九州がんセンターでの検査結果は治験の対象にならないとのことでした
九州がんセンターでの検査結果は治験の対象にならないとのことでした
- 九州がんセンターでの検査結果は治験の対象にならないとのことでした
- リキッドバイオプシー検査もがん組織のスクリーニング検査も引っかからず
- 今後の治療方針としては戸畑共立病院で温熱療法と抗がん剤を併用した治療を
- 前回の抗がん剤治療治療から2ヵ月以上経過しているので心配
いつも通っている総合病院の病診連携室のマエザワさんから連絡があり、九州がんセンターから検査の結果が届いているので担当医のアマキ先生から説明しますので来院くださいということで、検査結果を聞きに行ってきました。
【新薬の治験は受けられない】
リキッドバイオプシー検査もがん組織のスクリーニング検査も引っかからず
以前、九州がんセンターでの治験を受けるためにリキッドバイオプシー検査という血液検査を受けました。その検査で遺伝子に異常が見つかれば、新薬の治験の対象になるというものです。
それから一ヵ月以上経過してその結果が届いたということで、いつもの総合病院へ結果を聞きに行ってきました。
受付をすませ、久しぶりに担当医のアマキ先生の診察室に入ります。
アマキ先生は九州がんセンターの医師から届いた手紙をみせながら説明してくれました。
結果から言うと、がん細胞からの遺伝子異常は見つからず、残念ながら新薬の治験の対象にはならないということでした。
遺伝子異常が見つかって新薬の治験の対象になる可能性は検査対象の10%未満であると言われている、ということは事前に九州がんセンターの医師から聞いていたので「あーなんだ、やっぱりか」という感想でした。
それに治験の場合は副作用についても不確定なところがあり、思いがけない副作用にみまわれる可能性もあったので、そういう点は少し怖いところでもありました。
それよりもリキッドバイオプシー検査を受ける前に九州がんセンターの医師から言われていたのが、
「これは特殊なケースですが、遺伝子異常が見つかったにもかかわらず対応する薬がなく治療法もない。という場合もありますが検査をしてよろしいですか?」
みたいなことを言われていたので、その点も気になるところでした。
そのうえ、
「もしそうなった場合、ご家族にも遺伝子異常による病気のリスクが発覚しますので、ご家族にこのことをお知らせしますか?」
とも聞かれていました。
そのときは
「うーん、僕の一存でそんな重大なことを決めていいのかな…母や弟や妹、その子供たちもリスクが発覚するということだし…」
と迷いましたが、うちの家族の性格上、知らせた方がいいだろうと思い、特殊な遺伝子異常があったときは家族にも伝えてもらうように医師にはお願いしていました。
「もし遺伝に異常が見つかっても治療法がないなんて言われたらどうしよう…」
と、その点が心配でしたが、アマキ先生によるとそういった特殊な遺伝子異常も見当たらないということで、その点では少しだけ安心しました。
とにかくこれで九州がんセンターでの治験が受けられるかどうかの白黒がはっきりしたと思います。
今後の治療方針としては戸畑共立病院で温熱療法と抗がん剤を併用した治療を
説明を一通り終えたアマキ先生から
「それで今後はどのようにしようとお考えでですか?」
と尋ねられたので、
「僕の中では治験は第一候補だったんですけど、それがダメなら戸畑の温熱療法を受けたいと思っています」
「そうですか、ではそちらのほうに手紙を書くようにしますね。そして必要であれば資料も送付するようにしますので」
「お願いします」
「それでまた何かあったらこちらでも診ますから、遠慮なくおっしゃってください」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
やはりいざという時は近くの病院を頼りにしたいと思うので医師との信頼関係は大事にしていかないといけないなと痛感しました。
アマキ先生の診察が終わった後は、診察室を出るとすぐ病診連携室へ向かい他の病院との橋渡しをしてくれたマエザワさんと話をすることに。
病診連携室に入るとちょうどマエザワさんがいらっしゃって
「あーヨシノさん、先生から説明聞かれました?」
「はい、今聞いてきたところです」
「一応先生からしっかりと説明を受けたほうがいいと思って今日来てもらったんですけど、治験は残念でしたね…」
「まあ確率は低いと検査前から聞いてたんで、やっぱりかなって感じでした」
「それで次はどうします?」
「戸畑の温熱療法を受けたいと思っています」
「じゃあ、すぐ電話しますね」
というとマエザワさんはすぐに携帯を取り出して僕の目の前で電話をし始めた。
「・・・あーお世話になります病診連携室のマエザワですーそれでですねー・・・」
と戸畑共立病院の連携室の担当の方と話をすすめていくマエザワさん。
ひととおり話し終えた後で電話を切ったマエザワさんは
「じゃあ、向こうから診察日をまたこっちに連絡してくるそうなんで、分かり次第ヨシノさんの携帯に連絡しますね」
「あ、ありがとうございます」
「なるべく早い方がいいですもんね。がんばっていきましょう!」
マエザワさんは行動が早くてありがたい。
その後会計を済ませていると早速マエザワさんから連絡があり明日にも戸畑共立病院に診察を受けに行くことになりました。
前回の抗がん剤治療治療から2ヵ月以上経過しているので心配
九州がんセンターの治験が受けられないことは少し残念ではありますが、とりあえずは治療方針も決まり、温熱療法と抗がん剤を組み合わせたものになりそうです。
とはいえ前回の抗がん剤治療から既に2ヵ月以上が経過しているのでがんが悪化していないか心配なところではあります。
これまで治療法に関してはいろいろと手を尽くしてきましたが、最善手とはいかないまでも第二候補くらいに考えていた温熱療法に向かうことになりした。
あとはこの治療方法でいい結果を出せればいいのですが、それはやってみないことにはなんとも言えないことだと思います。
とりあえずは一歩前進できたのかな?
