My insight

あるソフトウェアエンジニアの気づきを公開。エモい話、技術の話など。不定期更新。

Serverless conf Tokyoに参加してきました(後半から途中参加)

tokyo.serverlessconf.io

現場感のある講演、オシャレな会場、美味しい食事と沢山のドリンク付きで3000円! 次回あったらまた行きたいイベントでした!!

Serverless Architectureという流れ

Serverless Architecture、おもしろいですね。 コンピューティングリソースの調達単位が物理マシン一択だったところから、仮想マシン、そして処理毎に起動し破棄されるコンテナ(ファンクション)にまで小さくなったことを踏まえて、システムの構造設計をインフラレイヤーのみならずアプリケーションレイヤーを含めて見直す流れなのだと認識しています。

調達方法の制約が緩くなったと同時にコンピューティングリソースで状態を保持しづらくなったので、

  • サーバー(仮想マシン)が担っていた役割を別システムに分担ないし代替させる
  • 状態管理の必要性そのものを無くす

というアプローチが取られているようです。 前者はMicroservices、後者はStatelessの考え方につながっているように感じます。

Amazon Lambdaと併せて使ってみたくなったもの

www.iopipe.com

www.pagerduty.com

serverless.com デプロイツールとして便利らしい

Serverless Architectureという名前

Serverless Architectureという名前が、アプローチ方法から見て本質的でないという指摘もあるようです。 名前が覚えやすくキャッチーなことが話題を集めている大きな要因の1つだと私は思うので、功罪はあれどメリットが勝っているように感じます。 名前のせいか、参加者間の意識には大きなズレがあるように感じました。

  • 「サーバーの管理をしたくない」
  • 「サーバーを用いないシステム構成で今何ができて何ができないのか知りたい」

という風な。

その他、諸々列挙

  • Amazon Lambdaのレスポンス時間について、コンテナが再利用されている時は十分に短いが、破棄されると許容できない程度に長くなる
    • だからといって1分に1回呼び出すとかっていうのは筋が悪い
    • GCPのGo言語実行環境は2msで立ち上がるらしい
  • Lambdaで動くコードはいわゆるグルーコードが多く、システムの中核を担うような処理をLambdaで行う、という事例は少ないらしい
  • 海外ではServerlessな構成とクラシックな構成の住み分けが既にされていて、ビジネスで活用されているらしい

JAWS DAYS 2016 に参加したらKindleを頂いた話

jawsdays2016.jaws-ug.jp

2016年3月12日にクラウドサービス最大手AWSの日本コミュニティであるJAWS主催イベント JAWS DAYS 2016 | Move Up the Next Cloud に参加してきました。私にとってJAWSのイベント参加は初めてになります。 開場から懇親会終了まで居たのですが、

  • AWSの利用事例
  • セキュリティと責任分担の在り方
  • クラウドインフラ周辺の業界動向
  • 開発者のキャリア

など、話題が多岐に渡っていて色々な刺激になりました。

2016年10月から12月の間に開催予定のJAWS FESTA 東海道では何らかの形でお手伝いしようと思うくらい、楽しいイベントであり、良いコミュニティでした。

「ブログを書くまでが勉強会」とのことだったので書いてみます。

内容について

セッション毎の詳細なレポートではなく、個人的にこのイベントを象徴するキーワードを軸に感想を書きます。 キーワードは

  • 透明性
  • コミュニティ
  • お祭り

の3つです。

透明性

まず、透明性について。透明性とは、第三者に対して対象についての情報が理解できるよう形式化されていて、かつ、自由に確認できる状態にある、という性質です。

振り返ってみて面白いと感じたのは、異なるセッションにおいて透明性がもたらす恩恵が言及されていたことです。

  • コミュニティの透明性を高めることは、参加への不安感を減らすだけではなく、大小様々な貢献の仕方があることに気付きやすくします。
  • サービス構成の透明性を高めることは、サービスが何に責任を持つ必要があるかを具体的にするだけではなく、サービス周辺が担う必要がある責任も明らかにします。
  • リスク管理体制の透明性を高めることは、セキュリティ対策の過不足を明らかにするだけではなく、関係先による周辺防御を促します。
  • 自分のスキルの透明性を高めることは、専門性の差別化に繋がるだけではなく、その専門性を必要とする課題解決との接触機会を増やします。

