2014年、読者はどこへ消えた
次回より下記に引っ越しいたします。よかったら、また見てね!
自費出版物の扉 http://ameblo.jp/xasunaro/
どうも今年は、本当に本が売れない年になる様な気がしてなりません。なんとも物流に勢いがないんです。同業者に聞いても本屋さんに聞いても同じ反応です。
「30年、本屋をやっているけど過去最悪の状況だよ!」って。
書籍は新刊の発刊点数(およそ7万)は横ばいで推移しているようですけど、出版業界の返品率は40%台ですよ。新刊や他の注文を納品しては返品が繰り返され、商品サイクルの短縮以前に業界内の商品キャッチボールの様です。
「読者と本(作者)の接点は途切れてしまうのか」
一方、海外の先進国では、そんな悲鳴はなく良好みたいです。アメリカ、イギリス、ドイツ、さらに中国は成長傾向なんだって。特にドイツは郡を抜いて読書需要が高く会員制度、読み放題やオンデマンドを活用した自費出版といった幅広い提供をしているそうです。
読者を考えているのか、いないかの差が結果となっているんでしょう!
そして、自費出版物は。。
そもそも、売る目的で作られていない側面があり流通外の出版物もあります。自分史や記念として出すケースも多いなかで自費出版の動向がつかめません。ただ、仕事で共同出版物やコネを使って商業にねじりこんできた自費出版物を扱う事もあるんですがまず売れない。訪問した自費出版社の話や検索上から仮定しても商業出版と変わらない状況でしょ。。。
私見の不安めいた”ぼやき”ですけど、読者はスマホや携帯端末で読んではいるんです。紙ではないだけで、読む行為は減っていないんです。アマゾンの登場からネット書店だと、つい”もう一冊”なんて多く買ってしまう読者もいるんじゃないでしょか。
新たな本との出会い方って、今後のひとつの課題じゃないかなー。紙を売るネット書店の今がその初期段階となってほしいものです。
商業出版物の発行点数より自費出版物の方が多い
はてな新館の過去(2007年)の記事ですがビックリしました。
http://d.hatena.ne.jp/myrmecoleon/20070716/1184582057 はてな新館/記事
発表の場を求める方が多い事にビックリしたんです。それは将来に作家を目指す人たちが沢山いる一面とも言えます。既に、注目を浴びている電子書籍で創作活動してる人は多いんだと思います。どう考えても、紙の自費出版は「お金」を持っている人向けですから、作家を目指し発表の手段を考える若者には電子書籍の方が安心で実行性があります。紙で出版して書店に平済みされる作家を目指していても、安価な電子出版をステップアップの手段にすればいいんです。そのほうが現実的でしょ。
また、ホームページ・ブログ・ユーチューブ・Twitterと「個」が発信できる道具がいろいろ登場して幅広い層で利用されていますが、ここに、従来の姿から進化する電子書籍が仲間入りしないはずはないと頑固に考えている私なんですけど、そこを場としたトップを目指いすのもいい。
それと、電子書籍はゴールドラッシュではなく、今後の課題はあれど電子でのメリットが紙書籍販売上では出来ない多くの課題を解決し、心地よい読書環境を築いてくれる手段だと思っています。
電子書籍コンテンツの市場規模
2011年 671億円
2012年 729億円
2013年 1010億円
2014年 1220億円
2015年予測 1530億円
2016年予測 1850億円 ict総研レポートより
既に、数字が読者の意向を表していますから、作者も作品に触れてもらえる場として電子の活動が望ましいとしている方も多いのでしょう。もちろん、作品の見せ方として紙の選択もおおありでしょう。それに読者の意思があります。画集や詩集を見て感じるには画像は選択しないでしょ。ここに紙書籍が無くならない一つの価値があります。
音楽、スポーツであればライブがいい。絵画も画像より紙、観光も現地に行きたい。私たちは自身の持つ感性に刺激を与えたいんです。だから行くんです。無くなった道具、姿を変えた道具は過去にたくさんあります。電話もそう。紙も同じ道をたどるのは間違いないと思います。けど、未来に向けて今は紙が必要な時期・時代なんです。電子は紙の強みを持ち合わせていませんから、そもそも役割が違うんです。
両者がどう機能しあい、時に連携する事で読者と作品との接点が高まり、ひとは読書を楽しみ、豊かな人生観を得る事になります。そこが本の役割であり存在でもあると思います。
