ニンジャスレイヤーのハードSF性
「たいしたもんだ。大体のやつは三日もあれば仕上がっちまう」アイザワは言った。クロマは瞬きした。「貴方はどれぐらい?」「ええと、10日か……随分経っちまったなァ」「大丈夫なんですか」「耐えるコツがある」アイザワはニヤリと笑った。尋ねようとするクロマを遮り、「希望さ。心の王国だ」36
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2016年1月26日
通常、これらは人によってそう極端に違うものではない。人の想像力は無限ではなく、現実とかけ離れた情景は簡単に想像できないからだ。
「ローカルコトダマ空間ってのは、潜在意識だから、自分で意図したものを作るっていうのは大変なんだ。その人にとっての、ある種の切実さ……強烈な記憶の焼きつき……そういうものが大事なんだな」彼は焚き火越しにもう一つのイカを差し出した。「イカはもう、だいぶいいよ」2
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2013年7月31日
— njslyr_ukiyoe (@njslyr_ukiyoe) 2015年5月7日
「ウェイダ=サン、いいですか、落ち着いて。怒りはもっともです」ハシバは左耳に端末を当て、右手で小さくチョップを行い、自らを説得するように言った。「でも俺はマジでジェイクを捕えたんですよ。それが一瞬でニンジャスレイヤーだかになった?つまり、こうだ、ジェイクがニンジャスレイヤー」20
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2014年5月22日
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このまま彼はマグロを奪われてしまうのか?その時!大型サファリカーめいた武装車がストリートに止まり、鹿を引き寄せる特定周波数テクノを流した。鹿たちが引き寄せられる!「ドッソイオラーッ!」「ニィイイイイーッ!?」車の屋根に乗っていたスモトリ作業員が、サスマタで容赦なく鹿を捕獲! 10
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2012年3月14日
犬の首輪には「タロウイチ」の名。体には傷が多い。「冗談はやめて、フジキド=サン。犬に聞いて何が解るの?私との作戦会議より、犬と話してた方が実り多い、そういう事かしら」ナンシーにとって……否、ニンジャ以外の者にとって、ストライダーの言葉はただの犬の吠え声にしか聞こえないのだ。 45
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2014年3月1日
「俺は向こう側に、天狗の国に行かなきゃならねえ」ヤマヒロは涙を堪え、小さく笑った。「キルエレファント・ヤクザクランは、解散だ。カタギになれ」彼はタロと別れの抱擁を交わした。その後ろで、天狗もまた、オメーンの奥、人知れず泣いていた。そして聖戦士は、ヤマヒロを抱え、飛び立った。 86
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2016年1月24日
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サイバーパンクSFとカラテ
ニンジャとはヒーローである、と以前述べた。
ではヒーローとは一体なんだろう?実はそこにサイバーパンクと電脳空間が入り込んでくるのだ。
ヒーローの分類には「文化英雄」と呼ばれるものがある。
「火や作物の栽培法などの有意義な発明や発見をもたらし、人間世界の文化に寄与したとされる伝説的人物やある種の動物のことをいう。」とあるが、つまりこれは概念を代表する人物、ミームの担い手のことである。
これは「パンク・ニンジャ」「シ・ニンジャ」等を見れば分かりやすい。
パンク・ニンジャはどう見てもパンクミュージックの創始者の一人、シド・ヴィシャスである。
— njslyr_ukiyoe (@njslyr_ukiyoe) 2014, 3月 7
つまりパンク・ニンジャは「パンク」という概念を定義した存在ということになる。
同様に「シ・ニンジャ」は死、死神という概念を定義した存在だろう。
シ・ニンジャは桜、さらには蝶を扱うジツを使うが、これはおそらく「コノハナサクヤ」「プシューケー」のどちらか、あるいは両方を示していると思われる。どちらも「死、魂」に関する強力な神格だ。
