すり減ったおろし金

ひとりよがりゲームプレイ記

OG新作告知!(2024年3月8日追記)

ムーン・デュエラーズ

2016年になってもOG続編は……と思っていたら

ムーン・デュエラーズ』の発表!

headlines.yahoo.co.jp

 

名称が『第3次OG』ではないとすると、外伝的扱いなのだろうか?

参戦作品はやはりの『J』と、割と順当ではあるけど

意外と言えば意外の『GC/XO』勢。

 

『J』といえば以前に「前編」「後編」で問題点を挙げてみたけれど、

実のところそんなに心配はしていない。

 

何しろ自分のような素人が気が付くのだ。

スタッフは問題点を洗い出してとっくの昔に対策を済ませているはず。

 

本当に気にかかる点があるとすれば

矛盾点の修正に力が入るあまり

キャラ同士の掛け合いがおろそかになる事だ。

 

違う作品同士のキャラが掛け合ってこそ

クロスオーバーゲームは楽しいと思うので。

 

例えば統夜(これからはトーヤか)。

元々民間人だったが、否応なしに戦うことになったというポジションであり、

特にリュウセイコウタ辺りとは心情が通じるだろう。

彼らがトーヤのために何かと骨を折る展開があってもよいはず。

 

カルヴィナにしても、かつての恋人と戦う事になるわけで。

アヤはカルヴィナにアヤなりの立場から助言ができるだろう。

…あるいは、普段はへらへらしてるエクセレン

アル=ヴァンの正体を知って錯乱するカルヴィナ

張り倒してみても、意外性があっていいかもしれない。

『J』的にはマオの立場をカチーナがやればいいのかも知れないが、

丸コピペも芸がないだろうし。

 

カティア達の場合、長年実験体として扱われていたのだから、

(仮にアラドテニアの大食い要素を無理に出すまでもなく)

スクール勢とはその辛さを分かち合うことができるだろう。

 

未プレイなので詳しくはないが、赤月光珠はロボットの操縦などしないで済む、

普通の女子高生になりたいキャラらしい。

そういう意味ではトーヤの境遇には激しく同情するだろう。

あるいは普通の女子高生仲間だと思って近づいたミオやショウコ

それぞれ規格外の存在であることに驚きつつ、気がつけば

ツッコミ役になっていても楽しそうだ。

 

少なくとも自分が見たいのはそういうOGである。

ムーン・デュエラーズに期待を寄せずにはいられない。

 

……しかし、25周年記念第1弾というが、

第2弾は果たして2016年内に出るのだろうか?

 

 

 

 

2024年3月8日 追記

 懐かしくなったので付け足し。

(誰も見る者はいないと思うが)

 

もう8年も前の文章なんだな……

 

 結論から言って『OGMD』は中盤あたりまで

プレイしたものの、以降は積みゲーになったまま、放置している。

 

理由はつまらないから。

 

 スタッフが昔の私の記事を見たのかはどうかは知らない。

確かに『J』における、諸々の問題点は改善してあるように見えた。

 

が、それ以上に粗が多すぎる。

 

 シナリオの大半は

上層部から下命があり、それを黙々と遂行することの繰り返し。

繰り返される会議シーン。

発言するのは指揮官クラスのキャラばかり。

 

起伏なんてない。

『OG1』の頃の、和気あいあいとした雰囲気は残っていない。

 

 ライターはもしかしたら、

軍という組織が粛々と運用される情景が好きなのかもしれない。

 

だが、それをそのまま実装してしまったら、

単調で面白みに欠けるシナリオが続くことに気が付くべきだった。

 

 新規キャラと古参キャラの絡みは片手で数えるほど。

 

 あのハーケンがOG世界にやってきた。それはいい。

なのにロクに喋らず。

 

キョウスケ、エクセレンあたりの「お前が関わらずしてどうする!?」

というレベルのキャラとすら会話がほとんどない。

 

 ダークブレイン軍団の幹部も登場する。

見るからにスーパー系のノリ。楽しそうな奴らではある。

 

だのに肝心の自軍は

「あ、スーパーな連中がまた来たの。あっそ。じゃあ撃破しましょ」

と言わんばかりの塩対応。

 

 統夜とカルヴィナすら全然会話してくれない。

if会話という点では、君たちが一番期待を集める取り合わせだろう。

 

 8年前に予言した通り、裏切りを経験した者同士、

「カルヴィナに声をかけるアヤ」というシチュエーションはあったが、

これも私のようなシロウトですら思いつくようなものだし……

これでカルヴィナとアヤがいい人間関係を築くようなこともない。

 

 統夜に目を向けてみよう。

彼も「いきなり戦うことになった民間人」ポジションだ。

その心労は並々ならぬものがあるだろう。

 

 だが、同じような境遇を持つリュウセイやトウマあたりが気を遣うようなシーンもない。

話し相手はカティアたちで済んでしまうからだ。

ゆえに、逆に統夜は他のメンバーと交流することがなく、孤立してしまっている。

 

 

……鋼龍戦隊は全員、結婚15年目の夫婦か?