先日、アメリカ/シカゴから来たご夫妻と話す機会があって、アメリカの読者環境を伺ったところ、キンドルなどの端末で読むスタイルが一般的になってきたとの事。学校教育では基本的にパソコンで、記憶をさせる時には徹底的に紙を読ませていると言っていましたが、奥さんは「徹底的」をやたら強調していたのが印象的でした。
キーワード
下記は、私がグーグル・キーワードを使って”自費出版”を検索したランキングです。
Googleキーワード
当然、どんな人たちが検索したのかはわかりませんけど、書く人、読む人、本屋さん、出版社関連の方は多いでしょう。検索ランキングの内容では上位から、
・自費出版 費用
・自費出版 詐欺
・自費出版 相場
下位にむかうにつれて
面白いですね。電子書籍がさりげなく集中して来てます。そんなに時間はかからずに、このランキングは逆転ですね。
さて、ここから先が問題なのだ。
日本でのエージェント、新たな読者サービスの構築と盛り沢山ですね。
次回からは、ここを考え、具体化してゆきたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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自費出版物の扉 http://ameblo.jp/xasunaro/
それでは、また。(花マキでtwitterしてまーす)
今後の自費出版を考える前に、現在はどうなっているのか
自費出版と商業出版は何が違うのか
何が違うのかって制作費用ですよね。そして肝心な作者の好きな事が書けるのか、書けないのか。検索するとあちこちで比較ができますので今更なのかもしれませんが、私見も含めながら取り敢えず並べてみますね。
企 画
自費出版物(作者) 商業出版物(出版社)
商業は儲けなければ意味がありませんから売る企画が大前提。出版社は売れるプロ作家との交渉、獲得に四苦八苦してます。一方、自費ではエッセイ・小説・写真集・研究論文などの出版が多いと聞きます。また、プロ作家への足掛かりとする人もいると思いますが、この場合はいくら自費出版でも売れる企画・内容として書かざる負えないでしょう。
むかし、少年サンデーに連載が決まり人気作品を書いていた同人誌仲間がいましたがある時、ぼやいてましたよ。「本当は、SF作品を書きたいんだ!学園ものなんて書きたくない」って、その通りで同人誌ではSF物だけでした。
今でも忘れられない一言です。
所有権
自費出版物(作者) 商業出版物(出版社)
自費出版された本は基本的に作者の所有物。ただ、商品化された自費出版物(共同・協力出版)などは出版社所有が一般的だが発売会社の契約により違いがでる。
費 用
自費出版物(作者) 商業出版物(出版社)
自費は執筆をして、編集から印刷までのプロセスを業者に委託するのだから自己負担。共同・協力出版などは出版費用の一部を作者が負担など契約関係による違いもある。そして自費出版社で問題事例で多いのがこの点で高額費用からのトラブルですね。
高額と言っても印刷の部分だけを考えると、最終的な本の体裁をどうするかで費用はだいぶ違ってくるわけで、紙質・カラー・ハードカバー、ケース・表紙デザインなどをオプション的に加えれば結構な費用となります。また印刷は部数よりもページ数により費用差が大きいんだと出版社からよく聞きます。ある意味「オーダーメード出版物」なんだから、そもそもが安い買い物?には思えませんね。冷静によく打ち合わせしてトラブルを回避するしかないですね。それと、印刷会社に原稿を持ち込めば、印刷が主となりますから自費出版社より結構安くは済むみたいです。でも原稿の校正・校閲なしの本って。。まあ、本ですね。姿は。。。
販売促進
自費出版物(販促なし) 商業出版物(販促あり)
「あなたの本が店頭に並ぶ」などの広告を目にしますが、その自費出版社が物流網を持つ発売会社と契約関係があれば書籍物流に乗せることは可能です。そこから、「取次店」ルートを介して本は動かされ書店に届きます。「取次店」は中小ありますけど、日販とトーハンの2大大手があり独壇場です。
よって、発売会社との契約を持たない自費出版社であるなら出版物流から本が書店に届く事は絶対にないんです。作者は自分で作品を持って本屋さん営業するしか無いんです。(なかなか、置いてはくれないはずですよ)
じゃあ、各自費出版社は取次店と直接の取引をすればいいんですけど、、。取次店との取引関係になるには審査があるんです。契約までには年間の出版計画や販売実績、財務などの審査が厳しいんです。まして現状は倒産、廃業も多い時代にあって優良とされなければ契約は年々厳しくなってきていると言えます。契約が取れなければ自費出版社は発売会社に委託せざる負えないんです。
