扱い高) 5億円-10億円。法人。数十名。本店+支店。

神クラスのプロ代理店; 売上げ(保険扱い高) 数千億円。『保険の窓口』など。全国。

 

ちなみに保険会社から保険代理店へ支払う手数料は保険料のだいたい20%くらいです(もちろん商品によって全然違いますが)。ですので、例えば10億円の保険料扱い高があるとすると、そのプロ代理店へ支払われるお金は2億円くらいですね。保険代理店の手数料についてもどこかで詳しく書いておきます。

 

一番大きいプロ代理店は『保険の窓口』や『保険見直し本舗』また、イオンの保険事業である『イオンの保険相談』といった企業型のプロ代理店になります。これらは正直、普通の保険代理店の規模を遥かに超えた、保険代理店業界で言うと神みたいな大きさです。こうした来店型の代理店はどこも生命保険が中心で、損保はまだまだおまけ的な扱いをされてますね (生保の方が儲かるので・・・)。日本の代理店は約18万店なのですが、企業の子会社代理店を除いた中で、上位20社くらいでしょうか。

 

次に大きいのが大規模プロ代理店です。ここはその地域で一番大きなプロ代理店さんが該当する感じですね。私は営業時代に港南(横浜市の南の方と金沢区)を担当していたのですが、支店で一番大きな代理店さんがこの規模でした。港北(横浜市の北)と東京にも事務所があるレベルの代理店で、従業員も15人くらいの規模感です。世間一般からすれば規模は小さいのですが、保険代理店の中ではガリバー的存在で、当時の支社長も彼らを怒らせないように常にごますりしてましたね 笑。オフィスのイメージは下の感じです。数字で言うと100代理店に1つくらいですね。

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中堅のプロ代理店は大規模代理店よりは小さいものの、その地区で有力な代理店を指します。従業員が5名以上いて、組織化されており、だいたいのケースは社長のワンマン経営というパターンです。いわゆる普通の中小企業と考えて貰えればと思います。大規模代理店との違いはやはり財務的な強さの違いです。大規模プロ代理店はコールセンター要員を雇ってテレアポ部隊を作ったり、ダイレクトメールで集客するといったアクションを起こせるお金があります。一方で中堅プロ代理店はそこまで資金力はないため、既存の職員の人脈や新規営業で地道に売り上げを伸ばすイメージですね。あとは後述する個人プロ代理店を吸収して大きくなるくらいでしょうか。

とはいえ中堅プロ代理店の保険代理店のトップ10%くらいの大きさだと思います。

 

中小プロ代理店は売上げ(保険扱い高)が1億円いかないくらいの大きさ、すなわち代理店としての収入が2000万円くらい(1億円*20%の手数料率)の、個人レベルの規模の代理店です。だいたいは家族経営(父と息子など)か、気の合う個人プロ代理店同士がくっついてできたという形ですね。ですので、中堅プロ代理店との大きな違いとして、『組織化』ができていない部分が大きいです。社長がワンマンで方針を決定するというよりかは、個人 個人が自分の好きなように営業しているといいますか。

営業のやり方もどこか特定のマーケットを狙い撃ちにするというよりかは、今ある既存のお客さんに別商品を提案する・そのお客さんのご家族を紹介してもらうなど、個人の人間関係ベースでの営業が多いです。

中小規模代理店で、保険代理店の中の上位30%くらいでしょうね。

 

で残りの60%は個人で代理店をやられている方だと思います(あくまで私の経験からの推測です)。個人で代理店をされている方の場合、どうしても保険料の規模感が小さい、すなわち持っているビジネスも小さいので、損保営業マンからのサポートも薄くなりがちです。損保会社としてはこういった小さい代理店のメンテナンスコストが割高と感じており、手数料率の面でも小規模プロ代理店は不利な状況にあります。ですので、個人のプロ代理店同士がくっついて、規模を大きくし、手数料率の改善を損保会社に求めるというのは珍しくないですね。

 

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保険代理店の種類とは‐プロ代理店編(自社プロと他社プロ)

損害保険の代理店の種類のうち、①‐④については別のエントリーでご説明しました。今回は⑤専業(プロ)の保険代理店業について解説します。

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<保険代理店の種類>

①企業グループの子会社保険代理店

②自動車ディーラー・中古車販売業者

③自動車整備工場

④不動産会社・ハウスメーカー

⑤専業の保険代理店(プロの代理店)

5.専業の保険代理店(プロ代理店)とは?