 

 それとも

「同僚なんてしょせん仕事で繋がっているだけの人たち、仲良くする必要なんてない」

っていう、悟っちゃった世代の集団なのか。

 

 とても次の話へのモチベーションが続かない。

GBA時代のシリーズが持っていた、

あの和気あいあいとした楽しさはどこへ消え去ったのか。

悪夢を見ているようだ。

 

少なくともOGシリーズの半分はキャラゲーといえる。

キャラゲーがキャラの交流シーンを描かなくなったら終わりだ。

 

 

 

OGシリーズは2024年現在、凍結中……というより、事実上の打ち切り状態にある。

 

聞くところによると『OGMD』の売り上げはおよそ13万本程度だったとか。

 

当然だろう。残念ではあるが意外とは思わない。

 

これで売れるワケがない。

 

 

他のキャラクターもののコンテンツを見てほしい。

  • 自らが生み出したキャラをいかにユーザーに受け入れてもらうか
  • キャラクターの心理をいかにエモーショナルに描くか

というポイントに腐心している。どこだってそうだろう。

 

『OGMD』にはこの努力が見られない。

少なくとも私には見い出せなかった。

 

(『OGMD』が世に出たのは2016年だが、

 当時と今とでこの風潮がそれほど変わっているとは思わない)

 

 そして自分だけでなく、多くのユーザーが見い出せなかったのでは?

 だからこそのこの売上なのではないだろうか。

(前作『第2次OG』の売り上げが29.3万本というから、半減といえる)

 

 『OGシリーズ』が面白くなければ、ユーザーは他のコンテンツに流れるだけ。

他にもいっぱいキャラゲー、ロボゲーはあるのだ。

 

 それでもどういったシナリオ作りをすればわからない、

と言うスタンスを作り手側が持っているとしたら、

このシリーズはもう寿命なのだろう。残念ながら……



 

 あるいはもっとプレイすれば、ちゃんとエモい部分が浮き出てくる、

見えてくるのかもしれないが……

 でもつまんないんですよね。

 

……まあ、いずれプレイするかも。

『第3次OG』と『J』 (後編)

原典の台詞を再確認していたらえらい期間が空いてしまった…
申し訳ない。後編です。

フューリーとの混血

重要度:

 統夜はフューリーの騎士、エ=セルダ・シューン
地球人女性との間に生まれた混血児である。

 

一方、こんなセリフがある。

 

フー=ルー
「我々にとって地球の生命がこのような
 進化をすることは予想外だった。
 もう全て滅ぼすしかないと結論したの」 

(第 46 話「破滅への扉」より引用)

 

ちょっと待て。

 

予想外に発生した種族と
どうして交配できるんだ?

 

 戦火で人口が減ったから
交配の相手として地球人を創造した、
という可能性もあるが……

 

 前回でも触れたが、フューリーはまだ124万人もいるのだ。
地球人を作る必要はないだろう。

 

 なにより、フューリーの目的は地球へ移住することなのだ。
移住の障害になる知的種族なんか創造するわけがない。
だからこそ、先のフー=ルーの発言なのだろう。
  もし最初から人類を予定して作ったのなら、地球の「生命」ではなく地球の「人類」と言うはずだ。

 

 まさか
「異星人との混血なんてロボットアニメではよくあるからいいじゃん」
で済ませよう、なんて言わないよね?

昔のアニメならともかく、
現代でそれは都合が良過ぎるぞ。

 

 ちなみにゾヴォーク
『OG2』で地球人とルーツが同じかもしれない
ということをユウキ・ジェグナンが推測している。

 

 ゼ・バルマリィは『第3次α』で語られた通り、
元々は地球発祥の種族で、地球人とは同種である。

 

 この2種類の異星人は地球人との類似の理由が説明されている。
(今のところ彼らとの混血というキャラはいないが)
でも、フューリーには一切説明がない。

  

継承メカニズム

重要度:

 統夜はストーリーの中で何度となく激戦を潜り抜け、成長していった。
そうするうちに、フューリーの記憶がフラッシュバックしていると思われる場面がいくつかある。

 

ガンダムSEEDルートを通った場合

統夜
「そんな事にはなってないよ。
 オルファンが原因で人類が滅びることは無い」

(第 49 話「憎悪の果て」より引用)

 

この場面ではサイトロンによって未来を垣間見た?
らしく、状況が判然としない状況の中で、
オルファン側の問題が上手く解決されたことを知っている。

本人は「何となくそう思った」ということだが。

 

ブレンパワードルートを通った場合

統夜
「光…」
アキト
「え?」
ミナト
「光がどうかした?」
統夜
ジェネシスのイメージなんだけど。
 巨大な光、みたいな物なんじゃないかな」

(第 49 話「憎悪の果て」より引用)

 

こちらではジェネシスが具体的にどんな兵器なのか、
これまた直感的に理解している。 

 

ちなみにカルヴィナでも台詞は同じ。

 

 また別の場面では、時を止めて連合軍兵士を一方的に虐殺し、
さらに三人娘を実験体扱いで嘲笑するジュア=ムに対し、
統夜が次のように一喝する。

 

統夜
「黙れ! 騎士の風上にも置けぬ者、ジュア=ム・ダルービ!
 武名を恥で汚す前に、我が剣でヴォーダの闇に帰してやる…
 覚悟!」

(第 50 話「百億の夜と千億の闇」より引用)

 まるでフューリーの騎士そのものの発言。
このシーンは実に恰好よく、統夜の見せ場と言える場面だ。

 

だがしかし。 

統夜はどうやってフューリーの知識に目覚めた?

 

  1. 主人公の機体に父親の記憶のバックアップがあった
  2. サイトロンを通じて記憶を受け継がせた
  3. フューリーは超常的な力で記憶を継承させることが出来る種族

 どれなんだ?

