20代夫婦が京丹後へ移住〜僕らが移住した理由・移住して思うこと〜
「京丹後に移住することにした」
2017年1月、友人カップルが結婚を機に京都の北端・京丹後へ移住を決めた。
日本海側にあり、京都市内へ出るより、城崎温泉や福井県に行く方が近い京丹後市。
これまで大阪市内で暮らし、ともにIT系の企業に勤めていた彼らがどうして移住することにしたのか?
私がこれまでに聞いたことがなかった、〝20代で移住〟を決めた2人に話を聞いた。
井上健吾(いのうえけんご):1990年、茨城県鹿嶋市生まれ。京都市内の大学を卒業後、新卒でシナジーマーケティングへ就職し、法人営業を主として3年半勤務。シナジーマーケティングを退職後、3か月間招徳酒造へ日本酒づくりを学びにいった後に、現在の梅本農場で働く。梅本農場では年間100~150種類の野菜を無農薬/無化学肥料で作っており、生産から出荷までの業務と栽培技術や自然循環型の農業を日々勉強している。
井上絵磨(いのうええま):1989年、山口県下関市生まれ。大阪府内の大学を卒業後、新卒でディップ株式会社へ入社し、人材紹介業に携わる。同社退社後、株式会社システナに入社し、エンジニアとして4年間勤務。2017年1月に大阪から京丹後へ移住し、現在は京丹後市内の まちづくり協働支援チームMOPPEN のスタッフとして、地域活性化のための企画等に携わっている。他に、個人でWebサイト制作などの仕事を受けている。
ー1月に移住してもう5ヶ月ほどが経つけれど、こっちでの暮らしはどうですか?
えま:雪が多く降った冬も終わって、お互い仕事と生活のペースも掴めてきて、快適に暮らしてるよ。
けんご:全然ストレス無く暮らすことができてるね。
ーそもそも、なぜ移住?
えま:最初から移住するつもりだったわけじゃないんだよね。はじまりは、おととし、付き合って半年くらいが経った頃に行った長野旅行で、けんごが言ったあの一言。
けんご:「俺、寿司握ろうかな」ってやつか(笑)長野の居酒屋で飲みながらふと話したやつ。
ー寿司!?(笑)
けんご:当時は営業として数字を追いかける毎日だったんだけど、あまりやりがいが感じられなくて。えまとは既に同棲状態だったから、2人で過ごす休日とか仕事終わりの飲みの予定だけを楽しみに過ごしてる自分がいたんだよね。そんな自分がなんか嫌で。自分の手で作ったものなら、もっと愛着を持って売ったり接したりすることができるのかもしれないと思ってた。そんなときに「週末すしスクール」の情報を見たんだよね。寿司職人の養成学校なんだけど。料理はずっと好きだったし、こういうのいいなあって思った。
えま:「いずれそういう学校に通うかもしれない」って言われて、はじめは「えー!!まじかー!!寿司、好きだけど、まじかー!!」って思った(笑)でも、こんな話聞くの始めてだったから、これをきっかけに将来の話とか理想の暮らしについて2人で考えたり話したりするようになったんだよね。
けんご:そのときは移住なんて頭に無かったから、週末の過ごし方を少しずつ変えてみようかなくらいにしか思ってなかったけど。
えま:旅行で行った長野は、自然豊かでお水もお野菜もお酒も美味しくて、のんびりしてて、こういう場所で暮らすっていいなあとは思ったかな。
えま:旅行が終わって帰ってきてからは、お互いに忙しい日々が続いたんだよね。一人暮らしのときは適当に作って適当に食べてたけど、2人で住むようになって、手作りのごはんを一緒に食べる時間っていいなあってすごく感じてた。けれど、その時間がなかなか持てないくらい、お互い忙しくなっていっちゃって。
けんご:ちょうどその頃、俺が隔週で福岡へ出張することが決まって、この生活が続くと2人でごはんを食べられる時間がすごく減っちゃうなと思った。
えま:一緒にごはんを食べるってささいなことだし特別なことじゃないのに、それさえも叶えるのが難しい状況にもどかしさを感じてて。この時間を大事にするためには生活を変える必要があるんじゃないのかな、その一つの選択肢に移住があるんじゃないかなってぼんやり考えるようになっていったんだよね。
けんご:そうそう。それで、たまたまFacebookページをフォローしてた京都移住計画の相談窓口が大阪でも開かれてるって知って、とりあえず情報だけもらってこようかって、すごく軽いノリで行ってみた。
えま:移住するとしても、友達が多く住んでる関西内がいいなあとはなんとなく思ってたから行ってみたんだけど、本当にそのときは具体的には考えてなくて、相談した後に記入したアンケートにも「2〜3年後に移住を検討」って項目にチェックを入れた。まさか1年後に移住することになるとは思ってもみなかったよね(笑)
けんご:うん(笑)とりあえず1年くらいはいろんな情報を集めてみてそれから考えようって思ってた。
ーそこから、どうやって具体的な移住を考えるようになったの?
えま:年が明けて2016年に入ってから、京都移住計画の方に「一度行ってみませんか?」ってお誘いされて、いろんな地域を訪ねてみたね。どこも景色が綺麗で水も美味しくて、理想としてる環境はあったんだけど、これといった決め手がなくて、具体的に移住をイメージすることはできなかった。たとえば、補助金が充実してる場所もあったし、そういったことも大事な要素の一つには違わないけど、「これがあるからそこに移住しよう」とはならないんだよね。そんなときに足を運んだ移住フェアのイベントで、京丹後市に移住した方のお話を聞く機会があって。「週末はどう過ごされてますか?」って質問したら、「めっちゃ飲み会してる!(笑)週末の方がイベントや飲み会で忙しくて充実してるよ!」って答えが返ってきて、もうなんか、田舎のイメージを覆された(笑)
けんご:俺らと同じようにイベントに参加してた人に、「この日空いてない?たくさんブリを食べられるパーティー開くからおいでよ!」って誘ってる人もいて、「こんなノリなの!?」って驚いたよね(笑)
えま:そのうち、私たちも「飲み会するからおいでよ」って誘われて(笑)、1月に初めて京丹後に行った。
ー京丹後ではどんなことをしたの?
えま:移住支援員の方が、京丹後に移住してきた方や地元の方を誘ってくれて、飲みながらいろいろお話させてもらったんだけど、それがとても楽しくて。意外と近い年代の方が多くて、「移住して友達できるかな?」「寂しくないかな?」ってどこか不安に感じてたことが吹っ飛んでいっちゃった(笑)
けんご:これまでは行政の方に地域を案内してもらって、制度の説明を受けて、、、みたいなことも多かったから、地域の人と交流できたことがすごく嬉しかったんだよね。それで、自分たちがここで生活するイメージが少し湧いた。
えま:飲み会の翌日、「せっかくだから農業体験していかない?」って連れて行ってもらったのが、今けんごが働いている梅本農場。ここでガッツリ心を掴まれた。
けんご:3年や5年の長い時間を掛けて立派な土を育てて、美味しいオーガニックの野菜を作っている梅本さんの考え方がすごく心に響いた。効率重視の働き方を要求されている日々と真逆の考え方というか、遠回りをすることがときにいいものを作るための一番の近道になることを教えてくれた。俺らも、そのとき働きながら感じていた疑問点とかをいろいろ梅本さんに話したんだけど、そしたら「今、この若さで違和感を持つことができてよかったね。」って声を掛けられて、涙腺が崩壊した(笑)
えま:わかってもらえた、認めてもらえたって思って。それがうれしくて、2人とも泣きながら車で大阪へ帰ったよね。けんご、涙で前が見えなくて運転が大変だったけど(笑)
けんご:若いうちは都会で働き続けることが正義ってイメージが世間一般的にあるから、移住することに対してどこか不安だったんだと思う。でも、そんな不安な気持ちを梅本さんに包み込んでもらえて自信を持てたし、自分たちの考えてることが間違いじゃないんだなって思えた。梅本さんの話しを聞いて、移住しようって心が決まったんだよね。
えま:うん。でも、勢いだけで行って失敗したくないとは思ってたから、もっと京丹後のことを知ろうとそれから月1のペースで通うようになった。京丹後ではたくさんイベントが開かれてるから、ボランティアスタッフとしてお手伝いしたり、飲み会に混ぜてもらったりしながら、とにかくいろんな人に会って、いろんな話を聞いて。毎回、梅本農場にも足を運んでた。
けんご:通えば通うほど「京丹後に住みたい!」って思いは強くなっていって、最初は7月頃から移住しようかなと思ってたよね。
えま:そうそう。ただ、移住するとなると「=結婚」になるわけで。身内で式は挙げたいって思いがあったのと、移住して数ヶ月間は生活が安定しないかもしれないから、その間の貯金はしておかないとねってことで、結局2017年から京丹後に行こうって決めた。
けんご:それで、えまは前職で年末まで働く一方で、俺は9月に会社を辞めて、そこから酒蔵で働くことにした。
えま:けんごが好きな「招徳」ってお酒を作ってる京都・伏見の酒蔵で、10月から短期のアルバイトを募集してたんだよね。見つけたときは、「けんごにぴったりの仕事!」って思った(笑)京丹後に行ってから、けんごが梅本農場で働くこともそのときには決まってたから、ものづくりをする意味では近い仕事じゃないかなと思って。
けんご:京丹後に来る前に招徳で働くことができたのはほんとに大きかったなあ。自分が好きなものを作る仕事はすごく楽しかった。チームメンバーみんなでいいものを作るために団結する感じがすごくよかったんだよね。農場に来る前に体力も付けられたし(笑)
ーえまさんは京丹後に移住してから仕事を探したんだよね?