全て自分の思い通りとはいきませんが、それでもよりよい結果に向かってよりよいとされる選択をしていきたいと思っています。
書き溜めていたメモは前回で終了しました
書き溜めていたメモは前回で終了しました
あらためましてこんにちは、ヨシノ(id:yo_kmr)です。
前回の更新で、これまで書きためていたメモをブログとして更新することができ、やっと時系列が現実の時間に追いつきました。
【あらためましてこんにちは】
始まりは病院の待合室での暇つぶしでした
もともとの始まりはというと、病院の待合室で診察を待っている間ヒマだったので、いつも持ち歩いているIpadのメモ機能でそのときのことをメモしていたことがきっかけでした。
大腸がんの手術後の入院中や抗がん剤治療での入院中もヒマだったので暇つぶしに加えてその時の容体や痛みや体調の変化などをメモしておけば後々役に立つかもしれないという考えからメモをしていました。
そして最初の抗がん剤治療が終了してからしばらく経ってから、それまで取っていたメモをブログとしてアップしようと思い立ちましたが、ブログの準備をしている最中にがんの再発が発覚しました。
がんの再発が発覚してからはこのままブログを更新し続けることも悩みました。
「もしかしたら容体が悪化してすぐにブログなんて書けなくなるかもしれない」
とか
「最後は身内による『当ブログの管理人は旅立ちました』みたいな更新になるのかもしれない。そうなったら見てる方もつらい」
など、さまざまな思いが去来しましたが、結局ブログは更新していくことにしました。
その理由として僕ががんと診断されてすごく混乱して動揺したときは
「同じがん患者の思いや考えが知りたい」
と思ったからです。
ひとり死の恐怖におびえながら、同じように死の恐怖にさらされている人の気持ちが知りたいと思いました。
そして抗がん剤の副作用に苦しみながら
「他の人はどんな副作用の症状がでているんだろう?」
とも思いました。
抗がん剤の副作用は同じ抗がん剤でも人によって違いがあると聞きましたので、自分の症状が他の人と比べて重いのか軽いのかというのも興味があるところでした。
ですのでこのブログが同じ悩みを持った人の参考に少しでもなればという思いで更新を続けてきました。
ブログを更新するメリットとは
そしてブログを更新するメリットは僕自身にもありました。
抱えている悩みや苦しみをブログとしてアウトプットすることで、心の中で必要以上に同じことで繰り返し悩み続けるということが少なくなった気がします。
悩み事はついぐるぐると頭の中で回り続け、それだけで疲れてしまうこともよくありますが、いったんアウトプットすることですっきりするという効果もあるように思います。
ですのでブログの更新は自分自身のためでもありました。
現在の状況は九州がんセンターからの連絡待ち
現在は以前九州がんセンターで受けた治験が受けられるかどうかの血液検査であるリキッドバイオプシーの検査結果待ちです。
もしも九州がんセンターでの治験が受けられない場合は温熱療法と抗がん剤を併用している戸畑共立病院で治療を受けようと思っています。
前回の抗がん剤治療からすでに2ヵ月以上が経過していますのでそろそろ次の治療に入らないといけないと思うのですが、待っている身としては悩ましいところです。
体調としても絶好調というわけでもなく、なんだかだるいような感じがしてあまり良くはありません。
とりあえず前回の更新で過去分のメモをすべて消化できましたが、これから先は本当にどうなるか分かりません。
体調が悪くなってブログどころではなくなるかもしれないですし、いきなり更新がストップしたらその時は察してください。
でも、元気でいるかぎりはできるだけ更新していこうと思っています。
できれば「体調がよくなった」などのポジティブな報告ができるといいのですが、そうなるように頑張って行きたいと思いますのでよろしくお願いします。
陽子線治療について鹿児島の医師とテレビ電話でセカンドオピニオン
陽子線治療について鹿児島の医師とテレビ電話でセカンドオピニオンを受ける
この記事ではヨシノ(id:yo_kmr)が2019年の8月の下旬に書いたメモをまとめています。鹿児島の指宿にある陽子線治療の施設である「メディポリス国際陽子線治療センター」の福岡オフィスでテレビ電話を介して鹿児島にいる医師からセカンドオピニオンを受けた時のことです。
テレビ電話でセカンドオピニオンを受ける時代に
2019年8月。
今日は福岡県の博多にきている。
目的としては博多駅近くにメディポリス国際陽子線治療センターの福岡オフィスがあり、そこで鹿児島にいるメディポリスのドクターとテレビ電話でセカンドオピニオンを受けることになっている。
テレビ電話で遠く離れた医師と面談するなんて、すごい時代になったものだ。まさに未来がきたって感じだ。
以前メディポリス国際陽子線治療センターの出張説明会が僕が住んでいる市内であったので、そこで説明会のあとの個別相談を受け、陽子線治療ができるかどうか問い合わせてもらっていた。
その数日後メディポリス国際陽子線治療センターの事務の方から連絡があり
「福岡オフィスでテレビ電話を使ってセカンドオピニオンを受けてみませんか?」
と提案された。
陽子線治療の説明会を受けた僕としては
「治療費は高額になるけど、がん縮小の可能性があるならぜひ陽子線治療を受けてみたい」と思っていたのでセカンドオピニオンを受けることにした。
セカンドオピニオンを受ける場合、自由診療として受けることが多いので、費用の方はどうなのか尋ねると、
「特に料金はかかりません」
とのことだった。
テレビ電話だからなのかメディポリス国際陽子線治療センターが特殊な施設なのか分からないけど、自由診療のセカンドオピニオンだと1時間で2万円以上費用がかかるのでその点ではありがたいと思った。