 本編中にその説明はない。

 なお、終盤ではシャナ=ミアが三人娘を中継としつつ、
カルヴィナにアル=ヴァンの記憶を渡す、というシーンがある。

 

メルア
「従兄様が愛された女性、カルヴィナ…」
フェステニア
「その想いの一部をお渡しします。
 あなたに受け取って欲しいから」
カルヴィナ
「え、何? この記憶…アシュアリー・クロイツェル!?
 あの時の、私…! ア、アル=ヴァン…
 そ、そんな…アル=ヴァン…!」

(第 50 話「百億の夜と千億の闇」より引用)

 

この描写を見ると、どうやら2か3が正しいようだが…

それはそれで、もう何でもアリの種族ではあるが。

 

キレやすい人たち

重要度:

 

ジュア=ム
「アル=ヴァン様が…
 くそ、あいつのせいで…あいつのせいで…
 あいつの、あいつの、あいつの、
 あいつの、 あいつの、あいつの!!
 くそーーーっ! 殺してやる、必ず!」

(第 40 話「すれ違う運命」より引用)

  

グ=ランドン
「さあぁせぇぬううう!
 ヴォオオダの闇にぃぃ、帰る、
 邪ぁ魔ぁはぁぁぁ!!」

(最終話「冷たい世界 後編」より引用)

グ=ランドン
「絶望せよぉおおぉをを!」

(最終話「冷たい世界 後編」戦闘中台詞より引用)

 

… 率直に言おう。

なぜこうもメンタルが弱い?

 

 敵組織にも、一人はこういう者がいてもいいだろう。

が、二人は多過ぎる。
ましてやラスボスがこれでは、威厳も何もあったものではない。

 

 キャラを立てたいなら、グ=ランドンが当時の大戦でいかに苦渋の道を歩んだか、
といった過去を掘り下げた方がよいのではないだろうか?

少なくとも、付け焼刃の狂気キャラに仕立て上げるよりは有益だったはずだ。

 

 ジュア=ムの方は、元々が「軽薄で残忍」
というキャラなので、まあこれでもいいか……。

 

どこかでお会いしました?

重要度:

シャナ=ミア統夜はどうやら幼馴染の関係であるらしい。

これは

スーパーロボット大戦J ザ・コンプリートガイド』
(2005年:メディアワークス発行)

スーパーロボット大戦J パーフェクトバイブル』
(2005年:エンターブレイン発行)

といった攻略本に明記されている。

 開発サイドから出版元へ資料・設定が回って来ているのは
確実であるから、これは公式の設定と見てよいだろう。

 

が、この設定には疑問が残る。

 

統夜
「母さんは5才の時に、父さんは4年前にな。
 だから何があっても聞きようがない。
 言っとくけど、本当の親だぞ。
 父さん月で仕事してて年に1回くらいしか帰ってこなくてさ。
 母さんが死んでからずっと他所に預けられててね。
 不安になって調べたことあるんだ」

(第 20 話「「真実」は一つじゃない」より引用)

 

 これを見る限り、母親が亡くなる前に会っていたのだろう。

 5歳より前なら、シャナ=ミアのことを覚えていなくても不思議ではない。

しかし……

 

どこでシャナ=ミアと統夜は出会っていたのか?

 

 シャナ=ミアは高貴な生まれで、しかも当時はまだ幼少のみぎり。
地球で暮らしていたとは考えにくい。

 父に連れられて統夜が月へ行ったと考えるべきだろう。

 

 しかし……フューリーの本拠地へ地球人が入れるのだろうか。
いくら英雄エ=セルダの息子で幼い子供とはいえ、
とうてい許可されない気がするのだが……

 

 それにこの頃はまだ母親が存命である。
統夜エ=セルダに任せたまま長期間離れているというのも考えにくい。
統夜の月への滞在はごく短期間にとどまったと考えられる。

 

 それでは幼馴染とは呼べないのでは……?

 少なくとも数年間は環境を同じくして暮らし、
気心が知れた仲でなければ幼馴染とは言わないだろう。

 

うーん……考えれば考えるほど矛盾が出て来る。

 

 そもそも幼馴染だったからと言って、それが
ストーリーを動かし始める起点になったり、
意外な伏線になったりするわけではない。

 

 要するに死に設定なのだ。

 捨てた方が賢明ではないだろうか。

 現に本編には出てきておらず、無難な判断だったように思える。

 

無防備な寝姿

重要度:

 フューリーは単に地球の環境が整うまで
40億年も待っていたわけではないらしい。
フランツ・ツェッペリンのAIはこう述べている。

フランツ
「彼らは太古の異星文明に置いて戦争状態にあった。
 それに敗北したために、ここに来て
 時をやり過ごしたのではないか」

(第 50 話「百億の夜と千億の闇」より引用)

 

  一見もっともな話だ。だが……

 

 ラースエイレムで時を止めた物体は破壊可能なのだ。
ゲーム中でプレイヤーはそれを何度も見ている。

 

時間を停止しても防御策にならないのでは?

 

 むしろ、相手から見れば絶対に動かない格好の的なのだが。

 よく停止中のガウ・ラ=フューリア
敵の追っ手に見つからなかったものだ。

 

(多分ガウ・ラ=フューリアも時間停止をしていたはず。
 そうでなければ40億年も人工物が存在できるとは思えない)

 

謎の動力

重要度:

 主人公機も含め、フューリーの機体は
オルゴン・エクストラクターという動力源で動いているようだ。

 

この装置が動力源である点については

 

アル=ヴァン
「残りは6機か。サイトロン・サイティング終了。
 オルゴン・エクストラクター出力上昇。
 ラースエイレム駆動開始」

 

メルア
「エクストラクターの出力を臨界まで上げます。
 統夜さんは、あの手前の機体に意識を集中させていてください」

(第 10 話「闇の胎動」より引用)

 

こういった台詞から見ても間違いないだろう。


が、

 

オルゴンとは何なのか。
オルゴン・エクストラクターとはどういう仕組みなのか。

 

こいつに関する説明が最初から最後まで一切ない。

 

 そりゃあ、バンプレストオリジナルには
正体不明だの永久機関だのはゴロゴロしているが……
説明しなくていいと言う理由にはならない。

 

