レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「大本命」あのトニー・リチャードソン監督がディック・フランシス著「本命」を映画化…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「大本命」(1974)です。

騎手アラン(スコット・アンソニー)は、親友騎手ビルが愛馬アドミナルに乗り障害レースに出場するが、失踪中に落馬して死亡する。アランは事故なのかどうか調べ始める。そんな時、あの日本人から同様な事故が日本でも起こったことを聞く。彼はその日本人から日本での事故フィルムを見せてもらい、事故でないことを確信する。それは、馬を一時的に盲目状態にし血液中に痕跡を残さない薬物だった。そんな中アランも出場中に盲目状態になり、落馬して病院に担ぎ込まれるのだった…

あの"怒れる若者たち"グループに所属するトニー・リチャードソン監督作品です。当ブログでも紹介した「太陽の果てに青春を」の次の作品になります。この映画は重くなく、普通のサスペンススリラーです。リチャードソン監督なのでしっかりと纏めていますが、若干緩い作品になっています。一番の欠点は上映時間99分と短く、ラストの障害物レースが盛り上がらないこと、この辺りもう少し丁寧に描写してもらうと盛り上がるのですが。

例えば、クリミア戦争バラクラヴァの戦いを描いた「遥かなる戦場」では軽騎兵旅団突撃前の丁寧な描写が素晴らしかったのに。とは言うものの、私は結構楽しめました。と言うのは、若い頃のジュディ・デンチが登場し、主人公アランとベッドを共にするシーンもありますしね。うーん、美しいです。

このキャスティング、リチャードソン監督はやはり凄いの一言です。

このブログ作成にDVD輸入盤を鑑賞しています。        八点鐘

 

 

www.britishhorseracingmovies.uk

 申し訳ありませんが、スチール写真が殆どありません。上記サイトで見て下さい

 

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追記 いや、スチールが少なくて大変でした。どこかで見かけたら鑑賞して下さい。本当に楽しめます。日本競馬シーンも少し登場しますから。      八点鐘

 

 

「ローマに散る」社会派フランチェスコ・ロージ監督の渋い渋いポリティカルスリラー…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「ローマに散る」(1976)です。

ローマで三名の司法官が狙撃されるという事件が起こった。ローマ警察ロガス警部(リノ・ヴァンチュラ)が捜査を担当することになった。彼はまず司法官らが担当した妻殺しの冤罪事件からクレスに目を付ける。が、彼は行方不明で写真も残されていない。そんな中更に二人の司法官が狙撃され、彼は捜査から外されてしまう。ロガスは、クレス事件最後の判事リケス最高裁長官に会いに行くのだが…

「シシリーの黒い霧」「総進撃」「黒い砂漠」「コーザ・ノストラ」等で名を上げたフランチェスコ・ロージ監督作です。私は呼んだことありませんが、レオナルド・シャーシャ原作「権力の朝」を映画化したものです。

まず、キャストが凄い作品です。ヴァンチュラのほかにジャルル・ヴァネル、アラン・キュニー、フェルナンド・レイ、マックス・フォン・シドー、ティナ・オーモン、レナート・サルヴァトーリ、マルセル・ボズフィと涙物のキャスティング、しっとりと演じる渋いリノ・ヴァンチュラ。ロージー監督は得意のドキュメンタリースタイルで、クーデター一歩手前の息苦しいほどの政治的停滞を巧く表現していると思います。

俗にいう"鉛の時代"、70年代のイタリアってこんなんだったんでしょう。私はイタリア史に詳しくないので知りませんが。

少し前に見た「ラ・カリファ」よりより生々しく、より重々しく描かれているのが良いと思います。やはり、スクリーンからこんな感じで訴えられないと、映画としては成功作とは言えませんね。

このブログ作成にDVD輸入盤を鑑賞しています。         八点鐘

 

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「ゴジラXコング 新たなる帝国」トレーラーを見た時からある種の不安が…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「ゴジラXコング 新たなる帝国」(2024)です。

ゴジラは強敵メカゴジラを粉砕し地上の怪獣王として君臨、キングコングも地下空洞に君臨していた。そんな中同族の幼獣スーコを見つけ、彼の後を追うと同族が新たな怪獣スカーキングが支配されているのを知る。地上でも怪獣スキュラ、ティアマットが暴れ始める。特務機関モナークに所属するアイリーン(レベッカ・ホール)も謎の電波信号を確認し、仲間たちと探査機ヒーヴで地下空洞へ向かうのだが…

ビッグバジェットの怪獣映画、大ヒットしているそうのなので敢えて言うことはありませんが、前作に比較してファンタジー色が強くなり、加えてキングコング種の幼獣が登場してきたことで、私はあの作品「怪獣島の決戦 ゴジラの息子」(1967)を思い出しました。この作品から、私は急速にゴジラに対して興味を失いました。