このような経緯をへて今日博多のオフィスでテレビ電話を介してのセカンドオピニオンを受けることになった。
場所はあらかじめネットで調べておいたので特に迷うことなく時間通りに到着することができた。
こじんまりとしたオフィスでのセカンドオピニオン
雑居ビルの2階にあるメディポリス国際陽子線治療センターの福岡オフィスに着く。
オフィスはこじんまりとした感じで一部屋をパーテーションで二つに区切ってあって、長机とカメラとモニターが設置している部屋へ通された。
僕が席に着くと案内してくれた福岡オフィスの人が電話で鹿児島のドクターを呼び出した。
「先生、準備ができましたのでお願いします」
すると前面のモニターに鹿児島のメディポリス国際陽子線治療センター勤務であろう初老の医師が映し出された。
先進医療扱いでの陽子線治療はむずかしい
これからテレビ電話を通じての医師との面談が始まったが、結論から言うと僕の病状では陽子線治療はむずかしいという結論だった。
僕の病状に関するデータは鹿児島の方に既に送られていて医師はそれを見ての判断だと思われる。
理由としては僕がステージⅣと診断された要因のひとつである腹膜播種の場合は、先進医療の適用内に入らず、もし治療をするなら自費診療で行う必要があるという。
先進医療の適用にならない理由として、国からの締め付けというか、先進医療としての使用条件が厳しくなってきていて、基本的には「限局性固形がん」のみに先進医療としての陽子線治療が適用されている。「限局性固形がん」とは狭い範囲にできているがんで白血病など血液のがん以外を指す。そして腹膜播種は限局性固形癌に当たらないそうだ。
そして再発が見つかった場所がひとつではないので、もしかしたらまだCTに映らない癌も潜在的にある可能性があり、陽子線でひとつふたつをたたいてもあまり意味がないかもしれない。というのが医師の見解だった。
医師の考えとしては治療方針として陽子線の他に抗がん剤の変更も検討されてるようなので、陽子線治療よりはそちらの方を継続される方が良い思います。ということだった。
加えて実施している病院は少ないが、お腹に直接抗がん剤を流し入れる「腹膜灌流療法」(ふくまくかんりゅうりょうほう)というものがあるということを教えてもらった。
こういった新しい情報をもらうのはありがたい。腹膜灌流療法についてはネットで調べてみますと言い、ドクターにお礼を言ってテレビ電話を使ったセカンドオピニオンは終了した。
テレビ電話を使ったセカンドオピニオンを受けてみての感想
医師から「治療はむずかしい」ということを聞いているあいだ、背中が冷たくなるような感じがした。治療の可能性がまたひとつ遠のいていく。
あまり期待はしないでおこうと自分に言い聞かせていたが、正直言ってこの陽子線治療にかけていた部分は大きい。
何よりも魅力的だったのが「がんの縮小が期待できる」ということと「副作用に苦しむことがほとんどない」ということだった。
僕の現状としては標準治療の抗がん剤ではがんの縮小はむずかしいと考えていたので、もしがんが小さくなるのなら何をおいても優先すべきだと思っていたし、これまで何度も苦しい抗がん剤治療をやってきて「もう二度と抗がん剤はやりたくない」と思っていたからあの苦しみから解放されるなら300万円以上治療費がかかっても安いものだと思っていた。
もしも治療ができるなら、ここから遠く離れた鹿児島の指宿に長期滞在することだってどうってことなかった。そればかりか、
「鹿児島滞在中にパソコンが使えないと困るから外出用のノートパソコン買おうかな~」
とか
「滞在中の食事はどうしよう?鹿児島名物でおいしいものって何だろう?」
とか
「治療以外の時間はどうやって時間をつぶそう名所とか行ってみようかな~」
などと決まってもいない鹿児島行きに期待し、胸を膨らませていた。
残念だ…
今はとてもがっかりしている。
内定がもらえない就活生のような気持ちになっている。
好きな子に告白してフラれたときのような気持ちになっている。
はああああ…悲しい…
つか、僕の医療データが事前に鹿児島に届いているんだったらわざわざ博多までこなくてもよかったんじゃないか?
電話で教えてくれれば済むことだったんじゃないだろうか。
メディポリスの営業の人も医師との面談までこぎつけたという実績が欲しかったのかな?なんて邪推をついしてしまった。
とりあえずだめなものはしょうがない。気持ちを切り替えていかないと。
と理性的には考えるけどやっぱり悲しいなあ…
がん相談支援センター主催のがん患者会のサロンに参加してみた
がん相談支援センター主催のがん患者会のサロンに参加してみた
この記事ではヨシノ (id:yo_kmr)が2019年の8月の中旬に書いたメモをまとめています。これまで抗がん剤治療で入院していた総合病院で月に一度の癌患者さんたちが集うサロンに行ってきたときのことを書いています。サロンに参加するのは今回で2回目になります。
癌患者さんの集うサロンに参加していろんなひとの声を聞く
2019年8月。
今日はいつも通っている総合病院で月に一度開催されているがん相談支援センター主催の癌患者さんが集うサロンに参加してきた。早いもので前回参加してからもう1ヵ月が経とうとしている。
今回はちょうどお盆期間中と重なったということもあり、参加人数は前回に比べると少なめの10数人程度だった。前回同様病診連携室のマエザワさんが中心になって進行していき、注意事項の復唱の後ひとりひとり自己紹介がてら体験談や今の思いを語っていった。
【注意事項】
- 癌患者、がん患者の家族、もと患者が参加します。それ以外の参加があったときは世話人で話し合って決めます
- ここで聞いたプライバシー情報はここだけにとどめて他では話さないようにしましょう
- 健康食品や健康器具などの販売を勧めたりする場所ではありません
- 宗教団体への勧誘、啓蒙をする場所ではありません