透明性の恩恵は共有することで初めて生じます。しかし、共有のプロセスは単純ではありません。 共有には公開が、公開には可視化が、可視化には分析が、分析には記録が、記録には計測が、計測には指標定義が、指標定義には目的決定が必要です。 及川さんのセッションで紹介されていたGoogleが掲げる行動指針の1つ "Share everything you can." は、この一連のプロセスを促すことなのかなと思いました。

この記事を書いている間にも感じていますが、ブログを書くという目的を持ってイベントに参加していると、記憶の残り方や参加姿勢が自分で実感するくらい変わります。 これは成長につながる変化を促すように感じるので、継続しようと思います。

コミュニティ

続いて、コミュニティについて。 キーノートでコミュニティと業界団体の違いという話がありました。 ざっくりですが、

形式  活動主体  関心  目的 
コミュニティ  技術者  方法  楽しみながら貢献すること 
業界団体  営業  機会  ビジネスを拡大すること 

という内容でした。 個人的には、あるコミュニティが業界団体としての性質を全く持たないということは無く、その逆も然りだと思います。

また、ひとりだけで勉強するよりも、誰かを巻き込んだ方が良い、という話がありました。 コミュニティは(会社とは異なる枠で)集合知を育み、個人では到達し得ない水準に至る、という主旨だと思いますが、これはその通りだなと感じました。 「参加者のあなたも既にこのコミュニティの一員です」というメッセージの巻き込み力はすごかったです。

お祭り

最後に、お祭りについて。 JAWS DAYSは年1回の全国的イベントで日本各地から人が来ており、今回は参加者が1000人を超え、運営スタッフも100人規模とのことでした。 スタッフの方の「参加者と一緒に楽しみたい → 楽しむために盛り上げたい」という熱意が伝わってきました。

地味に良かった点を列挙します。

  • お弁当が美味しかったです。仕出し元の会社名を忘れたのが悔しいです。
  • 音声レシーバーのおかげで、別セッションとの遮音性が不足気味な会場設営でも問題なく登壇者の方の声が聞こえました。
  • 色々なセッションやブースがあり、どこに行くか選ぶのが楽しかったです。
  • 参加料が安かったです。お弁当とビールとレシーバーその他の実費としても1000円なら元が取れます。(主催者の方は無料にしたいと仰っていましたが。)
  • Twitterハッシュタグ #jawsdays で他のセッションの状況が何となくでも分かりました。

懇親会では、Twitterでの顔抜き写真拡散キャンペーンの景品がスタッフに当たってしまい、当選したスタッフが景品の1つであるTシャツを投げてキャッチした人にプレゼントするという一幕がありました。 私は幸運にも一等のKindle Fire HD6とTシャツと頂きました。 ぶっちゃけると、これが無かったら記事を書き切ることに関しては熱量が持ちませんでした。記事公開が少しでもお返しになればと思います。

DDD Allianceの「第3回 実践的ドメイン駆動設計ワークショップ(2日目)」に参加しました。

先週に引き続き、DDDのワークショップに参加しました。

ddd-alliance0003.peatix.com


いきなりですが、ワークショップ終了後の感想戦から。

前回の終わりに「あるサービスの料金プランについて概念モデルを作る」という宿題が出ていました。 私はその宿題に取り組む過程で、公開されている料金データを元に独自の解釈と世界観を作り上げてしまう、という危険な罠にハマりました。

考えてきた内容を増田さんに聞いてみたところ、失敗する人工知能のシステムに似ている、と言われてハッとしました。 最近読んで影響を受けた本が、人工知能の文脈から書かれた本だったからです。

オントロジーの普及と応用

オントロジーの普及と応用

(この本がDDDと相容れない、と言いたいのではありません。オントロジーという概念はDDDの文脈、特に「知識のかみ砕き」において強力なツールになる予感がしています。)

DDDは「人が対象をどのように認識し、意識するか(=概念モデル)」を大切にします。 しかし、私が料金データを分析して気づいたことは「現在の金額設定において存在しているように見える、値引もしくは値上金額と適用条件の組」であって、概念モデルではありませんでした。

データから特徴的な傾向を見出すこと自体は、「隠された関係性を探す」1つのヒントになると感じています。 このヒントをDDDの文脈に活かすためには、「データの特徴的な傾向が、どのような概念モデルの表れであれば違和感が無く、かつ分かりやすいか?」という追加の問いかけが必要でした。 パターン化や簡略化は結果論であって目的ではないということを肝に銘じました……。