何だか人間に近くなり、あのオドロオドロシイ恐怖の塊、破壊神ゴジラは消滅してしまったと。まあ、他人様がやっている事なので、とやかく言っても始まりません。

映画はそう考えない人にとってはまあ良く出来ていると思います。迫力もあります。そして、変な愛嬌もあり払った入場料はペイできると思います。楽しめると思います。

私が考えるゴジラは前述した様に破壊神なので、それ以外はあまり興味が無くなり、私は、その後冒険サスペンススリラーの世界へ移ることになり、いまでもその世界にどっぷりと浸かっているのですが。

幸いにして、本家東宝映画「ゴジラ-1.0」は破壊神ゴジラに舞い戻っていますので、暫くはこちらを応援したいと思います。               八点鐘

 

godzilla-movie.jp

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レベッカ・ホール 好い女優です このシリーズから外れる潮時かも

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番外編 先人たちの底力 知恵泉 早川雪洲(後編)を見て…

レタントンローヤル館にお出で頂き有難うございます。今日は本日放映されたNHK 先人たちの先人たちの底力 知恵泉 雪洲(後編)について思いつくことを書き連ねたいと思います。

 

 

TVでは、先の大戦前、早川雪洲と言う男優が聖林(ハリウッド)で大活躍したこと、特にセシル・Bデミル・デミル監督作品「チート」で評判になったこと、その後日系人排斥で欧州に渡り、そこでも評判となるが第二次世界大戦後日本に戻り、その後、デビッド・リーン監督「戦場にかける橋」で再び有名になったこと、妻鶴子との出会い、その後を巧く纏めていました。個人的にとても勉強になりました。

 

私は戦後生まれなので、早川雪洲主演作品を鑑賞したのはあの「戦場にかける橋」が最初で最後でした。映画評論家淀川長治とか双葉十三郎の映画評を時々読んでいたので「東京ジョー」とか「東京暗黒街 竹の家」と言う作品があることは知っていました。ただ、プリントの状態が良くないと思われるので鑑賞して見たいとは思いませんでした。

「戦場にかける橋」もそうですが、あくまでも私の思う処ですが、色々な演技が出来る方、例えば三國連太郎のようにどんな役でも出来るような方ではなく、一本調子の演技ですがそれが個性となって味のある演技が出来る方で三船敏郎もそうなんですが、それが癖になると、何か堪らなく良いんですね。

番組では「東京ジョー」のすこぶるプリントの状態が良い映像が映し出されたので、おっとこれは手に入れて見てみたいなと感じ入った次第です。最近は、レストア技術が進歩しており素晴らしい画質のクラシック映画が鑑賞できます。早川雪洲とハンフリー・ボガートが共演しており、先の大戦後の日本を舞台にしたノワールスリラー、こりゃ、堪りません。見逃す手のありませんね。

探して見ようかな…と感じ入った次第です。    八点鐘

 

 

 

追記 guch63先輩、有難うございます。色々と教えて頂いて。そうそう、トニー・リチャードソン監督作品「大本命」も手に入れましたので、暫くしたらアップします。

 

         B級テイストたっぷりのポスターで何か嬉しい…

「囚われ人 パラワン島観光客21人誘拐事件」ドス・パルマス誘拐事件を描いたイザベル・ユペール主演の映画ですが…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「囚われ人 パワラン島観光客21人誘拐事件」(2012)です。

 

2001年5月27日フィリピン、パワラン島のリゾートでソーシャルワーカーをしているテレーズ(イザベル・ユペール)とリゾート客20名はアブ・サヤフ武装集団に拉致された。誘拐された人の多くはフィリピン人だか、テレーズを含めて数名が外国人だった。小さな小舟で洋上を進み、やがてラミタンに到着しその地の総合病院を占拠するアブ・サヤフ、フィリピン政府は歩兵部隊を派遣して対応するのだが…

ドス・パルマス誘拐事件を描いた映画です。2001年と言えば仕事でシンガポールに駐在して射出成形機の営業をしていた時、こんな事件が起きていたとは、私は知りませんでした。

映画は真摯に製作された作品で、この手の映画が好きな私ですがドキュメンタリータッチ且つリアリズム重視の作り方で、淡々と描かれており、悪くはありませんがそんなに面白くありません。

理由は、映画的興奮に欠けているからです。例えば、作り方によってはあの「ゼロ・ダーク・サーティ」と同じぐらいの魅力的な映画にすることも可能だと思います。勿論、ジェラルド・バトラー氏の登場が欠かせませんが。

一番の見せ場「ラミタン包囲戦」も淡々と描かれており盛り上がりに欠けます。イザベル・ユペールも悪くありませんがやはりこの手の映画には不向きですが、その志は認めるべきだと思います。

