呂原の日記

漫画家志望の日常的思考の捌け口です。

アシスタント所感

・挨拶


初めまして、又はこんにちは・こんばんは。呂原です。

常日頃から雑多な思考を巡らせては眠りにつき、翌日には綺麗さっぱり忘れてしまうので、ここはそんな呂原の備忘録的な場所にしたいなと思い開設しました。

別に残しておいて役に立つようなことは考えていないのですが、モヤモヤしたものを言語化しておくことに何らかの意味があると信じて、通勤時の暇な時間を潰すためにも書いていこうかなと思います

………多分こっちが本音です。



・作り手側に回るということ


最近、憧れていた職業  漫画家 なるものにまた一歩近付けました。アシスタント(*)と呼ばれる立ち位置で、業界内に居場所を貰えたのです。

(*)仕事内容は主に背景描画やトーン(白黒以外を表現するための中間色)貼りです。


こうしてプロの仕事を間近で見ながら、お手伝いをさせて頂くことで、新人でぺーぺーな自分も、微力ながらクリエイトする側に回ることが出来ている訳ですが(と、思いたい)。


……ところで皆さん、漫画を読むときはどんなところに注目して読んでいますか?また、どれくらいの時間をかけて読みますか?

キャラ絵をじっくり見るから割と時間がかかる、セリフを主に追って画面は掠める程度だからそんなに、とか、読本スタイルはひとそれぞれだと思います。

ちなみに自分は脳内でキャラに声当て再生しながら絵もじっくり見るので、単行本一冊読むのにめちゃくちゃ時間かかります。


……いやなんでこんな事聞いたのかって言うと、経験で目線は変わるんだなぁと言う話をしたかったからです。


アシスタントに入ってから日は浅いですが、自分は漫画を読むときに背景にも注目するようになりました(アシじゃなくても、漫画描きなら多分誰でも背景は注目してると思われるので、ここでは理解が深まったという解釈でお願いします)。


皆さんは漫画の背景にじっくり目を通すことはありますか?

多分なんですけど、ほぼないと思うんですよね(断言は出来ませんが、創作する側でない昔の自分はなかったです)。

状況説明の為の背景オンリーのコマとか、視界に入れたらもう次のコマに行くと思うのです。

それが「あぁここの光源意識した抜き線うまいなぁー」とか、「ベタとカケアミのバランスいいなー」とか、「雲の削りなんでそんなうめぇのぉ………」と、実際には自分の技術と比べて見ると言ったほうが正しいですが、作り手サイドに回ることで改めて違った目線で見られるようになりました。まぁこれは漫画に限らず色んなことに言えると思いますが……(アルバイトとかも店側になってわかること見えることって多いですよね)。


漫画家が1ページにかける労力は半端じゃないです。時間と体力を磨耗します。ずっと座ってるので体が痛くなります。漫画家なんだから一日中漫画描いてるんだろうなって思ってましたが、本当に一日中漫画描いてます(このニュアンス伝われ)。


別に苦労自慢がしたい訳でも、大変な仕事を理解して貰いたい訳でもありません。ただ自分は漫画家という仕事を実際に知ってしまったということを言いたかっただけです。


でも同時に、これは漫画家を目指す自分にとってはある種の弊害なのかも知れないと感じました。

作り手側の苦労や技術を知っているから、いち作品に対する評価出来る点が、どんどん増えていくんですよね。


自分(作り手側)的には面白いのに、周り(受け手側)の評価がよろしくないと、「お前らは何も分かってない」「ここはこうこうこういう技術があって素晴らしいのに」とか作り手側にしかわからない目線で語っちゃうんですよね。

それはもうまるで、一部のコアなファン(一定の知識を持つ受け手)にしか人気がなくて、大衆には売れない作品を語るヲタクみたいなもんになってしまう訳です(?)。


作り手側の苦労とか技術のすごさなんて、受け手側の知ったことじゃなくて。ただ目の前の作品を面白いか面白くないかで測ってくれるのが読者なんだと思います。感受するのに理由なんていらないのです。(でも感想でどこが良かったとか具体的に言語化してくれるのはとっても嬉しいよ!)


だから、この読者目線で作品の良し悪しを測ることを忘れてはいけないな〜と、考えたりしたのでした。



・余談


この考えを巡らしている時、「旅する本」という、現国の授業かなんかで読んだ文章を思い出しました。

ざっくり説明すると、旅先の古本屋に行くたびに、作者が昔に読んだ本と出会い、読後の感想はその度に変わったという話だったと思います。


これってまぁ、作者のその時その時によって見えてくるものがあったりなかったりするよって話だと思うのですが、経験は人生を豊かにするって本当にその通りだなと。


小さい頃にケンカしたり悪さすると、よく相手の立場になって考えなさいなんて言われますが、本当にその意味を理解できるのなんて結構先の話ですよね。

物事全般を二つに分けるのだとしたら、両方の目線を持っていなくちゃならなくて。やはり想像するだけでは足りなくて……………でもそれを人は思いやりというのだなぁ。


と、訳の分からない思考につながったところで、このまとまりもクソもない駄文の集まりにピリオドを打ちたいと思います。


ここまで読んでくださってありがとうございました。


背景に興味が出たら是非まじまじと見てみて下さい。状況説明のためだけにあるのではありません。背景は雄弁です。キャラの心情を表すためのひとつのギミックです。

新海誠監督の作品なんて本当に綺麗ですよね。…………つまりそういうことです。


それでは、また。