そして「コトダマ空間のリアリティは最初にログインした人間が定義する」という話とこの「文化英雄」の定義は完全に一致する。
科学的補足を付け加えておくと、もしこの電脳IRC空間に彼女以外の者が続けてログインした場合、同じイメージを観ることになる。その部屋のリアリティは、最初に入室したハッカーが作るからだ。もちろん、後続ハッカーのタイプ速度がより速い場合、そのリアリティが書き換えられることもあるが……。
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2010, 12月 13
そしてリアリティを書き換える手段、タイプ速度はつまりカラテのことである。
ニンジャとはカラテで現実を書き換える事のできる存在と言える。
つまりニンジャとは「新たなコトダマを定義した存在、かつそこから現実に影響を持ってこれる存在」なのだ。
これらを照らし合わせるとコトダマ空間とは何かがはっきりする。
コトダマ空間とは文字通りコトダマ、情報の世界、物語、フィクションの世界のことだ。
インターネット、電脳空間はその入口にすぎない。ありとあらゆる創作活動、物質的でない活動全てがコトダマ空間に繋がっているのだろう。
そしてニンジャの「センセイ・アプレンティス」のシステムは「全ての物語は他の物語の派生である」という考えが元になっていると思われる。だからキンカクテンプル及びカツ・ワンソーは「全てのフィクションの始まり」の存在だと思われる。それは神話でありおそらくは「神という概念」なのでは無いだろうか。
ニンジャスレイヤーVSアベンジャーズ
リアルニンジャの正体
前回、リアルニンジャとは日本を支配した神格そのものと書いた。
ならば具体的にリアルニンジャ達がどんな神格に当たるかとその根拠を書いていこう。
- ドラゴン・ニンジャ
乙姫、豊玉姫、竜吉公主
ドラゴン・ニンジャは最も情報が多いリアルニンジャであり判断がしやすい。まず、始祖神の孫に当たるニンジャ六騎士の一員であり、ドラゴンをモチーフとする女神である。
紛れもなく古事記に記載されているし、数々のアーティファクトを用いることからもまず間違い無いだろう。
そこから逆算していくとキョート城=竜宮城となる。バイオリュウグウノツカイが堀を泳いでるし。
竜吉公主に至っては原作で「罰を受け天に昇ることができない」という設定までついているのだからキンカクテンプルに昇り損ねて現世に留まっている女神としては相応わしいと言える。
- ハガネ・ニンジャ
ハガネ・ニンジャははっきりと「エイトヘッズドラゴン」という表記がある。ツチノコとの併記だけど。刀もしっかり持っている。
でも古事記だと殺されてるじゃん、という指摘があるが、そこは「キョジツテンカンホーに寄って改竄された」という言い訳ができる。
しかも、ヤマタノオロチは生き残って酒呑童子を生んだ、という伝説もあるのだ。
あと配下に聖杯をクエストさせてるあたりはアーサー王もモチーフにしている節がある。フジオが剣を抜いたり、湖で剣を鍛え直したのもその一環だろう。
- ヤマト・ニンジャ
- ソガ・ニンジャ
- ゴグウ・ニンジャ
- ハトリ・ニンジャ
- ナラク・ニンジャ
なんで我々の知る古事記とニンジャ神話に乖離があるかといえば前エントリーに書いたように、ソガ・ニンジャがキョジツテンカンホーによって自分の正当性を示すために勝手に神話を改竄したからと考えられる。
ニンジャとはなにか
ブログを放置しとくのもなんなのでここで一度「ニンジャとは何か」の自分の考えをまとめとこうと思う。
以前、自分はニンジャとはアメコミヒーローの戯画化なのではないかと書いた。今でもある意味それは間違っていないと考えている。
しかし、繰り返しニンジャスレイヤーのエピソードを読む度に、もっとはっきりした考えがまとまってきた。
そもそも公式が「ニンジャとは何か」についてはっきり語っていたではないか。
「ニンジャ」
ニンジャとは、平安時代の日本をカラテによって支配した半神的存在である。
しかし彼らはキンカク・テンプルで謎のハラキリ儀式を行い、歴史から姿を消した。
歴史は改竄され、隠蔽され、ニンジャの真実は忘れ去られる。
やがて世界を電子ネットワークが覆いつくし、サイバネ技術が普遍化した未来。
数千年の時を超えて復活した邪悪なるニンジャソウルが、突如、
ネオサイタマの闇へと解き放たれたのだ……!