- 他の人が受けている治療が自分にあうとは限らないので医師に相談しましょう
- 参加されてるかたが平等に話せるようにお互い気を配りましょう
- アドバイスや励ましを受けると、ときに負担になることもあります。お互いに聞き上手になりましょう
健康食品やサプリメント、食事療法などは効果がなかったけど化学療法は効いたAさん
今回参加されたAさん(仮名)は食事療法や高濃度ビタミン注射や野菜ジュースなど、民間療法的なことをいろいろ試したけどそれらは効果がなく、結局効いたのは抗がん剤で、化学療法開始から2ヵ月くらいでがんが消えたということだった。
ただし、2ヵ月くらいでがんが消えたというパターンは医療データ的にもめずらしいケースだともおっしゃっていた。
癌に効果があると聞くと手当たり次第に試したくなるもの
確かに食事療法やサプリメントなどで「がんが消えた!」なんて聞くとそれらを試したくなってしまうもの。がん患者はいつも藁にもすがる思いというか、僕なんて藁に飛びつきたいくらいに思っていたものだ。
自分ががんだと診断されると多くの人はとても混乱してちょっとしたパニック状態になるので、なんとか助かりたいという思いから効果がありそうなものはなんだって試したくなるし、それに付け込んだ「がんビジネス」なるものもあると思う。
でも、他の人に効果があったからって自分にも効果があるかどうかは分からない。結局のところは自分自身の選択と自己責任によるものなのかなと思った。
腫瘍マーカーが異常に上がったけど意外と元気な人、抗がん剤治療を決意した人
体験談を話す人のなかには
「昨日の血液検査で腫瘍マーカーがすごい上がってたんですけど、割と今元気なんですよー」
なんて人もいた。
僕も血液検査の腫瘍マーカーの数値には敏感になりがちだ。6月の血液検査で2年前の大腸がん手術以降、正常値の範囲内だった腫瘍マーカーが異常値を示したときはとても動揺した。
イメージとしては「腫瘍マーカーの異常値=死」という感じでとらえていたが、実際に腫瘍マーカーが上がっても元気にしている人を見ると「割と大丈夫なものなんだな」とも思えてくるから不思議だ。
以前担当医だったウエノ先生もおっしゃっていたが腫瘍マーカーの数値は絶対的に信頼できるわけではないので、ある程度の目安として考えるくらいでいいのかもしれない。
そしてこのサロンに参加するのは2回目だという人で
「以前は抗がん剤治療を始めることがすごい嫌だったんですけど、前回みなさんのお話を聞いて私もがんばってみようという気持ちになって抗がん剤治療を始めました」
という人もいた。
僕もこれまで21回も抗がん剤治療を受けたが、抗がん剤を始める前はネガティブなイメージしかなかった。
その理由としてやはりメディアがつくりあげた「がん患者像」というか「抗がん剤のイメージ」のようなものがあると思う。
がんをテーマにした医療ドラマなどでは抗がん剤は切っても切り離せないものがあるし、ドラマに出てくる抗がん剤治療を受けるがん患者は皆一応にしてひどい目にあわされている。
抗がん剤の副作用で痩せ細っていく身体、落ちくぼんでいく目元、抜けていく髪の毛、何度も繰り返される嘔吐などなど、視聴者にとことんネガティブなイメージを植え付けていく。
ドラマの描写が真実とかけはなれているわけではないが、よりいっそうの悲壮感を誘う演出などにより、受け手に与えるインパクトは強いものがある。
そんなドラマだけの世界だと思っていた抗がん剤治療を自分も受けないといけないという状況になると、しり込みしてしまう気持ちはよく分かる。
でも、こういったサロンに参加して実際に抗がん剤治療を受けた人の話を聞くと、
「意外と大丈夫なのかもしれないな」
とか
「私もがんばれるかも」
なんて思うこともあるだろう。
腫瘍マーカーが上がっても、抗がん剤治療中でもこうしてサロンに参加している人がいる。そういった仲間の存在はとても心強いことだと思った。
僕からはセカンドオピニオンとがんゲノム医療についての情報をシェア
僕も話す機会をもらったので以前九州がんセンターでセカンドオピニオンを受けて治験を受けようとした話と、その時に聞いた最新のがんゲノム医療についての情報を話すことにした。
僕がセカンドオピニオンを受ける動機としては九州がんセンターでの治験のエントリーが目的だったので、現在の担当医に不信感があるとか、気にいらないとかそういった理由からではなかった。よっぽど今の担当医に不信感があるとか、でたらめなことをしているんじゃないかと思う場合はセカンドオピニオンを受けたほうが良いかもしれないが、そうでない場合は公的医療機関での範疇では病院や医師を変えたからといって劇的に治療方法が変わることもない。
僕がそんな話をしていると
「私もセカンドオピニオンを受けました」
なんて人もちらほらいて、僕と同じような意見を持っている人がほとんどだった。
それとニュースでは2019年の6月から保険適用になったがんゲノム医療についても話すと皆興味津々で聞いていた。
僕が九州がんセンターのドクターから聞いたところによると、確かにニュースでは6月からがんゲノム医療が保険適用になったが、まだ国立がん研究センターや検査会社や医療機関との連携がとれていないらしく、実際に保険適用で運用されるのは2~3ヵ月先だということ。
そしてがんゲノム医療のパネル検査では遺伝子異常が見つかった人が治療の対象になるのだけど、遺伝子異常が見つかる人は少なく、全体の10%ほどらしい。加えてその10%の人すべてに対応できる薬があるわけでもなく、「遺伝子異常は見つかったものの治療方法は無い」というケースもあるらしい。
ちょっと残念なニュースではあるが、
「でもこれから新しい薬も出るかもしれないもんね」
とか
「2~3ヵ月先ならもう少し待てばいいよね」
とポジティブにとらえる人もいた。
サロンに参加してみての感想