 存在感の薄いターミナス・エンジンだって『MX』でも
『第2次OG』でも最低限の説明はあった。

 

 レース・アルカーナですら、
「原理はわからないけど人間がいないと動かない」
という説明はあったというのに。

 

 エクストラクトという単語から推測すると、
空間か搭乗者本人か、そのどちらからか「オルゴン」という
エネルギーを抽出して稼働しているようだが……

 

 これ自体はさして問題ではないのだが、
あとで述べる疑問点に少し関わってくる。

 

危機だけど危機ではない

重要度:

 

最終話において、こんなセリフがある。

シャナ=ミア
「数百万の同胞の時を止めている内核部、ステイシス・ベッド。
 そこは、最もエナジーを消費している箇所でもあるのです。
 もしあの者が、艦全てのエナジーを一度に使うつもりなら…」

(最終話「冷たい世界 後編」より引用)

 

 シャナ=ミアの予感は的中し、追い詰められたグ=ランドン
ガウ=ラ・フューリアの全エナジーを集め、機体を再生させる。

 このまま放っておいてはフューリーの民が死んでしまう、
という一見すると危機的な状況なのだが……

 

 このステイシス・ベッドはあくまで時を止めているのだ。
冷凍冬眠装置ではない。

 

 時を止めている装置のエネルギーが停止するなら、
時が動き出すだけで
生命に危険なんてない。

 

 ステイシス・ベッドがある区画は与圧されておらず、
時が動き出すと窒息死が待っている、という前提なら辻褄は合うが。
そんな設定はもちろんない。

 

 もしサイトロンが生命活動にも影響を及ぼすという設定なら、
第10話で一度時間停止攻撃を受けている甲児、アキトやリョーコ、ムウにも
何らかの変調が起こっていなければおかしい。

 

 それどころか、これは非常に危険な設定だ。
サイトロンを吸い上げて周囲の生命体を殺せる」という、
時間停止以上に問答無用の無敵設定となる可能性すらある。

 こんなものを安易にシナリオに登場させるのはとてもまずい。
対処しようがないからだ。

 

 『J』は途中でライターが交代した可能性が非常に高く、
このシーンも設定の勘違いで生じたミスだと思われる。
OGでこれを再現するとしても間違いなく修正が入るだろう。

  

サイトロンの謎

重要度:

イネス
「この世界には過去から未来へ進む波動と、
 未来から過去へと進む波動がある。
 通常はうち消される過去への波動だが、
 うち消されない未知の粒子による波動、
 レトロスペクトが存在する…
 木原マサキの、次元連結理論の前提でもあるわね」

(中略)

イネス
「物体が瞬間移動するボソンジャンプは、
 一見、相対性理論光速度不変の法則も
 無視しているように見えるわ。
 だけど、空間移動は見かけ上で、実はレトロスペクトによる
 時間移動だったとしたら、少なくとも理論的には可能なの」
カティア
「もしかして、フューリーの使うサイトロンシステムも…」
イネス
「同じ理論に基づいたテクノロジーだと思われます」

(第 45 話「たった一つの「冴えたやり方」?」より引用)

 

 これを見れば、サイトロンがレトロスペクトであり、
未来からの情報を過去へ持ってくる媒体であることが考えられる。

 

(ただし、よく見るとこれはイネスの予測であって、
 確固たる回答は結局ストーリー中で提示されなかった。
 さらに言えば、これが次元連結理論の前提であるという設定自体
 スパロボオリジナルである上、この場に来て伏線もなく
 唐突に明かされていることを明記しておく)

 

 ともあれ、アル=ヴァンがたびたび先を見越したような発言をするのは、
サイトロンによって未来を見ているからであろう。

 

 それ自体に問題はない。が、

 

第 51 話「冷たい世界(前編)」

シャナ=ミア
「私達の母艦は、月の中核にあるのです。
 そこで起動し、出力を増大させたとき、月はおそらく…
 外殻が引き裂かれ、強力なサイトロン・エナジーが
 大地の表面を宇宙に飛散させるでしょう」

 

第 51 話「冷たい世界(前編)」

シャナ=ミア
「ガウ・ラのサイトロンエナジーが、流れを変えたようです。
 末端の流動が途絶えて、中心部に向かっているような…」

 

最終話「冷たい世界(後編)」

シャナ=ミア
「ステイシス・ベッドの…
 同胞達の時をつなぎ止めるエナジーが、
 逆流して流れ込んでいる…
 グ=ランドンは母艦と同化して、
 艦の全エナジーを集めようとしています!」

 

「未来から過去へ進む波動」であるはずなのに、
途中から単なるエネルギー扱いになっているのは
どういうことなのか?

 しかも前回でも触れたとおり、
いつの間にか原子に変換できる性能まで付け加えられている。

 

 その役割を果たすべきなのはオルゴンだろう。
戦闘で散々結晶化するのを見ているわけなのだから。

 

 こうなってくると、シナリオ上で与えられた
「物質化できるエネルギー」という特性が
オルゴンサイトロンとで重複している。

 

これならオルゴンという設定は必要ない。
動力源はサイトロン・エクストラクター
武器名も全部サイトロン○○で済む話だ。

 

つまり設定に無駄があるのだ。 

 

 更にもう一つ。フューリー機はオルゴン・クラウドという
テレポート・バリア能力を複合した特殊能力を持っている。

 

 イネスの解説に従うのなら、機体をレトロスペクト、
つまりサイトロンに変換し、目標地点で再構成しているのだろう。

 

 が、能力名はオルゴンクラウドなのだ!
オルゴンなの? サイトロンなの? どっちなんですか!

