「ちきりんのブログ」と「おれたちのサービス」のちがい

ちきりんは、ブログを書くときにこんな感じで書くんだって言ってた。

 

1.伝えたい内容を決める

2.それを伝えるための文章構成を考える

3.わかりやすくするために資料を集める

4.書く

 

ちきりんの中では2.「それを伝えるための文章構成を考える」の部分が大事で、言葉遣いとかはてきとーだけど、それでもちきりんの文章がきちんと読んでもらえるのは、ここをきちっと作るように心がけているから。なんだって。

 

で、自分のはなしになるんだけど、おれたちはこれから「自分のしごと」を作ろうとしている。そのときの流れは、こんな感じになるだろう、って思ったんだ。

 

1.他の人が困っていることの解決策を考える

2.その解決策をかたちにする(プロダクトづくり)

3.それを伝えるための資料をつくる

4.伝えて、共感してもらって、買ってもらう

 

ブログを書くってことと、サービスを作って買ってもらうということは、「作って届ける」っていう部分はおんなじなんだなって思った。

けどね、それを感じたのは一瞬で。やっぱりおれたちとちきりんは、違うと思うの。だって、ちきりんのブログは無料だし、あの人は有名だから「4.書く=読んでもらう」になっている。

おれたちはどうだ。解決策を作ってそれを伝える資料を作っても、それに共感してくれるかわからない。「つくる=買ってもらう」に繋がらないかぎり、全く同じで考えちゃいけないんだと思う。

 

つくる=買ってもらう

ここにはお金もかかってくるからね!

これを実現させる手っ取り早い方法は、なんだと思う?

買ってくれる人と一緒に作っちゃうことでしょう!

 

一緒になって、おれたちと商品作ってくれる人をさがすんだ。それで、一緒に解決策を考える。そうやってやらない限り、「つくる=買ってもらう」に近づけるのはバクチみたいになっちゃうんじゃないかなあ。

失敗には種類があった「居残る失敗」 - リーン・スタートアップ2

 

今回は『リーン・スタートアップ』を読んで考えた話の続きです。

前回の記事はこちら。

 

machi-kado.hateblo.jp

 

失敗には色んな種類の失敗があります。その中でも、元気のない地方には「居残る失敗」が、それこそ自らの居場所を守るかのように、居残っているのだと感じます。どういうことか。これから話していきます。

 

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これは徳島県海陽町の宍喰海岸。

ここは少し前まで、四国でも有数な"いい波"の立つサーフビーチだったと聞きました。様々ないきさつを経て、今ではテトラポットが埋まっています。よほどの上級者でないと、テトラを避けながらのサーフィンは出来ません。

 

そのため、多くのサーファーがとなり町の海岸までクルマを走らせています。
今、日本中で地方創生が叫ばれ、どうやったら人が来てくれるのかを日本中の自治体が考えています。その中で、放っておいても人が集まる"集客装置"がある。これはとっても恵まれていることです。
それを、この町は自ら放棄しました。

 

もちろん反対側の意見もあって、テトラポットが無ければ海岸の砂が少しずつ海に流されて、海岸線が後退していくといいます。テトラを置くと決めた時期は、今ほど地方創生が深刻に叫ばれてもいなかったでしょう。

 

けれど、このテトラポットが海岸の価値を毀損させていることは間違いないし、この先おそらくかなりの長い間、このテトラが取り除かれることもないでしょう。

 

この問題のポイントは、一度置いてしまえばもう取り除けない、以降数十年にわたる決断をどのように行ったんだということ。


この、テトラポットという政策。導入すると決めたその時はいいかもしれないけれど、数年後には状況が変わっているかもしれない。それは、世の中は変化するのだから当たり前のことだったりもします。それをどこまで織り込めていたかというハナシです。

 

いま進行している地方衰退の背景には、こうした「居残る失敗」があるのだと感じます。一つ一つの失敗が少しずつ地方の価値を毀損させていて、それらが積み重なって地方の魅力も失われている。
これは、「次に繋がる失敗」でも「すぐに立て直せる失敗」でもなく「居残る失敗」です。失敗がかたちを変えず、その場所に居残り続けるから、その場所で新しいアクションもできなくなるのです。

 

「失敗は成功の素」

 