やはり同じ悩みを抱える癌患者同士でいろいろと話し合うのは有意義なことだと思った。
「みんなの話を聞いて治療を頑張ろうと思いました」
なんて意見を聞くと自分もがんばろうと思うし、なんだか役に立ったみたいでうれしい。(僕は何もしてないけど)
僕は今回で2回目の参加になるけど、前回も参加していた人を見つけると
「まだ元気でいらっしゃってよかった」
なんて内心思ったりもするし、
「僕もまだ大丈夫かも」
なんて思えたりもする。
ここに集まった癌患者のみんなそれぞれ苦労しながら日々を一生懸命生きている。
自分が癌患者であるということはつらい。
つらいけど今日はみんな笑っていた。
明るく和やかな雰囲気で話し合っていた。
ふさぎ込むばかりが癌患者ではない。笑って話せる癌患者だってたくさんいる。
そう思える一日だった。
がん先進医療の陽子線治療センターの出張説明会に行ってみた
がん先進医療の鹿児島にあるメディポリス国際陽子線治療センターの出張説明会に行ってみた
この記事ではヨシノ (id:yo_kmr)が2019年の8月の上旬に書いたメモをまとめています。一度は候補から外した陽子線治療でしたが、市内で出張説明会を行うということを知り、ダメもとで行ってみました。
市内で陽子線治療の説明会があるということで行ってみることに
2019年8月。
暦も変わり、今日から8月になった。
カレンダーをめくると「ああ、また一ヵ月生き延びることができた」と思う。
今日の体調の方は良好で、数日前まで感じていた倦怠感やのどの違和感はどこかへ行ってしまったようだ。
数日前に治療方法についていろいろと相談に乗ってくれている病診連携室のマエザワさんから僕の携帯に連絡があった。
内容としては以前提案してくれた鹿児島県の指宿にある陽子線治療の施設であるメディポリス国際陽子線治療センターの福岡オフィスから出張での陽子線治療に関する説明会を市内で行うので行ってみてはどうか?ということだった。
陽子線治療については以前マエザワさんからメディポリス国際陽子線治療センターに問い合わせてもらったが、あまりいい返事はかえってこなかった覚えがある。
「とりあえず何か手掛かりになるかもしれないし、何がきっかけになるか分かりませんから行ってみたらどうですか?」
とのマエザワさんの言葉に「それもそうだ、とにかく行動しなくては」と思い、行ってみることにした。
マエザワさんからメディポリス国際陽子線治療センターの福岡オフィスの連絡先を聞いて問い合わせてみると、説明会に参加するにあたって特に予約などは必要ないとのことだった。
説明会は市内の多目的ホールのなかの視聴覚室で行われた。参加人数は僕を含めて10人もいなかった。
開始時間になり、担当のかたが陽子線治療についての説明を始めた。
陽子線治療とは
陽子線治療とは大まかに分類すると放射線療法の一種で、一般的な放射線治療ではX線を使った「光子線」になるが、陽子線や重粒子線は「粒子線」に分類される。
違いとしてはX線などの光子線は重さを持たない光線に対して粒子線はとても軽くはあるが一応は重さがある粒子(陽子はこの地球上でもっとも軽い物質)であるということと、粒子線はがん病巣にたいしてピンポイントで狙いをつけ照射できるということ。
一般的な放射線治療で使われるX線が身体に照射される場合は身体に当たった部分から威力は弱まって病巣を抜けていくが、陽子線や重粒子線の場合は弱く入って病巣で止まって消える。セミナー講師が言うには「すーっと入って病巣部分でぱっと強くなる、打ち上げ花火のようなイメージですね」とのことだった。
そして陽子線と重粒子線の違いとしては粒子の大きさに違いがあり、陽子をテニスボールに例えると重粒子はバスケットボールくらいの大きさになるという。それだけ重粒子の方が重くなるし重い分パワーがあるということになる。話を聞いたイメージではとても小さな粒子という物質をがん病巣にぶつけてがん細胞を死滅させるという感じだった。
そして抗がん剤治療のように副作用で苦しむことが少ないということと、治療中の痛みなど苦痛がほどんどないというのも特徴的だった。
陽子線治療に適応しているがんはとは
陽子線治療を受けている癌患者さんはどのような方が多いかというと、話を聞く限りでは2018年4月から公的医療保険が適用になった前立腺がんの患者さんが多いということだった。
ただ「がん」と一言で言ってもさまざまな臓器、進行度、再発の有無、現在治療中なのか、多発性かどうかなどさまざまなケースがあるので一概にはいえないし、全国にある陽子線、重粒子線の施設ごとで考え方や方針も違うため「ここではできなかったけど違う施設では治療できた」なんてこともあるらしい。
治療がむずかしいと言われたのは胃癌や大腸がんなど「動く臓器」にあるがんだということ。陽子線照射の際は10分から15分くらい動かない状態を保たないといけないが、胃や腸は消化吸収のために活発に動くためにこの治療には向いていないとのことだった。
自分の病状で陽子線治療ができるかどうか確認する一番手っ取り早い方法は全国にある最寄りの陽子線治療、重粒子線治療を実施している各施設へ問い合わせてみて直接聞いてみること。多くの施設で相談窓口を設けているので、そこで相談してみて治療の可能性があるならばセカンドオピニオンに進むという流れが一般的らしい。
相談を受けても4割くらいが治療の可能性がないために事前におことわりすることが多いので、セカンドオピニオンを受ける段階になって初めてかかりつけ医にも相談すればいいとのこと。
そしてセカンドオピニオンを受ける準備として担当医から紹介状をかいてもらったり診療情報提供書などを送ってもらわないといけないとのことだった。
陽子線治療にかかる費用
陽子線治療でかかる費用は保険でまかなえる部分もあるが、技術料は自己負担になるため総額で330万円くらいの費用になるらしい。
Q.治療費はいくらですか?
