寝ても覚めても映像翻訳

海外在住の映像翻訳者による雑記です。

srtファイルの文字化け

現在、お仕事とは別の件で海外の製作会社さんと字幕のやり取りをしています。先方のフィルムエディターさんはSSTをお持ちではないので、生まれて初めてsrt形式でエクスポートしてお送りしたところ、「文字化けしちゃったよ」とご返信が。アイヨー、一体どうすれば。さあ、SSTオンチの本領発揮です。

 

“srtファイル 文字化け”で検索しても解決策が見つからず、“srtファイル 開き方”で検索してもメモ張で開くことすらできず、無料の動画編集ソフトをインストールしてもまごまごするばかり。オマエ、どれだけアレなんだ…。「拡張子をsrtからtxtに変えてみたらどう?」とのご助言に従っても何も変わらず、とうとうエディターさんも「What do we do now?」と呆れ気味。

 

そんな感じで途方に暮れていたところ、以前エディターさんが「UTF-8でエキスポートできる?」とお聞きになっていたのをふと思い出したのです。その時はUTF-8なにそれ美味しいのレベルだったわたくしですが、エキスポート→srt→詳細設定→エンコードの種類にUFT8を発見っ!!!改めてsrtファイルをお送りしたところ(3度目)、無事にエディターさんのほうでも日本語字幕が表示されました。「それで、何が問題だったの?今後の参考にしたいから教えて」と聞かれ、「私です。私が問題でした」と素直に答えましたよね。

 

srtファイルの中身もろくに確認できないまま送りつけてごめんなさい。ガッツリ文字化けしたテキストファイルを送りつけてごめんなさい。稀に文字化けしたファイル名の素材を制作さんから頂戴することもあるのですが、てっきり化けるのはこちらのPCのみで他人様にはきちんと表示されているものとばかり思ってました。んなわけないだろ~がっ!

 

It's me, hi, I'm the problem, it's me ♪

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引越し

去る1月末、約9年ぶりに引越しました!

 

この日のために筋トレを重ねてきましたが、一連の作業を終えた今、引っ越しに必要なのは筋力ではなく気力だったと悟りました。そしてマスク。日頃からきちんとしてこなかった者に究極のしわ寄せが押し寄せるイベント、その最たるものが引越しです。来る日も来る日も誇りまみれの万物に触れていたおかげで、くしゃみは止まらないわ鼻水が滝のように出るわ喉が痛くなるわ、己の9年分の怠惰が粘膜にこびりついて大変な思いをしました。

 

そして引越し当日は作業開始3時間で片頭痛でダウン、やむを得ず数時間離脱するハメに。そこらへんでいいから、どうか横にならせてくれ…!その間にもどんどん搬出作業が進み、午後に入ってとりあえず引越し先に全ての家具をぶちこんだところで業者のお兄さんズをお見送り。それからしばらくして、はたと気づいたのです。

 

テレビ運んでもらうの忘れた…!!!

 

幸い引越し先は元の家と車で5分の距離なので、55インチのテレビを自力で運ぶことに。ああ重かった。その後数日はアドレナリンに身を委ねて荷解きに全集中!そして迎えた入居4日目。

 

お湯が出ない…!!!

 

ガスのレギュレータを交換してもらっても直らない。プラマーのお兄さんに見てもらっても原因不明。リ〇ナイ給湯器をパカッと開けて調べてもらっても解決せず。しかも、エージェントさんや修理屋さんがやってくる時間帯にはちゃっかりお湯が出るというミステリアスな現象が。なんだか弄ばれてる感…仕方なくしばらくは風呂だけを浴びに元に家に戻るという銭湯ごっこのようなことをしていました。それがまあ地味に疲れる。

 

そして5人目のお兄さんがついに給湯器のエラーコードを見極めてくださり、6日ぶりに無事に我が家お湯が戻ってきました。時を同じくして寝室のドアの蝶番がバコッと外れましたが、それもハンディマンに直してもらい、ようやく人の出入りがなくなったのが入居10日目。ああ長かった…

 

あれから早1ヵ月が過ぎ、すっかり生活も落ち着き、お仕事も再開しました。引越し前ギリギリに受けたトライアルも突破っ!新しい書斎で心機一転、プチ新規開拓に励んでいますが、もれなく完全スルーを食らっています。テヘ。今年こそお取引を増やしたいものです。変わらず前のめりで頑張るぞー!えいえいおー!!