日本では何度も言われてきている言葉です。
けれど、失敗には色んな種類があるということをきちんと知っておく必要があります。

 

失敗は、その大小だけではありません。
・学びのある失敗と、同じ間違いを繰り返す失敗
・すぐに方向転換できる失敗と、ずっと残り続ける失敗

 

失敗には性質があって、質の高い失敗を繰り返すからこそ、成功に近づいていくものでしょう。成功の素になるのはこういう失敗です。そして、一度「居残る失敗」をしてしまうと、そのマイナスを挽回するのは大変なエネルギーが要ることだったりします。

 

地方創生と失敗の性質。
なぜ地方が衰退しているのかを、「失敗の性質」から考える体験談でした。

読んでいただきありがとうございます。

「まちに泊まろう。」1173bnb

 

今回は僕が運営しているサイト、1173bnb(いいなみびーえぬびー)の話をさせてください。

 

1173bnb.com

 

1173bnbは、僕の住んでいるまち"徳島県海陽町"の旅館と飲食店を紹介している、旅の案内サイトです。
このサイトを立ち上げるにあたって、2つ考えたことがありました。

 

「まちづくり」という柱

海陽町徳島県の一番南。高知県との境にある、太平洋に面した町です。昔から「いい波が立つ」と言われている地域。大阪、兵庫など近畿を中心に多くのサーファーが訪れています。生見 (いくみ)、海部(かいふ)と言ったら、聞いたことのある方もいるのではないでしょうか?

 

このまちをどうするか?
まちづくりの課題として、「地域が海という資源を活かしきれていない」という問題が浮かび上がってきました。サーファーが毎年多く訪れている割に、地域の宿に宿泊する人は少なく、地元の食材を食べていく人も多くない。まちにお金の落ちない構造、交流人口が素通りする観光業になってしまっていたのです。僕は、これは消費者側の問題ではなくて、地域側の問題だと考えています。
例えば、今の時代になってもWi-Fiの繋がっていない宿があります。建物が古くなってきて宿泊者数も減ってきているのに、今までと料金を変えずに続ける宿。内容は良いのに情報発信ができない宿... 宿泊のことだけ書きましたが、どこか経営者の工夫が足りなかったり、ともすれば疲れが見えているような宿、飲食店が多い実感があります。これでは、このまちでお金を使っていこう、という気持ちにならない心情も、なんとなく分かってしまう。

 

ひとつめの柱、それは、このサイトを通して地域コンテンツを提供している経営者たちを横で繋げ、視野を広げてもらうこと。それは他のお店の価格設定のことだったり、サービスの内容だったり、お客さんからの口コミだったりします。
田舎のまちって、横の情報が入ってこない、ある意味閉鎖的なコミュニティです。このサイトを通して情報が横に広がって、今の時代に即したサービスをエリアに増やしていくことができたらいい。そう考えたわけです。

 

「稼ぎ」という柱

このサイトがどんなに良いものでも、稼ぎを生まない限りは続けていくことができません。補助金を取ったり、誰かに寄付を頼んだりすれば別ですが、はじめからそういう他人頼みのプロジェクトにはしたくありませんでした。お金をきちんと稼ぐという経験、人に「お金ください」と言う交渉もしたかった。だからこのサイトは、自ら稼ぎを生み出していくサイトにしました。
このサイトの運営資金は10万円です。このお金がなくなってしまったらおしまい、サイトは畳まざるを得ません。サイトを運営するにはサーバーレンタル代、ドメイン取得代、問い合わせの電話回線代、会計ソフトの利用料など、諸々費用がかかってきます。(PCを使うのに電気代なども当然かかります)この金額と、サイトが生み出してくれる稼ぎの差異がポイントになります。

 

 

ふたつの想いを込めて、"1173bnb"はH28年5月にローンチしました。その後、どうなっていったのか。もちろん道なかばなので、この先どうなっていくのか。このシリーズはサイト運営を通して考えたことを書いていきたいと思います。

読んでいただいてありがとうございます。

封筒とまちづくり - リーン・スタートアップ1

早速ですが問題です。
100枚ずつの封筒と手紙、宛名を書いたラベルと切手があります。
この封筒をなるべく早く完成させたい。どんな方法が考えられるでしょう?