陽子線治療は、先進医療として行います。保険診療の治療費も含めると、総額で約330万円の費用がかかりますが、民間のがん保険(先進医療特約など)に加入されていると、保険金でカバーできます。2018年4月から前立腺がん、外科切除できない骨や筋肉などにできる骨軟部腫瘍、頭頚部がんの一部に、それぞれ健康保険が適用することになりました。 治療費の負担が軽減されることで、より身近な治療の選択肢となります。
※パンフレットより一部引用
さらに治療費の他に鹿児島の指宿に長期滞在するということになると滞在費も別でかかるので330万円以上は軽く見積もっておかないといけない。
「う~ん、330万円かあ…新車が買えちゃうなあ…」
単純にそう思ってしまった。
セミナー終了後に個別相談を受けてみる
セミナー終了後に講師の方が個別に相談も受け付けるというので、一応ダメもとで個別相談をお願いして、おおまかに僕の病状と経緯を説明して治療の可能性があるかどうか聞いてみた。
僕の病状としては大腸癌の再発で腹膜播種があって再発箇所が2か所あるという現状なので難しいかもしれないけれど、一応ドクターの方に相談してみるのでまた後日その結果を電話で教えていただけることになった。
個別相談も終わり陽子線治療の説明会はこれで終了となった。
陽子線治療のセミナーを受けてみての感想
陽子線治療はこれまで受けてきた標準治療と違ってかなり特殊な治療方法だという印象だった。
ポジティブな面としては
- 副作用が少ない
- 身体にメスを入れる必要がない
- 治療中に痛みを伴わない
といった面があるが、逆にネガティブな面としては
- 治療費が高い(330万円以上)
- 鹿児島の指宿に長期滞在(1ヵ月くらい?)しないといけない
ということがある。
現時点での率直な僕の感想を言うと「治療が可能なら受けてみたい」というのが正直なところ。
僕は現状では抗がん剤治療も2種類をやり終えて、がんは増大傾向にあるので、標準治療では僕の中にあるがんの縮小の望みは薄いと思っている。
陽子線治療でがんが縮小できるならそれはなによりも優先すべきだと思うし、ネックである金銭面は全く手が出ないという金額でもない。
お金に関する考え方は人それぞれだと思うが、僕はつねづね「時間>お金」だと思っていた。
時給いくらの労働などで自分の時間をお金に変えることはできるけど、お金を払って自分の時間を増やすことはむずかしいことだと思う。どんな億万長者だって1日を25時間にすることはできない。
でも、この陽子線治療で僕の寿命が少しでも延びるならそれはお金を払って自分の時間を買ったことになるのではないかと思う。
命さえあればお金を稼ぐ手段はたくさんある。でも今の僕には命を、自分の時間を稼ぐ手段は限られている。
そう考えると330万円という値段はけっして高くは無いのかもしれないと思うようになってきた。
まあ、それ以前に治療が可能かどうかメディポリス国際陽子線治療センターのドクターの判断を待たなくてはいけないので、現時点であれやこれやと悩む必要はないのかもしれない。
期待するだけして「やっぱり駄目でした」なんてことはよくあることなので、あまり期待しないで続報を待とうと思う。
九州がんセンターで採血を受け、温熱療法の戸畑共立病院へ行く
九州がんセンターで採血を受け、温熱療法の戸畑共立病院へ行く
この記事ではヨシノ (id:yo_kmr)が2019年の7月下旬に書いたメモをまとめています。九州がんセンターで治験のエントリーができるかどうかの検査であるリキッドバイオプシーのための採血をした翌日に温熱療法を実施している戸畑共立病院へ行ってきました。
九州がんセンターでリキッドバイオプシー検査のための採血をする
2019年7月。
今日は九州がんセンターに採血のために来ている。
そもそも何のための採血かというと、新薬の治験の対象になるかどうかを調べるリキッドバイオプシーという検査のため。
標準治療以外の治療方法を模索している僕にとって九州がんセンターの治験は有力な候補のひとつだ。
前回のセカンドオピニオンを受けたときはここまで車で来たが、今回は試しに新幹線とバスを使ってみた。時間的には約1時間半くらいで到着したので車で来るのとあまり変わらなかった。
車で来ることと比較して自分で運転しなくていいというメリットはあるが、博多駅からバスに乗るのが面倒だというデメリットもある。
乗り継ぎがスムーズにいかなければもっと時間はかかっていたと思う。
だが、車で来る場合は高速道路などで思わぬ事故渋滞に出会ったり、予想外のことが起きることもあるので公共機関の交通手段の方が時間通りに到着するという点では確実といえば確実だ。
でもどちらかというと車で来る方が楽なので、次回もし来ることがあるならば車で来ようと思う。
リキッドバイオプシーの採血までかなり時間がかかる
9時に受付を済ませて、問診票や同意書を書いて、看護師からのヒアリングを受けてからしばらく待つ。
とりあえず待合ロビーで待っているが、ここまで来た長時間の移動の疲れか抗がん剤の副作用の影響なのか、なんだかしんどい。もしここに通うとなるときついかもしれない。
10:30ごろ診察室に呼ばれ、簡単な診察を受ける。そのときにリキッドバイオプシーに加え新たな治験の可能性がある検査も提案してもらったのでそちらの方もお願いした。
それは「HER2」というたんぱく質が出ている場合に対応する治験を今やっていて、がん組織をスクリーニング検査して、そのたんぱく質が出ているかどうか調べるらしい。2年前に大腸がんの外科手術をしたときに摘出して今も保存してあるがん組織の一部を検査にかけるという。これも可能性は低いが試してみることにした。
そしてこの後採血を受ければ今日は終了。という流れになっていたのだが、今回はやけに待たされた。
なんでもリキッドバイオプシーのシステムに変更があり、登録をするのに時間がかかるということで、結局採血が済んだのが午後3時くらいだった。
治験の担当の人が気を利かせて処置室の簡易ベッドを用意してくれたので、そこで横になって待つことができたので多少は楽に待つことができた。これがロビーの椅子に座って長時間待っていたら、とてもつらいものになっていたと思う。