がんばれ婚活男子

先日配車サービスを利用した際に…

 

運転手さん:「どうぞ乗って!あれ、君、この子たちのナニーさん?え、母親?全然似てないね?君のバッググランドは?僕らの国どう思う?超最高だよね!(中略)僕さ、バツイチなんだけど最近出会いを探してるんだ。君、姉か妹いない?従姉妹とかは?え?みんな50代↑で独身?できれば44歳以下がいいかな。誰かいい子知らない?あ、ごめん、曲がるとこ間違えた?なんだか君と話してると楽しくって。(以下略)」

 

そして今日歯医者さんに行った際には…

 

歯科衛生士さん:「いい歯してるねー。ちょっと歯ぎしり癖ある?マウスピース作ってみたら?ボトックスでもいいんだよ。ま、君みたいなヤング・レディーには不要だけどね。あーでもボトックスは定期的に打たなきゃいけないからマウスピースのほうがいいかも。僕は歯ぎしりするから起きた時にアゴがガチガチでさ。(中略)僕が働いてる別のクリニックに来た患者さんが、息子さんが生まれてから寝不足らしくて、歯ぎしりがひどくなっちゃったんだって。で、ついに歯が欠けちゃったんだよ。ビックリだよね。(中略)この間ね、知り合いに子供が生まれたんだけど、“エズラ”って名前つけたんだって。すごくいい名前だから、僕も子供が生まれたらこっそり拝借しちゃおって思ったんだ。いやでも、その前にパートナーがいないのが問題なんだけどさ。アハハ!(以下略)」

 

お二人ともよどみなく喋る喋る。しかし歯医者さんに話しかけられても相槌すら打てないので大口開けたまま眉毛や目の動きだけで驚きや同意を示すのに苦労しました。そしてもちろん偶然なんですが、お二人ともマッチョ×ベトナム系×イケメンだったんですよ。シャツの腕のとこがピッチピチでした。しかも配車サービスと歯医者さんってハイシャつながりまで(決して敗者ではありません)。残念ながら拙ネットワークが狭すぎてどなたも紹介できず。お力になれずすんません…。なにはともあれ客相手に「パートナー探してます!」とサクッと営業しちゃうのが純粋にキュンでした。日本ならドン引き案件ですかね?いやでも引き寄せの法則ってものありますし!

 

てことで、便乗してサクッと。単価上げたい!!お客さん増やしたい!!!タミル語の作品と巡り会いたい!!!!

2023年 お仕事まとめ

さーて今年もやってまいりました。燃え尽き寸前メンタルの今こそ、「オマエ気が早いんだよ」というツッコミを華麗にかわして今年の振り返りといたしましょう!

 

企業用動画(VO)×1
ライブMC×1
ドキュメシリーズ(45分)×18
ドキュメシリーズ(25分)×3
アニメシリーズ(25分)×5
コメディシリーズ(25分)×5
他言語長尺×1
他言語短編×5
産業動画×未定(来月~来年1月作業予定)
その他、字幕起こし+スポタイミング調整いろいろ

 

総評:新規のお客さんにも出会えず単価は据え置き、昨年頂戴したシリーズの新シーズンや4ヵ月超の長期案件が重なったこともあり、今年はやや目新しさに欠けるお仕事が続きマンネリ化に思い悩んだ一年であったことと思います。己の判断力不足のおかげで倦怠期に陥り、グレそうになる要素も多々あったかと思いますが、ここはひとつ初心に立ち返りお仕事があることに感謝の心を持ちましょう。8~9月はシリーズものの掛け持ちで大変でしたね。以前に比べて作業スピードは上がっていますし、ライフワークバランスを保ちつつ乗り切れたことは非常によかったと思います。トライアルは2戦2勝とのことですので、全体的に安定感が増してきた印象です。登録できたぜウェーイと満足せず、いかにして初仕事をゲットし信頼を得られるかご自身で戦略を練ることが肝心です。引き続き常にアンテナを張りつつ、お仕事の幅を広げられるように努力を続けてほしいと思います。あなたのような海の向こうでちまちまやっている者にわざわざ声をかける会社など存在しませんので、今後も自分からお仕事を取りに行く姿勢を崩さずに意識的に動くことを心がけましょう。また、昨年から受講していたタミル語講座を無事に修了されたそうで、おめでとうございます。これからも向上心を持って復習を重ね、いつかタミル語の作品を引き寄せられるとよいですね。今後もこの調子で頑張ってください。