映画は2002年6月7日のバーナム夫妻解放作戦まで描かれています。テレーズは生還しますが、マーティン・バーナムは銃撃されて死亡、妻グラシア・バーナムは足を負傷しますが生還します。この手の映画が大好きと言う方、イザベル・ユペール大好きと言う方にはお薦めだと思います。それ以外の方はスルーされた方が良いと思います。

このブログ作成にVODにて鑑賞しています。            八点鐘

 

 

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「黒い罠」巨匠オーソン・ウェルズの素晴らしいノワール・スリラーですが…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「黒い罠」(1958)です。

   

 

メキシコ国境地帯にあるロス・ロブレス、新婚旅行の途中に立ち寄ったメキシコ麻薬捜査官ヴァルガス(チャールトン・ヘストン)と妻スーザン(ジャネット・リー)は、乗用車爆破事件に出くわす。搭乗していたのは地元有力者リネカー氏だった。米国側捜査責任者はクインラン(オーソン・ウェルズ)で、色々と噂の多い男だった。ヴァルガスは仕方なく捜査に協力するのだが…

オーソン・ウェルズと言えば、あの映画史の残る傑作「市民ケーン」がありますが、この作品も凄いと思います。冒頭4分程の長回しが凄いし、プロットの展開も、あのヘイズ・コードギリギリの物語展開でびっくりしました。

加えて、チャールトン・ヘストンをメキシコ人捜査官を演じさせるなんて、これも凄い。又、ウェルズ自身も物凄く凝ったいで立ちで登場し、楽しそうに演じているなんて、素晴らしいの一言。

加えて、演出スタイルも当時としてはとても斬新だったのでしょう。最近の映画を見ている様にカメラを縦横無尽に動かして画面が生き生きしている感じ。構図も良く奥行きのある凝った撮影で、本当に凄い男だなと感心しました。でも、この手の映画は一般受けは難しいでしょうが、私にとって"俺の好きな映画だ"と叫びたくなるほど。

ラスト、クインランの告白を盗聴しテープに残すというスタイルも当時としては物凄い先進的な方法で、これも驚きました。もう一つ、この映画、マレーネ・ディートリッヒが脇で登場します。これにも驚きました。儲け役ですが、うーん、美しいです。

 

このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。           八点鐘

 

追記 この映画は公開当時スプラッシュ公開だったそうです。何と言うかもったいないことです。今回鑑賞したのはウェルズが残したメモによって修復された110分程度修復版です。

 

 

 

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「ラ・カリファ」エンニオ・モリコーネの音楽が有名な日本未公開の作品ですが…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「ラ・カリファ」(1970)です。

                 

カリファ(ロミー・シュナイダー)の夫が、労働争議時に警官隊の銃撃を受け、血塗れの最後を看取る。涙も枯れるカリファだったが、次第にその会社の所有者である実業家ドベルトと親しくなっていくカリファ。カリファに感化されて労働者よりの動きをすることにより、ドベルトは他の実業家からの敵意を受けることになるのだが、彼はそうとも知らずに…

映画は労働争議物で、私は個人的にマウロ・ボロニーニ監督「わが青春のフローレンス」のような映画を考えていましたが、全く別物でした。作家出身の監督アルベルト・ベヴィラクアの腕前は冴えなくて、全体に今一つと言う感じです。但し、ロミー・シュナイダーは美しく、素晴らしいですが。この手の社会派映画であれば、フランチェスコ・ロージー監督の出番ですがね。同時期の映画としては「太陽は知っている」「追想」の方をお薦めします。

70年頃の労働争議物なので、何となく私は映画を見ながら、あの浦山桐郎監督作品「私が棄てた女」(1969)を思い出しました。重い映画で、主人公が人より良い生活を得る為、人を蹴落としてのうのうと生活する映画でしたが、スクリーンから醸し出される雰囲気が似ているなと。

このモリコーネ作曲の「ラ・カリファ」のテーマはとても有名ですが、映画はずっーと未公開でした。今回、日本で初めて公開されたことに感謝します。が、公開された91分版で話が繋がらない様な所が散見され、もっと長いバージョンがある様に思われます。キネノートで確認すると上映時間112分と有ります。         八点鐘

                                 

                         

www.morricone-ss.com

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追記 この作品、評判が良くなかったので鑑賞するのを止めようかと思いました。理由は名古屋地区で公開しないので京都まで見に行く必要があったからで、逡巡しましたがやはり見て正解でした。色々ある映画ですがやはり見て良かったと思います。お金は掛かりましたが。アップリンク京都さん有難う。今後も名古屋スルー作品が有れば、見に行きたいと思います。