 

 ラストステージで登場するユニットとしての
オルゴン・エクストラクターも同じ。 

 

 グ=ランドンの乗機にサイトロンエネルギーを供給する中継機なのだが、
名称はオルゴン・エクストラクターなのだ、

 

 オルゴンなの? サイトロンなの? どっ(略

 

 ただ、前半のサイトロン
ラースエイレム発動のターゲットを決めたり、
未来の情報を見せると言う役目しか持っていない。

 

 設定が不統一なのは、やはりライター交代の影響と思われる。

 

(実を言えば「ライターの交代」という説に確固たるソースはないのだが、
 キャラの口調や二人称が唐突に変わる、地名や単語名のミスが
 中盤から急激に増えるといった現象が確認されており、
 交代説は可能性が極めて高い)

 

エ=セルダ・シューンは何のために地球へ?

重要度:

 彼もフューリーの地球移住計画の準備を行うために
地球圏へ送り込まれたのだろう。

 

 最初から内心では計画に反対していたのか、
それとも地球人と暮らすうちに心情に変化があったのか、
どちらかは不明だけれども。

 

 説明はされていないけど想像は出来るレベルなのでさほど問題ではない。

 

後継機の扱い

重要度:

 『J』は「攻略本に記された設定と本編で食い違いがある」という例が多い。

 

 例えばグランティード・ドラコデウス
攻略本ではこのような解説がある。

 

グランティードが窮地に立たされたとき、
突如として現れた竜のロボットが合体して誕生したとされる機体。

 

 本編にそんなシーンはない。

 本編中の扱いはこうだ。

 

フランツ
「質問に答える。
 〔主人公機名〕には、開発中の強化ボディが存在する。
 アシュアリー・クロイツェルからモルゲンレーテに移行され、
 完成されているはずだ」

(第 39 話「消えない灯火、消える命」より引用)

 

 この後、普通に乗って出撃するだけ。

 

 

 クストウェルの場合。

 

フューリーで開発されていたオリジナルのクストウェル。

 

 本編でそんな設定はない。

 本編中の扱いはこうだ。

 

フランツ
「質問に答える。
 〔主人公機名〕には、開発中の後継機が存在する。
 アシュアリー・クロイツェルからモルゲンレーテに移行され、
 完成されているはずだ」

(第 39 話「消えない灯火、消える命」より引用)

 

 ……開発中の「強化ボディ」が
「後継機」に変わった以外は使いまわしである。

 

 ただ、『OG』に参戦するとしても、
3機全部を登場させ、それぞれの後継機に
個別の見せ場を作るのは非常に手間が掛かるだろう。
シナリオ的にも、アニメーション的にも。

 

 個人的には3機のうち最も不人気な
クストウェルが登場しないのでは……と思っている。

 

 隠し機体の青いラフトクランズも加わると
さらに手間が増えるが、個人的には統夜には
この機体が一番似合うように思える。

 父親の機体を回収、修理して使ったもの、
という設定で出ないものだろうか……?

 

人が変わった?

重要度:

『J』作中では、キャラの性格にも不統一感がある。
カティアを例にとってみよう。

 カティア
「仕方がないで済むことではないわ。
 私たちはあんな無茶をしていい状況じゃないのよ」
統夜
「そうだけど…」
カティア
「私たちは彼らと戦わなければならないのに、
 彼らと接触してから逆にあなたはどんどん変わっていく。
 私は…それが怖い」
統夜
「勇を見捨てればよかったっていうのか」
カティア
「違う。違う違う! 援護ならできたわ。
 確かにそれじゃあの人は止められなかったかもしれない。
 でもユウの盾になってグランチャーの前に
 飛び込むことはなかった!
 〔主人公機名〕が破壊されてしまったらどうする気なの!?」

(第28話「カーテンの向こうで」より引用)

 

 前半はこんな感じ。
統夜とは同年代の女の子という印象の会話をしている。

 「このシーンでは感情が高ぶっているので口調が違う」
というわけでもなく、他の日常場面でも同じ感じだ。

 

一方後半。

 

カティア
「統夜」
統夜
「うわっ!」
カティア
「何してるんですか」
統夜
「カ、カティア?
 いや、別に…様子を見に来ただけだよ」
カティア
「見え透いた嘘、やめてください。
 統夜、一人で行こうとしてましたね」
統夜
「え?」
カティア
「単独で侵入して、ガウ・ラの中区を壊したら、
 それで全部終わるからって」
統夜
「よ、よせよ。何でそんなこと…
 俺一人で行ったって、危険なだけじゃないか」
カティア
「……」
統夜
「だいたい、何で俺がそんなことしなきゃならないんだ?」
カティア
「統夜の考えることくらい、わかります。
 統夜、正直すぎますから…
 うまく行けば、みんなが戦わなくてすむ。
 できれば、他のフューリーも巻き添えにしたくない。
 違いますか?」
統夜
「…ええと…」
カティア
「どうなんですか!? 答えて!」
統夜
「まいったな、お見通しか。ごめん、カティア。
 うそはつけないや…怒った?」
カティア
「はい。ものすごく」

(第51話「冷たい世界 前編」より引用)

 

 口調が異なるのがお分かりだろうか。

 後半は「マスターに付き従う従者」、
あるいは「育ちのいいお嬢さん風」なのだ。

 

 「打ち解けて態度が変わる」ということはあるが、
心を開いたら ですます口調 になるというのはおかしいだろう。

 

 特にオリキャラというのは、
考案した作者の頭の中にしか正しいキャラ像がない。
 他人と作業をする場合、伝達が上手くいかないと
こういった齟齬が発生してしまう。

 

 こういう点も、ライターが交代したという証拠だと
自分は考えている。

 

 ちなみにカルヴィナの場合。
彼女はファーストネームで呼ばれることに強い拒絶を見せている。

 