ワークショップの話。ここまで書いて力尽きたので列挙で。

  • 詳細が分かっていない概念が存在するなら、コードとしてもざっくりした定義で型を作る。定義の状態がドメイン把握の状態を反映しているのは健全。new 素泊まり料金()
  • 特徴を文章として書き下せないうちは、設計もぎこちないものになる。
  • 最初の概念クラスは文章を書き下したものにする。実際のシステムとしては過不足があって当たり前なので、まずは そのまま 書き下す。
  • 分かりやすい設計はテストをあまり必要としないし、結合テストに至っては不要で、それが必要になるのは背景に設計上の無理がある。
  • 概念クラスがツリー構造として表れたら、上部や下部と密結合の臭いがするので要注意。
  • 概念クラスがネットワーク構造として表れるのは、DDDとしてはきれいな兆候。

2日間の総括。

「相手の言葉に耳を傾け、聞き出し、書き表し、声に出して読み、整理する」という、国語力を非常に求められるワークショップでした。 「制約によるコミュニケーションの不足」は普遍的な課題だと思っていますが、地道な国語力向上こそ克服の鍵になりそうだ、という感触を得ました。

DDD Allianceの「第3回 実践的ドメイン駆動設計ワークショップ(1日目)」に参加しました。

下記のワークショップに参加してきました。

ddd-alliance0003.peatix.com

私がこのワークショップで磨かれたと思う技術は、

システムを特徴づける概念を浮き彫りにする

ということでした。

そのためにやったことは、

  • 要約する
  • 具体化する

という訓練でした。

これから意識しようと思ったことは、

  • 要約するときは、抽象的な概念で網羅的に短く述べるのではなく、重視する具体的な概念を端的に短く述べる(要約は概要ではない)
  • 要約を文章として表現したときに、 違和感無く伝わりやすい言葉遣い かどうかにこだわる
  • システムで 重視しない要素を明示的かつ徹底的に取り除いた結果 として、 本当に重視する部分が残る

ということです。

面白かったことは、要約するときに重視することを明らかにするという発想は自然に意識できても、 重視しないことを明らかにする という発想は意識的に行う必要性を感じたことでした。コインの裏表ではあるのですが、意外とできないなというのが率直な感想でした。

印象に残ったことは、「抽象化するという表現は曖昧なので、簡素化するという表現を使うようにしている」という主旨の、講師である増田さんの発言でした。 ドメインが何であるかを伝える継続的な努力こそがドメイン駆動設計の核心、という考え方の具体的な表れだと感じました。

全体6時間で途中休憩は合わせて15分と、脳みそが回転しっぱなしのワークショップでした。 最初のワークは現代文の試験を受けているかのような気分になりました。

ブログ記事にでも書いて振り返らないと、せっかくの気づきを忘れるという危機感から殴り書きましたが、書き起こしきれない気づきがまだたくさんありました。 来週の2日目が楽しみです。

私の思考法を絵にしてみた

作ったもの

https://dl.dropboxusercontent.com/u/153302/the_graphic_for_insights/the_graphic_for_insights_20140217_b.png

私の使用目的

  • より良い考え方をするためのパターンとして、できるだけ多くの状況で使えるようにする
    • なるべく抽象的にして、具体性を排除する
      • この絵を使った思考法が活用できる機会が増える
        • この絵を使った思考法を繰り返し実践し、習熟する
        • この絵をより良くするための気づきを得る
      • 状況に応じてバランスを取ることを常に意識しやすくなる
      • 具体性が無い分、ストーリーの組み立てに時間が掛かる
        • 絵に問題領域特有の具体性を与えて、その問題領域向けのパターンを作る
    • この絵を説明するのにも、この絵を使えるようにする
      • 再帰的に使えれば、連鎖的に使える
        • 応用しやすくなる