えま:そうそう。私も梅本農場に惹かれたんだけど、けんごが農場で働くから、私は違う仕事をして別の知識やスキルを身に付けた方が、将来2人でできることの幅が広がるかなって思って。あとは、そもそも生活を変えたいと思って移住するんだから、まずは生活基盤をちゃんと整えてから働きたいなと思った。だから、移住してきて1ヶ月くらいは、引っ越しの荷解きをしたり、家事をしたり、近所の主婦の方が開いてるパン教室やお菓子作り教室に参加して地域や人との繋がりを作りながら、ゆったり過ごしてた。
ー仕事が見つかるか不安はなかった?
えま:移住前に京丹後へ通ってるときから、大工の見習いだったり魚屋さんだったりといろんなお仕事のお誘いをもらってたから、不安はなかったかな。むしろ、人と人との繋がりでお仕事を紹介してもらえるからこそ、どんな人が働いてる場所なのかを自分の目で見てから決めようと思ってた。だから、焦って決めなくてよかったかな。
ー京丹後に移住してきて、ギャップってあった?
けんご:移住前に月1で通ってたこともあって、大きなギャップは無かったね。
えま:想像以上に雪が降ったことくらいかな。今年は例年以上に雪が多かったみたい。でも、大阪にいたときは季節を感じることがあまりなくて、気付いたら1年が終わっていたから、自然に振り回されることさえも楽しかった。雪がひどい日は、外に出られない分、味噌を作ったり漬け物を漬けたりして過ごすんだよね。そうういう生活が新鮮で楽しかったなあ。
けんご:近くに温泉がたくさんあるから、寒い日ほど温泉に行って温まることが楽しみになるしね。あとは、やっぱり近所付き合いとかが濃いかなあ。採れた野菜や作ったカレーを持っていくと、お返しに何かをいただいたりして、それが日常。
えま:ギャップというか驚いたことは、やりたいことがすごいスピードで叶うこと。けんごはカレー作りが好きだから、「いつかイベントとかでカレーを振る舞えたらいいね」って言ってたんだけど、移住して3ヶ月で叶った。
けんご:リノベーションした空き家でカレーを振る舞う機会をもらったんだよね。「まほロバ」で日替わり店長をしてた話をしたら「ぜひやってよ!」って言われて(笑)当日も、早い段階で完売になるくらい、予想以上に多くの人に食べに来てもらえて、すごく嬉しかったなあ。
ー20代で移住をするって人、まだまだそんなに多くないかなって思うんだけど、移住するって決めたときに、周りの反応はどうだった?
えま:応援してくれる人が多かったかな。年上の先輩からは「そういう生活は憧れだったから羨ましいな」って言われたり。
けんご:身近な人や、俺のことをよく知ってくれてる人ほど「合ってそうだね」って言ってくれたかな。でも、京丹後に移住すると言うと「都会に疲れたから田舎に移住するんだ」って捉えられることが結構多かった。そういうわけではないんだけどね。移住するっていうとスローライフを送るイメージがあるかもしれないけど、実際は京丹後に来てからの方が仕事にイベントに地域行事の手伝いに飲み会にと日々忙しいし(笑)
えま:「もう少し後でもいいんじゃないの?」「なんで今なの?」って言われることはあったね。でも、今だから行きたいんだよね。体力のある今だからこそ、京丹後でやれることがたくさんあると思うから。私たちのやりたいことが京丹後にあっただけで、考え方としては、夢を追ってチャンスを求めて東京に行く人と変わらないと思うな。
ー今後京丹後で挑戦したいことは?
けんご:こっちに来て数ヶ月間、いろんな人とつながりを作ったりイベントに参加したりしてたけど、結局は農場での今の仕事をもっともっと頑張りたいって思いに着地した。野菜づくりは、奥が深くてすごく楽しいんだよね。まずはがっつり農業を学びたいかな。
えま:今、けんごと私は別々の仕事をしているけれど、それが将来交わっていけばいいなって思う。でもさっそく、私が手掛けるプロジェクトの食の部分でけんごに協力してもらう機会が生まれそうで、なんだかすぐに実現しそう。
けんご:やりたいことが叶うスピードが3倍くらい早い印象があるよね、こっちは(笑)
えま:うん。人と人との距離が近いからこそだよね。「やりたい」って言うと、「いいね、やろうよ!」「今度こんな機会があるよ」ってみんなが言ってくれるから。でも、やりたいと思うことが1つ叶ったら、またどんどん次のやりたいことが出てくるんだろうなって思う。
ー最後に、移住を考える方へメッセージをください!
えま:私たちが移住するときに実際もらったアドバイスでもあるんだけど、移住を考えるなら、まずいろんな土地を見て自分の理想に合う場所を探してほしいな。そして、ここって決めたら、その土地へ何度も通って、いいところも悪いところも知った上で移住するかどうかを決めてほしいって思う。いろんな当番が回ってくるとか、消防団に参加しないといけないとか、地域ならではのルールやしきたりもあるし、移住するってことはそういった役割を引き受けることでもあるから。そういったことを知らずに来ちゃって、ギャップを感じて帰ってしまうのが一番悲しいと思う。移住前に、地元の方やそこへ移住してきた方とつながって、いろんな情報を教えてもらうのが理想かな。
けんご:俺は移住が合っていたけど、合わない人もいる。環境を変えるっていっても、都会で転職する、地方都市でサラリーマンをする、地元にUターンする、海外に行く、とか選択肢は無限にあると思う。その中で何が自分に合うかを知るためには、とにかく情報収集。見て聞いて足を運んで、調べてみる。そうすると、自分に合う環境が徐々にわかってくると思う。あと、決断をするときに、世間体やプライドや周りの目が気になることもあるかもしれないけれど、自分が何を大切にしたいかを一番に考えて選んでほしいな。
■My note
※前置きしておく
今回のMy noteはなんだか長めです。徒然なるままに書いてます(笑)
↓↓↓
最近、大阪に飲み友達がいなくて退屈だ(笑)
その原因(笑)のひとつはきっと、ふたりが移住したからである。
けんちゃんは、前職の同期として出会った。
えまさんは、私が大学1年生のときに参加した梅酒大会のボランティアで出会った。遊ぶようになったのは、3年前くらいからかな。
気が付いたらふたりは付き合ってて(笑)、でもそれもとても自然だった。
それくらい、雰囲気や感性に近いものがあったんだと思う。
彼らと過ごした思い出は尽きない。
たくさん飲んだし、思えば奇妙奇天烈なこともいっぱいした。
日本酒飲み過ぎて酔いつぶれたり、
導入された駅メロを聞くために環状線を一周したり、
中津のディープな町を散策したり、
バンドを組んでライブに出たり、
うちの実家に来てもらってダムではしゃぎ、帰りにB級遊園地に寄ってまたはしゃいだり。
それぞれの「好き」や「面白い」の歯車が、
なんだかうまいことはまって、居心地が良くて、
彼らには楽しい思い出をいっぱい作ってもらった。
そんな彼らが気軽に会えない土地へ行ってしまったのは少し寂しい。
かと思ったけど、実はあんまり寂しさは無い。
ときどき、彼らがすっごく楽しそうに、働き、生活し、笑っている姿をSNSなどで見かけたり、報告してもらえたりするからだ。
5月、このインタビューをする目的も兼ねて京丹後を訪ねた。
優しい海とおいしいごはんと温かい人が集まっている京丹後はふたりそのまんまのような土地で、ふたりはすっかり京丹後の人になっていた。馴染みすぎていた(笑)
連れてってくれた温泉、田植え体験や農業体験、そして振る舞ってくれたご馳走、すべて最高だった。
笑顔で暮らすふたりを見て、とても安心したし嬉しかった。
自分たちの仕事に、生活に、お互いが大切にするものに、若いうちからちゃんと向き合って下した選択。
すごく、ふたりらしいと思った。
「おいしいごはんを食べられること・身の周りの人を幸せにすること」
ふたりは、ずーっと一緒に手を取って、これらを大事にしていくんだと思う。
ふたりが作る輪は、しあわせの輪だ。
元気でね。また遊びに行くね。
また、飲もうね。
カレーとパクチー焼きそばと生春巻き、気に入りすぎたのでまた作ってね(笑)
京都の占いスペース「占庭」は、気持ちの整理整頓を手伝ってくれる場所
みなさんは「占い」に どんなイメージをお持ちですか?
私は人生で一度だけ、占いに行ったことがあります。
黒や紫で覆われた少し不気味な空間の中で、生年月日から今や未来を見てもらったような…。占い師さんは優しくて、伝えられた言葉に納得はしたものの、あの雰囲気が得意ではなくて、それから占いには行っていませんでした。
そんな私ですが、「緑と星」のお二人に教えていただいた、京都の「占庭(うらにわ)」さんという占いスペースを知って驚きました。
占庭さんの雰囲気は、暗くて不気味でなんとなくドキドキする、私が持っていた占いのイメージとは真逆だったからです。
優しい色合いと可愛らしいネコちゃんの写真が印象的なHP。
トップページにはこのような言葉が書かれていました。
占いって悪いことを言われて落ち込みそう、とか、
何かモノを売りつけられるんじゃないかしら?とか、
興味はあるけれど見料が心配……など、
なかなか一歩が踏み出せなかったりしますよね。
こわい、、、、そんなイメージを抱いている方もあるようです。
占庭はちょっと気がかりなこと、誰かに相談したいこと、どっちにしようか迷っている、といった
大きな悩みではないことでも、気軽に気楽に話しに来られる場所でありたいのです。『占庭』 占い師 みゆき
ホッとさせてくれる、あったかーいメッセージ。
どんな方が、どんな思いで占いをされているんだろう。
気になって、占庭の占い師・みゆきさんにお話を伺いました。
ーHPもお部屋も可愛い雰囲気で、私がイメージしていた〝占いスペース〟ぽさがまったくなくてびっくりしました(笑)
暗い雰囲気が嫌でね。なんか恐いでしょ、おどろおどろしいというか。ああいった雰囲気が好きって人もいるけど、わたしはできるだけ明るくて普通のお部屋に遊びに来る気分で占いに来てもらえたらいいなと思っているので、あえてホームページも、わかりやすさ優先の普通のデザインで作ってもらったんです。そしたら、感性が合うというか、「あっ、ここいいかも」と感じた人だけが来てくれはったらお互いにとっていいでしょう。
ー占庭さんでは、どのような方法で占いをされるんですか?