カルヴィナ
「あたしはもう少尉じゃないと言ったはずよ」
ムウ
「そう怒るなよ。
 そっちの方が呼びやすいんだから、
 つい出ちまうのはしかたないだろう。
 じゃあカルヴィナとでも呼ぶかい?」
カルヴィナ
「ッ!」
ムウ
「どうした?」
カルヴィナ
「…絶対にやめてください。冗談じゃないわ」
ムウ
「そこまでいうことはないだろう」
カルヴィナ
「あたしをそう呼んでいいのは1人だけよ」
ムウ
「ふうん、恋人か。今はどこにいるんだ」
カルヴィナ
「…いないわ。もうどこにも」
ムウ
「…そいつは悪いことを聞いちまったな。すまん」

(第 10 話「闇の胎動」より引用)

 

 見ての通り、それはアル=ヴァンを思い出すからだ。

(戦闘中は三人娘からファーストネームで呼ばれてしまうが、
 これは主人公が統夜である場合に合わせたのだろう。
 2人の主人公で違う戦闘台詞を用意する余裕はなかったようだ)。

 

 ここでもカティアを例に見て見よう。
 彼女に限らないが、三人娘はカルヴィナのことを
「クーランジュ」とラストネームで呼んでいる。

 

カティア
「クーランジュさん、あれはまっすぐ私たちを狙っています。
 あれが何だとしても、敵であるのは間違いないわ。
 間違いなく攻撃してきます」

(第5話「変転する運命」より引用)

 

カティア「クーランジュさん…?」
マリュー「ど、どうしたのクーランジュ」

(第33話「対決! デビルガンダム軍団!」より引用)

 が、

 カルヴィナ
「ふふ…」
カティア
「カルヴィナさん…」
カルヴィナ
「なに?」
カティア
「楽しそうですね。
 カルヴィナさんが笑ったの、久しぶりです」

(第34話「真実の侵略者」より引用)

 

34話を境に突如として「カルヴィナ」と呼び始めている。

ここでは、特にカルヴィナの心情が変わるような事態があったわけでもない。
それどころか直前の33話では、ようやくフューリーと呼ばれる勢力の一端が
垣間見えたことで、カルヴィナはむしろ神経質になっているはずなのだ。

 

 これもやはりライター交代の強力な証拠だと考えられる。

終わりに

 ご覧のように突っ込みどころは数多い。

今となっては10年前のテキストだが、当時でも突っ込まれたものだ。

何が言いたいのかというと……

 

問題だらけなので、
参戦させるには根本からテキストを変える必要がある。

 

ということだ。

 間違っても原作再現だけをしていればいいような出来ではない。

『ダークプリズン』のように、かなりの変更を行わなければ
シナリオとしては厳しいだろう。

 

 これらの諸問題をクリアし、『J』がまっとうに参戦し、
きっちりキャラと絡んでくれることを切に望む。

『第3次OG』と『J』(前編)

前提

さて、2015年を迎えても今のところ、
第3次スーパーロボット大戦OG』の話は全く聞こえてこない。

 

いずれ来るであろう続報に備え、ここでちょっと触れておきたい事がある。

 

それは『ダークプリズン』における、
ガンエデンの「月への一見すると無意味に思える砲撃」の件だ。

 

 未参戦のバンプレストオリジナルで月に関連する作品といえば、
スーパーロボット大戦J』のフューリーだ。
次作があるとすれば、彼らが登場する可能性は高い。

 

 ……が、困ったことに『J』のシナリオは
相当に急ピッチで進められたと見え、
かなりの粗が存在している。

 

 『OG』に参戦するに辺り、どこを
クリアしていなければならないのか、
ちょっとピックアップしてみたいと思う。

 

 問題の重要度にあわせ、の3つに分類してみた。

 

何故カティア達はさらわれたのか?

 

重要度:

 

『J』では主人公機にサブパイロットが必ず必要だ。

 

 純粋なフューリーと違い、フューリーとの混血である統夜や、
サイトロンに対して適正があるというだけのカルヴィナは、
単独で機体を操縦できない。

 十分に機体を動かすにはカティア達三人いずれかの
同乗が必要という設定だ。

 

 三人娘は幼いころにフューリーに拉致され、
彼らの実験施設で実験体として育てられた。

 その過程でなんらかの処置を受けた結果、
フューリーメカのサポート操縦が可能となっている。

 

が……

 

なぜ敵である地球人をわざわざ誘拐し、肉体を改造し、
機動兵器を操縦できるようにしたのか?

 

 フューリーの人間であれば、機動兵器の操縦は一人でこなせる。
サブパイロットの補佐など必要ないのだから、
彼らのためでないのは明らかだ。

 

 まさか……
同じ見た目だからとりあえず改造してみよう
なんていい加減な理由じゃないだろうな……?

 

 既存の例で例えるなら…

 ラトゥーニアラド達ブーステッド・チルドレンが
なぜ集められたのか説明されないで話が進むようなものだ。

 

 三人娘がいなければ、主人公も機体の操縦が出来なかった。
そもそも、主人公機が主人公の手に渡る可能性も低かっただろう。

 

 結果的にはフューリーの目論みが全部水泡に帰してしまったのだから、
とんでもない大失態である。

 

 そしてこの疑問に答えるような説明は『J』のどこにもない。

 

 

 (もし知っている人がおられましたら、何話のどのあたりで語られているか教えて下さると助かります)

 

 

どこから来てどこへ行く

重要度:

 

 上記の問題に続いて。

三人娘はフューリーの施設から主人公機に乗って脱走して来た。
そして主人公の下にたどり着くという筋立てだ。

 

でも……

 

どこから脱走して来たのかなぜ説明しないのか?