普通に考えたら
1.まず手紙を100枚全部折ってしまう
2.宛名ラベルと切手を100枚貼って、
3.最後に100枚糊をして封をする

こんな感じでしょうか。
やること一つ一つをまとめてしまう方が効率的だと思いませんか?

けれど、この本によるとちょっと違うみたい。 

 

  

封筒をひとつずつ完成させていく方が早いというのです。
僕の考えた作戦だと、途中まで折った手紙の山を並び替えたりするときに時間がかかるということみたい。
実際に10枚の封筒で実験している動画も載っています。


Watch This One Piece Flow vs. Mass Production Envelope Stuffing Lean Thinking Simulation

全部の作業を分割してやる → 3分42秒
ひとつずつ完成させる → 2分56秒

驚きました。

だって、3分42秒と2分56秒です。
せいぜい10秒20秒の世界かなと思ってました。
見たところ、手を抜いてゆっくりやってるなんてこともないし(グチってるみたいには聞こえるけど)
手紙と封筒の束を動かすだけでこんなロスが出てるなんて想像ついた方、いますか?

そしてこの方法論、さらに続きがあります。

それは、
「もし折った手紙が封筒に入らなかったらどうするか」
という問いかけ。

単純な話です。
分割作業の方は一度戻って、全部やり直し。
ひとつずつやっていれば、"おかしいな"と思ったらすぐに気づきます。
効率的でいて柔軟性のある方法はどちらでしょう。


さて、今の世の中は「何が正しいか分からない時代」だと言われています。
僕たちはこれから色んな仕事をして、世の中に必要なものを作っていく。
それを、ものだったりサービスだったり、色々なかたちで人に買ってもらうことになるでしょう。

そのとき、折った手紙が封筒に入らなかったときみたいに、作ったものが受け入れてもらえなかったらどうでしょうか。
何が正しいか分からない時代です。
手紙のサイズは十中八九正しく折ることができても、必要としてもらえるものをつくることはずっと難しいはず。
必要としてもらえたり、受け入れてもらえるサービスをつくるにはどうしたらいいのでしょう?

ここからは、まちづくりの話にもつながってきます。
衰退していると言われている日本の地方。
改めてまちを見てみると、必要とされていない建物がたくさん建っているのが分かります。
地域に必要なものを捉える方法はなかったのでしょうか。
また、利用者が少なく必要とされていないと分かっていながら利用方法を変えない役場の建物、たくさんあります。
失敗してもすぐに立て直して次のアクションにつなげる方法はなかったのでしょうか。

何が正解かわからない時代だからこそ、
失敗にすぐ気づけるよう「一つ一つ封筒を完成させていく」ような方法論が必要です。
失敗してもすぐに方向転換できる組織づくりが大切です。

長くなってきたので次回、もう少し「まちづくり」のことに踏み込んで考えたいと思います。

読んでくれて、ありがとうございます!
たけうちとものり

本とまちづくり

いま、日本中の地方が疲弊している、衰退していると言われている。

 

僕は、少し前まで東京西新井に住んでいたのだけど、あちらにいると、地方が衰退しているということのイメージが湧かなかった。
自然がたくさんあるから田舎なのだし、人がいないから地方なのだし..
ましてや、地方には都会にないものがたくさんあるわけで、地方が衰退しているっていうのはどういう状態のことを言うのか、分からなかったのだ。

 

けれど徳島に移り住んでみて、その感覚は変わった。
やっぱり地方は衰退している。
こちらで暮らすと、生活のいたるところで"衰退の切れはし"に出会う。
ひとつひとつは小さなものかもしれないけど、それが積み重なって、地方は身動きが取れなくなっていると感じる。

 

けれど、それじゃいけない。
何をもって衰退なのか。なぜ衰退しているのか。
こういうことは、きちんと説明できないといけないと思った。
説明できないと、何が悪いのか分からないまま、この流れに飲み込まれてしまう。

 

そこで、本を読むことにした。
書かれた理論やアイディアは、複雑に絡まった"田舎社会"を捉え直す視点を与えてくれる。
本を読んで、町で暮らす。目の前で起こっていることが、社会の大きな仕組みの一部分だと思うようになった。
「本とまちづくり」このブログを、まちが衰退する理由を、理論と主観で捉えようと試みた体験記にしたい。

 

続きはまたこんど!