まず、占ってほしいことをお客さんに聞いて、そのテーマについて生年月日・手相・タロットカード占いの3つで観させてもらってます。占いって、「命(めい)」「相(そう)」「卜(ぼく)」の3種類あるんです。「命」は生年月日で占うもの。一生の運の流れを掴んだり、今年の運気、持って生まれた性質や才、業などを占います。「相」は、手相や人相、家相など「見て」占うもの。相は、年齢を重ねることや考え方によって変化するものです。そして、「卜」は偶然性で占うもの。「たまたま出た」もので、直近の将来など、流動的なことを占うのに適していて、タロットはこれに含まれます。わたしは最初、生年月日と手相だけで占っていました。でもせっかくなら、卜の占術も身に付けて3つ組み合わせて占った方が、楽しいし、いろんな角度からお客さんにお話しできるなと思って、タロットも勉強しました。
ー現在では、タロット占い教室も開かれてるんですよね。
はい、希望者の方にマンツーマンで教えています。いつか占いを仕事にできればと思っている人から、タロットの意味を知りたいという方まで受講される方はさまざまです。なので、進度もその方に合わせます。ゆっくり習いたいという方には、タロットの読み方や意味に加えて、描かれている絵柄についても解説しています。それを知ったからタロットの読み方が変わってくるという訳ではないのですが、奥が深くておもしろいですよ。
ー今度、タロットを読み合うリーディング会も開催されるんですよね。
はい、イベントスペース「緑と星」でおこないます。マンツーマンのレッスンだとなかなかゲスト相手に読む機会ってないんですよね。上達するためには、ある程度の緊張感を持って数をこなすことが大事だと思うんです。いきなりお客さんを前にするのはハードルが高いので、タロットを習っている方同士で読み合うのはとてもいい経験になると思います。他の人の読み方を知ることもいい勉強になるでしょう。
ー占いは小さい頃からお好きだったんですか?
そうですね。小学校低学年の頃から、マンガ雑誌とかに載っている星占いのコーナーは必ず読んでました。親にねだって、占いの本を買ってもらったこともあります。
ー占い師さんのキャリアってどんな感じなのか想像がつかないので(笑)、みゆきさんがどんな人生を歩んでこられたのかを聞いてもいいですか?
高校卒業してすぐ占い師になって、、、といったキャリアではないですよ(笑)4歳から44歳まで、ずっと岡山県の倉敷市で生活していました。高校を卒業して就職した会社では、始業時間より1時間も早く出勤して煙草を喫う男性社員の灰皿の掃除をしたり、お茶汲みをしたり、頼まれた図面を焼いたりと仕事内容はとにかく男性社員の手伝い。それが全然おもしろくなくてね。「大学に行った同級生は今頃楽しく過ごしてるのかな」なんて思いを馳せながら日々を過ごしていました。
ー今ではあまり考えられないですが、当時は女性がそういった役割を一手に引き受けさせられていたのですね。
そうなんです。3年半で結婚退職しました。当時は転職なんて考えはまったく頭に浮かばなくて、結婚して辞めるしか円満な辞め方はないと思い込んでいました。退職して半年くらいして、「働いてみない?」と誘われた前職の関連会社で働き始めました。そこは、前勤めていた会社の福利厚生部門を担っている子会社だったのですが、男性のサポート役だったそれまでと違って、しっかり自分の仕事を与えてくれる環境でした。保養所の手続きとか、宿の手配とか、寮費の計算とか、親会社の偉い人の会食のセッティングとか、そういった1つひとつの仕事にすごくやりがいを感じられたんです。
人と関わっていく仕事は自分に合っているのかも、と気づいたのはその職場ででした。
そこで働いているときに妊娠が発覚したのですが、病気で流産してしまって、2年くらいは子どもを作れないっていう状況のときに、夫が浮気したんです。
ーえっ、、、!
夫は前職で一緒だった人で、浮気相手もその会社の人。ちなみに前職と、当時わたしが勤めていた会社は同じ敷地内にありました。だから、ややこしいし居づらいなあと思って、楽しかったけど仕事を辞めたんです。その後は、スーパーマーケットでPOPライターをしました。マジックや筆で、店内に飾る看板とか小さいポップを作る仕事だったのですが、これもとても楽しかったんですよ。
ーPOPライターというお仕事は初めて聞きました!そこからは長くそのお仕事を続けられていたんですか?
いえ、またいろいろありまして…。その間に夫とは一度離れて戻ってという感じで、また子どもを授かったんです。それでPOPライターのお仕事は一度辞めたのですが、妊娠8ヶ月になる頃に「好きな人と一緒になりたいから、やっぱり別れてくれ」って言われてしまって。結局、子どもが生まれてから別れました。それからは、身体を壊したり、会社が傾いたりしちゃったこともあってほんとにいろんなお仕事をしました。知り合いのお弁当屋さんを手伝ったり、当時倉敷にあったチボリ公園というテーマパークで働いたりしたこともあります。
ーなるほど。お子さんを育てながらずっと倉敷で働かれていたのですね。
そうです。倉敷を出るきっかけになったのは、子どもの大学受験でした。京都の大学に行くことになったんです。当時わたしは大阪に住んでる人(現在の夫)とお付き合いをしていたので、「それならわたしも」と、一足早く京都に行った息子を追いかけるように、11年前の6月に関西にやってきました。子どもが大学を卒業するまでは堅気の仕事をしないといけないと思って、大学事務員をしていたのですが、子どもが就職するのを機に「好きなことをやろう」と思って、占いのお仕事を始めました。
ーそれで今に至るのですね!占いはまったくされていなかったのですか?
ずっとやってはいたんです、倉敷にいた頃から。というのも、通っていたヨーガ教室の先生が、ある日「この前手相観てもらったらね、こんなこと言われたのよ」ってお話をされて。わたしは小さい頃からずっと本などで占いの勉強は続けていたので、先生の手相が気になって「ちょっと見せてもらってもいいですか?」って頼んだんです。そしたら「あら、みゆきちゃん、手相が見られるの?見てちょうだい!」って頼まれて、観て話をしたら喜んでくれはって。「あなたの占いはみんなを元気にする。だから、おやりなさい」って言っていただいたんです。それから、ヨーガ教室を一緒に受講してた生徒さんやそのお知り合いの方へと口コミで少しずつ広がっていったので、仕事終わりや休日にときどき占いをしていました。
ー趣味ではなくお仕事という形でされていたんですか?
最初は無料でと思っていたのですが、ヨーガの先生に「タダだとみんなが気を遣うから、安い金額でもお金はいただきなさい。」と言われて、500円から始めました。「お金を貰うからにはプロだからね。」と同時にプレッシャーもかけられましたが(笑)関西に来てからも、最初は職場で知り合った人と、そこからの紹介の人だけを観ていて。仕事を辞めてからは、占い師の派遣会社に登録して、いろんな商業施設やイベントで占いをしていました。今のような形態でお店を構えたのは6年前ですね。2011年の7月7日、最初は大宮中立売に占庭をオープンしました。
ー占い師の派遣会社があるんですね!スペースを作ろうと思ったのはどうしてだったんですか?
派遣されて占いをしてると、毎回行く場所も観るお客さんも変わるので、どうしても占いっぱなし・言いっぱなしになるでしょう。そのとき偶然わたしが観た人が、もし「もう1回あの人に占ってほしい」とか「この前の占いの後にあった出来事について話したい」って思ってくださっても、わたしのところへ訪ねられないんですよ。占いって、絶対にアフターケアが必要なものだから、同じ場所に同じ人間が座っていて、来たいと思ったお客さんがいつでもまた来れるような環境があることって大事だなと思ったんです。それで、今のスタイルになりました。
ー「アフターケア」とはどういうことですか?
お客さんの中には「あの占いの後ああなってこうなったんですよ」とか「自分は占いの結果を受けてこうしたんです」ってことを話しに来たい方も多いんです。そういった言葉を、占い師は責任を持って引き受ける役目がある気がしています、そのためにも場所が必要だなって。このように考えているので、ずっと1人で占庭を続けてます。占い師を複数人体制にしちゃうと、バラエティは広がるかもしれないけれど、「この前の占い師さんに観てもらえなかった」ってガッカリされてしまう可能性もあるでしょう。
ーなるほど。占いをリピートされる方が多いというのは知らなかったです。
毎年新たな星が巡り来て1年の運勢が変わるので、年に1回は来られる方が多いですね。
ーそうなんですね。ちなみに、「占いが当たらなかった!」なんて言いにくる方もときにはいそうな気がするのですが...
ありがたいことに、クレームは1回も無いんです。
100パー当たるわけないんですよ、占いなんて。全部当たったら怖いでしょ(笑)絶対当たる占いなんてないし、未来のこと全部だなんて神様でもわかりません。「なにもかもお見通しで、将来のことが透けて見えるわけじゃないですよ。そこは期待しないでくださいね」っていうわたしのスタンスが、お客さんに届いているんだと思います(笑)すごく恵まれています。
ーお客さんの客層はいかがですか?