絵の解釈のヒント

  • 中央の白い星(光)
    • 考える対象の核心
  • 中央下のプリズム(虹色の四角)
    • 核心をより具体的な組み合わせに分解するルール
      • 遡れば綜合された核心に辿り着く
        • プリズムが共有されていないと人によって核心が異なる
    • メンタル・モデル
      • 直接捉えることは難しい
        • 後述する中央下の三つ星の観察から推測することが多い
  • 中央下の三つ星
    • プリズムによって分解された、核心に対する異なる見え方や性質(の一部)
      • 星の一つ一つはメンタル・モデルよりは具体化されていて捉えやすい
      • 3つとは限らない
    • ミッション・ステートメント
  • 白い星を囲むパネル4枚
    • 白い星に与える影響の相互性
      • 何かを足そうとすれば、何かが減っている
        • 意図的には逆に働く
        • 足そうとしたものと減ったものが同質とは限らない
          • 問題になっている質がすり替えられる
            • チャンスでもあり、リスクでもある
      • 何かを掛けあわせられるようにするなら、何かを分割するしかない
        • プリズムを定義することに極めて似ている
        • 掛けあわせは意味の連鎖を生む
          • 価値の指数爆発
  • 中央上の鏡
    • メタ的思考
      • 考えることを考える
  • 左上の時計
    • 常なる変化
      • 組み合わせると特に色々気づける
    • タイミング
      • 時間軸のどこに注目しているのか
    • 有限性
      • 時間そのものが資源制約として極めて大きな存在
  • 右上の虫眼鏡
    • スケール
      • 鵜の目鷹の目、見の目観の目、木を見て森も見る
        • 変えると見えるものが変わる
          • 見えるようになるものと、見えなくなるものがある
      • 対象との距離
        • 物理的
          • 空間的
          • 時間的
        • 精神的
          • 意味的
          • 感情的
  • 右下のハート
    • 生命
      • 感覚
      • 感情
        • 情熱
      • 経験
      • 記憶
      • 生物的特徴
        • 肉体的
        • 精神的
          • 文化
          • 言語
      • 遺伝
  • 左下のループ
    • 循環
      • 物事の変化と影響は循環して戻ってくる
        • 時計との組み合わせで見る
          • 戻ってくるまでには時間が掛かる
            • 遅れがある
            • その間に影響を与えたことを忘れる
        • 戻ってくる時は変化を与えた方向ではなく、後ろから影響を受ける
    • 相互作用
      • 循環とは別に、与えた変化と逆向きの変化が起こる
        • 与えた変化と同質で反対向きの変化が現れてくるとは限らない
          • しかし多くは意図を阻害する可能性が高い
  • 図の空白感
    • 見えないものに気づく
      • 気づきを書き加えても良い

私がこの絵を使う時

  • この絵を見て、私の思考のストーリーを組む
    • この絵は「順序と組み合わせ」という概念を大事にすることを意識する
      • 決められた順序や組み合わせは無いが、それらの概念は大事
    • 時計を見て、思考に使える時間と、評価のタイミングを明らかにする
      • 時間はいつも有限
        • ハートと一緒に見れば、体力や精神力、寿命も有限
      • 時間はいつも流れている
        • 世界も自分も常に変わっている
          • 学習し、忘却する
          • 成長し、衰退する
          • 発生し、消滅する
          • 残るのは大事なことだけ
        • 評価のタイミングによって価値が変わる
    • 白い星を見て、「何を考えるのか」を明らかにする
      • 目的の明確性の欠如は、思考をブレさせる
        • 極限まで-と÷を適用し、星を小さくする
          • こだわる箇所と量を減らす
            • 最大限こだわりたい箇所に全資源を注ぐ
        • 同時に考えるべきだが異質な目的がある
          • 中心の星だと考えていることが、実は中央下のプリズムの先にある三つ星の1つかどうかを疑う
            • 中心にあると思っていたものが、本当に目指しているものの一側面でしかない可能性が高い
            • 抽象度を一段階上げて、白い星とプリズムを定義する
    • 鏡を見て、「なぜ考えるのか」を明らかにする
      • 対象を考える自分がどう映っているか
        • ハートを見て、自分が対象に対して
          • ポジティブかネガティブか
          • 積極的か消極的か
    • 虫眼鏡を見て、「どこまで考えるのか、どこからは考えないのか」を明らかにする
    • ループを見て、「このストーリーで何がどういう順番でいつどのように影響をもたらし合うか」を明らかにする
      • ハートを見て、「このストーリーがもたらし合う影響に安心できるか」を明らかにする
    • プリズムを見て、「白い星は何の組み合わせと順序から成り立っているか」、プリズム下の三つ星を明らかにする
      • 三つ星を一つずつ白い星と見立て、再帰的にストーリーを組む
  • 常にこの絵を意識の片隅に置いておく
    • 自分の思考のストーリーをすぐに思い出せるように