 

初登場時はこう語っている。

 

甲児
「へぇ、なるほどねぇ。
 よくわからない連中に捕まってたのを、
 その人が助けてくれたってわけか」

カティア
「ええ。でも追いかけられて。
 彼は〔主人公機名〕と私たちだけを逃がして、
 自分は追っ手を食い止めるために残ったの。
 きっと、もう…。私たちは彼と約束したのよ。
 〔主人公機名〕を守るって」

さやか
「その人って、あなたたちが捕まっていた
 連中の仲間なんでしょう?
 なぜそんなことをしたのかしら…。
 それに、そのロボットだって…」

カティア
「わからないわ。
 でも、あれは絶対に破壊されてはいけない。
 絶対に奪われてはいけないと」

フェステニア
「アタシたちさ、昔そいつらの所に連れていかれて、
 それきりずっと変な施設に閉じ込められてたの。

 だから、アタシたちを逃がしてくれた
 あの人の言ったことだから、アタシたちは
 あの機体を守らなきゃならない。どうしても」

第1話(統夜ルート)「降ってきた「災厄」?」より引用

 

 どこから逃げてきたのかの説明だけが
すっぽり抜け落ちている。

 

フューリーは地球上に特に拠点を設けていなかった。

おそらく拠点となる場所はガウ・ラ=フューリアただ一つのはずだ。

この地球に一つしかない衛星から逃げて来て、
それが説明できないと言うのはおかしいぞ。

 

しかも、「必死で逃げてきたので道を覚えていない」
「ナビゲーションも作動し忘れていた」といったような、
もっともらしい理由づけすらしていないのだ。

 

  三人娘が囚われていた時の話は、
マサトによって「フューリーが月にいる」という情報が
明かされた所でもう少しだけ触れられる。

 

カティア
「ごめんなさい。私たちにはわかりません。
 ただ、空や星を見た覚えはないわ。
 私たちがいた“施設”の外に出たこともない」

フェステニア
「うん。それにアタシたちが知ってるのは、
 そこのほんの一部だけだもん。
 どれだけ大きい建物で、その外がどうなってたかなんて、
 全然知らないんだよ」

メルア
「そうですね。私も見たことないです」

カティア
「だから…
 月の中にあるなにかの構造物だった、と言われれば、
 そうかもしれないとしか言いようがないわ」

第33話「対決! デビルガンダム軍団!」より引用

 

これはあくまで施設の中の様子で、逃げて来た時の状況ではない。

 

更に重箱の隅だが、このシーンでは誰も
「月の低重力」について言及していない。

 

つまり、そこが低重力環境であるか否か、三人娘に質問すれば、
少なくとも地球上でないことは判明するのだ。

(むろん、そこが月かどうかは確実ではないし、
 ガウ=ラ・フューリアには人工重力発生装置があるかも知れないが)

 

 ただ、敵の本拠地がどこにあるかを推測できる場面なのに
誰も突っ込んだ質問をしていない。不自然だろう。

 

ともかく、

 

  • 月から逃げてきたのか?
  • それともどこかへ移動する途中、隙をついて逃げてきたのか?
  • オルゴン・クラウドの機能でどこか遠方へ転移させられたのか?

 

せめてそれぐらいは説明すべきではないか。

 

 

急募! 未経験者でも可!

重要度:

はっきり言って、フューリーは設定面だけで言えば
バンプレストオリジナル随一の種族だ。

 

  • 時を止めるテクノロジーを保有している
  • 星団、つまり複数の銀河にまたがって繁栄できるだけの人口
  • そのような銀河間を往還できるだけのテクノロジーがある
    (そうでなければ広大な国家が成立しえない)

 

ハードSF水準の種族であり、その技術力は相当な物だ。

……しかし。

 

これだけの技術力があって、
なぜ兵器開発に地球人の手を借りたのか?

 

 またお得意の、地球人は兵器の開発にかけては
異常に発達している説
の出番なのだろうか。

 

 これだけ圧倒的に進んだ文明を持っていながら
自前で兵器開発できないという方が、よっぽど
いびつな発達を遂げていると思うのだが……

 

 繰り返すが、時を止められるような技術にまで
行き着いた種族が、仮にそんなことを言ったとしても、
何の説得力もない

 

経験者は優遇します?

重要度:

  『J』の共通エンディングでは
「難民に指定されていたフューリー124万人」という数字が出てくる。
相当な数だ。

 

 それだけの人間がいて、なぜ地球人
(カルヴィナ)の手を借りる必要があったのか?

 

 アシュアリー・クロイツェル社の秘密実験施設には
アル=ヴァンだっていたのだ。
さらに本拠地にはフー=ルーもいる。

 

単にパイロットを育成したいのなら、
二人の騎士が指導役を務めれば済む話である。

 

 地球人をフューリーの機体に乗せたせいで、
カルヴィナのようなサイトロンに対する適正もつパイロットが
生じてしまっている。またも大失態だ。

 

 カルヴィナを殺し損ねたのは
アル=ヴァンのミスだったが、それはまた別の話……。

 

 

東京ドーム××個分

重要度:

 彼らの母船であるガウ・ラ=フューリアは
124万人のフューリーを収容している。

 ラスト直前+ラストステージと、
2回も機動兵器が内部で戦闘できるだけの
スペースがあるのだから、相当に巨大な船だ。

 

が……

 

それだけ広いならガウ・ラ=フューリアの内部で
秘密裏に兵器を開発すればよかったのでは?