女性が9割ですね。年齢は高校生から、一番年上で91歳の方まで観せてもらっています。中には、お母さん、お父さん、お子さんとご家族全員を観ている、なんてお家もありますよ(笑)以前は同志社大学のフリーペーパーに広告を載せてもらってたこともあって、大学生もよく来てくれていましたね。最近は減りましたが、本当はもっと大学生も観たいなあと思っています。
ー大学生を占いたいというのはどうしてですか?
大学生って、まだまだ関わる大人が少ないと思うんです。親、大学の先生、バイト先の社員さんや先輩くらい。しかも、みんな身内だったり結構知ってる人でしょう。近いからこそ相談できないことってあるじゃないですか。それゆえ、どうってことないことに煮詰まってしまったり、1人で抱え込んでしまったりすることが多いように感じるんです。そんなときに、わたしのようなフラットな立場にいる大人が発した一言が、意外と役立つことや少し気持ちを楽にさせてあげられることもあるんですね。学生が迷ってるときに、心の整理をお手伝いをする役割ができたらなって思っています。
ー大学生からはどんな悩み相談をされることが多いですか?
恋愛系の相談もそうですが、就活に悩んでの相談が多いですね。適職って何だろうとか、どこの会社がいいんやろうって、迷いますもんね。でも、仕事って実際やってみないと、自分に向いてるかどうかなんてわからないでしょう。企業イメージはあるとしても、どこに配属されてどんな仕事をするのかとか、そこにどんな人がいるのかは入ってみないとわからない。だから、縁のあるところに入って、ベストを尽くして、ダメやったらまた違う会社へ入り直す、でいいと思うんです。世間体とか親の意向とかをいろいろ背負いすぎて苦しくなってる子も多いので、話を聞いて、言葉を伝えて、少しでも背負ってる荷物を軽くしてあげられればなあと思ってます。
ー占いをする際に、お客さんにお願いすることってありますか?
「なるべくたくさん、あなたについての情報をください」ってことですね。占いって、多くの情報があればあるほど、良い答えを返すことができるんです。けれど、占いに慣れてない方は、自分のことをどこまで話していいのかがわからなくて、思ってることを半分くらいしかお話しになれないことがあります。そうすると、どうしても占いで返せる結果も中途半端になるんですよね。
ー不完全燃焼感は、お客さんも同じように感じられるんでしょうか。
そうみたいですね。不本意な顔をして帰られるお客さんもおられますから。でも、不思議なことに、そういった方がもう一度来てくれはったりするんです。そして、2回目は堰を切ったように話されます。だから、2回目はお互いスッキリと終われるんですよ。
ー占いをされるときやお客さんと接するときに、みゆきさんが気を付けてらっしゃることはありますか?
なるべく叱らない・脅さない・否定しないってことですね。占いに来て、見料支払って、ネガティブな気持ちや不安になって帰るなんて嫌でしょう?少しでもスッキリしたり、背負ってる荷物を置いて帰ってもらえればという気持ちがあるので、そのあたりは心掛けています。たとえお客さんの未来に困難が待ち受けていると見えても、「すべてが思い通りの人生なんてないから、うまくいかないときはこういう気持ちで乗り越えていきましょうね」と背中を撫でたり押したりする気持ちで励まします。
ー占いの効能は、ズバリどんなところだと思いますか?
自分の気持ちを整理整頓して、自分が「本当はこうしたかったんだ」とか「これは嫌だと思っていたんだ」ということを理解してすっきりできることですね。悩んでるときや迷ってるときは、頭の中や心の中が散らかってるんですよ。メリットもデメリットもぐちゃぐちゃになっちゃって。それを仕分けする作業を、占いを通じてお手伝いできればと思ってるんです。「今はこれを頑張る時期やから、集中してやりましょう」とか、「今年は評価を得られる年ではないから、あまり気を張りすぎず、遊びながらゆったりいきましょう」って伝えるだけで、お客さんは「頑張らなくっちゃ」とか「頑張りすぎるのはストップしよう」って思うことができる。そうすると「どうしよう」って混乱してる頃に比べれば肩の荷が降りている、という風になるんです。
整理整頓のお手伝いをして、その方がどうしたいのか、どうなりたいのか、何を希望していて何が嫌なのかがわかると、背負うべき荷物と、必要ではない、ここに置いていっていい荷物が分けられますよね。そのヒントを繰り出すのが占い師の仕事だと思っています。
ーお話を聞いていると、みゆきさんの占いってカウンセリングみたいだなって思いました。
「カウンセリングみたい」ってよく言われるんです。でも、全然違うんですよ。カウンセリングは、治療なんですよね。お話を聞いてもらって、薬が処方されたりして、辛いとか苦しいとか悩んでるって状態を治療していくもの。一方で、占いって、何も治らないんです。たとえば、八方塞がりでどうしようもなくなった方が占いに来ても、何かが改善されるわけではない。お店を出ても、状況は最悪なままなんです。でも、たとえばわたしが占って、「たしかに運気悪いですね。これだけ悪かったら、今の状況は仕方ないですよ!今はふんばる時ですね」って伝えるだけで、「運気悪いならしょうがないわ〜(笑)」って言いながら、なんだか納得してすっきりされて帰られる方もいらっしゃるんです。
ーなるほど。治すわけではないし、治そうともしていない。でも感じ方や捉え方が変わることで状況が違って見えるという感じでしょうか。おもしろいですね。占い師をしていて、楽しい瞬間ってどんなときですか?
やっぱり、知らない話を聞けることは楽しいですね。わたしは子どものときから、とにかく読書が大好きだったんですけど、それは知らない世界を垣間見られるからなんです。占い師は、いろんな職業、いろんな職場、いろんな恋愛、いろんな人生経験を直に聞けるでしょ。とってもおもしろいです。天職だなあと思っていますね。あとは、お客さんの中には、うち以外にもいろんな占いに行かれている方も多いので、他ではどんな占いをしているのかや、占い師にどんなことを言われたのかなどの話しを聞くことも楽しみにしています。
嬉しいことは、やっぱり一度観たお客さんがまた来てくださることですね。リピートしていただけることが嬉しいのはもちろん、就職で東京に行った子が、帰省したときに寄ってくれて近況報告をしてくれたりするとすごく嬉しいです。
ー最後に、ひとつ聞かせてください。占いにはいろんなお客さんが来られるので、ときにはネガティブなお話とか大変な苦労についてのお話を聞くこともあると思います。それを聞いていて、みゆきさんも疲れてしまうことがときにあるのかなと思うのですがどうでしょう?
お客さんのお話を受け止めて毎回しんどくなってたら、この仕事はできません(笑)わたしは、話を聞いて占いから言えることを伝えることしかできない。それ以上、助けてあげられる力も救ってあげられる力もありません。だからこそ、自分ができる占いを精一杯やって、あとは「あなたの力で頑張ってください」とお客さんの背中を少し押すくらいのことで。わたしは、わたしにできるお手伝いをするのみだと思っています。
【Profile】
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住所:
京都市中京区高倉通四条上る帯屋町573 豆英ビル2F
http://kyotouraniwa.web.fc2.com/07access.html
■My note
インタビュー中、印象に残ったことがあります。お話を伺っている中で、「日々占いの勉強はされ続けてるんですか?」と聞くと、みゆきさんはこのように答えてくれました。
「いろんな占いをひと通りかじってみて、一番打率がいいと思った占術を選んでいるので、新しいことに手は出しません。でも、占いのノウハウや知見を資料にまとめていってはいるんですよ。あと、お客さんのカルテは全部残しているので、定期的にカルテをまとめ直しています。まとめる中で規則とか新しいルールが見えてきたときはたまらなく面白いですよ。データを集めたり分析したりするのが好きなんです。」
そうしてみゆきさんが見せてくれたのは、パンパンに膨れたファイル数冊でした。分析をして新たなルールを導くなんて、なんて研究熱心!そして、すごく面白いなあとワクワクさせていただきました。
柔らかい笑顔と、優しく心強く寄り添ってくれる心の持ち主であるみゆきさん。最後に少し手相を観てくださったとき、
「あなた、先のことを心配しすぎて不安になってしまう傾向があるね。」
そう言われてドキッとしました。
私は、何事も最悪の状況を想定します。最悪を想定していると、そうならなかったら万々歳だし、なっても想定内だから。その考え方は、裏切られたり落胆したりした経験から自然と身に付いたものでした。そう説明するとみゆきさんは一言、このような言葉をくれました。
「でも、それって疲れない?そんなに心配しなくていいと思うよ。信じて裏切られたっていいじゃない。」
その言葉は、私の心をスッと軽くしてくれました。まるで、囚われた何かから解放されるように。
占いに、自分の心を整理したり、知らぬ間に背負い込んでいる荷物を見直したり少し降ろしたりできる役割があることを、私はみゆきさんから教わり、体感しました。
記事を読んで、何か心に留まる部分があった方へ。
「少しお話を聞いてもらおうかな」
ぜひ、それくらい気軽な気持ちで、一度占庭さんへ足を運んでみてください。
京都にできるイベントスペース「緑と星」 想いをカタチにする案内人のふたりへインタビュー
また会おう。
いつか、また一緒におもしろいことをしよう。
学生時代の仲間とそんな約束ができることは、それだけで幸福なことだと思う。
ましてや叶えられたら、どんなに素敵だろうか。
大学生のときに、MTGやイベントに何度かお邪魔させてもらった団体があった。
学生ヨル会議。「好きでつながるコミュニティメディア」であり、毎月「本」「食」など誰かが持ち寄った「好き」をテーマにしたイベントを開催している団体だった。
MTGに参加したときの感想や、イベントレポートなども、当時ブログに綴らせてもらった。
学生ヨル会議の主要メンバーだった、山川さんとすずちゃん。
2人には、それぞれインタビューさせてもらった。もう4年以上前のことだ。
そんな彼らに、またインタビューできることになった。
なんでも、ふたりはまた何か新しい企みをしているというのだ。
あの頃と変わらずキラキラとした瞳で迎えてくれたふたりに、お話を伺った。
ー久しぶりです!こうしてお仕事で再会できてうれしいです。また何かおもしろいことを企んでいるようで(笑)その話を聞きたいんですが、その前にふたりの今のお仕事について少し教えてください。
山川さん:僕は大学卒業後、京都で桝形学習教室という塾を開業しました。「国語、算数、理社、プログラミング」を掲げていて、まだまだ習い事としてハードルの高いプログラミングを、他の教科と同じくらい気軽に学んでもらえる機会を作ればという思いを持っています。
(※塾開業に至ったきっかけなどは、京都わかもん会議さんのインタビューに詳しく記載されています。)
すずちゃん:私は大学卒業後、東京の展示会・イベントの主催会社で働いていました。主には、子育てファミリーをターゲットにした「ママキッズフェスタ」というイベントの参加企業や来場してくれるファミリーを集めるお仕事でした。2016年11月に退職して京都に戻ってきて、今は株式会社ワンピースという、レディースのお洋服を楽天ショップなどの通販で販売している企業で働いています。
(※すずちゃんの退職から現在のお仕事までの物語はnoteに綴られています。)
すずちゃん:本社は加古川なのですが、私はリモート勤務で働いています。働くお母さんがメンバーにたくさんおり、1日5時間勤務、週3日勤務など、個人のスタイルで働けるよう、仕組みを整えている会社です。学生のキャリア支援事業も行おうとしていて、今後は大学でキャリアの授業をするプロジェクトに取り組んだり、新卒採用を担当したりします。
ーありがとうございます!では、自己紹介も終わったところで、ふたりの企みを聞かせてください(笑)
二人:はい!私たちは京都御所の南側、丸太町で物件を借りて、4月16日(日)にイベントスペース「緑と星」をオープンします!!