大企業の子会社保険代理店や自動車ディーラー、整備工場やハウスメーカーはあくまで『副業』として保険代理店業を行っています。一方でプロ代理店は保険の代理店業、すなわち保険会社からの代理店手数料のみでご飯を食べている『専業』の方々です。ですからシビアな世界で生きていますし、損保営業マンを見る目もある意味厳しいと言えるでしょう。一方で営業マンとして数字を伸ばすことができるチャネルでもあります。

 

5-1:自社プロと他社プロ

専業の代理店(プロ代理店と言います)は2つに分かれています。

 

1つ目は自社プロと言われる代理店さんで、1つの損保会社の商品しか扱っていない代理店さんを指します。例えば東京海上さん専属の代理店さんや損保ジャパン専属の代理店さんなどです。

これは別のエントリーで解説しますが、損保会社は代理店開業を支援する制度を整えており、毎年少なくない数の方がこの制度を利用しています(損保ジャパンではTA制度と言っていました)。この制度を利用して、無事代理店として独立された方は、その損保会社への恩義もあって、その損保会社専属の代理店となることが多いのです。

自社プロ代理店はもともと個人で代理店業を営んでいる方が多かったのですが、昨今は経費節減や業務効率化のため、複数の個人代理店が合併をしているケースが見受けられます。

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2つ目は他社プロと呼ばれるプロ代理店で、これは複数の保険損保会社の商品を扱っている代理店です。それぞれの損保会社の商品の中で、一番良いものをお客さんへお勧めするというスタイルを取っています。例えば、自動車保険東京海上で、火災保険は損保ジャパンのものをメインで扱うみたいなイメージですね。

一番分かりやすいイメージは『保険の窓口』ですね。この会社(保険代理店)はほぼすべての生命保険会社・損害保険会社の商品を扱い、補償内容と比べて割安な保険会社の商品をお勧めしています。

他社プロのメリットとしては、お客さんのニーズに合わせた保険を、割安な保険料で提供できるという点です。よりお客さんを考えた代理店と言っても良いでしょう。

一方で、多々の保険商品を扱うのは非常に手間と時間がかかり、営業職員の業務効率性の面ではあまり良い選択ではありません。かつ、保険会社は稼いでくれる代理店へより多くの手数料(手数料率)を支払うので、複数の損保会社を使い分けると、その分だけ手数料が少ない(手数料率が低い)という経営上のデメリットがあるのです。

 

今回は自社プロ・他社プロの違いについて書きました。次回はプロ代理店の人員構成や規模について書いていきます。

 

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代理店の種類とは‐不動産会社・ハウスメーカー編

損害保険の代理店の種類のうち、①‐③については別のエントリーでご説明しました。今回は④不動産会社・ハウスメーカーおける保険代理店業について解説します。

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 <保険代理店の種類>

①企業グループの子会社保険代理店

②自動車ディーラー・中古車販売業者

③自動車整備工場

④不動産会社・ハウスメーカー

⑤専業の保険代理店(プロの代理店)

4.不動産会社・ハウスメーカーにおける損保保険業

不動産仲介業者やハウスメーカーは、物件を貸し出す際、また家を建築する際に 火災保険の提案をします。なぜならば、物件を借りる場合、借りた人のモノ(家財一式。机やPC、衣服など)は物件本体の保険でカバーされないためです。

住宅を販売する場合でも、火災事故や自然災害への備えとして、ハウスメーカーは火災保険への加入をお勧めしているのです。住宅を購入される場合、10年程の長期で火災保険を購入される方が多いです。火災保険の保険料はだいたい年間で2-3万円なので、10年の長期での火災保険の場合、保険料が20-30万円になります。

保険料のうち20%超が”手数料”として損保会社からハウスメーカーに払われますので、ハウスメーカーにとってもそこそこ良いビジネスなのです。

 

個人で不動産業者をしている場合、保険代理店事業は大きくないことが多いです。ざっくりですが、保険の取扱高として1000万円から数百万円のところ多いです。ですので、取扱高が数億円の自動車ディーラーや保険専業の代理店と比べると規模は小さく、損保営業マンの数字に大きく関わるチャネルではないと思います。

個人の不動産業者は複数の損保会社の商品を取り扱おうとはしません。だいたいは1社のみです(例: 東京海上さんの火災保険のみ扱っているなど)。損保会社によって契約書の書き方や処理の仕方、システムへの入力方法が違います。ですので、規模(保険の取扱高)が小さい代理店は、業務を簡素化するため、1社のみの保険を扱っているのです。

 

ハウスメーカーは住宅をお客さんに販売しているメーカーです。積水ハウスやタマホームなどの大手と、その県・地域に注力している中堅メーカーに分かれます。

大手ハウスメーカーの場合は多くの場合、全ての損保会社の保険商品を扱っていることが多いです。ハウスメーカー本体から”〇〇社の保険を販売すること”といった指示が現場の支店に下されることは無く、支店の住宅営業マンがどの損保会社の保険を提案するのか決めていることが大半です。

ですので、大手ハウスメーカーさんの支店に対し、損保マンは定期訪問し、自社の保険を販売してくれるように営業活動を行っているのです。この営業はどちらかと言うと、営業マン同士での人間関係にかかっている部分が大きく、いかに住宅営業マンを取り込めるか・彼らと良い人間関係を築くか、がカギになってきます。

 

地域を代表する様な中堅メーカーの場合、そこそこ取扱高はあるものの(保険料で数億円くらい)、損保全社の火災保険を取り扱っている所は少ないです。だいたい2社の火災保険を扱って、両方の保険料をお客さんに提示し、お客さんに決めてもらうイメージです。

ですので、この”2社”の枠に入ることが損保営業マンに求められることであり、この場合は人間性構築というよりは、業務量削減や損保会社から支払う”手数料”のご相談といった別の切り口でアプローチする必要があります。これはまた別のエントリーで深堀しようと思います。

 

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