ですから、
作者は配本(新刊)が希望であれば配本可能な業者を選択すればいいんです。ただ、発売会社は取次店への諸費用の支払いや自社での在庫管理、配送等の経費がかかっていますので、印刷だけの制作とは違って作者への費用負担は高くなります。
下記は検索で知った協力(共同)出版会社ですが、発売会社の1社に”星雲社”を見つけました。ここは、私も仕事の関係で出入りしていた時期もあるんですが組織としては商業出版物上の認知度は十分だと思います。また、サイトは私が納得する事業展開をしている組織だと感じてリンクしました。(念のため、宣伝の目的はありませんよ)
お手軽出版ドットコムhttp://www.otegarushuppan.com/faq/allfaq2.html
利 益
自費出版物(ほとんど無い) 商業出版物(ヒットすれば大きい)
自費出版する目的は作家になる。社員に配る、記念、ツールとしてなど目的は様々ですから対価としては喜びや満足の精神的リターンとお金としての報酬リターンを求めるのいずれかしかありませんので個々の作者しだいでしょ。
ご多分にもれず本も多品種少量物流、薄利多売です。商品販売をする上で、これほどアイテム数が膨大にある商売は他でお目にかかりませんよね。棚卸作業も手間暇かかるので棚卸業者に依頼する書店も多いです。
おっと。利益でしたね。
商業出版物の利益は以下が標準的な目安と言えます。
出版社 70% 取次店 8%~10% 書店のマージン 20%~22%
本は小説・経済書・コミック・写真集などなどと多ジャンルにわたり、伴って価格帯や仕入正味の差もありますから、まさに薄利多売で成立しています。例えば、医学書であれば他に比べ高額商品が多いですが需要層も限られてきます。更に仕入れ値が高い面もあり各段階での利益は一点に対し大きい商材ですが、他ジャンルと同様に多売が不可欠となります。美術書の分野でも似てると思います。
商業出版社の利益は70%とありますが出版社サイドでの印刷費や広告などの活動費を差っ引くと20~30%が実の利益の様です。時どき、出版社の方にこの話題を出すと必ず口を濁されます。当然ですかね。
一方、自費出版物の利益は
本は作者の所有物となりますから、その本が売れた売上金は全額作者の利益です。ただし、上記の発売会社を介しての売上げに関しては流通段階(取次店、書店)でのマージンが生じます。更に発売会社でのマージンも生じますから、その残りが作者の取り分となります。結果、作者も薄利の勘定に納まります。
ちなみに、
全国の書店へ新刊配本を委託する際の卸条件は67%~70%の範囲です。70%以上の卸条件は基本的にありえません。他の中小取次に依頼を考える場合でも販売エリアの限度もある上で基本は同様です。作者の得る利益は発売会社との交渉次第とは言え、大ヒット作を生み出して、やっと大きな利益?を掴めるという仕組みにも見えますね。
印 税
自費出版物(なし) 商業出版物(ある)
自費出版の場合は自費出版会社が判断した増刷分が印税の対象。仮に自費出版会社と別契約があったとしても印税は2%~3%がせいぜいらしい。協力(共同)出版会社では契約としてある場合のみ発生。一方、商業出版では5%~10%となっているようだ。
今回、書き出してみて感じるのは「仕組み」です。何事も「古い」か「新しい」かは重要であり時代に即した変化はするべきと考えます。「古く」ても変える必要がない事もあります。私の立ち位置からすると自費出版は今、変わっていく時、自費出版は曲がり角にあり読者たちが先行しています。なら、仕組みも変化が求められていると言う事でもあります。「自費出版と商業出版の違い」として並べてみましたが、もっと掘り下げないとならない内容や他にも違いもありますが、今後のテーマから違いを照らし合わせ比較する事が必要になっていくと思います。
次回からは「変化」「変更」を考えていきます。
最後に
まだ、3回の投稿ですけど、いつも注意している事があります。
「自費出版物」と看板を掲げながらも、ぼくは商業出版が仕事ですので自費出版については知らない事がたくさんあります。ですから、自費出版でよく理解出来ていないことや知識や経験の不足からの根拠のない無責任な発言にならない様にしています。そのような発言で皆さんに不快感を与えてはならないと思っています。(既に言ってるかも)