ーなんと!これまたどんな経緯から?
山川さん:それがですね、2月はじめのある日に、たまたまTwitterでフォローしていた方きっかけで、入居者募集中のすっごく素敵な物件を見つけてしまったんです。目の前が京都御所という最高の立地で、部屋の大きな窓からは御所の緑が見えるという最高のロケーションでした。それで、「これは、借りないとすぐに誰かに取られる」って思っちゃったんです(笑)
ーそれで、借りちゃったんですか(笑)?
山川さん:はい(笑)次の日には物件の外観を見に行って大家さんにコンタクトを取り、その翌日には内覧させていただいて契約書を書きに行きました。
ーもともとイベントスペースをやりたいと思って物件を探していたわけではなく、物件を決めたのが先だったんですね(笑)
山川さん:そうです(笑)でも、すずちゃんが京都に帰ってきていたので、「一緒におもしろいことができそうだ!」とは思っていて、この物件を見つけたときも速攻連絡しました。
すずちゃん:連絡をもらって物件の写真を見て、「確かにこれは借りるしかない!」と即答でした(笑)でもその時点では何をするか決めていなかったので、内覧の帰りに丸太町駅のマクドでビジネスモデルを考えました。
―イベントスペースをすることは、すぐに決まったんですか?
すずちゃん:ヨル会議をやってたときから、ふたりともとにかくイベントが好きだったので、いろんな人といっしょにイベントする場所にしたら最高やん!と、すぐ決まりました(笑)
山川さん:すずちゃんはイベント運営を行う会社に勤めていたし、僕は社会人になってからも個人的にちょこちょこイベントの主催を続けていたので、すんなり決まりましたね。
すずちゃん:あとは、借りるスペースが本当に素敵すぎるので、この場所をひとり占め、ふたり占めするのはもったいないなあ、たくさんの人に来てもらいたいなあという思いもありました。実際、問い合わせもたくさん来ていたようなので。
山川さん:ビジネスモデルを決めた後は、オーナーさんに事業モデルをプレゼンしに行きました。
すずちゃん:そのオーナーさんが、すっごく素敵な方で。もともとこのビルには、呉服屋さんや弁護士事務所が入っていたのですが、前のオーナーさんだった呉服屋さんがご高齢になったために今のオーナーさんに託されたんです。内覧させていただいたときに、「あれ?もしかして屋上があるんですか?」って聞いたら案内してくれて。「今は喫煙所くらいにしか使われていないけれど、ゆくゆくは屋上緑化して人が集まれるようにしたいんだよね」って話してくださって「なんて素敵!」って(笑)
山川さん:管理会社さんって、借りている側と業務的な関わりしかない場合も多いのに、ここのオーナーさんは本当に場所への愛を持っている方なんです。だから、僕たちも誠意を伝えようと、スペースを借りる前に、どういったことをやるのかについてきちんと説明させてもらいました。
ー今はオープンに向けて内装を決めたりしている段階ですか?
山川さん:はい。大学生でありながら工務店業をしている大木くんに手伝ってもらいつつ進めています。
山川さん:本当にがらんとした何も無い部屋で、クーラーとかも自分で取り付けるし、床も自分たちで敷くんですよ。壁も塗りますが、それは壁塗りイベントとして周りにも告知して、「緑と星」に興味を持ってくれている人に参加してもらいたいなって思ってます。
すずちゃん:床も、ひょんなことから、ポートランドから取り寄せることになりました。
ーポートランド!?
山川さん:ポートランドの空港に敷かれているカーペットが、すごく可愛いんです。写真映えするので、instagramにもたくさん載せられてたりするくらい。床に木材を敷こうかとかいろいろ考えたんですけど、何か特徴を作りたいなと思って、ポートランドからカーペットを取り寄せることにしました(笑)
photo by Adam Dachis
ー内装のコンセプトはあるんですか?
すずちゃん:いろんな人が使ってくれる場所なので、なるべく色の無いフラットな場所にしたいと思っています。京都のコワーキングスペースやレンタルスペースって、めちゃくちゃオシャレなところや町屋が多いイメージで。両方とも色がハッキリしているので、私たちはあまり色は出さずに、「ここでならなんでもできそうだなあ」と思ってもらえるスペースにしたいんですよね。
山川さん:僕らはイベントの回し方のノウハウを持っているし、イベントづくりのお手伝いをするのが好きなので、そういった面で力になれたらと思ってるんです。
ー「イベントをしたいんですけど、、、」って問い合わせると、ふたりがコンシェルジュ的に相談に乗ってくれる感じですか?
すずちゃん:そうです。イベントの会場探しって、結構大変なんです。条件を全部満たせるところがなかなか見つからなかったり、いいスペースは費用が高かったりして。
イベントをしようとしている人は、誰かを喜ばせたいとか何かを発信したいという思いで企画や準備をします。会場探しが上手くいかないと、その気持ちを邪魔してしまうなって思っていたんです。だから、私たちが相談に乗って、設備面で協力したり、アイデア出しを手伝ったりできればなと。スペースを借りたい人に、一番寄り添える場所にしたいんですよね。「緑の星」より他のスペースでやった方が要望を叶えられそうなら、そっちを紹介してあげたいな、と。
ー「緑と星」という名前はどのように考えたんですか?
山川さん:実はオーナーさんへのプレゼンのときにはまだ名前が決まってなかったんです。
すずちゃん:御所南という場所にあるのと、部屋から御所の緑が見えるのとで、「御所緑オフィス」という名前にしようかと言っていました。
山川さん:でもなんか硬いなあ、うーんって思っていたんです。あるとき、部屋からは緑が見えるし屋上からは星が見えるんだから、そこから取って「緑と星」っていいな!と思って決めました。実はもうロゴも作ってるんですよ。このロゴ、見覚えありませんか?
ーん?ピンときませんね(笑)なんでしょう?
山川さん:実は、京都三条烏丸ビルのスターバックスで打ち合わせをしている時に、たまたま見つけた「スターバックス リザーブ®」のロゴを見てひらめいたんです。「上が屋上の星で、下がスペースから見える緑を表すことができる!」って思って。決めるまで、ほんの数秒でした(笑)
すずちゃん:私たちは、そこまでこだわりがないんですよ。直感でいいなと思ったものに決めて、あとからそれを愛していくことの方が重要なんです。
山川さん:そうそう。飽きたり、もっといいなと思うものが出てきたら、そのときまた変えたらいいんだよね。
ー素敵です!だからこそ、何ごとも怒濤の速さで決められるんだと思います!「緑と星」では、どんな風にスペースを貸していくんですか?
すずちゃん:イベントはもちろんですが、定期的に教室や講座もやってもらえたらと思っています。たとえば、ヨガ教室の先生から「緑と星」でやってみたいとお話をもらっています。もともと私たちがよく通っていたBENCH&MUGというカフェの常連さんで、この話があったときにオーナーのカホリさんから紹介してもらいました。これから教室をはじめようと準備中なんですが、私たちが広報など協力しますよ、とお伝えすると「挑戦してみたい!」と。小学校も近くにあるので、親子で楽しめるヨガ教室にしていく予定です。週に何回かの教室のために物件を借りるのはなかなか大変だと思うので、そういう方に使ってもらえればと思っています。
山川さん:平日はヨガとか塾とか、タイプはなんでもいいんですけど固定で借りる方で埋まるかなと思います。土日はイベントに使ってもらいたいですね。20〜25人は収容できるので。
すずちゃん:展示にも使ってほしいですね。ギャラリーのみの場所に比べて毎日いろんな人が出入りする空間なので、雰囲気にそこまでこだわりがなければ、写真や絵を展示してもらえれば自然と多くの人に見てもらえると思います。
ーその他、「緑と星」に関して構想していることはありますか?
