『犬になる 猿になる』
『犬になる 猿になる』
俺には コイツが手に負えない
感情過多で 爆発しそうさ
曝け出した 狂気が 俺の本音さ
化けの皮 剥がしてよ 俺の
君は コイツを 扱えるかい?
銃槍にタマ込め 発射したいな
むき出した 凶器が 俺の素顔さ
喜ばせて おくれよ コイツを
君がその気になりさえすれば
その瞬間 犬になる その瞬間 猿になる
その瞬間 犬になる その瞬間 猿になる
君がその気になりさえすれば
その瞬間 犬になる その瞬間 猿になる
その瞬間 犬になる その瞬間 猿になる
その瞬間 犬になる その瞬間 猿になる
その瞬間 犬になる その瞬間 猿になる
『生活』
生活はいつまで続く 気付いたら始まっていた
何にも解らないまま ここに放り込まれてた
悲しみはいつまで続く しばらくは終わりそうにない
雨は必ずあがると言うが 晴れの日もいずれ終わる
生まれたその時に約束を交わされる
すべてが終わる時に本当の自由を知るだろう
喜びはいつまで続く
怖いのさいつか消えてしまうことが
生きてゆく限り怯えつづける
抜け出す術はただ一つ
変わり映えのない日々の中で 緩やかに変わり続ける
交差する誰かの生活 確かにそこにある生活
生活はいつまで続く 途方も無く横たわる毎日
終わらせることもできないまま 終わりを待っている
静かに待っている ただ一人待っている
『薔薇の花』
さあほら
咲かせたいだろう 光りたいだろう
見せてよ君の 薔薇の花
とろける匂いさ 赤い舌で
心も身体も 溶かしてあげる
さあほら
心 開いて 棘を隠して
見せてよ君の 薔薇の花
とろける想いさ 細い指で
天国旅行へ 行かせてあげる
だからほら 君の薔薇の花
だからほら 君の薔薇の花
花びらの隙間に忍び寄る蛇
華奢な身体を結び合う
涙も汗も拭ってあげる
さあ 雄しべと雌しべでキスしよう
だからほら 君の薔薇の花
だからほら 君の薔薇の花
短歌
もう12月 両手に吐く息白く
子供が音立て踏む霜柱
寝て起きて寝て起きて寝て起きて寝て
起きて寝て起きて寝てまた起きる
雲ひとつ無い青空を見上げても
いつも心は土砂降りの雨
人それぞれの休日の過ごし方
休み方にも十人十色
ひとりきりAMラジオを聴いている
ひとりぼっちじゃない気になれる
両の手で持ったカップのあたたかさ
唇に触れるミルクのあつさ
したいこと やりたくないこと すべきこと
クシャクシャにして ゴミ箱に捨てた
ひとしきり夏を騒いだ蝉たちも
消えてくときは音も立てずに
誰ですか あなたはどこの 誰ですか
鏡の自分が問いかけてくる
いい加減 新しい靴を買わないと
靴下にまで 氷雨が沁みる
傘をさすほどの雨ではないけれど
顔を隠して歩きたいから
生きて死ぬ ただそれだけの 単純な
作業もろくに できぬ不良品
木々はなぜ寒い季節に裸になるの
最後の一枚葉っぱが落ちた
砂が落ちるまでのこの3分間は
制限付きの確かな自由
お月さま 今日はまんまるお月さま
夜空にぽっかり光の穴が
意識せずとも生きている
鼓動、まばたき、呼吸、
髪が伸びる、爪が伸びる、
細胞が生まれる、細胞が死ぬ、
意識せずとも生きている、
意識せずとも生きている
熱くなる、熱が冷める、熱くなる、熱が冷める
夏になる。空気は暑くなる。
秋が来て冬になる。空気が冷える。
また夏が来る。空気が暑くなる。
冬が来る。また空気が冷える。
ホットコーヒーを淹れる。コーヒは熱い。
時間が経つ。コーヒーが冷める。
電子レンジで温める。コーヒーが熱くなる。
また時間が経つ。またコーヒーが冷める。
延々と繰り返す。意味もなく。
いつまでも繰り返す。目的もなく。
春はまだか
春はまだか
太陽は遠い
空は白い
草木は眠ったまま
雪はまだ溶けない
街路樹は裸
冷えきったビル街
体温のない人の波
肌を刺す灰色の風
震えが止まらない
ああ 寒い
春はまだか