ここで注目すべきは「平安時代を支配した半神的存在」
「歴史から姿を消した」「数千年の時を越え復活した」
という点だ。
どういうことかというと、ニンジャとは古事記に記されし平安時代の日本の神々、イザナギやスサノオやヤマタノオロチそのものだということだ。
作中での歴史区分がどうなっているかというと、
こちらにあるように、神々が争った暗黒時代、神々が民衆を支配した平安時代、民衆が神々の支配を脱し、神々が妖怪として貶められていった江戸時代と分かれている。
日本神話に限らず、ギリシャ神話、北欧神話、クトゥルフ神話、シルマリルの物語等、神々が2勢力に別れ争ったという逸話は数多い。
それら神話の元になったのがニンジャ神話であるのは想像に難くないだろう。
次に重要なのは、一旦神々が力を失い滅びるという点だ。このテーマはトールキン作品やエターナル・チャンピオンシリーズ等によく見られる。
これは古代は歴史の記録自体が不確かだったということ以外に、歴史と神話の区別がはっきりとしてきた、つまり現実とフィクションの区別がはっきりとしてきた、ということなのではないだろうか。
この夢と現実の狭間、というのはクトゥルフ神話やはてしない物語等のファンタジー作品によく存在するテーマでもある。
さらに彼らは「数千年の時を越えネットワークを通じて復活」する。これはネットワークが発展し、VR技術やAR技術が発展し、電脳空間を現実として感じられる様になったことと対応しているだろう。つまり再びフィクションと現実の狭間が曖昧になって来ているのだ。
ネットワークを通じ出現する神、というのはサイバーパンクの元祖であるニューロマンサー三部作にもあるテーマで、電脳空間上の白い立方体を通じバロン・サムディらブードゥーの神々が出現する。このニューロマンサーシリーズのさらに未来、ネットワークから現実に神々が出てきてしまった時代をニンジャスレイヤーは描いているのではないだろうか。
ちなみにバロン・ニンジャはフューネラル=サンとして本編にも出現する。フューネラルはダークドメインにあっさり殺されるが、これはニンジャスレイヤーはニューロマンサーの後継である、という原作者の意思表示なのかもしれない。*1
また、ネオサイタマに現界してきたニンジャ達の外見はどう見てもアメコミヒーローである。ヒーローのオリジンが古代神話にある、と原作者は考えていたとしても不思議ではないだろう。
キョジツテンカンホー
キョジツテンカンホーとは何か、を考える前に、そもそも古事記とは何なのか、を考えてみよう。
我々の知る古事記とは各地の神話を集めた書物、である以上にヤマト王権の正当性を示すための都合のいい事が書かれた歴史書である。
で、キョジツテンカンホーが何をやっているかというと、
1,都合の悪い真実の隠蔽
2.歴史認識の改竄
3.権威の強制
である。これを考えれば、ソガ・ニンジャが平安時代に何をやったのかとその正体が見えてくるのではないだろうか。平安時代に日本の神々の歴史を改竄し頂点として君臨したのは誰だ?*2
これらの考察が正しいかはこれからリアルニンジャ関連のエピソードに注目していれば明らかになることだろう。
ニンジャスレイヤーTwitter連載4周年
ニンジャスレイヤーTwitter連載4周年オメデトゴザイマス!
同時に、あくまで翻訳チームが連載を開始したのが4年前であり、原語版、プロト版はさらに前からあったことを忘れてはならない(戒め)
いや、ぶっちゃけ起源がいつどこか、とかはどうでもいいんですけど、コンテンツの寿命、というのは気になるところでは有りますよね。
前の記事で、ニンジャスレイヤーはいくらでも続きを書ける構造をしてる、と書いたけど、流行り廃りは無情なもの。果たしてニンジャスレイヤーがいつまで続くのか、という不安は有ります。
自分の勝手な願望としてはDC、マーベルばりにいつまでも、それこそ100年単位で続いて欲しいと思ってるんですが。
最近知ったんですが、ソードアート・オンラインは2002年に個人サイトで連載されてた物を元にしてるそうですね。正直、自分はあまり面白いとは感じられなかったのですが、流行るまでコンテンツを投げ続けるという情熱にはニンジャスレイヤーに匹敵するものがある気がします。
それはそうと、キルズはヤバイ面白いですね。
P004 #njslyr pic.twitter.com/JVbpbAZibC
— 月刊少年シリウス編集部 (@shonen_sirius) 2014, 7月 23
最初から新人離れしてるとは思ってましたが、今回のキックアウトで純粋に漫画として自分にドストライクした感じです。
P008 #njslyr pic.twitter.com/xioJKlCNtM
— 月刊少年シリウス編集部 (@shonen_sirius) 2014, 7月 23
このヨタモノ!