特定の領域に特化させたパターンの一例

対人関係に特化させたパターン

  • 自分と相手はプリズム下にある三つ星の別々の星(左側と右側)
    • 色と角度が違うので、全く違って見える
      • 星どうしを直接結んで理解し合うのは難しい
  • 白い星
    • 自分と相手が共通して望むこと
    • プリズムが共有されていないと、ここから食い違う
      • 白い星を共有する前に、プリズムを見つけ出して共有する
  • プリズムや白い星を共有するとき
    • 三つ星の中心にあたる存在を探して仲介してもらうと楽
      • それが人とは限らない

MVCデザインパターン)の理解に特化させたパターン

  • MVCはプリズム下にある三つ星
    • 中央がC
  • 白い星
    • 良い設計
  • プリズム
    • ソフトウェア設計
      • 理解が無いとMVCを本質的には捉えられない
        • 理解のためにソフトウェア設計を白い星として捉えたパターンを考える

ソフトウェア設計を白い星として捉えたパターン

  • 白い星
    • ソフトウェア設計
  • プリズム
  • 三つ星
    • 分離された関心
      • 組み合わせとして捉える必要がある

ゲーム開発における、ピラーの位置付け

  • ピラー
  • 白い星
    • そのゲームが目指す「理想的なゲーム」というビジョン
  • プリズム
    • そのゲームにおける「理想的なゲーム」の要素組み合わせルール
      • 具体的に表現しようとすると大変
        • 理解する方も大変
  • 三つ星
    • ピラーのセンテンス
      • それぞれが三つ星のいずれかに相当
      • プリズムと違って具体的で簡潔な文章で表される
      • 組み合わせ全体としてプリズムの理解を助ける
        • 三つ星全体が把握・共有されることで、プリズムを共有しやすくなる
          • 共有されるビジョン(白い星)がブレにくくなる

ブレインストーミングの心構えと準備、ちゃんとできてますか?

はじめに

最近、ブレストをやってほどほどに楽しい経験をしたのですが、パンチが足りないと思い自省を込めて振り返ってみました。

この記事は以下の構成になっています。

  1. キーセンテンス -- ここを読んでピンと来なければ読むのを止めた方が良いです。続く内容はこれの行間に当たります。
  2. ブレストの阻害要因と対策
  3. ブレストの前に終わらせておくこと

キーセンテンス

  • ブレストではアイデアの妥当性を考えない
  • 妥当性の無い考え方や行動をすると、不安になる
  • ブレストで評価するのはアイデアの内容ではなく、アイデアの数
  • 不安を克服し、考え方のクセを直すのは容易ではない
  • 普段と違う環境で、普段と違う行動をしながら思考する
  • イデアを付箋やホワイトボードや壁に書き付けながら考える
  • 人間の短期記憶が同時に扱える個数は3~7つくらいに限られているため、書き付けないとすぐに限界に来てしまう
  • ブレストの参加者間で目的の認識が揃っている
  • ブレスト中に目的認識のズレに気づいたとしても、直接的に「間違っている」という意思表示は基本的にタブー
  • 発想を伸ばしていく方向を、自分でアイデアを追加するなどして、なるべく自然な形で誘導する
  • ブレストには対立を持ち込まず、あくまで協力して行う
  • ブレストは目的認識を揃えた上で実施しないと、ただ混沌とした結果しか生まない

ブレストの阻害要因と対策

ブレストは選択肢を広げる強力な手法ですが、その効力を最大限に高めるために必要な心構えがあります。それは、

ブレストではアイデアの妥当性を考えない

ことです。

当たり前ですか?でも、これには訓練や慣れが必要だと感じます。

私が受けてきた学校教育の多くの科目においては、成績評価のため、思考と行動の妥当性をテストされました。そのせいか、私は

妥当性の無い考え方や行動をすると、不安になる

のです。

ブレストは思考を発散させることで、既成概念に囚われない、新たな選択肢に気づくための手法です。アイデアの妥当性を判断することは、すなわち既成概念に囚われることになります。

ブレストで評価するのはアイデアの妥当性ではなく、アイデアの数

です。このことをまず、参加者全員がアタマに叩き込む必要があります。間違っているとか正しいとかそういうことを考えてはいけません。まずは理性で不安に対処します。思い付きとひらめきを信じましょう。内容の妥当性は後回しです。