 

改善点:むやみに他人と比べるのはやめましょう。「誰も褒めてくれない」と拗ねるのもみっともないですよ。担当さんが困ってそうだから…という安易な理由で仕事を受けることは全くオススメできません。不向きなお仕事はスマートにお断りする術を身につけましょう。また、インプットの時間をもう少し増やせると、なおよいと思います。

低空飛行

ここ4ヵ月ほど、味わったことのないレベルの倦怠期に陥っていました。レートが低い、クレジットが出ない、チェックバックがない、共訳者さんの訳が拝見できず擦り合わせも不可能、という奇跡の4重苦案件を自ら引き受けてしまったのです。オマエ、いいかげんに学ぼうな。

 

今までこんなことなかったのですが、どういうわけか作品にこれっぽちも愛着がわかない。いえ、あんまり興味がない分野なので当然といえば当然なのですが、そんな自分に嫌悪感マックスです。でもでも、専門性が高い内容なのに用語の監修も付かず、「これで合ってるの…?」とおっかなびっくり進めるしかないなんて。しくしく。分かる人が見たらトンデモ字幕のオンパレードかもしれません。ダブルしくしく。

 

あれこれ自己分析を重ねるうちに、1~2年目に感じていた「ええっ!?仕事頂けるんですかっ!?ありがとうございますううう!!」的な高揚感がすっかり消えていることに気づきました。黙っていても仕事はじゃんじゃん来る。待てよ。それならもっと上を目指すべきじゃなかろうか。要はいろいろと欲が出てきたのでしょう。先輩からは「経験値が上がったんだよ」というお言葉を頂きましたが、そういうことなのかもしれません。

 

今年は100万年ぶりに受けたトライアルも2戦2勝、おみくじも大吉だったのに、2年前から何の進歩も遂げず、方向性がどんどんズレているような気がするのはどういうわけなのか。ひとり戦略会議が必要な時が来たようです(通算489732回目)。

バモスコロンビア

ニッポンの世間ではほぼスルーされているらしい女子サッカーワールドカップですが、我が家では毎日がどんちゃん騒ぎです。だってだって、住んでる街にW杯がやってくるなんて一生に一度あるかないかですもの。先週の火曜日には韓国vsコロンビアの試合を一家で観戦してきました。これがもう最高に楽しかった!

 

当日時間に余裕を持ってスタジアムに到着すると、外は既に大賑わい。Kpopダンスを披露するお姉さんグループ、どでかい被り物で練り歩くコンビアンたち、太鼓を鳴らしながら地元の高校生グループと盛り上がるコロンビアンたちの姿が。DJブースもありました。こりゃあ祭りじゃないか。両チームのサポーターが一緒にセルフィーを撮ったり、とっても和気あいあいとした雰囲気。中立の立場で思い切り楽しみたい私は両頬に国旗のフェイスペイントを入れてもらおうとブースに向かいましたが、タッチの差で日本から来たであろう女子サッカー集団たちの後ろに並ぶハメになり、30分間粘るもギブアップ。少女たちのキャピキャピぶりがまぶしかったです。未来のなでしこになってね。

 

チケットはスマホQRコードのみで、試合の当日にならないと発行されないという徹底ぶり。料金は非常に良心的でした。ちなみにスマホのチケットを見せれば試合当日は電車もバスもフェリーも無料で乗れます。簡単な荷物チェックを済ませ、スマホをゲートにピッと通して中に入り、席を確認し、混み合う前に昼食を調達し、席に着いてもぐもぐしながら試合開始を待ちます。試合前の練習のため選手がピッチに入ってくると、観客席から大歓声が。ここで既に涙腺崩壊ですよ。あの選手たちはどれだけのことを犠牲にして、どれだけの努力を重ねて、今日このピッチに立っているのかしら…頑張ってる人の鍛え上げられた肉体を見るのが大好物の私には、失うものなどありません。コロンビアサイドには選手を至近距離でチェキラしたいサポーターが大勢押し寄せ、終始黄色い声を飛ばしていました。いよっ人気者!