 

アシュアリー・クロイツェルの施設を借りる必要がわからない。

  地球の施設を利用したために、フランツ・ツェッペリンのような、
フューリーのテクノロジーに通じた地球人が登場する
という失敗を犯している。

 

しかも、のちの話でさらなる追い打ち。

 

最終決戦で追い詰められたグ=ランドン
ガウ・ラ=フューリアの全サイトロンエナジーを使って
機体を無限に再生させる。

 

そのメカニズムというのが

マサト
サイトロン粒子を原子に変換して、
 物質に再構成する…
 そんな技術を実現していたなんて…」

第52話「冷たい世界 後編」より引用

 

そんな技術があるなら
それで機体を製造すればよかったのでは?

 

全エネルギーを使わなくても、
計画的に製造するのであれば十分元手は採れるだろう。

 

 木原マサキのような天才に察知されるのを恐れたのだろうか?
それならば、地球圏から十分に距離を取った場所で行えばよい。

 

 なにしろフューリーは銀河間規模で国家を築いていた種族なのだ。
恒星間の距離ごときを移動できないとは思えない。

 

この三つの問題を総合すると、
技術的にも、場所的にも、人材的にも、
地球人の手を借りた理由が謎なのだ。

 

消えたお母さん

重要度:

シャナ=ミア・エテルナ・フューラは皇女であり、
フューリーの中でも指導者としての立場にある。

 

マサト
「僕が木原マサキとしてフューリーに接触した時、
 たしかあなたにはお会いしませんでしたね」
シャナ=ミア
「はい。そのころ私は、揺籃器の中にいたと思います。
 私はこの地、この時代に生を受けた
 フューリーの、最初の世代なのです」

第51話「冷たい世界」(前編)より引用

 

 このことから彼女は
40億年前に赤ん坊の状態で時間停止状態に入ったのではなく、
17年前より後になってから、生物学的に母親から誕生したことがわかる。

 

だが、作中には彼女を生んだであろう母親(おそらくは皇妃)が登場しないのだ。

 

シャナ=ミアを生んだ他の皇族はどこに?

 

 父親はおそらく先帝、先のフューリーの皇帝だろう。

先帝が身ごもっていた妻を含め、124万人のフューリーを
グ=ランドンに任せて戦場から脱出させたと仮定すれば筋は通る。

 

 皇妃がいるとすれば、
明らかにシャナ=ミアグ=ランドンよりも上の地位にあるはずで、
ストーリーに一切関わってこないのは不自然だ。

 

 あるいは、フューリーの社会では
人工的な揺籃器の中から出てきたことを
「生まれた」と表現するのかも知れないが……
それならそうと説明しないと意味がわからないぞ。

 

ただし、「不慮の事故で亡くなった」とでも
理由を付け加えれば済む話なので、
シナリオ全体への影響はほとんどない。

 

寝ぼすけフューリー

重要度:

フューリーが公然と姿を現したのは『J』の第17話。

しかし、彼らは物語の始まる以前から行動を始めていたようだ。

 

マサト
「17年程前です。当時❝次元連結システム❞を
 開発中だったマサキはあるときささいな偶然から、
 月面にときおり現れる“特異点”に気づきました」

「それがなんなのか、彼らがどこから来て、
 いつからそこにいるのかはわかりません。
 でも彼らはそこにいる。あの、月の中に。

 そして、この『自分たちの星』に存在する
 イレギュラーな生命体…人類を抹殺しようとしています。

 マサキはそれを知って、彼らもまた自分が
 倒すべき敵であると認識したんです」

第33話「対決! デビルガンダム軍団!」より引用

 

『J』の世界では、フューリーは少なくとも17年前には
活動を始めている。木原マサキゼオライマーを造ったのは、
フューリーに対抗するためでもあったようだ。

 

そして、別の場面。

 

フー=ルー
「この激しい感情…怒り?
 あのマサキという地球人もそうだったわ。
 それを知ったから、私達は計画に保険をかけたってわけ」

 第37話「舞い降りる剣」マサトvsフー=ルー戦闘前会話より引用

 

 当時の時点で地球人の危険性を認識していたこともわかる。
すると浮かんでくる疑問。

 

17年前の時点で地球圏の状態を知っていたなら、
なぜその時に行動を起こさなかった?

 

これは第33話の同じ場面でも 

甲児
「確かに奴らの兵器は強力だぜ。
 〔主人公機名〕がなきゃ対抗できない
 例のシステムだってある。
 けどだったらなんで今さらなんだ。
 少なくともそん時にはもういたんだろ」

 と即座に指摘されている。
作中でも語る予定だったのだろう。

 

 が、その答えは結局語られないまま終わっている。

 

 兵力を整える時間がいるというのだろうか。
……それにしても17年は長すぎる気がするが。

 

 この17年間で彼らがしたことと言えば、

 

  • 三人娘を誘拐し、フューリーの機体を
    サポートできるよう処置を施した。

  • 地球人の手を借りて機体を開発し、技術を漏洩させた。

  • サイトロン適性のある地球人のパイロット
    (カルヴィナ)を生み出した。

 

……最初から計画を失敗させる気だったとしか思えない。

 

 

ここまでの問題をクリアするために、ひとつの案を打ち立ててみた。
つまり……

 

  • 当初のフューリーは平和的な移住案を推進しており、
    そのための準備として調査員を地球圏に潜入させていた。

  • しかしグ=ランドンは、秘密裏に
    人類絶滅を前提とした過激な計画を進めていた。

  • 何らかの事故でシャナ=ミア以外の皇族が死亡した。

  • グ=ランドンが移住計画の実権を握り、
    大々的に強硬策が進められるようになった。

 

 ……しかし、この案でも三人娘を拉致した理由や、
わざわざ地球人の手を借りた理由が説明できない。

 

ダメだこりゃ。

 

 

 

 

長くなったのでここでいったん切り。続きは後日。

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