……と言われても、私はブレストでもアイデアの妥当性をつい考えてしまっていました。

不安を克服し、考え方のクセを直すのは容易ではない

のです。

そこで効果的なのが、

普段と違う環境で、普段と違う行動をしながら思考する

ことです。

集中力を削がないようにしつつ、寝っ転がったり、歩き回ったり、外に出たり、甘いものを飲んだり、深呼吸をしたりすると効果的です。逆に座ったまま行うのはオススメしません。

基本のスタイルは立ったまま、

イデアを付箋やホワイトボードや壁に書き付けながら考える

というものです。アイデアを書き付けることは非常に重要です。なぜなら、

人間の短期記憶が同時に扱える個数は3~7つくらいに限られているため、書き付けないとすぐに限界に来てしまう

からです。

ブレストの前に終わらせておくこと

もし、あなたがブレストのファシリテーションを試みるのであれば、

ブレストの参加者間で目的認識が揃っている

ことにも注意を払うと良いでしょう。思考を発散させていると、目的認識までズレてしまうことがあります。一番簡単で効果的なのは、目的が目立つよう常に見える化しておくことです。マインドマップにおけるルートノード(中心に書く根元の項目)は、この役割をよく担っていると思います。

ただし、ブレストのファシリテーションには、

ブレスト中に目的認識のズレに気づいたとしても、直接的に「間違っている」という意思表示は基本的にタブー

ということに留意してください。そうした意思表示がされると、「アイデアの妥当性が評価されている」という印象を抱かせてしまうからです。これはその場で他のメンバーを萎縮させるだけにとどまらず、ブレストについて誤解を与え、その後のあらゆるブレストにも非常に悪影響を及ぼします。

しかし、ズレたまま放置するのはファシリテーターとしての役割を放棄しています。一案としては、

発想を伸ばしていく方向を、自分でアイデアを追加するなどして、なるべく自然な形で誘導する

と良いと思っています。ブレストはそもそも色々な方向に発想を伸ばしていくものなので、今伸ばしている発想と違うところを伸ばし始めることは、ズレが無くても自然に起こります。

もし、ブレストを始めると、すぐに目的認識のズレが発生するのであれば、まずブレストの目的についてメンバーで洗い出してみるといいでしょう。おそらくそのような状況では、メンバー間で目的意識は驚くほどバラバラになっているはずです。この作業はブレストではないので、喧々諤々の議論になるかもしれませんが、それで良いのです。

ブレストには対立を持ち込まず、あくまで協力して行う

ことに積極的になりましょう。

ブレストは目的認識を揃えた上で実施しないと、ただ混沌とした結果しか生まない

のです。必要に応じてブレストの前に時間を取り、目的を明確にし、認識を揃えましょう。

終わりに

いかがでしたでしょうか。ブレストが面白くない、ブレストしても思ったように成果が出ない、という方の助けになれば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

Be creatively! Get more fun!

勉強と実践の継続サイクル

この記事について

2013年12月14日に開催されたたてらぶ〜DevLOVE現場甲子園 完結編〜 - DevLOVE | DoorkeeperのLT枠で、飛び入り発表した時の内容+アルファです。飲み会中のLTだったため、ノリ重視な点はご容赦ください。

当日の発表資料が欲しいという大変嬉しいお声を頂いたので、少し時間が開いてしまいましたが掲載します。こちら(以下の画像と同じ)です。ブログとして書くにあたり、画像の編集を含め、一部内容に変更があります。

f:id:woira:20140119002522p:plain

資料をスクリーンに映しながらスライド無しでひたすら喋ったので、大体の内容をあらためて書いておきます。

勉強って大事

これは当たり前の話ですよね。では、勉強を継続することは無理なくできるでしょうか。

勉強は大事、だから頑張って自分を奮い立たせて勉強する……といった根性論ではなく、もう少し無理なく勉強を継続するための方策を考えるために、私はこの図を書きました。

ここでは、あるドメイン(≒課題領域)における、私個人のモチベーションに注目します。

勉強の前に何があるか

f:id:woira:20140118232954p:plain

意識的に行われる行動の前には、その行動を実行に移すモチベーションの存在が不可欠です。

私にとって、私の勉強のモチベーションは、その多くが

  • ワクワク感
  • 危機感

この2つに集約できると感じています。 さらに、ワクワク感は必要性の感じ方の程度を抜きにしてモチベーションに影響すると感じています。

したがって、勉強を継続するためには、この2つに繋がるものを継続的に発生させることが重要になります。 さらに、それらの発生要因が勉強の先にあれば、勉強すること自体が次の勉強に繋がるため、より無理のない勉強継続のサイクルになるでしょう。

