憎き父へ

今週のお題「おとうさん」

 

あなたのことを「パパ」と

呼ばなくなったのは、

確かわたしが中学2年生くらいに

反抗期を迎えてしばらくしてだったかな。

 

20代後半になった今でも

「パパ」と呼ぶことはないね。

 

でも、あなたは今も私と喋る時、

自分のことを「パパはー」って言うよね。

 

今でも、

正直あなたのことを許せません。

私たちのことを

役に立たないなら出ていけと

必要ないと言ったこと。

私の教育費を稼ぐべく奮闘する

母を支えずに、母が壊れた時は

母を責め立てたこと。

母が壊れたのは私のせいだと

責め立てたこと。

 

あなたに与えてもらった空間や

思い出はたくさんある。

私は感謝が足りないのかもしれない。

 

それでも私は許せないの。

 

母や私や妹のことを考えずに

先を見据えずにその場その場で

過ごしてたあなたのこと。

 

「子供は食だけどうにかすれば

   勝手に育つもんだ」

 

そう、あなたは無邪気にどこか誇らしげに

最近、わたしが帰省した時に言ったね。

 

分かってるよ。

よく知らぬ間に大きくなったもんだって、

他愛もなく言ったんでしょう。

 

でもね、

これでもね、私や妹は

「親から与えられる一般的な知識」を

得られずに、

幾らかの恥をかいたり、

悔しい思いをしてやっとの思いで

世間との差を埋めてきたんだよ。

 

勝手に育った水面下では、

いろいろな渦が起きてたこと

あなたは知らないからそんな

無邪気に言えるんだなって、

悲しくなった。

 

出ていけ。って、

激怒する度に私たちを追い込んだよね。

 

だから、

わたしも妹も母もあなたの家から

出たんだよ。

 

中学生の頃から思ってた。

好きであなたの元にいるんじゃない。

好きであなたの子に生まれたんじゃない。

早く早く経済力をつけて

こんな家から出ていきたい。

 

きっと、その思いは私だけじゃないから

あなたは今、一人になったんだよ。

 

今となっては、

やっと人と過ごす空間の

暖かさに気づいたのかな。

わたしが帰省すると、

数年前の埋まらない距離感が

嘘のように、優しい父でいてくれるね。

 

それは私も変わったからかもしれない。

 

私も家を出てみて、

初めて家族と過ごす空間って

良かったものもあったって思う。

 

きっと、わたしが親になって初めて

あなたのことを許せるのかもしれないし、

更に憎むことになるのかもしれない。

 

だから、やっぱりまだ

あなたのことを「パパ」

とは呼べないんだけど、

それでも健康でいて欲しい

って気持ちがあるのはやっぱり

娘なんだって思うよ。

 

物理的に距離を置いた分、

いつか家族4人の心の溝が

なくなる日が来たら良いなって、

願ってたりする。

 

でも、まだ家族みんなバラバラに

生活して間もないから、

また戻ったら今の気持ちを

忘れてしまいそうだから、

今はまだこのままがいいよね。

 

 

長くなったけど、

お互い頑張ろう。

 

p.s. あんまり庭の鉢を増やさないように。