採血が終わり、会計を済ませて病院を出て博多駅行きのバスに乗ったときには午後4時をまわっていた。さすがに待ちくたびれた。
検査の結果が出れば治験を受けられるかどうかがハッキリする
リキッドバイオプシー検査のための採血も終わり、これで治験へ向けてのステップがまたひとつ進んだことになる。
しかし医師の口ぶりや態度から推察するに、治験を受けられる可能性はとても低いと感じた。
九州がんセンターのエザキ先生もその可能性が低いことが分かっているので標準治療の方を勧めてきているのだと推測する。
治験はあくまで研究の一環なのでいつでもだれでもが受けられるわけではないし、研究の条件にあった被験者を選ぶのはしかたがない。
治験について調べる以前の僕のイメージとしては「副作用のリスクはあるが、新薬の効果が試せる」くらいに思っていたが実際のところ参加条件は厳しいものだった。
最新の医療が認可を受け、どの病院でも保険適用内で使えるようになるには時間がかかる。それほど遠くない未来には癌の謎は解明され、インフルエンザを治療するように気軽に治せる時が来るだろう。ただその時まで僕が元気でいられるかは分からない。
温熱療法と抗がん剤治療を組み合わせた治療法を実施している戸畑共立病院へ
2019年7月。
昨日の九州がんセンターに引き続き、今日は戸畑共立病院に来ている。ここが実施している温熱療法は九州がんセンターでの治験が受けられなかった場合、次の治療方法の候補として考えている。
ここは車で1時間弱と九州がんセンターに比べればそれほど遠くでもない。
今日の予定としては医師の問診を受けるだけになっていて、とりあえずは今の僕の状況と、もし九州がんセンターでの治験が受けられないときはこちらでの治療を受けたいという希望を伝えるつもりでいる。
今日ここにいたるまでの段取りはこれまで通っていた総合病院の病診相談室のマエザワさんがやってくれて、CT画像のデータなどを既にこちらの病院にも送っていてくれた。
病院に到着し、受付をすませ簡単な問診票やアンケートをかいてしばらく待つ。
診察室に呼ばれトヨダ先生(仮名)からこの病院で行われている温熱療法の簡単な説明を受ける。
温熱療法(ハイパーサーミア)の概要
- 戸畑共立病院では化学療法に温熱療法と高気圧酸素療法を併用しながら治療を行う「がん集学的治療」を実施しています。
- 温熱療法は幹部を上下の電極で挟んで、電極間にRF波(電磁波)を負荷し加熱すます。
- 正常な細胞では、体温が上がると血管が拡張し血流が増加することで、熱を放散させる動きがあるため42.5度に上がる事はありません。しかしがん細胞ではそういった機能が著しく低下しているため、熱を逃がすことができず温度が上がりやすいといった特徴があり、この性質を活かしてがん細胞だけを死滅させます。
- 体温が上がることで腫瘍細胞内に多くの薬剤が取り込まれ、抗がん剤の効果が高くなります。そのため抗がん剤投薬量を低減しても、その効果を維持でき、骨髄抑制や疲労感、食欲低下などの副作用においても軽減することができます。
戸畑共立病院では抗がん剤治療と温熱療法の組み合わせで治療をしていて「温熱療法だけの治療」というのは基本的にはやっていないらしい。
そしてその多くは入院ではなく、外来で行っているとのことだった。
4つの選択肢があると思っている
温熱療法の基本点的な説明を聞いた後は僕の考えを先生に伝えた。
今の僕の考えとしては4つの選択肢があると思っていて、優先順位をつけるとすると上から
- 九州がんセンターでの治験を受ける。(リキッドバイオプシーの検査で対象になる可能性は低い)
- この戸畑共立病院で温熱療法の治療を受ける。(ハイパーサーミア)
- これまで治療していた病院に戻り、当初の予定通りベクティビックス抗がん剤を受ける。
- 治療自体を辞める
この4択だと思っているということを伝えた。
話を聞いてくれたトヨダ先生は感じのいい先生で、僕の考えに快く賛同してくださった。
そして「こちらで治療するならいつでもいいですよ」とおっしゃってくれて、その言葉がとても心強く僕の心に響いた。
僕としてはまだ九州がんセンターでの検査結果が出てもいないうちにこちらの病院に来たので、なんだか「二股」をかけているようで後ろめたい気持ちも多少はあったが、先生は「そんなこと気にする必要はありませんよ」ともおっしゃってくれた。
とりあえずは九州がんセンターの治験がダメならこちらで治療を受けたいという旨を担当医のアマキ先生宛に手紙を書いておくので今の担当医との連携をしっかりとってくださいとのことだった。
またひとつ新たな治療方法への可能性がひろがったような気がする
とりあえずは九州がんセンターに続き戸畑共立病院への顔つなぎができて、またひとつ新たなステップを踏めたような気がする。
戸畑共立病院から帰ったあとは比較的体調も良く、なんだかこころなしか元気も出てきたみたいだ。
6月のCT検査でがんが増大傾向にあると分かって気持ち的に落ち込むことが多かったけど、いろいろと行動していくうちに治療のあらたな可能性が見えてきて精神的に安心したおかげなのかもしれない。
やはり「気は心から」とか「病は気から」なんていうけど、気持ちと体調は大きく関連しているんだと思った。
あまりふさぎ込まないように、精神的にリラックスした状態を作っていけるように工夫できるときところは工夫すれば、体調面でもプラスになると思う。
今は行動した先になんらかの希望が見いだせると信じて進んでいこう。
次の一手とアバスチン抗がん剤治療終了から1ヵ月の体調
次の一手とアバスチン抗がん剤治療終了から1ヵ月の体調
この記事ではヨシノ (id:yo_kmr)が2019年の7月中旬に書いたメモをまとめています。九州がんセンターでのセカンドオピニオンも終えて、抗がん剤治療中止から1ヵ月経過しました。
九州がんセンターでセカンドオピニオンを受けた翌日
2019年7月。