補足として、必要性の感じ方の程度とは、例えば試験が間近だとして、

  • 試験勉強をすれば評価が高くなるから
  • 試験とは無関係なものは勉強しないで
  • 試験に関係あるものを勉強する

といったものです。

勉強に何が必要か

f:id:woira:20140118233849p:plain

勉強の必要性を感じても、行動に移せないことは珍しくありません。 それは、やる気の他に、勉強には必要なものがあるからです。

  • 勉強する時間
  • 勉強する体力
  • 勉強場所

これらは、必要なリソースや条件であるとともに、勉強のモチベーションにも影響します。

適切な勉強場所を選ぶことは、そこに居ることで

  • 意識的な区切りが付けられたり、落ち着いたり、
  • 勉強に必要な情報が得られたり、
  • 喉の渇きや空腹を満たせたり、

などとモチベーションを下げる様々な要因を遠ざけたり解消するのに役立ちます。図書館やカフェだと集中できるけど、自宅ではダメ、といったことに合致し、これは自然なことだと感じます。

これらの要因は図が複雑になるので載せていません。図で全ての要素を示すと、注意が散漫になってしまいます。

ワクワク感と危機感、時間と体力と場所が揃った時……Yes!私は勉強をすることができました!

勉強のその先に何があるか

f:id:woira:20140119010408p:plain

勉強をすれば、新しい知識が得られます。知識と言っていますが、ここでは記憶といった意味合いです。ただ純粋に覚えているという状態です。

新しい知識は、それを理解することで、得られた知識を行動によって実践する余地になります。

理解のためには、下地となる知識が必要になるでしょう。繰り返しになりますが、図に示していない要素が存在しないということではありません。

実践する余地と、実践する時間と、実践する体力がそろえば、勉強した内容を元に行動できます。これは、新しい経験に繋がります。

新しい経験は、ワクワク感に繋がる……ここで、勉強と実践の継続サイクルができました!!

継続サイクルが止まる要因は勉強の先にある

f:id:woira:20140119010723p:plain

時間と体力という共通リソース

実践には、勉強と共通するリソースを割り当てることになります。つまり、勉強ばかりだと実践の機会が自ずと失われるということです。逆もまた然りです。

また、仕事や家事で時間や体力が削られれば、両方の機会が無くなってしまうこともあります。

時間だけ、あるいは体力だけあっても、勉強も実践もできません。時間と体力のリソースを確保し、その配分を調整することが、勉強と実践の継続サイクルを回す鍵になります。

時間の経過に伴う変化

勉強、理解、実践の3つは、それぞれ時間の経過を伴う行動です。時間の経過とともに、覚えたことは忘れ、理解したことは陳腐化し、新しい経験もまた忘れます。

したがって、この3つのどこかで行動が止まると、前提となる要素がどんどん無くなっていきます。逆に考えれば、サイクルが止まってしまった時、その原因はいずれかの行動が不足していることを示唆している可能性があります。

このサイクルは回し続けることで勢いが付いて回しやすくなりますが、同時に途中で止めると勢いが衰えていくことを意味します。

勉強がもたらすもう一つのサイクル

f:id:woira:20140119002522p:plain

改めて全体の図を見てみると、図の左下部分、新しい知識の下に何かあります。新たな問題の発見です。

勉強したり、勉強した知識を元に実践すると、純粋に分からないことが出てきたり、疑問に感じることがあります。こうした事を通じて、新たな問題が見つかります。

新たな問題は、ワクワク感と危機感の両方に繋がります。試験前の勉強中に問題の意味すら分からなかったら冷や汗モノですね。

終わりに

純粋な根性論よりも無理なく勉強を継続するための方策を見い出せたでしょうか?

私は、この図は拡張可能なものだと考えています。例えば、この図では、勉強場所を確保するためのお金について言及していません。しかし、これも重要な要素です。お金を払って学校や塾に通えば、先生という情報源があります。あなたの勉強領域にとって、先生という形での情報源が特に重要な意味を持つなら、その領域において、お金もまた重要な意味を持ちます。

この記事を読んでくださった方にとって、この図が一つのパターンとして助けになれば幸いです。