山川さん:ヨル会議のときもやっていたのですが、主催者の方が望めば、イベントをリアルタイムで中継したいですね。リアルに話せるイベントの空間と同じくらい、広く発信することも大切だと思っているので。リアルにいる参加者も同時中継されることで場所が拡大しているイメージを持てて、新しい面白さを感じてくれると思うんですよ。
すずちゃん:知り合い同士や専門家同士で話していることを違う立場の人が見ることによって、新しいアイデアが生まれたり課題が解決されることがあると思うんです。そのためには現場が中継されていることが大事で。もちろん、用事が入ったり遠方に住んでいたりして、イベントに行けない人にも喜ばれるでしょうし。たとえ内容がオープンにされていても、やっぱり会って顔を見て話すことや、ワークショップに参加することの価値は変わらないので、イベントは参加費をもらう形で企画してもらえると思っています。むしろオープンに配信していくことで、「緑と星」に興味を持って足を運んでくれる人が増えると思います。
山川さん:あとは、チャリを置こうとしてます。緑号と星号の2台(笑)
すずちゃん:目の前が御所、少し東に行けば鴨川という最高の場所なので、ぜひ県外からもたくさんの人に来てもらいたいなと思っています。「緑と星」にイベントをしに来たり、参加したりした後に京都を回ってほしいなと。私は京都出身なので、東京に住んでいたときは、「京都旅行のときはどこを観光したらいい?」「何が有名?」「お土産は何がおすすめ?」とよく聞かれてたんです。でも、本当は一緒に京都を回って案内したかった。
山川さん:京都って、移動が楽しいんだよね。
すずちゃん:そう、歩いたり自転車に乗ったりして移動しているときに、町並みを見たり、ふと通りにお寺が表れたりするのが楽しい。こういうのって、体験してもらうしかないなと思っていて。それに、イベントをするときって急な買い出しとかが発生することも多いから、チャリの需要があるんですよね。
ー今回は「緑と星」のスペース運営のためにクラウドファンディングもしてるんですね。
すずちゃん:そうなんです。クラウドファンディングというしくみは知っていましたが、これまでは「自分がやりたいことに対して寄付してもらうもの」というイメージを持っていました。この前、CAMPFIREで「新しいカタチの本屋・ちいさな絵本屋を全国で出店したい!」というプロジェクトをたまたま見かけたときに、募集をしている秋葉さんが「平日の仕事で得たお金を投入すれば簡単に解決します。でも、ちいさな絵本屋のことを『面白い』と思ってくれた人たちを巻き込んで一緒に盛り上げていけたらもっと楽しいし、クラウドファンディングで全国の人にアプローチして、各地のイベントに呼んでもらえたら、まさに願ったり叶ったり。これを使わない手はありません。」と発信されていました。
※引用元:
すずちゃん:その言葉を聞いて、「緑と星」が目指していることにもぴったりあてはまるしくみだと気付いて、今回使ってみることにしました。クラウドファンディングで支援された方は、きっと「緑と星」の使い方を真剣に考えてくれるだろうし、スペースに来てくれると思うんです。もちろん、スペースに対する要望も大歓迎です。
山川さん:「いいソファ置いてほしい」とか、「照明これがいいんじゃないの?」とか、どんどん提案してほしいですね。
ー山川さんとすずちゃんはそれぞれ本業をしながら「緑と星」を運営していくんですよね?
山川さん:そうです。すでに人手不足なので手伝ってくれる方募集中です!(笑)
すずちゃん:思いに共感してくれる大学生などに声を掛けていっています。
山川さん:ちなみに、5月には法人化しようと思っています。会社名は「たのしくよろしく」です!
ー「たのしくよろしく」!一度聞いたら忘れられないです(笑)
山川さん:一緒にやっていく人に「たのしくよろしく」って言いたいんですよね。「会社名にしたら、毎回言えるやん!」って思いまして(笑)
すずちゃん:学生時代にイベントをしていたときは、「たのしく」だけだったんです。ヨル会議にテーマを持ち寄ってイベントを主催してくれた人に、対価が払えるわけでもなかったので。でも、やっとそれができるようになるので、「よろしく」を付けました(笑)
山川さん:でも、「たのしく」が大前提ですよ!最近ビジネスライクだけなのは嫌です(笑)嬉しくなって、名刺も作りました。「Well begun is half done. はじめたらなんとかなるよ」ほぼ日手帳から拝借させてもらった、このキャッチコピーが全てです。
ー「たのしくよろしく」って、なんだかふたりにピッタリですね!(笑)そんなおふたりは、緑と星がどんなスペースになったらいいなと思っていますか?
すずちゃん:「やりたいことがある人に向けて、場所のメリットを発信しているだけ」では、イベントスペースはうまく回らないと思っています。やりたいことがあって、まして、やりたいことのために場所を探す人って、すっごく限られた数の人たちだけだと思うんです。
ーたしかに、やりたいことなんてないって人もたくさんいますよね。
すずちゃん:大学時代、日替わり店長の店 魔法にかかったロバを運営していたときに、来店してくれたお客さんと話す機会がたくさんありました。おしゃべりしていると、お客さんの口から、やりたいことや興味があることがぽろっとこぼれる瞬間があるんです。当時はこぼれた瞬間に「それ、来月まほロバでやりましょう!」って誘っていたんですが(笑)、そういった経験から、どんな人もこんなことやってみたいな、こんなのがあったらいいなというアイデアを潜在的に持っているんだって思っています。だから私たちは、やりたいことを一緒に見つけるところからお手伝いしていきたいです。
山川さん:会いに来てさえくれれば、「たのしくよろしく」しますから(笑)
すずちゃん:本当にそう!(笑) 私たちの友人にタナカユウヤさん(Twitterアカウントはこちら)という方がいるんですが、彼は「全人類田中計画」という構想を持っているそうで。「田中さん」は名字ランキング4位ですが、「もしみんなが田中さんと結婚したり、田中姓に改名したら全人類田中になりえるじゃないか!」という構想らしいです。それを聞いていて、思ったんです。あれ?「緑と星」のターゲットも全人類じゃない?って(笑)
山川さん:ちょっと大げさなこと言い過ぎてない?(笑)
すずちゃん:私たちのターゲットは、「緑と星」でイベントをしたい人、イベントスペースを探している人、やりたいことがある人、やりたいことがすぐには浮かばないけれど言葉にできていないだけで心の中に持っている人の4つでしょう。4番目は人類みんなにあてはまるから、ほら、やっぱりターゲットは全人類だよ!(笑)
山川さん:確かにそうかもしれない(笑)
ー(笑)山川さんも認められましたね。ターゲットは全人類って、最高です!
すずちゃん:あと、「緑と星」は、部屋から見える御所の緑と屋上から見える星から取った名前ですが、実はもうひとつ由来があるんです。「”星”の数ほどあるアイデアを形にして、”緑”が見えるこの場所で一緒に夢を叶えましょう」っていうのが(笑)。
山川さん:夢を叶えるっていうと大層なことに聞こるけど、そうじゃなくて、「『緑と星』に来れば、夢とかやりたいことをライトに、簡単に、叶えられるんだ」って思ってもらえるような場所になればいいなと思っています。
すずちゃん:今年の私たちのテーマは、「回収」なんです。
山川さん:今までやってきたことを全部回収してるんですよ。学生時代にいろいろやっていたのに、就職でそれが途切れてしまうことって多いじゃないですか。それはある程度は仕方のないことだけど、もったいないなと思ってたんです。どこかで絶対に、頑張った自分の過去を回収しないとって。そのタイミングが、今みたいです。
二人:回収しにいきますので、”たのしくよろしく”お願いします(笑)
■My note
ふたりの話を聞いていると、とてもわくわくした気持ちになってくる。
それはなぜだろうと思うけど、答えはすぐにわかった。
嘘がないから。
まっすぐだから。
それはもちろんだ。
でも何より、しなやかなんだ、ふたりは。
心からたくさん想いはこぼれるけれど、
その想いを押し付けたり、押し通したりすることはない。
広い川へ放流して、別の想いと結びつく様を微笑みながら観察するかのように、
柔軟でしなかやかなのだ。
そんなふたりが始める「緑と星」という新しい場所。
「イベントをしたい!」というときはもちろんだが、
アイデアが浮かびそうで浮かばないとき、
もっと漠然となんだかモヤモヤしているとき、
とりあえずふたりに話を聞いてみてもらうのは、すごくいいんじゃないかな。
おそらく、話し始めてすぐに、なんだか温かくてわくわくする気持ちになってしまうから。
これから、「緑と星」で生まれる無数の物語が楽しみでしかたない。
【About you】♯105 RIA
■ Basic data
名前:RIA(29歳女性)
運営サイト:Girls Real Hack|女子に役立つリアル情報ブログ
■ Interview
―今日はインタビューの機会をいただきありがとうございます。よろしくお願いします。まず、改めて運営されているブログのことについて教えてください。
よろしくお願いします。運営している「Girls Real Hack」は、「女子に役立つリアル情報ブログ」というコンセプトを持って2014年8月から始めました。毎月1~3記事ずつくらい更新しています。
―もう始められて2年になるんですね。RIAさんは別に本業をお持ちだと思うのですが、どんなきっかけからこのブログを始められたのですか?