今日は朝からいつもの総合病院に行き、病診連携室のマエザワさんと面談することになっている。マエザワさんは定年前はこの病院で看護師長として働いていた経歴をもち、標準治療以外の治療方法を探している僕にいろいろアドバイスをくれる頼もしい存在だ。
今回の主な要件としては昨日の九州がんセンターでのセカンドオピニオンの内容についての報告と今後の方針について話すつもりでいる。
マエザワさんに九州がんセンターのエザキ先生から担当医のアマキ先生宛の手紙を預かってきたことを話すと
「あ、じゃあ私から渡しておきますね」
と、手紙を預かってくれた。
そして九州がんセンターでのセカンドオピニオンの内容についても説明した。
おおまかにまとめると
- 九州がんセンターのエザキ先生の見解としては2年前に行ったベクティビックス抗がん剤+FOLFOX療法はある程度の腫瘍増悪抑制効果はあったものと考る
- 今後はベクティビックス抗がん剤か同じ抗体医薬品であるアービタックスという薬をためしてはどうかということ
- がんゲノム医療については2019年6月より遺伝子パネル検査が保険償還されたが、まだ国や検査会社と連携病院の情報のやりとりの構築準備が行われている状況で、この九州がんセンターも含めて、まだ全国的には保険適用内の運用は始まってないとのこと(2019年7月現在)
- 現段階でそのゲノム医療のパネル検査を行おうとすれば実費となるうえ何らかの新しい治療につながる可能性のある遺伝子異常が見つかる患者さんは全体の10%未満とも言われている
- がんゲノム検査とは別に九州がんセンターでは「研究」としてがん組織ではなく血液中のがん遺伝子を調べるリキッドバイオプシー研究(GOZILA試験)に参加してるので、その検査の結果次第では治験に参加できるかもしれない
- 次回は新患として九州がんセンターに来院してリキッドバイオプシー検査の採血をすることまで決めてきた
- リキッドバイオプシー検査の結果が出るまで次の治療は待つ事に
がんゲノム医療が保険適用なったというニュースを聞いた時は新たな治療方法が見つかるかもしれないと期待したが、まだ保険適用内での運用は始まっていないうえにパネル検査をしても治療につながる可能性は低いということが医療業界をとりまく現状であった。
しかしがんゲノム医療とは別にリキッドバイオプシーという研究に参加することで可能性としては低いが、検査結果によっては治験のエントリーが可能になるかもしれない。
リキッドバイオプシーの検査を待つ間にできることは
とりあえずは九州がんセンターの方ではリキッドバイオプシーの検査結果が出れば治験を受けられるかどうかの白黒がはっきりするだろう。
ただその結果が出るまであと1ヵ月くらい時間があるので、それまでただ待つのではなく並行して他の治療方法へのアプローチも出来ないかとマエザワさんに相談した。
マエザワさんは僕のこの考えに賛同してくれて、温熱療法と抗がん剤治療を組み合わせた治療をしている戸畑共立病院に行ってみてはどうかと提案してくれた。
九州がんセンターのリキッドバイオプシーの結果が出て、希望通り治験のエントリーができればいいが、もしダメだった場合その時点から次の治療方法を検討していくと、それこそ延び延びになってしまう恐れがあるので、できるだけ先手を打てるなら打っておきたいと思った。
マエザワさんは「じゃあ、段取りは任せて」と言ってくれて、戸畑共立病院への紹介状や資料送付の手続きをやってくれることになった。そしてまた何か進展があれば僕の携帯に連絡してくれるとのことだった。
本当にたのもしい存在だ。
最後のアバスチン抗がん剤投薬から1ヵ月経過してみての体調
2019年7月。
九州がんセンターのセカンドオピニオンから数日が経過して、今日で最後にアバスチン抗がん剤の投薬を終えてから1ヵ月が経過した。
抗がん剤の投薬をやめて1ヵ月も経過したので今の体調はすこぶる良好…というわけにはいかず自覚できる副作用としては「倦怠感が少し」と「のどの違和感」が残っている。
アバスチン抗がん剤+(FOLFIRI療法)の場合、投薬開始当日から激しい吐き気に数日悩まされ、その後に酷い下痢になるといった感じだったが、最後の9クール目ではそれらの症状は比較的軽い気がした。そして投薬から1ヵ月経過した今では吐き気と下痢は完全になくなったと言える。
その他の副作用として「鼻をかむとティッシュに少し血が付く」ということや「脱毛」もあったがそれらは9クール目には身体に耐性がついていたのかあまり症状も出なかった。
最近の症状としては朝起きると寝汗をかいているということに気づくことが多い。熱っぽいのか体温も36.5℃以上になることが多く平熱だが高め。
ただこれらのことが抗がん剤の副作用なのか身体のなかにある癌の影響なのかはっきりしないのが困ったところで、もし癌の影響なら…と考えると恐ろしい。
そして身体のいたるところにかゆみも最近出てきた。主に背中とか肘のまわりに多い。
これはベクティビックス抗がん剤をやめたときとよく似ている。抗がん剤の影響がうすれて食欲が出てよく食べるようになったせいなのかもしれないが、本当のところは分からない。
体重は戻りつつあるが、糖質はなるべくとらないようにしているおかげか、大きくリバウンドすることもなく62㎏くらいで落ち着いている。(ベクティビックスをやめたときは80㎏くらいまでリバウンドした)
抗がん剤のダメージは根深い
アバスチン抗がん剤も9クールもやったので1ヵ月程度ではそう簡単に身体から抗がん剤の副作用が抜けきることはないのかもしれない。
今残っている「倦怠感少し」と「のどの違和感」も日を追うごとに少しづつではあるが軽減していっているような気がする。ゆっくりじわじわと回復しているところは以前やったベクティビックスと似ている。
ベクティビックスもアバスチンも同じ抗体医薬品なので似ている点もあるのかもしれない。
がんが再発してからというものずっと抗がん剤治療を続けていたので、あまり休み過ぎるのも不安なところではあるが、現段階では九州がんセンターのリキッドバイオプシーの検査とその結果を待っている状況なのであせってもしかたがない。
明日は今日よりも回復していることを願うほかない。