 

そうしているうちに四方をコロンビアの人々に囲まれ、試合開始です。てか、平日正午開始の試合なのにみんな仕事休んで観戦に来てるのがさすがっす。サポーターの数はコロンビアが圧倒的に勝ってました。韓国の人々は割と真面目にお仕事でしょうか。そして試合開始直前に、すべり込むようにして隣の席に着いた青年が。秒速で上着を脱ぐと、もうコロンビアのユニフォーム姿です。こんなふうに男の子が一人で女子サッカーの試合を応援しにくるってことがキュンですよ。聞けば彼も仕事を休んでやってきたとのこと。次の試合のチケットも取ってあるそうで、頭が上がりません。

 

そしていよいよ(練習着からユニフォームに着替えた)選手入場。割れんばかりの歓声がスタジアムに響きます。ううう、ここで再び泣きそうになっちゃう。続いてコロンビアの皆さまによる全力の国歌斉唱、伴奏なんていらねー、音程よりも声量で勝負!な感じが好感度大です。それに比べて韓国の国歌はしっとりめで、お国柄の違いが際立ちます。試合開始のカウントダウンを待たずに、真後ろのコロンビア御一行さまは「バモスコロンビアーーーーー!!!!バモスチカーーーーーーーズ!!!!」この辺りで気づいたんですが、え、このテンションで90分…?

 

…ええ、そうでしたとも。ひとつひとつのプレーに律儀にリアクションをとるエネルギーが本当にすばらしいのですが、なにせキンキン声のギャルの勢いが止まらない(お酒入ってたしね)。前半終了間際に、とうとう上の子が泣きべそをかき始めてしまいました。うん、まあ、気持ちは分かるよ。ハーフタイムに入ったタイミングで御一行さまに席の交換を提案すると二つ返事で快諾してくださり、後半はだいぶ落ち着いて観戦できました。しかし彼らのハイテンションは後半も続きます。「みんな、ウェーブしようぜ!ウノ、ドス、トレス、おりゃーーーー!」と、スタジアム全体を巻き込んで3周くらい回してました。すごすぎだろ。

 

試合は2‐0でコロンビアの勝利。韓国も最後まで頑張ってましたし、サポーターも絶えず太鼓を鳴らしてテーハミングの大合唱がめちゃくちゃすごかったのですが、惜しくも無得点に終わりました。序盤に顔面キックを食らった選手、大丈夫だったかしら…。

 

何がよかったって、スタジアムの雰囲気ですよ。罵る輩も暴れる輩も皆無で、本当にファミリーフレンドリー。子供たちにとっても、すばらしい経験になりました。めでたしめでたし。…では物足りないので、実は来週もう1試合、オーストラリアvsデンマークを観に行ってきます。このタイミングで仕事がプチ修羅場となり、水・木と納期なんですけどね…バモーーース。

フレッシュ

昨年ご縁をいただいた重訳作品に新邦題&新字幕がついて映画祭で上映された、という情報をしばらく前にキャッチしまして、最近ちょこっと検索してみました。すると、筋金入りのファンの方による、このような趣旨のご感想が。

 

「配信の字幕もフレッシュで好きだったけど、今回は原語からの翻訳だから重みが全然違ったし、英語からの翻訳でしっくりこなかった部分も腑に落ちた」

 

…うわああああああ、そういうことですよね…。分かる人には分かってしまう。どんなに全力を尽くしても、かゆい所に全く手が届いてなかったわけです。そりゃ、英語スクリプトはあっちこっち端折ってるでしょうから致し方ないと言ってしまえばそれまでですが、何とも申し訳なく、情けない。

 

こんな時こそポジティブに、「フレッシュ」の定義をみてみましょう。(え?)

 

新しいさま。新鮮なさま。(明鏡国語辞典

新鮮でさわやかなさま。生き生きしているさま。(精選版 日国)

①新鮮なさま。清新なさま。②コーヒー・紅茶用のミルク。主に関西での表現。(大辞林

①新しく生き生きしているさま②コーヒーに入れるミルク状ももの。(デジタル大辞泉

 

そうか、私はコーヒーとか紅茶に入れるミルクだったのか。鮮度が命ってことですかね?となれば、鮮度が落ちたら最後、ただ朽ち果てていくだけ…

 

こういった感想はめったに得られませんので、大変ありがたきものです。その一方で、重訳の難しさについて改めて思い知らされた一件でした。