反面、わたしが知る商業出版からみた自費出版の世界に役立つだろう事があれば、あれこれ感じた事は書きたいと思っています。(ここが注意すべき箇所かも知れません)そして、その発言をする事が誰かの役に立つ事となれば、私はそこは続けようと決めてます。でも、表現で「おや」とか「おい」といった内容がありましたらご指摘ください。有難く受け止めさせて頂きます。 m(__)m
最後まで読んで頂きまして、ありがとうございます。
それでは、また。(花マキでtwitterしてまーす)
自費出版の将来って
自費出版社のイメージ
前回、お伝えの通り私は商業出版物の取次卸しを仕事としていますが、昔は、わたしも漫画と同人誌の創作活動をしていました。それから現在、想像も出来なかったネットワーク社会が到来しましたが、このような環境下で創作活動ができる方々をうらやましくもあり、今後の行く末が気になるのが自費出版物です。
気になりだしてから3か月「自費出版社とは」から始まって情報取集をはじめました。同じ出版業界とは言え、自費出版社の情報は身近な関係がありませんので情報取集はやはりネットが頼りです。あれこれと検索しましたが、多くの情報の中で必ず出てくるのが”自費出版社”に対する悪評や警告です。
・自費出版の料金体系が高額
・契約本位の営業姿勢
・書店への配本がない
「また」と言いたくなるくらいに、この辺りの注意や事例、相談事は必ずありますね。「さあ、本を作るぞ」といざ決心しても、私みたいな一般人には業者選びの難しさがあるリスキーな業界イメージが先行してしまいます。創るスタートがここからとは、いかがなもんでしょう。とても、残念な事です。
たまたまのタイミングで、本を一冊読みました。自費出版会社を舞台とした小説で「夢を売る男」百田尚樹です。とても感激しました「なんて商業出版の現場がリアルに描かれているんだろう」、「自費出版会社って、そんなことしてる組織もあるのかい」と仰天しつつ、「じゃあ、自費出版社って実際にどんなとこなんだ」と気持ちが高まって短時間でしたが、とある自費出版社に飛び込みで見学に行ってみました。
そちらでは自費出版社としては古くから活動していて、一時の自費出版ブームも過ぎた今は出版の申し込みが減少している厳しい状況だとの説明でした。出版のジャンルとしては自分史・小説・写真集・論文が多いみたいです。おっと、漫画を聞くのを忘れてしまいました。
でもねー、受注の減少はブームとかじゃなくて自費出版業界への残念なイメージも影響しているんでしょうね。こちらは紳士的な版元でしたよ。。。
自費出版の呼び方
何事も全体イメージは大事です。過去の自費出版社イメージを払拭する為にもクリアでピュアな呼び方が生まれませんかねー。
セルフパブリッシング、セルフ出版、自己出版、個人出版、電子自費出版などとも呼ばれていますけども個人的には「セルフパブリッシング」がお気に入りでして、今後さらに「個」の感性が活かされ、活躍する社会の呼び名としてイメージにピッタリだと思うんですが、いかがでしょう?
IT用語辞典バイナリ → セルフパブリッシング
読者は紙から端末にシフトしているのか。
古代からの「表現」「情報」の記録として壁画、巻物、印刷。そしてデジタルの現代。読書ツールのキンドルや多機能で読書機能もある魅力的なスマホの登場。
通勤時でもグルリと周囲を見渡すと誰もがスマホ片手に読む、書く、聞く事のいずれかを楽しんでます。多くの人たちに魅力的なツールとなったのは間違いはないですね。ただ、車両で紙の本を読んでいる人を見つけると嬉しい気持ちと珍しいという、妙な気持ちになってしまうのは私だけでしょうかね。
基本的には紙の出版物が好みなんですけど、あえて乱暴に言うと「紙でもデジタルでも、どっちでもいいんです!」デジタルは敵じゃなく仲間としてあれば、「読者」「作者」にとっての選択の幅となり、目的での使い分けが読者への期待を実現できる可能性にも繋がります。
要は、「作者が良い作品を書ける環境・条件を築き、そこから生まれた作品を快適な環境で読者に提供する」ことです。
人々に欠かせない書く(創る)、読むという世界の整備が商業・自費出版のどちらも不可欠です。遅れている状態は出版不況の大きな一因とも言えます。特にいま自費出版をどう考え、変化していくかのチャンスであると感じます。
まず、考える事は「未来の読者と作家たちのために、いま何をしなければならないのか」だけなんです。
私としましては。。。
最後まで読んで頂きまして、ありがとうございます。
それでは、また。(花マキでtwitterしてます)