P010 #njslyr pic.twitter.com/LYU8Tp06pp
— 月刊少年シリウス編集部 (@shonen_sirius) 2014, 7月 23
イチジク=サン!
P018 #njslyr pic.twitter.com/0iLYMRHL7t
— 月刊少年シリウス編集部 (@shonen_sirius) 2014, 7月 23
そしてアゴニィ=サン!
KADOKAWAは中国や台湾に現地法人持って、大分力を入れてる感じですが、ニンジャスレイヤーがアメリカ進出の足がかりになればいいな、と思っています。
TOMの連載はどこが出版するんだろうね。
因みに自分が忍殺読み始めたのは鹿とビガーケージズのあたり、存在は元々KEYMANで知ってたわらいなく先生のつぶやきから知った感じですね。
つぶやきすぎでDDDあたりで専用垢を作りました。
ニンジャスレイヤー フロムアニメイション
http://www.ninjaslayer-animation.com
来ましたね。ニンジャスレイヤーフロムアニメイションのキャラデザイン。
とはいってもそこまで新情報は無かったわけですが。事前に動画が出ないのはわかってたし、キャラデザイン岡崎能士もテザーサイトに落款があったし、ブンブンサテライツもアニメ化をいち早くリツイートしてたから薄々そうじゃないかな、と思ってたしね。
それでも、やはりポスターがでかでかと出るのはテンションが上がるものがあります。
テーマ曲はブンブン!『ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン』詳細発表 #kai_you http://t.co/7EB79xm5wW
2015年にニンスレアニメ化! 最新作『マグロ・アンド・ドラゴン』ももうすぐ出る>< pic.twitter.com/O9gTTRbNYb
— KAI-YOU (@KAI_YOU_ed) 2014, 7月 4
それに何より、トリガーのポスターにでかでかと登場するのがね・・・
やはりヒーローは他のヒーローとクロスオーバーしてなんぼですよ!
◇……裏面には今回のAX用描き下ろしイラストレーション……とくべつイラストレーションだ!ンーッ!右で飛び出している赤黒の存在はーッ!?◇ pic.twitter.com/yFQ8kGzZ6Q
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2014, 7月 4
それとこの会場の一体感!この配布された忍殺メンポ、自分も欲しい!
wake up all rockn roll people ! pic.twitter.com/ogm5qEGjfa
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2014, 7月 4
あと、一つ気になったのはこの記事にあるように、
"ここでは新作PVも紹介され、会場のファンから喝さいを浴びた。
しかし、このPVかなりの長尺だが、実はアニメパートがほとんどないという不思議なものだ。画面に登場する老若男女が、口々に『ニンジャスレイヤー』の素晴らしさを語るのが中心となっている。このなかに“2015年公開”、さらに“日本での読者人口は3億人”などの刺激的な言葉も飛び出した。"
と妙なPVを流したそうで。
http://animeanime.jp/article/2014/07/04/19332.html
もしかしたらこれを実写でやったのかも?
◇「本当に感動しちゃいました」◇「すごく迷っているところで、ハラハラしちゃって……」◇「泣きました!」◇「映像がすごくて……」◇(子供三人が同時に)「「「もうサイコー!」」」◇「泣きました!」◇
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2013, 8月 6
ひょっとしたらニンジャスレイヤーアニメの宣伝戦略は魔法少女まどか☆マギカのこれをなぞらえて、ギリギリまでトンチキなもので行くのかもしれませんね。