ちょうどこのブログを始めた当時、私は事務の仕事をしていたんですが、不満が色々溜まっていたんです。事務って、制限時間内に正確な処理を求められる仕事なので、なかなか自分を表現できる機会もなくて、つまらなかったんです。その分アフター5を楽しめたらよかったのですが、残業も多くて、「人生しょーもない」って思ってました(笑)もちろん、事務職を否定してるわけではなくて私に合わなかっただけなんですけどね。
そんな荒れていた時に手に取った本に、「子どものときに好きだったものに目を向けてみよう」とアドバイスが書いてあったんです。そのアドバイスに従って考えてみると、昔から書くことが好きだったなあって思い出して、いきなり仕事にするのは難しいから、まずはプライベートで表現してみようとブログを始めました。そのとき手に取った「ブログ飯」という本に、「ブログのテーマを考えるべき」と書かれていたんです。確かに雑記にしちゃうのももったいないから何かテーマを持ちたいなと思って、「女子に役立つ情報・女子向けのライフハック記事」を発信していこうと決めました。そのときは今ほどMERYのような女子向けのメディアも流行っていなかったので、自分が発信する価値があると思ったことも理由です。
―ターゲットを女子にしたのはどうしてですか。
自分がいろいろとこじらせていたことが関係しているんです(笑)たとえば、私が当時していた事務の仕事を選んだのも「女子だから」だったんですよね。ちょうどいいかなって思って。出版業界や大手企業の総合職に憧れもありました。けれど、「仕事漬けの日々になりそう。なんだか可愛げもないし、バリバリ働くと今以上にモテないんじゃない私?」って思っちゃったんですよね。これは、もし自分が男性だったら持たなかった考えだと思います。それで結局、ほどほどにモテそうな事務の仕事を選んだんです。そこに対する後悔や罪悪感はありました。でもそれ以上に「女性は男性と同じように頑張っても成功できるわけじゃない」って思いが強かったんです。たとえ出世を勝ち取れて仕事で成功したとしても、幸せな恋愛や結婚といった女性としての成功には繋がらないんじゃないかという気がしていて。そこに気付いたときはすごく悔しかったし、もっと若い頃に知っておいたらよかったなと思いました。
だからこそ、男性と同じような頑張り方をするだけじゃなく、女性ならではの頑張り方や処世術があるよってことを下の世代に伝えたいと思ったんです。
―そうなんですね。たしかに「女性は男性と同じような頑張り方をするだけじゃいけない」的な考えは、私も共感出来る部分があります。
ありがとうございます。他には、学歴コンプレックスがあったのも関係しています。高校のときは「いい大学に行った方が、頭の良い男性や友人に出会えるのでは」と思って勉強を頑張った結果、偏差値がそこそこ高い大学に受かったんです。でも、いざ入ってみると大学をまたいで入れるサークルがたくさんあるので、周りの男子たちはみんな別の大学の可愛らしい女子と付き合っていくんです。その女子たちは、高校時代勉強はそこそこに、オシャレや恋愛を楽しみ、女子として自分を磨いて来た子たちだったんです。それに、自分の学歴を伝えて「あ、ちょっと引かれたな」って感じたこともありました。
男子なら、勉強ができれば「いい大学に行っていい企業に入って出世してモテて美人の奥さんをもらう」みたいなリターンがある可能性ってわりと高いけれど、女子はちょっと違って、もともとの足りないものを勉強では補えないのではないかなって思ったんですよね。
そういった疑問や不満や怒りなんかも、ブログを書く原動力になっています。
―ちなみに、RIAさんは匿名で発信されていますが、それはなぜですか?
このブログのテーマは、私のコンプレックスから生まれたものなので、実名で発信するのが恥ずかしかったんです。昔からわりとしっかりしたお姉さんキャラに見られることも多かったので、余計に「そんな一面あったんだ!」って友達に知られるのがなんだか気恥ずかしくて。中学の時も「タイタニック」が大好きでレオナルド・ディカプリオの大ファンだったんですけど、友達に話して「えー!意外!」なんて言われたら嫌だなあと思って秘密にしてたりと、昔から自分の考えを伝えることに苦手意識はあったかもしれません。友達は何も気にしないかもしれないから、ただの自意識過剰なんですけどね(笑)
それに、実名だとそういった恥ずかしさもあいまって、コンプレックスを根本からさらけ出せなかったりするので、本当に届けたい人には届かなくなる中途半端な記事になると思ったんです。だから、本音をさらけ出せるように、匿名にしました。友人にもこのブログのことは教えていません。
―「女子向け」ということは、メインターゲットは10代後半~20代前半の女性でしょうか?
自分がもっと早くに知っておけばよかったなあ、と思う内容をよく書いているので、高校生向けに書いている記事も結構多いです。一番読まれている記事も、実は「ぼっち」の学生に向けて書いた記事なんです。
私自身が、高校生のときにクラスでぼっちだったんです。当時は結構辛かったんですが、「こういう風に考えられてたら少し楽になっていたかも」と思うことがいろいろあったので、まとめてみました。
ぼっちへの対処方法を書いた記事は世の中他にもありますが、多いのは「頼れる人に相談しよう」的な解決方法なんです。でも、「いやいや、それができないからぼっちなのよ」って思ってて。実際、ぼっちの子で家庭もうまくいってない子もたくさんいます。
だからこそ、「自分ひとりで無理なくできること」まで落とし込めた対処法だけを書いています。これは、この記事に限らずブログ全体で意識してるんですけどね。だから、ブログ名に「Real」と付けているんです。
―確かに、拝見していると「可愛い小物で気分を上げる」「ラジオを聴く」など具体的に試せることばかりでいいですね。読者の方は、検索でこの記事にたどり着くのですか?
そうですね、検索経由が多いです。困っている方が悩んでいることで検索したときにピッタリの記事を見つけてこのブログへたどり着いてくれればいいな、とはずっと思っているので、キーワードプランナーでそれぞれのキーワードの検索数を調べて、それを参考にしてタイトルを考えています。調べていてわかったのですが、悩みを持った人はネガティブなワードで検索している場合が多いんですよ。たとえばクラスで一人になってしまい悩んでいる子は「ぼっち 原因」で、彼氏ができなくて悩んでいる女性は「彼氏 できない 理由」で検索するんです。不思議と「彼氏 見つける 方法」のようなワードでの検索数は少ないんですよね。
でも、理由を知ってどうなるものでもないし、「自分に原因がある」「今の自分のままではいけないから直さないと」っていう考え方って結構危うい気がするんです。ぼっちも、彼氏ができない女性も、本当はその人にふさわしい場所や相手に出会えていないだけで、少し世界を広げれば解決できたり、悩むことじゃないって気付けたりするのに。だからこそ私のブログは、訪れてもらうきっかけは「ネガティブキーワードで検索して見つけた」でいいけれど、ブログを読み終わった頃には少しでもその人の心が軽くなって前向きな一歩が踏み出せるような状態になってくれたらいいなあ、と思いながら書いていますね。
―本業の方では、2016年1月に事務職からWebディレクターに転職されたと聞きました。それはどういったきっかけからだったんですか?
実は、きっかけとなったのは映画「アナと雪の女王」を観たことなんです。氷のパワーを持っていながら、それを見せてしまうと嫌われるからと身を潜めて生きていたエルサが、お城を飛び出して解放され、雪道を歩きながら「Let it go」を歌うシーンにとても感化されました。今まで自分は、それこそ先ほどもお話ししたとおり、「女子は女子らしくバランスを取りながら自分をうまく見せていくべき」だと思っていたんですが、自由にありのまま生きるエルサの姿を見て、「私は擦れてたんじゃないかな?」「『バランスを取ればうまくいく』と思っていたけれど、そもそも『うまくいく』ってなんだろう?」「今の社会に合わせただけの一般的な幸せに意味があるのだろうか?」「当たり触りなくやっていって本当に掴めるものなんだろうか?」なんて色々と考えたんです。それ以降、「失敗してもいいから、やりたいことをやろう」って初めて思うことができました。
そこからもう一度自分が何をやりたいのか問い直して、人に伝えたり発信していくことだと気付き、文章以外の伝達方法を増やすためにもとWebデザイナーのスクールに通い始めました。今までの自分なら「学んでどう活かせるんだろう?」などといろいろ考えてしまい踏ん切りが付かなかったかもしれませんが、アナ雪を観た後は素直に「興味があるから飛び込んでみよう」と思うことができました。
スクールで学んだ後、Web制作会社へ転職しました。面接の時に「異業種からなぜWebの世界へ?」と聞かれたときも、ブログのことも含めて、自分のことを「言い過ぎかな?」と思うくらいさらけ出して話していましました。面接の後は「余計なことまで言っちゃったし、これは落ちるに違いない。まあ、記念受験だな。」って思ってたんですけど、内定をいただけて。自分のことをさらけ出して受け入れてもらえたことは今までに無い経験だったので、本当に嬉しかったです。
―前職とはまったくの異業種になりますが、Web業界で働いてみてどうですか?
とても自分に合っているなと思います。この前少し驚いたことがありまして、Web業界は勉強会なんかも多く私もときどき参加するのですが、そうした会の中でLightning Talk(LT)という場があるんです。制限時間5分以内でスピーカーがプレゼンを行うのですが、この前のイベントでは若い女の子がLTで堂々とプレゼンしていたんです。Webデザイナーとしての実績も豊富で、かつとても心動かされる話し方をされる方でした。すると、会の後の懇親会でその子のところには長蛇の列が出来ていたんです!しかも、明らかに彼女より年上の男性が、彼女に技術について教えを請うていました。
前職では、前に出てスピーチをするようなタイプのしっかりした女性は「女性なのに可愛げが無い」と周りからからかわれたりするほど、まだまだ男尊女卑の風潮が残っていました。
だからこそ、年齢性別問わず優秀な人に敬意を表する文化があるWebの世界に感動したんですよね。すごく平等な世界だなって。だから、働く時間が前職より多くても、多少「ブラック」だと周りから言われようと気にならないし、私は今の仕事やWebの世界が大好きです。
―最後に、今後構想されていることがあれば教えてください。
読者の方を集めた、リアルな場づくりに興味があります。と言っても、集まってお茶を飲んでまったり話すくらいのゆるい場です。会って話さないと相談に乗ってあげられない部分も多いですし、遠からず近からずの存在の聞き役になって、何かしら悩める女子のお役に立てればなと思いますね。
■My note
Girls Real Hack。
サイト名だけ聞いて、女の子の可愛い生き方を指南したメディアなのかな?と思っていました。けれど、予想は裏切られました。記事をはじめて読ませていただいてびっくり。女の子のための人生指南的なメッセージがいっぱい詰まっていて、いい意味で、とても人間くさくて、「あー!これはリアルな生の言葉だから響くんだなあ」と感じました。
それもそのはず、ブログを運営しているRIAさんは、本当に自分の感情にいつも向き合い続けて言葉を紡いでいる方だったからです。その感情の中には、怒りだったり焦りだったり疑問だったり違和感だったりがたくさんあって、見てみぬフリをしてうまくいきていく方がラクなのに、RIAさんはそこから目を離しません。じーっと見つめて、でも吐き散らかさず、自分の中で昇華して伝えるための言葉に変えているんです。
経験があるから共感ができる。まっすぐな言葉だから心に届く。
RIAさんは、それがわかっているから、目の前の感情から逃げないのだと思いました。
ただの迷える雑記でしかない
細々とだけど、ここで雑記を週2くらいのペースで更新していて、何より嬉しいのは読んでくれている人たちがいるってこと。
私の友人もいれば、たまたま何かのきっかけで見つけてくれた人もいると思うけれど、私が自分の部屋で打ち込んで世に放った文章が今誰かの目に映っていること、その人がこの文章を読んでもいいな、と流し読みなどでも目を通してくれていることが、とってもありがたいことだなあと久々に実感している。
以前インタビュー記事をアメブロでバリバリ更新していたときは、PVも今も何倍もあって、もらえる反応も多くて、シェアもよくされて、それはそれでうれしかった。
でも、自分のブログの方向性を迷ってる今は、こんな個人の取るに足らないつぶやきしか載っていないのに読んでくれる人がいて、いやほんと読んでくれてありがとうございます、という気持ちがじわじわと湧いてくる。
自分の雑記。
筆が進むこと、書きたいもの。
読んでもらうために需要のあるテーマ。
検索を意識したタイトル付けや構成。
ブログ全体としての統一感。
考えていても、これらがぐるぐると頭の中でまとまらず、あんまり自分がこのブログをどうしたらいいのかの答えが出なくて、今こいつは宙ぶらりんになっている笑
ブログ運営者としても、曲がりなりにも職業人ライターとしてもこれじゃあよくないんだけどね。
別に商業目的でするつもりはないから、巷で流行ってるLINE BLOGで多いように、完全プライベートだよ!と言い切ってしまってもいいんだれど。
正直、まだよくわからないんだ。
昔のブログを見ても、私はいつだって悩んでるから、たぶんこの先どんなときも悩みつつ、でも手探りで歩みを進めていくのだと思う。
あっ、過去のブログはこれです。
最初の方の記事とか、テンション高すぎて若すぎて黒歴史に近いけれど、たまに見返すと元気ももらえたりする。
26歳になっても、独立しても、まだまだ悩みばかりで。
自分の年齢に焦り、過去を羨むこともあるし、才能溢れる若い子たちが眩しくて直視できなかったりもする。
でも、バカかと。
おめえはバカかと。
自分に言ってやりたい。
「人生で1番若いのが今だ」なんて綺麗な言葉でまとめられやしないけれど、今までの人生の蓄積が今の自分なんだしそれがあってこそ今の自分が感じ考えることがあるんだ、良くも悪くも。だからまずはそれを認めた上で、そこに縛られんなと。
それに、26年間は四半世紀だしたいそうな時間だしハタチや学生の頃の特権なんてもはや存在しないけれど、だからって卑屈に思わなくていいし、今まで自分が積み上げてきたものや周りに認められてきたことだけにこだわらなくて縛られなくていいんだと。自分を規定するなと。
言ってやりたいね。
締め括りが岡本太郎チックになってしまった。
※「自分の中に毒を持て」という彼の著書をご参照ください
雨の日に聞きたい歌たち(5曲)
昨日一昨日は随分と雨が降っていた。
結構前からだけど、いつからか、雨の日が好きになっていた。
傘に降り注ぐ雨音や、窓に打ち付ける雨音がとても心地よいからかもしれない。
雨の日は、雨にまつわる歌を聞きたくなる。
いや、本当は天気なんて関係なく毎日のように聞いていたりするんだけど、雨の日に聞くと余計風情を増す歌ってある。
完全な独断と偏見で特に好きな歌を選んでみた。
1.Rain/秦基博
言の葉の庭 Rain / 秦基博(Motohiro Hata) MAD/AMV
ご存知、新海誠監督の作品「言の葉の庭」のエンディングテーマ曲。
映画自体も雨にまつわるロマンチックなストーリーで、かつ雨の日の描写がとても美しいから、ぜひ雨の日の夜に鑑賞することをおすすめする。
どしゃぶりでもかまわないと
ずぶぬれでもかまわないと
しぶきあげるきみが消えてく
2.ウェザーリポート/BUMP OF CHICKEN
残念ながら適当な動画が見つからなかったのだけど、
中高時代の私を支えてくれた音楽のひとつ・BUMPの歌です。
あなたの その笑顔が 誰かの心を許すなら
せめて傘の内側は あなたを許して どうか見せて欲しい
雨や傘と登場人物の表情・性格をうまくリンクさせた歌詞も心を打つ、
アップテンポなのにどこか切なさと強さを含んだ曲。
3.Rainning/Cocco
真っすぐに伸びやかに響いてくるCoccoの歌声が美しい歌。
彼女が歌う絶望の後ろには、いつも願いや希望がある。
それは とても晴れた日で
未来なんて いらないと想ってた
私は無力で 言葉を選べずに
帰り道のにおいだけ 優しかった
生きていける そんな気がしていた
4.君は雨/大橋トリオ
Ohashi Trio (大橋トリオ) - 君は雨 (너는 비)
彼の歌にどれだけ救われてきただろうか。
別れの曲だけど、彼が歌うと爽やかで美しい思い出に変わる。
何故季節は僕らを残して 過ぎ去ってしまうのかな
今降り始めた雨がそっと 僕の胸の君を連れていった
真冬の空の中に
5.濡れない雨/中納良恵
EGO WRAPPIN'のボーカルよっちゃんがソロで出してる歌。
でも「よっちゃーん!!!」と気軽に叫べない、中納良恵の世界観が現れてる。
このPVが好きすぎて。
濡れないこの雨に 打たれて打たれて
胸のすき間濡らす 帰り道 夜の中
濡れないこの雨に 打たれて打たれて
君が生きている それだけで それだけで
週間天気予報を見ると、大阪は向こう1週間くもりもしくは晴れのようだ。
少し、雨の日が待ち遠しい。
11月のある夜のつぶやき。
会社を辞めてから、曜日感覚があんまり無くなってしまった。
平日でも「今日は休もう!」と決めて街に繰り出しているし、土日は籠ってガリガリ原稿を書いていたりもする。かと思えば、たまには土日の日中仕事して夜は飲みに行って人の多さに圧倒されて休日の街の流れを実感したり。
幸いなことに、プライベートと仕事のONOFFの垣根が薄いところに関しては、今のところ苦痛だと感じずに過ごせている。
昨日、遠方にいる大学時代の友人と久々に電話をした。
その友人とはまず普段は会えないし、話せるとしても平日日中くらいしかチャンスが無い。だから、会社勤めをしていたら話すことはなかなか難しかったはずだ。
近況報告やらなんやら、気がついたら2時間半も話してた。
大学時代、お互いキラキラと夢を追いかけたこともあればちょっと冷めて斜に構えたこともあったし、就活も同じ時期にしていたので、なんだかんだ心境が変化していくステージを共有する場面も多かった私たち。
会話の内容は出会った頃に比べるとだいぶリアルなものになったけれど、いつもながらお互い無理しない程度に前向きに、今の日々や今の感情を大事に噛み締めていることを再確認できた時間だった。
もちろん、会って顔を見て話すことに敵うことはないけれど、こうしてカフェでおしゃべりするのとなんら変わらない感じで時間を共有出来るっていいなあって、昔は人と電話で話すのが超苦手だった自分が思っているのも少し不思議だったりする。
地元や遠方に散らばっている友人に声を掛けて、今度はオンライン忘年会をしようかと言っているくらいだから、わからないもんだ笑
あと、リアルで会う場合、夜にカフェでコーヒーを飲む時間を共有できたりするのも素敵だなあと最近よく思う。
ビールを筆頭にお酒も大好きだから飲みの場もいいんだけれど、邪魔をしない程度に心地良いBGMが流れている空間で、あったかいコーヒーを飲みながら「最近どう?」とか「これについてどう思う?」なんて話を繰り広げるのもいいなあ、そういったシチュエーションの方がお互いの話に丁寧に耳を傾けられることもあるような気がするなあ、って。
そういえば、この前とあるキッカケがあって試しに夕方と夜の街を撮ってみた写真がブレブレで「あー写真ヘタクソだなあ」と思ったんだけど、そのブレが逆に愛らしくてなんだか気に入った。
たぶん、夜景がとても好きなんだよね。
工場夜景ツアー行ったくらいだし。
ジャンクションのあの感じもたまらない。
近くのなにげない風景さえも、夜になるとまた雰囲気を変えて映えてくる。
これから、夜にときどき近くの水辺や街を徘徊してシャッターを切ろうかなと思う。